トランプ大統領が仕掛けた、対中貿易摩擦。米国が強力な交渉カードを有しているにもかかわらず、中国は勝利を収めようとしているようだと指摘するのは、WSJのグレッグ・イップ経済担当チーフコメンテーター。
中国はトランプ氏の弱みをまんまと突いて、手持ちのカードを米国よりもはるかに上手く使っているというのです。
米外交評議会(CFR)の通商問題専門家、ブラッド・セッツァー氏は、中国がこれまで行った最大の確約は「輸入を拡大する公算が大きい品目の輸入を増やす」というものだと指摘。そして、「製品輸入の縮小を目指すといった構造的問題は解決されなままだ」と。
米商務省は、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が米国の制裁法に違反したとして、米企業によるZTEへの部品供給を禁じていましたが、中国がZTEへの制裁緩和を要求すると、トランプ氏はこれに応じてしまいました。「これは米国の安全保障は取引可能だとの立場を示すことになる」と。
スティーブン・ムニューシン米財務長官は、「われわれが望むものを手に入れられなければ、大統領はいつでも関税を復活させることができる」と述べていますが、中国は11月の米中間選挙に重要な影響を及ぼす、共和党のお膝元である州の農産品輸出を標的にし、北朝鮮問題も含めトランプ氏の弱みをまんまと突いてきていて、トランプ大統領も米当局者もそこにはもろく、対中報復措置の回避を優先していると。
中国はこの貿易摩擦問題でなお弱い立場にある。だが、中国が手持ちのカードを米国よりもはるかに上手く使っていることは確かだと。
ディールが得意と自負するトランプ大統領。不動産取引のディールはさておいて、国家間の通商取引ではどのような成果を揚げることができるのか。要注目ですね。
米中貿易戦争は、決して対岸の火事ではなく、同盟国の日本にとっても避けて通れない課題です。
政党支持率が下落している野党は、重要政策課題を審議拒否して「モリカケ」の政局を優先させる姿勢がその原因とは気づかず、打倒安倍政権を社是としいると言われる偏向オールドメディアの下請け国会活動に余念がありません。そのなかで、TPP関連法案が衆議院を通過したことは、日本の経済政策はもとより、安全保障にも影響を及ぼす朗報です。
TPP関連法案、衆院内閣委で可決 :日本経済新聞
野党は相変わらず政策論議より政局優先。余談ですが、その中で、働き方改革で維新等が提案した修正案(高度プロフェッショナル制度で「脱時間給制度」を離脱可能とする)が採用され、立民等の反対が通じなくなるという、法案審議派と審議拒否派との、国会議員の本業の成果の差が評価されていますね。
# 冒頭の画像は、米国と中国が貿易問題を巡り合意に達する公算は大きいとの認識を示すトランプ大統領。
トランプ、米中貿易協議「合意の可能性は大」 数日中にも財務長官が訪中へ ; Newsweek
この花の名前は、ノコンギク
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中国はトランプ氏の弱みをまんまと突いて、手持ちのカードを米国よりもはるかに上手く使っているというのです。
米中貿易戦争、中国が上手 トランプ氏の急所突く - WSJ
━━筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター
ドナルド・トランプ米大統領が通商政策を巡り仕掛けたけんかの中でも、中国に対するけんかでは、トランプ氏は最も強力な交渉カードを有している。この対中貿易摩擦には、カナダやメキシコ、西欧諸国や日本との対立にはない、経済的、戦略的、そして政治的な言い分があるのだ。
しかしながら、驚くべきことに、中国は勝利を収めようとしているようだ。まだ戦いは始まったばかりだが、中国はこれまで、米国による関税の脅威のほぼ大半を免れる一方で、大きな譲歩はほとんど行っていない。
トランプ氏は当初、歴代の米大統領よりも、中国との対立を厭わないかのように見えた。だが、中国はトランプ氏の弱みをまんまと突いてきた。その弱みとは、中国が支援している北朝鮮の問題を巡り、トランプ氏が事態打開を望んでいること、とりわけ共和党地盤の農業州など、政治的痛みに対しトランプ氏が反応しやすいこと、さらに交渉の取引材料に法的な手続きを持ち込むという中国の戦術を活用することにトランプ氏も前向きであるという点だ。
米国は週末、中国の輸入品1500億ドル(約16兆6000億円)相当に対する関税の導入を当分見送ることを決定。中国はその見返りとして、米国からエネルギーや農産物の輸入を拡大することで合意した。これは状況を一変させるものでは全くない。エネルギー、農産物は両方とも国際市場で取引されることから、中国による米国からの輸入拡大は、いずれにしても輸入するものについて、調達先の一部を単に米国に振り向けるだけの可能性が高い。
この合意によって、米国の農家は今後、一段と優位な価格設定を求め、中国の需要に応じて、ソルガムなど、生産する農産物の配分を変えていくことになるだろう。だが、米国の総生産量は常に、国際市況によってほぼ決定される。
同様に、米シェール生産業者が中国への輸出を拡大すれば、他国への販売は減少するだろう。中国は液化天然ガス(LNG)の輸入を拡大する可能性があるが、これはおそらく不可避だ。中国はいずれ、世界最大のLNG輸入国となる見通しで、米国もLNG輸出国として上位3位に入るからだ。シェニエール・エナジーは2月、中国石油天然ガス集団(CNPC)との間で、LNG輸出の長期契約を結んだ。
中国が表明した米国からの輸入拡大により、米国の対中貿易赤字はある程度削減されるだろうが、圧縮幅は、トランプ氏が求める2000億ドルの規模には到底及ばない。さらに重要なことに、強制的なライセンス供与や合弁設立、盗難などを通じた外国企業の知的財産権の取得や、中国に進出する外国企業の事業運営制限など、中国当局が様々な手段を使って自国企業を支援し、海外の競合相手から市場シェアを奪うことに比べれば、貿易赤字はそれほど問題ではないのだ。
米財務省は、中国による米国への投資を制限する方策を模索しており、中国もこれまで、海外の自動車メーカーが合弁を設立することなく、中国国内で生産することを許可する方針を示している。しかしながら中国には依然として、目立たないよう、自国企業を海外勢よりも優位な立場に押し上げる数多くの手立てがある。例えば、中国は海外の電気自動車(EV)メーカーに対しては、中国製バッテリーの搭載を義務づける一方で、中国資本のボルボ・カー・グループに対しては、性能がより優れた韓国製のバッテリー搭載を認めているという具合だ。
米外交評議会(CFR)の通商問題専門家、ブラッド・セッツァー氏は、中国がこれまで行った最大の確約は「今後どのような状況になっても、輸入を拡大する公算が大きい品目の輸入を増やす」というものだと指摘する。一方で、「製品輸入の少なさ、そして今以上に製品輸入の縮小を目指すといった中国の世界的な通商パターンについて、構造的問題は解決されなままだ」という。
米当局者は今後の中国との協議で、さらに大きな譲歩を引き出すかもしれない。スティーブン・ムニューシン米財務長官は21日、「われわれが望むものを手に入れられなければ、大統領はいつでも関税を復活させることができる」と述べた。だが米当局者から、中国に対するレバレッジ(交渉上の相対的優位性)を行使しようとする意欲はほとんど見られない。
中国は長らく、海外の企業や政府との交渉材料として、衛生管理や反トラストに関する法律を自国の都合のいいように執行してきた。今回の米中通商摩擦問題でも、米国産の車両や大豆に対する税関検査を強化したり、米企業によるオランダ半導体買収計画への反トラスト審査を遅らせたりするなど、同じような戦略を行使している。トランプ氏も事実上、同じことをやった。商務省は、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が米国の制裁法に違反したとして、米企業によるZTEへの部品供給を禁じた。
中国が通商協議の一環として、ZTEへの制裁緩和を要求すると、トランプ氏はこれに応じてしまった。米国のある元通商当局者は、ZTEを交換条件としたことは「極めて異例だ」と指摘する。「これは米国の安全保障は取引可能だとの立場を示すことになる」という。ムニューシン長官は、ZTEの問題は「全く別だ」と主張する。
トランプ氏が先月、中国に対する大規模な制裁措置を発表した際、この戦いは「多少の痛み」を伴うかもしれないと述べた。だが痛みに対するトランプ氏自身の忍耐度は低いようだ。米国の対中輸出への依存度は、中国の対米輸出への依存度に比べて低いが、中国は11月の米中間選挙に重要な影響を及ぼす、共和党のお膝元である州の農産品輸出を標的にした。米当局者が対中報復措置の回避を優先することも、これでうなずける。
中国はこの貿易摩擦問題でなお弱い立場にある。だが、中国が手持ちのカードを米国よりもはるかに上手く使っていることは確かだ。
━━筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター
ドナルド・トランプ米大統領が通商政策を巡り仕掛けたけんかの中でも、中国に対するけんかでは、トランプ氏は最も強力な交渉カードを有している。この対中貿易摩擦には、カナダやメキシコ、西欧諸国や日本との対立にはない、経済的、戦略的、そして政治的な言い分があるのだ。
しかしながら、驚くべきことに、中国は勝利を収めようとしているようだ。まだ戦いは始まったばかりだが、中国はこれまで、米国による関税の脅威のほぼ大半を免れる一方で、大きな譲歩はほとんど行っていない。
トランプ氏は当初、歴代の米大統領よりも、中国との対立を厭わないかのように見えた。だが、中国はトランプ氏の弱みをまんまと突いてきた。その弱みとは、中国が支援している北朝鮮の問題を巡り、トランプ氏が事態打開を望んでいること、とりわけ共和党地盤の農業州など、政治的痛みに対しトランプ氏が反応しやすいこと、さらに交渉の取引材料に法的な手続きを持ち込むという中国の戦術を活用することにトランプ氏も前向きであるという点だ。
米国は週末、中国の輸入品1500億ドル(約16兆6000億円)相当に対する関税の導入を当分見送ることを決定。中国はその見返りとして、米国からエネルギーや農産物の輸入を拡大することで合意した。これは状況を一変させるものでは全くない。エネルギー、農産物は両方とも国際市場で取引されることから、中国による米国からの輸入拡大は、いずれにしても輸入するものについて、調達先の一部を単に米国に振り向けるだけの可能性が高い。
この合意によって、米国の農家は今後、一段と優位な価格設定を求め、中国の需要に応じて、ソルガムなど、生産する農産物の配分を変えていくことになるだろう。だが、米国の総生産量は常に、国際市況によってほぼ決定される。
同様に、米シェール生産業者が中国への輸出を拡大すれば、他国への販売は減少するだろう。中国は液化天然ガス(LNG)の輸入を拡大する可能性があるが、これはおそらく不可避だ。中国はいずれ、世界最大のLNG輸入国となる見通しで、米国もLNG輸出国として上位3位に入るからだ。シェニエール・エナジーは2月、中国石油天然ガス集団(CNPC)との間で、LNG輸出の長期契約を結んだ。
中国が表明した米国からの輸入拡大により、米国の対中貿易赤字はある程度削減されるだろうが、圧縮幅は、トランプ氏が求める2000億ドルの規模には到底及ばない。さらに重要なことに、強制的なライセンス供与や合弁設立、盗難などを通じた外国企業の知的財産権の取得や、中国に進出する外国企業の事業運営制限など、中国当局が様々な手段を使って自国企業を支援し、海外の競合相手から市場シェアを奪うことに比べれば、貿易赤字はそれほど問題ではないのだ。
米財務省は、中国による米国への投資を制限する方策を模索しており、中国もこれまで、海外の自動車メーカーが合弁を設立することなく、中国国内で生産することを許可する方針を示している。しかしながら中国には依然として、目立たないよう、自国企業を海外勢よりも優位な立場に押し上げる数多くの手立てがある。例えば、中国は海外の電気自動車(EV)メーカーに対しては、中国製バッテリーの搭載を義務づける一方で、中国資本のボルボ・カー・グループに対しては、性能がより優れた韓国製のバッテリー搭載を認めているという具合だ。
米外交評議会(CFR)の通商問題専門家、ブラッド・セッツァー氏は、中国がこれまで行った最大の確約は「今後どのような状況になっても、輸入を拡大する公算が大きい品目の輸入を増やす」というものだと指摘する。一方で、「製品輸入の少なさ、そして今以上に製品輸入の縮小を目指すといった中国の世界的な通商パターンについて、構造的問題は解決されなままだ」という。
米当局者は今後の中国との協議で、さらに大きな譲歩を引き出すかもしれない。スティーブン・ムニューシン米財務長官は21日、「われわれが望むものを手に入れられなければ、大統領はいつでも関税を復活させることができる」と述べた。だが米当局者から、中国に対するレバレッジ(交渉上の相対的優位性)を行使しようとする意欲はほとんど見られない。
中国は長らく、海外の企業や政府との交渉材料として、衛生管理や反トラストに関する法律を自国の都合のいいように執行してきた。今回の米中通商摩擦問題でも、米国産の車両や大豆に対する税関検査を強化したり、米企業によるオランダ半導体買収計画への反トラスト審査を遅らせたりするなど、同じような戦略を行使している。トランプ氏も事実上、同じことをやった。商務省は、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が米国の制裁法に違反したとして、米企業によるZTEへの部品供給を禁じた。
中国が通商協議の一環として、ZTEへの制裁緩和を要求すると、トランプ氏はこれに応じてしまった。米国のある元通商当局者は、ZTEを交換条件としたことは「極めて異例だ」と指摘する。「これは米国の安全保障は取引可能だとの立場を示すことになる」という。ムニューシン長官は、ZTEの問題は「全く別だ」と主張する。
トランプ氏が先月、中国に対する大規模な制裁措置を発表した際、この戦いは「多少の痛み」を伴うかもしれないと述べた。だが痛みに対するトランプ氏自身の忍耐度は低いようだ。米国の対中輸出への依存度は、中国の対米輸出への依存度に比べて低いが、中国は11月の米中間選挙に重要な影響を及ぼす、共和党のお膝元である州の農産品輸出を標的にした。米当局者が対中報復措置の回避を優先することも、これでうなずける。
中国はこの貿易摩擦問題でなお弱い立場にある。だが、中国が手持ちのカードを米国よりもはるかに上手く使っていることは確かだ。
米外交評議会(CFR)の通商問題専門家、ブラッド・セッツァー氏は、中国がこれまで行った最大の確約は「輸入を拡大する公算が大きい品目の輸入を増やす」というものだと指摘。そして、「製品輸入の縮小を目指すといった構造的問題は解決されなままだ」と。
米商務省は、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)が米国の制裁法に違反したとして、米企業によるZTEへの部品供給を禁じていましたが、中国がZTEへの制裁緩和を要求すると、トランプ氏はこれに応じてしまいました。「これは米国の安全保障は取引可能だとの立場を示すことになる」と。
スティーブン・ムニューシン米財務長官は、「われわれが望むものを手に入れられなければ、大統領はいつでも関税を復活させることができる」と述べていますが、中国は11月の米中間選挙に重要な影響を及ぼす、共和党のお膝元である州の農産品輸出を標的にし、北朝鮮問題も含めトランプ氏の弱みをまんまと突いてきていて、トランプ大統領も米当局者もそこにはもろく、対中報復措置の回避を優先していると。
中国はこの貿易摩擦問題でなお弱い立場にある。だが、中国が手持ちのカードを米国よりもはるかに上手く使っていることは確かだと。
ディールが得意と自負するトランプ大統領。不動産取引のディールはさておいて、国家間の通商取引ではどのような成果を揚げることができるのか。要注目ですね。
米中貿易戦争は、決して対岸の火事ではなく、同盟国の日本にとっても避けて通れない課題です。
政党支持率が下落している野党は、重要政策課題を審議拒否して「モリカケ」の政局を優先させる姿勢がその原因とは気づかず、打倒安倍政権を社是としいると言われる偏向オールドメディアの下請け国会活動に余念がありません。そのなかで、TPP関連法案が衆議院を通過したことは、日本の経済政策はもとより、安全保障にも影響を及ぼす朗報です。
TPP関連法案、衆院内閣委で可決 :日本経済新聞
野党は相変わらず政策論議より政局優先。余談ですが、その中で、働き方改革で維新等が提案した修正案(高度プロフェッショナル制度で「脱時間給制度」を離脱可能とする)が採用され、立民等の反対が通じなくなるという、法案審議派と審議拒否派との、国会議員の本業の成果の差が評価されていますね。
# 冒頭の画像は、米国と中国が貿易問題を巡り合意に達する公算は大きいとの認識を示すトランプ大統領。
トランプ、米中貿易協議「合意の可能性は大」 数日中にも財務長官が訪中へ ; Newsweek
この花の名前は、ノコンギク
↓よろしかったら、お願いします。