遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

東シナ海ガス田「白樺」のガス供給開始は誤報?

2007-02-03 19:36:23 | 東シナ海ガス田
 中国系香港紙「大公報」が、東シナ海ガス田「白樺」から浙江省に向け、供給が昨年 9月から開始されていたと伝た(1/31)との報道がありました。
 昨年の夏にも同様の騒ぎがありこのblogでも書きましたが、当時はホーム頁の記載の誤報の様なうやむやな収まり方でした。
 今回は、常時監視体制を敷いている日本側(北畑隆生経済産業事務次官)も「生産開始の事実は確認していない」としていますが、中国側の答えは「新たな状況が生じているわけではない。」と、前回と同じそっけない回答です。
 「大公報」の内容では、昨年の騒ぎが事実であったことになるのですが、繰り返し話が出てくるのでは、はいそうですかと簡単には納得出来ない様に思えます。
 
東シナ海ガス田「白樺」 「中国、既に供給」 香港紙報道 (2/1 産経朝刊)

 東シナ海の日中中間線付近にある天然ガス田「白樺」(中国名・春暁)について、中国系香港紙「大公報」は31日、同ガス田から浙江省に向け、供給が昨年9月から開始されていたと伝えた。報道が事実なら、中国側の開発が、供給段階にまで進んだ可能性がある。

 同紙によると、浙江省発展改革委員会が経済発展に関する報告書の中で明らかにした。昨年までに同省の寧波市から紹興市までのパイプラインが開通、「両都市などでは東シナ海のガスを使用し始めた」とされているという。同紙は、あいまいながらも初めて政府側が春暁の供給開始の情報を認めたと指摘している。

 白樺をめぐっては昨年夏、中国国家発展改革委員会の幹部が視察し、開発を担当する中国海洋石油(CNOOC)が、ウェブサイト上で「開発、生産段階に入った」と一時的に掲載した。しかし、情報は数日で削除され、二橋正弘官房副長官(当時)は、中国側が生産を開始したわけではないと回答してきたと述べていた。

 中国外務省の秦剛報道官は、昨年9月12日の定例会見で「中国の主権内部の事項。開発関連状況を日本に知らせる義務も必要もない」としていた

 同省の発展改革委員会は31日、産経新聞に対し「報告書はまだ公開できない。エネルギー問題など国家秘密の事項は聞くべきでない」と回答。中国海洋石油有限公司も「報告書は知らない」としている。


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「報道は誤り」 東シナ海ガス田で中国政府説明 (2/2 産経朝刊)

 岩屋毅外務副大臣は1日の記者会見で、東シナ海の日中中間線付近にある天然ガス田「白樺」(中国名・春暁)の供給が開始されているという中国系香港紙の報道について、中国側から「新たな状況が生じているわけではない。報道は誤りだ」と否定する説明があったことを明らかにした。政府は白樺の常時監視体制を敷いているが、「(日本側も)生産開始の事実は確認していない」(北畑隆生経済産業事務次官)という。

 安倍総理の訪中で、進展が約束された両国の協議も、局長級会議の開催の目途が立っていない状況です。
 経済産業大臣時代に、試掘を始める段階まで漕ぎつけ遅れを取り戻そうと奮闘していただいた、中川昭一政調会長は、中国側の態度もさることながら、日本政府の放置している姿勢を批判し、日本が日中中間線の日本側で試掘などの対抗措置をとらないことには「(日本側海域での共同開発を求める)中国側の主張を認めることになる」と指摘しています。
 中川政調会長、日中ガス田協議への政府対応を批判|政策|政治|Sankei WEB

 日本側の姿勢の他に、中国政府の対応にも引っかかりを感じるのは、私だけでは無いようです。
 ひっかかりというのは、胡錦濤政権の統治力です。
 白樺の今回の記事の元は、白樺と明示してはいないそうですが、「浙江省発展改革委員会」の報告書ということで、まさか政権が知らないうちに供給開始したとは考え難いのですが、情報の乱れを感じます。
 胡錦濤主席の軍の掌握は、就任当時から課題と見なされていましたが、今回の衛星破壊実験についても、胡主席と軍との間を懸念する記事がありました。
 
胡主席の軍掌握に疑問
【中国の衛星破壊 私はこうみる】財団法人霞山会主席研究員・阿部純一氏
(2/2 産経朝刊)

 今年1月12日に実施された中国の衛星破壊実験に関して、中国側は実施の事実を認めただけで、具体的情報提供はない。要するに謎だらけだ。なぜ、北京五輪を翌年に控えて、国際社会の反感と警戒を高める行動をとったのか。昨年末、通算で5回目になる「国防白書」を発表し、中国の軍事的脅威の否定に努めた矢先の実験であり、常識では考えられない国際社会への挑発的行動といわざるをえない。

 とりわけ疑問なのは、胡錦濤・中国国家主席がどこまで関与していたかという点だ。1月12日の実験実施と成功、18日の米国での報道がありながら、中国外務省スポークスマンが実験を確認したのは23日で、11日間におよぶ沈黙は何を意味するのか。米紙ニューヨークタイムズは、胡主席が実験実施を知らされていなかったのではないかと疑問を呈した。果たしてそうだったのだろうか。

 米CNNは、中国がこれまで同種の実験に3回失敗し、今回が初の成功だと伝えた。それが事実なら、衛星破壊は中国が周到に用意してきたプロジェクトであり、中央軍事委員会主席でもある胡氏がそれを知らないはずがない。ただ、今回の実験の実施を知らされていなかった可能性は残る。それ以外のケースとして、胡主席自らが実験にゴーサインを出した場合と、胡主席は実験に反対したが軍に押し切られた場合とが考えられる。

 衛星破壊実験は、失敗してもごまかしがきく。事前の予告をせず、ロケット打ち上げが探知されたにせよ、失敗なら単なる「衛星打ち上げの失敗」として片付くから問題は起こらない。しかし実験は成功してしまった。沈黙の11日間は、軍部の独断専行なら説明がつくが、それを認めるわけにはいかない。

 胡主席の指示だとした場合、成功したときの対応、国際社会の反応まで考えが及んでいなかったということになる。そうだとすれば間抜けな話だ。

 なぜこうした分かれた解釈が生まれるのか。胡錦濤時代になってから軍に関係した不可解な事件が目立つからだ。

 古くは04年11月の中国原潜による日本領海侵犯事件があったし、05年7月に朱成虎少将の米中核戦争発言があり、8月の大規模な中露合同軍事演習に胡主席がまったく姿を現さなかった。昨年10月には、演習中の米空母キティホークに接近した中国の宋級ディーゼル潜水艦が浮上、発見されたケースがある。いずれも軍事的失態であり、常識から外れた言動だ。そこに胡主席の軍権掌握への疑問が生まれる。

 今回の衛星破壊実験も、発生したスペース・デブリ(宇宙のゴミ)の危険性から宇宙における軍拡競争の可能性まで、非難の声が国際的に拡大。直接的な影響を受ける米国にとって、これで中国の軍事的脅威は議論の余地がなくなった。欧州連合(EU)も、対中武器禁輸解除は実現の見込みを失った。
 もはや中国が自らの発展を「平和的」であり、国防態勢を「防御的」だと主張しても説得力はない。まさに中国にとって対外イメージを決定的に悪化させた、合理性を欠く実験だった。

 中国の急速な覇権拡大や、軍備拡張は、胡錦濤政権が軍の暴走を抑えきれないからなのでしょうか。
 安全第一で、ゆっくり事を進める胡主席は、江沢民の影を一掃しきれていないのですが、資金力を持ちここまで規模の大きくなった軍の暴走を抑えられない(放任せざるをえない)としたら、東アジアに留まらず、世界の安全保障に大きな危険の種を持ち込むことになります。
 米国議会では、対抗防衛予算提案の動きが出ているとのことですが、中国軍部の暴走を誰かが止めなくてはなりません。
 それは、米軍ではなく、
中央軍事委員会主席でもある胡錦濤主席のシビリアンコントロールに頼るしかない事です。

 王毅駐日大使は、自民党アジア戦略研究会の会合(2/1)で、安倍総理が靖国神社を参拝した場合の対応について、「悲観的ではないが、(参拝したら)取り返しのつかないことになる」と語るなど、両国トップ同士の協調指向に釘を刺しています。
 今秋の党大会を乗り切るために、八方美人の態度をとり続けねばならない胡錦濤政権なのでしょうか...?
 指導者不在の米国の虚をついて、やりたい放題の胡錦濤政権なのでしょうか...?




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4 コメント

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Unknown (容子)
2007-02-04 11:29:18

遊爺さま

中国の現在は軍部に対し李主席がどこまで影響力を持っているのかは知りませんが、日本に取っては本当に厄介な国です。この間は宇宙遊泳中の弾道弾ミサイルを破壊したり、下記の記事を書きましたが・・・地球の周りはこれから飛び散った灰で覆われてます。ご覧になってコメント頂けたらと思います。腹立つ・・プンプン


http://blog.goo.ne.jp/abe_yk/e/5048e4045207d2bc5021bc220a24ca59
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Unknown (ムニ枕)
2007-02-04 18:50:38
お久しぶりです。

胡錦濤政権と軍との関係が懸念されますね。
軍事能力と国益の両方をバランス良く配置するのが、
国益全体を見た時の視点です。
しかし現実は、その様な大局観が末端まで行かない。
だからこそ・・・
仰る通りのシビリアンコントロールが大切ですね。
あと、ハト派の軍幹部にも頑張って欲しいです。

私が技術畑という事もありますが・・・、
人の感情とは関係なく結果が出てしまうのが、世界の”現実”だと思います。
スペース・デブリ問題を含め、この様な強権を使い続ければ中国自身に跳ね返ってきそうな気がします。



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胡主席の軍部への影響力 (遊爺)
2007-02-04 21:08:21
容子さん、こんにちは。

 胡主席が就任当時は、人民解放軍の軍区の一部しか訪問していなかった=訪問できなかった様です。
 未だに香港紙に「胡主席は中国ナンバー2にすぎない」と書かれてしまったりしていますね。
 http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2007/01/23/20070123000032.html
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Re: 胡錦濤政権と軍との関係 (遊爺)
2007-02-04 21:40:44
ムニ枕さん、こんにちは。

>しかし現実は、その様な大局観が末端まで行かない。

 ただでさえ困った国なのに、軍がそのような状況では、世界にとっての危険国家と言わざるを得なくなりますね。

>あと、ハト派の軍幹部にも頑張って欲しいです。

 ハト派の軍幹部は知りませんでした。
 胡錦濤を共青団で引き上げた、胡耀邦は反日ではなく日本との交流を深めようとしていましたが、日本の首脳陣(中曽根他)が、保身の発言をして、胡耀邦を失脚に追い込んでしまいました。
  はと派がいるのでしたら、親日とは言わなくても、世界の常識を理解する大国であってもらう為にも、各国が支援すべきですね。
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