ブッシュ政権の対中観が、2/2米中経済安保調査委員会の公聴会で公表されました。
中国はまだ「責任あるステークホルダー」ではなく、不透明な軍拡や人権の抑圧など米国や国際社会にとって深刻な懸念を生む領域が存在するというものです。
2/4には、尖閣諸島・魚釣島西北西約30キロの日本のEEZ内に、中国の海洋調査船「東方紅2号」(3,235トン)が事前通報なしで侵入し、警戒に当たっていた巡視艇「もとぶ」の呼びかけを無視し応答することなく、12時間以上の調査活動を行いました。
中国海軍の研究では米国でも有数の権威とされる米国防大学のバーナード・コール教授は「中国の膨張する海軍パワー」と題する論文をこのほど発表し、中国の海軍力の大幅増強の目的は台湾海峡での紛争に備えることとともに、東シナ海での尖閣諸島などをめぐる日本との領有権争いに軍事的に対処することだという見解を明らかにしたのだそうです。
衛星破壊に使用された中距離弾道ミサイルなど、ASAT(Anti-Satellite Weapon: 宇宙空間で衛星を破壊する目的で設計された兵器(ミサイル))を将来的に潜水艦への搭載を計画している中国ですが、台湾海峡への備えと同等に、東シナ海での中国の覇権拡大を目的に、海軍力の大幅増強を図っているというのです。
中国の軍備拡大の焦点が日本にあるとは、私も含め巷では多くの方々が指摘されていることではありますが、権威ある論文で明言したものは、初めて聞きました。
「東シナ海での尖閣諸島などに対する中国主権の主張への日本側の動きに軍事的に対処する能力を保持すること」とは、エネルギー資源の開発、漁業資源の取得他天然資源の確保、船舶の航行、EEZの領有枠拡大を、軍事力を背景に実力行使しようというもので、これを阻止する日本や米国が軍事力を使用できないまでに、中国側の軍備を拡大しておこうということです。
既に、EEZを超えて侵入する船舶(観測船、潜水艦)や、航空機に対して、日本政府は一瞬抗議をするだけで、後は見ないふりをすることが実証されており、その実績を積み重ね、EEZ越えは日常時としEEZの無効化を進めていると言えます。
当然、日本政府の抗議には、まともな答えはありません。
政府は答えがないことにも、抗議のコメントは出しますが、これも無視されて終わりです。
対抗手段としての、日本側の試掘着手も、中国海軍に恐れをなしたことと、中華朝貢大臣や議員の為に、葬られています。中国の計画だけが、着々と進められています。
ゼーリック副長官の「ステークホルダー論」は、協調を主眼とするソフト路線の印象がありましたが、今回のジョン・ノリス国務省中国部長は、「責任あるステークホルダー」という基準を提起し、「米国政府の見解では中国は現在、『責任あるステークホルダー』にはなっておらず、そうなる方向へ中国を導くことが米国側の政策の中心だ」と述べています。
ジョン・ノリス中国部長は、警戒感を高めてきていると受け取れます。
米国で警戒感が高まっていて、日本に中国の覇権が及んでいない大きな抑止力の”米軍の傘”にたいし、日本の政府、防衛省、国民も、もっと危機感をもたねばならないほど、中国は本気で計画を着実に進めています。
中国の経済成長が続く限り、覇権拡大の軍備拡充も止むことはありません。
米軍再編の推進と、自国を自分たちで護るための、自衛隊の強化が急がれます。
# 冒頭の写真は、「東方紅2号」を追尾した巡視艇「もとぶ」
# 韓国に実効支配されたままの竹島。島根県が頑張っていますが、その竹島の日が、やってきます。
政府も、北方領土だけでなく、こちらにも注力して貰いたい!
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中国はまだ「責任あるステークホルダー」ではなく、不透明な軍拡や人権の抑圧など米国や国際社会にとって深刻な懸念を生む領域が存在するというものです。
2/4には、尖閣諸島・魚釣島西北西約30キロの日本のEEZ内に、中国の海洋調査船「東方紅2号」(3,235トン)が事前通報なしで侵入し、警戒に当たっていた巡視艇「もとぶ」の呼びかけを無視し応答することなく、12時間以上の調査活動を行いました。
中国海軍の研究では米国でも有数の権威とされる米国防大学のバーナード・コール教授は「中国の膨張する海軍パワー」と題する論文をこのほど発表し、中国の海軍力の大幅増強の目的は台湾海峡での紛争に備えることとともに、東シナ海での尖閣諸島などをめぐる日本との領有権争いに軍事的に対処することだという見解を明らかにしたのだそうです。
中国 海軍力の大幅増強 狙いは日本、領有権争いに布石 (2/9 産経朝刊)
【ワシントン=古森義久】中国海軍の研究では米国でも有数の権威とされる米国防大学のバーナード・コール教授は「中国の膨張する海軍パワー」と題する論文をこのほど発表し、中国の海軍力の大幅増強の目的は台湾海峡での紛争に備えることとともに、東シナ海での尖閣諸島などをめぐる日本との領有権争いに軍事的に対処することだという見解を明らかにした。
同論文は国立ウッドローウィルソン国際学術研究センターの特別報告書最新号で公表された。
コール教授は同論文でまず、中国当局が目覚ましい経済成長の成果を軍事増強に投入するなかで、人民解放軍全体では海軍の強化が最も顕著だとしている。
同論文によると、海軍のなかでも潜水艦の増強が最優先され、すでにロシアから購入したディーゼル機動では世界でも最高性能とされるキロ級が12隻、国産の「宋」級10隻がすでに配備されたほか、2004年夏には新鋭の「元」級潜水艦が開発された。原子力潜水艦では従来の「漢」級5隻に加えて「093」級が少なくとも2隻、配備された。
さらに注目されるのは、中国海軍がこれまで長距離弾道ミサイル発射能力を持つ潜水艦の「夏」級の実戦配備に成功していなかったのに対し、いまやロシアの支援を得て「094」級の弾道ミサイル原潜の建造を始めたことだという。
コール論文はこのほか中国海軍が海上艦艇や海軍航空部隊、海陸両用戦闘部隊などを増強する実態を報告している。
同論文はさらに中国軍がなぜこの種の海軍力の大幅増強を図るのか、その目的や動機について(1)台湾が独立への動きをとった場合、武力で台湾を制圧し、米軍の介入を阻むための能力を保持すること(2)東シナ海での尖閣諸島などに対する中国主権の主張への日本側の動きに軍事的に対処する能力を保持すること(3)中国自身に不可欠なエネルギー資源を輸入するための海上輸送路の安全を確保する能力を保持すること-などを主要点としてあげている。
同論文は以上を「中国海軍の近代化」という大幅な増強の主要な理由だと述べ、なかでも日本への対応は中国にとって「ほぼ台湾有事への対処と変わりのない重要性を持つ戦略的な海上案件への懸念」と位置づけている。東シナ海で実際に中国が日本と軍事紛争を起こす場合のシナリオについて同論文は、「日本側は日米安保条約に基づき米軍の支援を求めるだろうから、中国側は台湾有事への対応と同様に米海軍の介入を抑止し、阻止し、場合によっては戦闘をも辞さない態勢をとらねばならない」と述べている。
しかし同論文は、その種の日中軍事衝突で中国側が米軍の介入を阻むことは台湾有事の際よりもずっと困難だろうとして、「米軍基地が日本の国内や至近の位置にあり、日米安保条約での明白な共同防衛規定に加え、米側の日本防衛への責務感が台湾に対するよりもはるかに強い」などという諸点を理由としてあげている。
【ワシントン=古森義久】中国海軍の研究では米国でも有数の権威とされる米国防大学のバーナード・コール教授は「中国の膨張する海軍パワー」と題する論文をこのほど発表し、中国の海軍力の大幅増強の目的は台湾海峡での紛争に備えることとともに、東シナ海での尖閣諸島などをめぐる日本との領有権争いに軍事的に対処することだという見解を明らかにした。
同論文は国立ウッドローウィルソン国際学術研究センターの特別報告書最新号で公表された。
コール教授は同論文でまず、中国当局が目覚ましい経済成長の成果を軍事増強に投入するなかで、人民解放軍全体では海軍の強化が最も顕著だとしている。
同論文によると、海軍のなかでも潜水艦の増強が最優先され、すでにロシアから購入したディーゼル機動では世界でも最高性能とされるキロ級が12隻、国産の「宋」級10隻がすでに配備されたほか、2004年夏には新鋭の「元」級潜水艦が開発された。原子力潜水艦では従来の「漢」級5隻に加えて「093」級が少なくとも2隻、配備された。
さらに注目されるのは、中国海軍がこれまで長距離弾道ミサイル発射能力を持つ潜水艦の「夏」級の実戦配備に成功していなかったのに対し、いまやロシアの支援を得て「094」級の弾道ミサイル原潜の建造を始めたことだという。
コール論文はこのほか中国海軍が海上艦艇や海軍航空部隊、海陸両用戦闘部隊などを増強する実態を報告している。
同論文はさらに中国軍がなぜこの種の海軍力の大幅増強を図るのか、その目的や動機について(1)台湾が独立への動きをとった場合、武力で台湾を制圧し、米軍の介入を阻むための能力を保持すること(2)東シナ海での尖閣諸島などに対する中国主権の主張への日本側の動きに軍事的に対処する能力を保持すること(3)中国自身に不可欠なエネルギー資源を輸入するための海上輸送路の安全を確保する能力を保持すること-などを主要点としてあげている。
同論文は以上を「中国海軍の近代化」という大幅な増強の主要な理由だと述べ、なかでも日本への対応は中国にとって「ほぼ台湾有事への対処と変わりのない重要性を持つ戦略的な海上案件への懸念」と位置づけている。東シナ海で実際に中国が日本と軍事紛争を起こす場合のシナリオについて同論文は、「日本側は日米安保条約に基づき米軍の支援を求めるだろうから、中国側は台湾有事への対応と同様に米海軍の介入を抑止し、阻止し、場合によっては戦闘をも辞さない態勢をとらねばならない」と述べている。
しかし同論文は、その種の日中軍事衝突で中国側が米軍の介入を阻むことは台湾有事の際よりもずっと困難だろうとして、「米軍基地が日本の国内や至近の位置にあり、日米安保条約での明白な共同防衛規定に加え、米側の日本防衛への責務感が台湾に対するよりもはるかに強い」などという諸点を理由としてあげている。
衛星破壊に使用された中距離弾道ミサイルなど、ASAT(Anti-Satellite Weapon: 宇宙空間で衛星を破壊する目的で設計された兵器(ミサイル))を将来的に潜水艦への搭載を計画している中国ですが、台湾海峡への備えと同等に、東シナ海での中国の覇権拡大を目的に、海軍力の大幅増強を図っているというのです。
中国の軍備拡大の焦点が日本にあるとは、私も含め巷では多くの方々が指摘されていることではありますが、権威ある論文で明言したものは、初めて聞きました。
「東シナ海での尖閣諸島などに対する中国主権の主張への日本側の動きに軍事的に対処する能力を保持すること」とは、エネルギー資源の開発、漁業資源の取得他天然資源の確保、船舶の航行、EEZの領有枠拡大を、軍事力を背景に実力行使しようというもので、これを阻止する日本や米国が軍事力を使用できないまでに、中国側の軍備を拡大しておこうということです。
既に、EEZを超えて侵入する船舶(観測船、潜水艦)や、航空機に対して、日本政府は一瞬抗議をするだけで、後は見ないふりをすることが実証されており、その実績を積み重ね、EEZ越えは日常時としEEZの無効化を進めていると言えます。
当然、日本政府の抗議には、まともな答えはありません。
政府は答えがないことにも、抗議のコメントは出しますが、これも無視されて終わりです。
対抗手段としての、日本側の試掘着手も、中国海軍に恐れをなしたことと、中華朝貢大臣や議員の為に、葬られています。中国の計画だけが、着々と進められています。
ゼーリック副長官の「ステークホルダー論」は、協調を主眼とするソフト路線の印象がありましたが、今回のジョン・ノリス国務省中国部長は、「責任あるステークホルダー」という基準を提起し、「米国政府の見解では中国は現在、『責任あるステークホルダー』にはなっておらず、そうなる方向へ中国を導くことが米国側の政策の中心だ」と述べています。
米「中国に懸念」 不透明な軍拡、経済 (2/5 産経朝刊)
<前略>
同部長は中国のこの「責任あるステークホルダー」としては適切ではない行動としてまず軍事力近代化の名の下での軍拡をあげ、とくに台湾海峡近くでの部隊やミサイルの集中的配備への懸念を表明した。同部長は中国の軍拡に関して(1)軍事増強のペースや規模、戦略について透明性がまったく欠け、近隣諸国や米国に不安定感を与える(2)衛星攻撃兵器の使用と衛星の破壊に関連して十分な意図の説明をしていない-という諸点を強調した。
ノリス中国部長は、米中関係の経済面での中国の行動は「責任あるステークホルダー」の要件に反するとして、中国は(1)貿易、投資、通貨政策などの各面で米国の政府や企業の扱いが公正ではない(2)世界貿易機関(WTO)の規則を順守していない(3)とくに偽造品、模造品を大幅に許容して、知的所有権を侵犯している-などと証言した。
ノリス部長は「中国の人権抑圧や宗教の自由の抑圧も中国を『責任あるステークホルダー』にすることを阻んでおり、このままだと2008年の北京オリンピック開催にも影響が出る」と述べ、中国当局が最近、国内のジャーナリスト、インターネット利用活動家、弁護士、宗教活動家、社会活動家らに対し監視や威嚇、逮捕などを増していると報告した。
<前略>
同部長は中国のこの「責任あるステークホルダー」としては適切ではない行動としてまず軍事力近代化の名の下での軍拡をあげ、とくに台湾海峡近くでの部隊やミサイルの集中的配備への懸念を表明した。同部長は中国の軍拡に関して(1)軍事増強のペースや規模、戦略について透明性がまったく欠け、近隣諸国や米国に不安定感を与える(2)衛星攻撃兵器の使用と衛星の破壊に関連して十分な意図の説明をしていない-という諸点を強調した。
ノリス中国部長は、米中関係の経済面での中国の行動は「責任あるステークホルダー」の要件に反するとして、中国は(1)貿易、投資、通貨政策などの各面で米国の政府や企業の扱いが公正ではない(2)世界貿易機関(WTO)の規則を順守していない(3)とくに偽造品、模造品を大幅に許容して、知的所有権を侵犯している-などと証言した。
ノリス部長は「中国の人権抑圧や宗教の自由の抑圧も中国を『責任あるステークホルダー』にすることを阻んでおり、このままだと2008年の北京オリンピック開催にも影響が出る」と述べ、中国当局が最近、国内のジャーナリスト、インターネット利用活動家、弁護士、宗教活動家、社会活動家らに対し監視や威嚇、逮捕などを増していると報告した。
ジョン・ノリス中国部長は、警戒感を高めてきていると受け取れます。
米国で警戒感が高まっていて、日本に中国の覇権が及んでいない大きな抑止力の”米軍の傘”にたいし、日本の政府、防衛省、国民も、もっと危機感をもたねばならないほど、中国は本気で計画を着実に進めています。
中国の経済成長が続く限り、覇権拡大の軍備拡充も止むことはありません。
米軍再編の推進と、自国を自分たちで護るための、自衛隊の強化が急がれます。
# 冒頭の写真は、「東方紅2号」を追尾した巡視艇「もとぶ」
# 韓国に実効支配されたままの竹島。島根県が頑張っていますが、その竹島の日が、やってきます。
政府も、北方領土だけでなく、こちらにも注力して貰いたい!
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沖縄に関心を持っていただいているようで、在住のものとして嬉しく思います。
これを縁に訪問させて頂ます。
狼魔人
尖閣を中国固有の領土と言い始め、沖縄全土さらには、日本全土に覇権を拡大し、米国に追いつき追い越して世界に中華思想を広めようとしている国です。
勝手に言い始めて、武力や経済力を背景に反論を封じ込めていく手法ですね。
# 台湾と国交のある国を、国交断絶させて中国支持につかせていますね。
沖縄には、一年前に初めて旅行で伺い、すっかりファンになりました。名護市長選の選挙カーの後ろを何度も走りました。
また是非行きたくて、貯金しているところです。こちらこそ、よろしくお願いします。
本年度もどうぞ宜しくお願い申し上げます!
ゼーリック国務長官の演説以来、有名になった「ステークホルダー」論ですが、関与とそれに対するヘッジ戦略のポートフォリオは、60:40といったところなのでしょうかね?何れにせよ、冷戦期の米ソ関係とは異なる多元連立方程式のような複雑な状況であるのは間違いないところで、今後の動向には目が離せませんね。
>本年度もどうぞ宜しくお願い申し上げます!
こちらこそよろしくお願いします。
中国、台湾へ駐在している同僚の顔が一同に見られるのも、この時期の恒例です。
>今後の動向には目が離せませんね。
同感です。
中露が急台頭しているときに、政権をレームダック化させた米国民の選択が、一段と情勢を複雑化させています。
- 竹島プロジェクト2007
から来ました。
コメントありがとうございました。