プーチンが始めたウクライナ侵攻は、ウクライナ側の善戦を読み違えたことで長期化。
ロシアの敗北を予測し中国との関係に触れる記事がふたつありました。
ここでは、国家基本問題研究所主任研究員の湯浅博氏の記事を取り上げさせていただきます。
もうひとつは、
【ニュースの核心】戦闘継続見込みなし、ロシアの敗北「決定的」か〝最大の不確定要素〟中国の目に見えない軍事支援に警戒 戦勝記念日の事態打開は困難 - zakzak:夕刊フジ公式サイト
ロシアの戦術的な勝利はありえても、すでに戦略的には敗北を喫している。ロシア軍の甚大な損害、国際的な孤立、そして経済制裁によってモスクワの惨めな衰退は避けられないと、湯浅氏。
蹂躪された戦場の常として、ウクライナは都市の荒廃と領土の一部喪失という悲劇に見舞われる可能性が高いと湯浅氏。
4月22日のロイター通信によると、西側政府当局者は、プーチン氏がウクライナの首都キーウ(キエフ)制圧、傀儡(かいらい)政権の樹立など「所期の目的を達成できなかったものの、まだ勝利できる位置にある」と指摘した。東部ドンバス地域の制圧のほか、最悪の場合はキーウに対する「攻撃再開もあり得る」と述べているのだそうです。
しかし、ウクライナ戦争でロシアの戦術的な勝利はありえても、すでに戦略的には敗北を喫している。ロシア軍の甚大な損害、国際的な孤立、そして経済制裁によってモスクワの惨めな衰退は避けられないと湯浅氏。
プーチン氏の戦略目的が、NATOの東方拡大を阻止することであったことからすれば、結果は明らかに裏目に出ている。ウクライナを西側に追いやり、ロシア経済を疲弊させた。そして、軍事的中立を維持してきた北欧スウェーデンとフィンランドがNATO加盟に踏み切る公算が大きくなってきたと。
(両国は加盟申請をし、NATO側も異例の早期承認予定)
ジョンズ・ホプキンズ大のハル・ブランズ教授は、プーチン氏が戦争に勝てなければ大国ロシアの代償がどのようなものになるか、占っておられるのだそうです。
第1のシナリオは、「モスクワの春」と題され、ロシアで政変が起こり、1990年代に経験した民主主義が復活する可能性。
エリート層がプーチン氏を排除してウクライナと和平を結ぶことへの期待。実際には、プーチン氏が過去20年間に野党を弱体化させ、クーデターの防止網をいたるところに張り巡らせているから、実現は難しいと湯浅氏。
第2のシナリオ「傷を負った巨人」は、プーチン氏が権力の座にしがみつき、民衆の不平不満を治安部隊によって押さえ込むというもの。各国から経済制裁を受けたものの、同氏に忠実な取り巻きが闇市場を使って損失を埋めていく。その挙げ句に中国への依存が高まり、経済の衰退、技術の遅れ、軍事力の弱体化を招く。
第3のシナリオ「ボルガ川のテヘラン」はさらに暗い。ロシアは孤立化と急進化が同時に進み、核兵器を持つ「超大国化したイラン」になるというもの。厳しい粛清、好戦的なナショナリズムの高揚により、ロシア型ファシズムが生み出される悪夢の結末を迎えると湯浅氏。
もう一つ加えるとすれば、「最悪の戦争拡大」。窮地に立つプーチン氏が、戦術核、生物・化学兵器を使用し、NATOとロシアが交戦状態に突入する。戦火が欧州に広がれば第三次世界大戦の勃発にも繋がる。
NATO側の結束が崩れなければ、戦力差は圧倒的だが、禁断の兵器を国連の常任理事国が使用する事態に。
プーチン氏の政治的立場は侵略前よりも弱く、好戦性を高めることでその弱さを補おうとする危険がある。同氏にとっては、戦略的な失敗によって体制の存続をかけた戦いになってしまったと湯浅氏。
モスクワと北京は互いの「核心的利益」を擁護し、中露の協力に「制限なし」として新しい枢軸を誓約している。
米研究機関「ニュー・アメリカ」の会長、アン・マリー・スローター氏は、ウクライナ戦争による劇的変化は、ロシアのウクライナ侵略を中国が容認したことであり、「勢力範囲を示す版図の書き直しと国際ルールの変更を相互に支持していることである」と指摘しているのだそうです。
消耗戦は、経済制裁を断行している日米欧にも苦痛をもたらす。自由社会にとって、エネルギー不足はもとより小麦不足は台所を直撃し、対露制裁での結束に乱れが生じかねない。
しかし、ロシアが勝利すれば、さらなる侵略拡大につながる危険があることを人々に納得させ、ウクライナへの支援を続ける必要がある。
自由社会は自らの力で勝利を手繰り寄せなければならないと湯浅氏。
サハリン1, 2から、シェルやエクソンが撤退を決めましたし、ドイツ他のEU諸国も脱ロシアの計画に着手していることは諸兄がご承知のこと。
しかし、岸田政権は、商工会議所会頭や経団連会長の自国企業の利益優先の撤退しないとの要請(岸田氏は地元広島の企業のサハリンの天然ガス依存が高く撤退すると存立に打撃があるとの報道有)に聞く耳を発揮、撤退しないと断言。
なのに、ロシアからは非友好国に指定され、入国拒否者リストも公表されるという様。相変わらずの外交下手さ。
G7会合で、恥ずかしい思いはしなかったのでしょうか。外務大臣時代の実績や、首相になってからの、バイデン氏が提唱した「北京五輪外交ボイコット」への米中二股外交での逡巡で、首相就任に伴う首脳会議打診に対し、しばらく回答を保留され挙句、オンライン会談に格下げされた、日米首脳会談の代々で積み上げられた木綱への傷を生じさせる外交重大失政に続く、重ねての失政。
しかし、オールド偏向メディアの報道しない自由の駆使で護られての支持率堅調。
ウクライナの様な、闘う準備はなく、平和ボケの日本。国際協調もしないとなれば、世界から取り残され、沈没するしかなくなりますが如何。。
# 冒頭の画像は、北京冬季五輪でロシアは国家として参加してないのに訪中し会談したプーチンと習近平
その花の名前は、サイハイラン
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
ロシアの敗北を予測し中国との関係に触れる記事がふたつありました。
ここでは、国家基本問題研究所主任研究員の湯浅博氏の記事を取り上げさせていただきます。
もうひとつは、
【ニュースの核心】戦闘継続見込みなし、ロシアの敗北「決定的」か〝最大の不確定要素〟中国の目に見えない軍事支援に警戒 戦勝記念日の事態打開は困難 - zakzak:夕刊フジ公式サイト
ロシアの戦術的な勝利はありえても、すでに戦略的には敗北を喫している。ロシア軍の甚大な損害、国際的な孤立、そして経済制裁によってモスクワの惨めな衰退は避けられないと、湯浅氏。
【湯浅博の世界読解】ロシアの戦略的な敗北シナリオ - 産経ニュース 2022/5/6 湯浅 博
ロシアの邪悪な独裁者は、侵略した隣国の首都攻防で苦戦し、異常に長いテーブルの先に座った国防相らに厳しい指示を出した。その後、戦況報告を受けた際には、震える右手でテーブルの端をつかんでいたことから、健康不安説も流れた。
他方、ウクライナの勇敢な指導者は、軍事大国を相手にスマホ1つで世界に支援を呼びかけ、無慈悲な攻撃に2カ月以上も耐え抜いた。不足する武器と弾薬は、西の国境を越えて大量に流れ込む。
悪玉のプーチン露大統領と善玉であるウクライナのゼレンスキー大統領の役どころは、ハリウッド映画の典型的なモチーフである。固唾をのんで見守る自由世界は、ストーリーの終盤にかけて、正義が邪悪に勝利するクライマックスの到来を期待する。
■明らかに裏目…プーチン氏思惑
現実の侵略戦争では、蹂躪(じゅうりん)された戦場の常として、ウクライナは都市の荒廃と領土の一部喪失という悲劇に見舞われる可能性が高い。世界銀行は、2022年のウクライナの実質国内総生産(GDP)が前年比マイナス45%になる見通しだと評価している。これ以上の消耗戦が続けば、さらにマイナスがかさんでいく。
4月22日のロイター通信によると、西側政府当局者は、プーチン氏がウクライナの首都キーウ(キエフ)制圧、傀儡(かいらい)政権の樹立など「所期の目的を達成できなかったものの、まだ勝利できる位置にある」と指摘した。東部ドンバス地域の制圧のほか、最悪の場合はキーウに対する「攻撃再開もあり得る」と述べる。
しかし、この当局者が言うように、ウクライナ戦争でロシアの戦術的な勝利はありえても、すでに戦略的には敗北を喫している。ロシア軍の甚大な損害、国際的な孤立、そして経済制裁によってモスクワの惨めな衰退は避けられない。
プーチン氏の戦略目的が、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を阻止することであったことからすれば、結果は明らかに裏目に出ている。ウクライナを西側に追いやり、ロシア経済を疲弊させた。軍事的中立を維持してきた北欧スウェーデンとフィンランドがNATO加盟に踏み切る公算が大きくなってきた。
■3パターン+1 その代償の数々
ジョンズ・ホプキンズ大のハル・ブランズ教授は米ブルームバーグ通信に寄せた論考で、プーチン氏が戦争に勝てなければ大国ロシアの代償がどのようなものになるか、印象的なタイトルで占っている。
「モスクワの春」と題された第1のシナリオでは、ロシアで政変が起こり、1990年代に経験した民主主義が復活する可能性を指摘した。エリート層がプーチン氏を排除してウクライナと和平を結ぶことへの期待だ。実際には、プーチン氏が過去20年間に野党を弱体化させ、クーデターの防止網をいたるところに張り巡らせているから、実現は難しいとみる。
第2のシナリオ「傷を負った巨人」は、プーチン氏が権力の座にしがみつき、民衆の不平不満を治安部隊によって押さえ込むというものだ。各国から経済制裁を受けたものの、同氏に忠実な取り巻きが闇市場を使って損失を埋めていく。その挙げ句に中国への依存が高まり、経済の衰退、技術の遅れ、軍事力の弱体化を招く。
ロシア西部を流れる大河と孤立するイランの首都をタイトルにとった、第3のシナリオ「ボルガ川のテヘラン」はさらに暗い。ロシアは孤立化と急進化が同時に進み、核兵器を持つ「超大国化したイラン」になるとみる。将来性のある高学歴層はロシアを離れ、率直にものを言うリベラル派は政権から排除される。一方の強硬派は、厳しい経済制裁下にあるイランがとる、外国との貿易に依存しない自給自足の「抵抗経済」にならう。厳しい粛清、好戦的なナショナリズムの高揚により、ロシア型ファシズムが生み出される悪夢の結末を迎える。
ブランズ教授の3つのシナリオにもう一つ加えるとすれば、「最悪の戦争拡大」が考えられる。ウクライナからの反撃で窮地に立つプーチン氏が、戦術核、生物・化学兵器を使用し、NATOとロシアが交戦状態に突入する。戦火が欧州に広がれば第三次世界大戦の勃発である。NATOの欧州加盟国は人口でロシアの約4倍、GDPで約13・5倍。結束さえ崩れなければその戦力は極めて高い。
■中国への経済依存 世界分断の固定化
プーチン氏は当面、5月9日の対独戦勝記念日に軍事的な勝利を演出するため、「マリウポリ制圧」や「ドンバス地域の掌握」を印象付けようと必死だ。ロシアが引き続き取りうるのは、消耗戦による「敗北の延期」を狙うことかもしれない。
プーチン氏の政治的立場は侵略前よりも弱く、好戦性を高めることでその弱さを補おうとする危険がある。同氏にとっては、戦略的な失敗によって体制の存続をかけた戦いになってしまったからだ。
彼の矛先は、経済制裁を断行した西側に向かう。逆に、中国への経済的な依存度を高めて世界の分断が固定化されていく。2月下旬、ロシア軍がウクライナに侵略した際、プーチン氏はその目的がウクライナを追い詰めることだけでなく米国主導の国際秩序を拒否することにあると宣言していたことに留意したい。
侵略を開始したロシア軍がキーウに接近すると、米欧は遠く北京の出方に目を光らせた。モスクワと北京は互いの「核心的利益」を擁護し、中露の協力に「制限なし」として新しい枢軸を誓約しているからだ。
米研究機関「ニュー・アメリカ」の会長、アン・マリー・スローター氏は、ウクライナ戦争による劇的変化は、ロシアのウクライナ侵略を中国が容認したことであり、「勢力範囲を示す版図の書き直しと国際ルールの変更を相互に支持していることである」と指摘した。
■正義は邪悪に勝利できるのか
終わりの見えない消耗戦は、経済制裁を断行している日米欧にも苦痛をもたらすものだ。ポストモダンの快適な生活を知る自由社会にとって、エネルギー不足はもとより小麦不足は台所を直撃し、対露制裁での結束に乱れが生じかねない。
現実の世界は、映画のように正義が邪悪に勝利することが保証されているわけではない。ロシアが勝利すれば、さらなる侵略拡大につながる危険があることを人々に納得させ、ウクライナへの支援を続ける必要がある。
自由社会は自らの力で勝利を手繰り寄せなければならない。
ロシアの邪悪な独裁者は、侵略した隣国の首都攻防で苦戦し、異常に長いテーブルの先に座った国防相らに厳しい指示を出した。その後、戦況報告を受けた際には、震える右手でテーブルの端をつかんでいたことから、健康不安説も流れた。
他方、ウクライナの勇敢な指導者は、軍事大国を相手にスマホ1つで世界に支援を呼びかけ、無慈悲な攻撃に2カ月以上も耐え抜いた。不足する武器と弾薬は、西の国境を越えて大量に流れ込む。
悪玉のプーチン露大統領と善玉であるウクライナのゼレンスキー大統領の役どころは、ハリウッド映画の典型的なモチーフである。固唾をのんで見守る自由世界は、ストーリーの終盤にかけて、正義が邪悪に勝利するクライマックスの到来を期待する。
■明らかに裏目…プーチン氏思惑
現実の侵略戦争では、蹂躪(じゅうりん)された戦場の常として、ウクライナは都市の荒廃と領土の一部喪失という悲劇に見舞われる可能性が高い。世界銀行は、2022年のウクライナの実質国内総生産(GDP)が前年比マイナス45%になる見通しだと評価している。これ以上の消耗戦が続けば、さらにマイナスがかさんでいく。
4月22日のロイター通信によると、西側政府当局者は、プーチン氏がウクライナの首都キーウ(キエフ)制圧、傀儡(かいらい)政権の樹立など「所期の目的を達成できなかったものの、まだ勝利できる位置にある」と指摘した。東部ドンバス地域の制圧のほか、最悪の場合はキーウに対する「攻撃再開もあり得る」と述べる。
しかし、この当局者が言うように、ウクライナ戦争でロシアの戦術的な勝利はありえても、すでに戦略的には敗北を喫している。ロシア軍の甚大な損害、国際的な孤立、そして経済制裁によってモスクワの惨めな衰退は避けられない。
プーチン氏の戦略目的が、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を阻止することであったことからすれば、結果は明らかに裏目に出ている。ウクライナを西側に追いやり、ロシア経済を疲弊させた。軍事的中立を維持してきた北欧スウェーデンとフィンランドがNATO加盟に踏み切る公算が大きくなってきた。
■3パターン+1 その代償の数々
ジョンズ・ホプキンズ大のハル・ブランズ教授は米ブルームバーグ通信に寄せた論考で、プーチン氏が戦争に勝てなければ大国ロシアの代償がどのようなものになるか、印象的なタイトルで占っている。
「モスクワの春」と題された第1のシナリオでは、ロシアで政変が起こり、1990年代に経験した民主主義が復活する可能性を指摘した。エリート層がプーチン氏を排除してウクライナと和平を結ぶことへの期待だ。実際には、プーチン氏が過去20年間に野党を弱体化させ、クーデターの防止網をいたるところに張り巡らせているから、実現は難しいとみる。
第2のシナリオ「傷を負った巨人」は、プーチン氏が権力の座にしがみつき、民衆の不平不満を治安部隊によって押さえ込むというものだ。各国から経済制裁を受けたものの、同氏に忠実な取り巻きが闇市場を使って損失を埋めていく。その挙げ句に中国への依存が高まり、経済の衰退、技術の遅れ、軍事力の弱体化を招く。
ロシア西部を流れる大河と孤立するイランの首都をタイトルにとった、第3のシナリオ「ボルガ川のテヘラン」はさらに暗い。ロシアは孤立化と急進化が同時に進み、核兵器を持つ「超大国化したイラン」になるとみる。将来性のある高学歴層はロシアを離れ、率直にものを言うリベラル派は政権から排除される。一方の強硬派は、厳しい経済制裁下にあるイランがとる、外国との貿易に依存しない自給自足の「抵抗経済」にならう。厳しい粛清、好戦的なナショナリズムの高揚により、ロシア型ファシズムが生み出される悪夢の結末を迎える。
ブランズ教授の3つのシナリオにもう一つ加えるとすれば、「最悪の戦争拡大」が考えられる。ウクライナからの反撃で窮地に立つプーチン氏が、戦術核、生物・化学兵器を使用し、NATOとロシアが交戦状態に突入する。戦火が欧州に広がれば第三次世界大戦の勃発である。NATOの欧州加盟国は人口でロシアの約4倍、GDPで約13・5倍。結束さえ崩れなければその戦力は極めて高い。
■中国への経済依存 世界分断の固定化
プーチン氏は当面、5月9日の対独戦勝記念日に軍事的な勝利を演出するため、「マリウポリ制圧」や「ドンバス地域の掌握」を印象付けようと必死だ。ロシアが引き続き取りうるのは、消耗戦による「敗北の延期」を狙うことかもしれない。
プーチン氏の政治的立場は侵略前よりも弱く、好戦性を高めることでその弱さを補おうとする危険がある。同氏にとっては、戦略的な失敗によって体制の存続をかけた戦いになってしまったからだ。
彼の矛先は、経済制裁を断行した西側に向かう。逆に、中国への経済的な依存度を高めて世界の分断が固定化されていく。2月下旬、ロシア軍がウクライナに侵略した際、プーチン氏はその目的がウクライナを追い詰めることだけでなく米国主導の国際秩序を拒否することにあると宣言していたことに留意したい。
侵略を開始したロシア軍がキーウに接近すると、米欧は遠く北京の出方に目を光らせた。モスクワと北京は互いの「核心的利益」を擁護し、中露の協力に「制限なし」として新しい枢軸を誓約しているからだ。
米研究機関「ニュー・アメリカ」の会長、アン・マリー・スローター氏は、ウクライナ戦争による劇的変化は、ロシアのウクライナ侵略を中国が容認したことであり、「勢力範囲を示す版図の書き直しと国際ルールの変更を相互に支持していることである」と指摘した。
■正義は邪悪に勝利できるのか
終わりの見えない消耗戦は、経済制裁を断行している日米欧にも苦痛をもたらすものだ。ポストモダンの快適な生活を知る自由社会にとって、エネルギー不足はもとより小麦不足は台所を直撃し、対露制裁での結束に乱れが生じかねない。
現実の世界は、映画のように正義が邪悪に勝利することが保証されているわけではない。ロシアが勝利すれば、さらなる侵略拡大につながる危険があることを人々に納得させ、ウクライナへの支援を続ける必要がある。
自由社会は自らの力で勝利を手繰り寄せなければならない。
蹂躪された戦場の常として、ウクライナは都市の荒廃と領土の一部喪失という悲劇に見舞われる可能性が高いと湯浅氏。
4月22日のロイター通信によると、西側政府当局者は、プーチン氏がウクライナの首都キーウ(キエフ)制圧、傀儡(かいらい)政権の樹立など「所期の目的を達成できなかったものの、まだ勝利できる位置にある」と指摘した。東部ドンバス地域の制圧のほか、最悪の場合はキーウに対する「攻撃再開もあり得る」と述べているのだそうです。
しかし、ウクライナ戦争でロシアの戦術的な勝利はありえても、すでに戦略的には敗北を喫している。ロシア軍の甚大な損害、国際的な孤立、そして経済制裁によってモスクワの惨めな衰退は避けられないと湯浅氏。
プーチン氏の戦略目的が、NATOの東方拡大を阻止することであったことからすれば、結果は明らかに裏目に出ている。ウクライナを西側に追いやり、ロシア経済を疲弊させた。そして、軍事的中立を維持してきた北欧スウェーデンとフィンランドがNATO加盟に踏み切る公算が大きくなってきたと。
(両国は加盟申請をし、NATO側も異例の早期承認予定)
ジョンズ・ホプキンズ大のハル・ブランズ教授は、プーチン氏が戦争に勝てなければ大国ロシアの代償がどのようなものになるか、占っておられるのだそうです。
第1のシナリオは、「モスクワの春」と題され、ロシアで政変が起こり、1990年代に経験した民主主義が復活する可能性。
エリート層がプーチン氏を排除してウクライナと和平を結ぶことへの期待。実際には、プーチン氏が過去20年間に野党を弱体化させ、クーデターの防止網をいたるところに張り巡らせているから、実現は難しいと湯浅氏。
第2のシナリオ「傷を負った巨人」は、プーチン氏が権力の座にしがみつき、民衆の不平不満を治安部隊によって押さえ込むというもの。各国から経済制裁を受けたものの、同氏に忠実な取り巻きが闇市場を使って損失を埋めていく。その挙げ句に中国への依存が高まり、経済の衰退、技術の遅れ、軍事力の弱体化を招く。
第3のシナリオ「ボルガ川のテヘラン」はさらに暗い。ロシアは孤立化と急進化が同時に進み、核兵器を持つ「超大国化したイラン」になるというもの。厳しい粛清、好戦的なナショナリズムの高揚により、ロシア型ファシズムが生み出される悪夢の結末を迎えると湯浅氏。
もう一つ加えるとすれば、「最悪の戦争拡大」。窮地に立つプーチン氏が、戦術核、生物・化学兵器を使用し、NATOとロシアが交戦状態に突入する。戦火が欧州に広がれば第三次世界大戦の勃発にも繋がる。
NATO側の結束が崩れなければ、戦力差は圧倒的だが、禁断の兵器を国連の常任理事国が使用する事態に。
プーチン氏の政治的立場は侵略前よりも弱く、好戦性を高めることでその弱さを補おうとする危険がある。同氏にとっては、戦略的な失敗によって体制の存続をかけた戦いになってしまったと湯浅氏。
モスクワと北京は互いの「核心的利益」を擁護し、中露の協力に「制限なし」として新しい枢軸を誓約している。
米研究機関「ニュー・アメリカ」の会長、アン・マリー・スローター氏は、ウクライナ戦争による劇的変化は、ロシアのウクライナ侵略を中国が容認したことであり、「勢力範囲を示す版図の書き直しと国際ルールの変更を相互に支持していることである」と指摘しているのだそうです。
消耗戦は、経済制裁を断行している日米欧にも苦痛をもたらす。自由社会にとって、エネルギー不足はもとより小麦不足は台所を直撃し、対露制裁での結束に乱れが生じかねない。
しかし、ロシアが勝利すれば、さらなる侵略拡大につながる危険があることを人々に納得させ、ウクライナへの支援を続ける必要がある。
自由社会は自らの力で勝利を手繰り寄せなければならないと湯浅氏。
サハリン1, 2から、シェルやエクソンが撤退を決めましたし、ドイツ他のEU諸国も脱ロシアの計画に着手していることは諸兄がご承知のこと。
しかし、岸田政権は、商工会議所会頭や経団連会長の自国企業の利益優先の撤退しないとの要請(岸田氏は地元広島の企業のサハリンの天然ガス依存が高く撤退すると存立に打撃があるとの報道有)に聞く耳を発揮、撤退しないと断言。
なのに、ロシアからは非友好国に指定され、入国拒否者リストも公表されるという様。相変わらずの外交下手さ。
G7会合で、恥ずかしい思いはしなかったのでしょうか。外務大臣時代の実績や、首相になってからの、バイデン氏が提唱した「北京五輪外交ボイコット」への米中二股外交での逡巡で、首相就任に伴う首脳会議打診に対し、しばらく回答を保留され挙句、オンライン会談に格下げされた、日米首脳会談の代々で積み上げられた木綱への傷を生じさせる外交重大失政に続く、重ねての失政。
しかし、オールド偏向メディアの報道しない自由の駆使で護られての支持率堅調。
ウクライナの様な、闘う準備はなく、平和ボケの日本。国際協調もしないとなれば、世界から取り残され、沈没するしかなくなりますが如何。。
# 冒頭の画像は、北京冬季五輪でロシアは国家として参加してないのに訪中し会談したプーチンと習近平
その花の名前は、サイハイラン
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