米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が、「日本における中国の影響力」と題する報告書を7月末に発表していました。その中で、自民党の二階俊博幹事長と今井尚哉首相補佐官が「親中派」のキーマンとして名指しされ、安倍首相の対中政策に大きな影響を与えていると指摘されていることは、メディアがとりあげ広く知られました。
しかし、「中国の沖縄工作」についても多くの文字数が割かれているが、この部分はあまり知られていないと、日本沖縄政策研究フォーラム仲村覚理事長。
報告書では、日本の安全保障上の重要懸念の一つとして、沖縄の人々が「独立を宣言」する可能性を指摘しているのだそうです。
CSISの報告書では、日本の公安調査庁が2015年と17年の年次報告『内外情勢の回顧と展望』で「中国の影響力により沖縄の世論を分断する可能性の問題を取り上げた」とし、その内容を紹介しているのだそうです。
2017年版での中国観は、「在日米軍施設が集中する沖縄においては、『琉球からの全基地撤去』を掲げる『琉球独立勢力』に接近したり、『琉球帰属未定論』を提起したりするなど、中国に有利な世論形成を図るような動きも見せた」と記されていると。
さらに「『琉球帰属未定論』を提起し、沖縄での世論形成を図る中国」というコラムの内容を紹介。
「環球時報」は、「琉球の帰属は未定、琉球を沖縄と呼んではならない」と題する論文を掲載し、琉球の主権が日本にあることを暗に認めているのに等しく、使用すべきでない」などと主張したことを紹介。
コラムでは、「琉球独立」を標ぼうする交流が深められているが、こうした交流の背後には、沖縄で、中国に有利な世論を形成し、日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいるものとみられ、今後の沖縄に対する中国の動向には注意を要すると指摘されていると紹介。
CSISの報告書は更に、「中国は日本に影響を与えるために間接的な方法を使用している。資金調達を通じて沖縄の動きに影響を与え、沖縄の新聞に影響を与えて沖縄の独立を推進し、そこに米軍を排除するなどの隠れたルートがある」と指摘。その上で、「中国は日本に、文化外交、二国間交流、国営メディア誘導などの温和な影響活動と、強制、情報キャンペーン、汚職、秘密の戦術などのより鋭くより悪質な活動の両方を展開している」と結論付けているのだそうです。
仲村氏もこの報告にあるように、沖縄の琉球独立工作があらゆる面で進められていると認識していると。
自らを日本人と異なる琉球人という自己認識を持つ沖縄県民はほぼ皆無だった。自らを「ウチナーンチュ」(沖縄の人)という自己認識があっても、日本人という認識を持たない人はほとんどいなかった。
しかし、ここ10年間で沖縄は大きく変わってしまった。自らを日本人ではなく琉球人との「アイデンティティー」と、「沖縄は日本に植民地支配されている」という「歴史」を背景に、政治活動をする若者が多数出てきていると仲村氏。
誰かに洗脳されたとしか思えないが、政治家になる若者がターゲットとして狙われたのだろうと。
中国の標榜する「琉球帰属未定論」は、今後どのように展開されていくのか。
カギとなるのが、13年 5月12日の中国共産党機関紙、人民日報のウェブサイト「人民網」に掲載された論文にあると。
その論文は、中国は三つのステップで「琉球再議」を始動できるとしているのだと。
第1ステップは、琉球国の復活を支持する民間組織の設立を許可することを含め、琉球問題に関する民間の研究・議論を開放し、日本が琉球を不法占拠した歴史を世界に周知させる。
第2ステップは、日本の対中姿勢を見た上で、中国政府として正式に立場を変更して琉球問題を国際的場で提起するか否かを決定する。
第3ステップは、日本が中国の台頭を破壊する急先鋒となった場合、中国は実際の力を投じて沖縄地区に「琉球国復活」勢力を育成すべきだ。日本が米国と結束して中国の将来を脅かすのなら、中国は琉球を日本から離脱させ、その現実的脅威となるべきだ。
現状は、まもなく第3段階に突入すると見ていると仲村氏。
根拠は、国際社会が米国を中心に、対中包囲網を構築しつつある情勢と、尖閣諸島をめぐって、日中がかつてない緊張した関係にあること。
この二つの要素から、「琉球再議」第3段階の、中国が沖縄に「琉球国復活」勢力育成を実行する段階に突入することになるだろうと。
8月16日の休漁期間終了後、尖閣諸島領海に多数の中国漁船を送り込んでくると中国が通達してきていた件は、一部散見されたようですが、中国側でセーブしている様子ですね。
中国側は、米軍が関与してきたら勝負は苦しい。なので、日米安保が重視する実行支配の実績造りを進めていることは諸兄がご承知の通りです。
日米もそれに対する備えを進める姿勢です。
そこで中村氏が指摘されるのは、中共の武力を使わないで侵略する「三戦戦略」。
例えば、中国が日本政府を飛び越して、沖縄県に直接「尖閣諸島と東シナ海の共同開発」を提案し、玉城デニー知事が提案を受け入れた場合。しかも、沖縄の新聞が世論を誘導し、沖縄経済界も共同開発を望んだらどうなるか。
常識的には、外交権は日本政府に属するため、外交権のない沖縄県には不可能。
しかし、中国の工作で、国連では2008年以降、自由権規約委員会と人種差別撤廃委員会から日本政府に「琉球・沖縄の人々を先住民族と認め、その権利を保護すべきだ」という勧告が5回も出されている。つまり、国際世論(国連の一部委員会)は中国に抑えられている。
CSISが報告書で危惧するように、中国は尖閣関連の混乱に乗じて、あらゆる手を使って沖縄を日米から引き剥がしに動いてくるはずだ。ぜひとも、尖閣有事の図上演習には、自衛隊のみならず、外務省や公安調査庁も参加してほしい。琉球独立につながる沖縄の政界や経済界、マスコミ、国連の各組織の動向も「要素・要因」として組み込む必要があると仲村氏。
肝心の、沖縄県民の方々が、琉球国として独立後、香港やウイグルの様になってもよいのか否か。台湾では中国人ではなく、台湾人の意識が高まっていて、米国の傘に期待しています。
何度も触れてきていますが、自民党の県幹部だった故翁長氏は知事の椅子に座りたくて、自称オール沖縄陣に転向し、在福岡中国領事館の支援を得て、仲井眞氏に競り勝って知事の椅子に座りました。
その後を引き継いでいるのが、玉城知事。
世界一危険とされる普天間飛行場をなくし、キャンプシュアブ沖に統廃合する案。長年の議論を経て、地元の普天間市民や辺野古の方々の承認も得て、仲井眞前知事時代には、わずかな距離の調整があったものの合意された基地統廃合。
中国領事館の支援で知事の椅子についた故翁長氏は、裁判闘争で負けたら従うといいながらも、何度も告訴を繰り返し、玉城氏もそれを継続しています。
本当の地元の、辺野古や普天間の方々の意見(非自称オール沖縄派)は無視され、中国の意向による、基地反対運動をつづけているとしか見えないのは、本当の地元の辺野古や普天間以外の沖縄県人ではないからなのでしょうか。
# 冒頭の画像は、尖閣近海の海警と日本漁船と巡視船 平成28年8月
この花の名前は、アメリカナデシコ
↓よろしかったら、お願いします。
しかし、「中国の沖縄工作」についても多くの文字数が割かれているが、この部分はあまり知られていないと、日本沖縄政策研究フォーラム仲村覚理事長。
報告書では、日本の安全保障上の重要懸念の一つとして、沖縄の人々が「独立を宣言」する可能性を指摘しているのだそうです。
アメリカも警告、沖縄に蔓延する中国「思想侵略」にはこう戦え 2020/08/21 仲村覚(日本沖縄政策研究フォーラム理事長)
米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が7月末に発表した「日本における中国の影響力」と題する報告書が注目されている。
自民党の二階俊博幹事長と今井尚哉(たかや)首相補佐官が、安倍晋三首相の対中政策に大きな影響を与えている「親中派」のキーマンとして名指しされている。ただ、このことはメディアで大きく報じられたが、「中国の沖縄工作」に触れた部分はあまり知られていない。
約50ページに及ぶ報告書は、2018年から2年をかけ、約40人の専門家にインタビューするなどしてまとめられた。その中では、「中国の沖縄工作」についても多くの文字数が割かれている。
日本の安全保障上の重要懸念の一つとして、沖縄の人々が日本政府や米国に対する不満を理由に「独立を宣言」する可能性を指摘している。中国の最重要ターゲットも、米軍基地の多い沖縄であり、外交や偽情報、投資を通じて、沖縄独立を後押ししているという。
さらに、日本の公安調査庁が2015年と17年の年次報告『内外情勢の回顧と展望』で、「中国の影響力により沖縄の世論を分断する可能性の問題を取り上げた」とし、その内容を紹介している。まずは『内外情勢の回顧と展望』を改めて確認してみよう。
2017年版では「在日米軍施設が集中する沖縄においては、『琉球からの全基地撤去』を掲げる『琉球独立勢力』に接近したり、『琉球帰属未定論』を提起したりするなど、中国に有利な世論形成を図るような動きも見せた」と記されている。さらに「『琉球帰属未定論』を提起し、沖縄での世論形成を図る中国」というコラムでは、次のように解説している。
----------------------------------------------------------
人民日報系紙「環球時報」(8月12日付け)は、「琉球の帰属は未定、琉球を沖縄と呼んではならない」と題する論文を掲載し、「米国は、琉球の施政権を日本に引き渡しただけで、琉球の帰属は未定である。我々は長期間、琉球を沖縄と呼んできたが、この呼称は、我々が琉球の主権が日本にあることを暗に認めているのに等しく、使用すべきでない」などと主張した。
既に、中国国内では、「琉球帰属未定論」に関心を持つ大学やシンクタンクが中心となって、「琉球独立」を標ぼうする我が国の団体関係者などとの学術交流を進め、関係を深めている。こうした交流の背後には、沖縄で、中国に有利な世論を形成し、日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいるものとみられ、今後の沖縄に対する中国の動向には注意を要する。
━━「内外情勢の回顧と展望(平成29年1月)」(平成28年の国外情勢)公安調査庁
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CSISの報告書は、慶応大教授の言葉を借りて、「中国は日本に影響を与えるために間接的な方法を使用している。資金調達を通じて沖縄の動きに影響を与え、沖縄の新聞に影響を与えて沖縄の独立を推進し、そこに米軍を排除するなどの隠れたルートがある」と指摘した。その上で、「中国は日本に、文化外交、二国間交流、国営メディア誘導などの温和な影響活動と、強制、情報キャンペーン、汚職、秘密の戦術などのより鋭くより悪質な活動の両方を展開している」と結論付けている。
筆者もこの報告にあるように、沖縄の琉球独立工作があらゆる面で進められていると認識している。特に、10年9月に起きた尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖での中国漁船衝突事件直後から急加速してきた。
これまで、自らを日本人と異なる琉球人という自己認識を持つ沖縄県民はほぼ皆無だった。自らを「ウチナーンチュ」(沖縄の人)という自己認識があっても、日本人という認識を持たない人もほとんどいなかった。
しかし、ここ10年間で沖縄は大きく変わってしまった。自らを日本人ではなく琉球人との「アイデンティティー」と、「沖縄は日本に植民地支配されている」という「歴史」を背景に、政治活動をする若者が多数出てきているのである。誰かに洗脳されたとしか筆者には思えないが、政治家になる若者がターゲットとして狙われたのだろう。
もし、琉球独立を公然と主張するこのような若者が、国会議員に当選すれば、沖縄の未来は危うくなる。「スパイ防止法」のない日本で長年続けられてきた「思想侵略」は、危険領域に達していると言わざるを得ない。
では、中国の標榜(ひょうぼう)する「琉球帰属未定論」は、今後どのように展開されていくのだろうか。カギとなるのが、13年5月12日の中国共産党機関紙、人民日報のウェブサイト「人民網」に掲載された論文にある。
それは「琉球問題を掘り起こし、政府の立場変更の伏線を敷く」というタイトルにも表れている。その論文には、中国は三つのステップで「琉球再議」を始動できるとし、次のように提言している。
--------------------------------------------------------
第1ステップ、琉球の歴史問題を追及し、琉球国の復活を支持する民間組織の設立を許可することを含め、琉球問題に関する民間の研究・議論を開放し、日本が琉球を不法占拠した歴史を世界に周知させる。政府はこの活動に参加せず、反対もしない。
第2ステップ、日本の対中姿勢を見た上で、中国政府として正式に立場を変更して琉球問題を国際的場で提起するか否かを決定する。一国の政府が重大な地政学的問題において立場を調整するのは、国際的に珍しいことではない。その必要が確かにあるのであれば、中国政府はこのカードを切るべきだ。
第3ステップ、日本が中国の台頭を破壊する急先鋒となった場合、中国は実際の力を投じて沖縄地区に「琉球国復活」勢力を育成すべきだ。20〜30年後に中国の実力が十分強大になりさえすれば、これは決して幻想ではない。日本が米国と結束して中国の将来を脅かすのなら、中国は琉球を日本から離脱させ、その現実的脅威となるべきだ。これは非常にフェアなことだ。
---------------------------------------------------------
さて、現在の日中関係はどのステップに位置するのだろうか。筆者はまもなく第3段階に突入すると見ている。
まず、国際社会は米国を中心に、対中包囲網を構築しつつある。日本は心もとない面もあるが、結果的に米国側に付いて、対中姿勢を強めていくことになる。
また、現在は尖閣諸島をめぐって、日中がかつてない緊張した関係にある。この二つの要素から、「琉球再議」第3段階の「日本が中国の台頭を破壊する急先鋒」に該当するため、中国が沖縄に「琉球国復活」勢力育成を実行する段階に突入することになるだろう。中国にとっては、沖縄の独立工作が思うようにいかず、準備不足の部分も多いと思うが、それでも最終段階にさしかかっていると見ている。
現在、日本の対中安全保障の課題としては、尖閣諸島周辺海域に、中国海警局の武装公船などが連日のように侵入していることが挙げられる。また、8月16日の休漁期間終了後、尖閣諸島領海に多数の中国漁船を送り込んでくる可能性も指摘されている。
海上保安庁と沖縄県警、自衛隊は、尖閣諸島で起きるさまざまな事態を想定して、対処方法を検討し、訓練を続けているとみられる。だが、これだけでは、中国による尖閣・沖縄侵略に対峙(たいじ)する「図上演習」は不十分といえる。
軍事的な側面について、自衛隊はもれなく想定できるだろうが、琉球独立工作を含む中国の外交的反応は、現時点で既に日本人の想定を超えており、推測不可能だからだ。
例えば、中国が日本政府を飛び越して、沖縄県に直接「尖閣諸島と東シナ海の共同開発」を提案し、玉城デニー知事が提案を受け入れた場合、どうなるだろうか。しかも、沖縄の新聞が世論を誘導し、沖縄経済界も共同開発を望んだら、どうなるだろうか。
常識的には、外交権は日本政府に属するため、外交権のない沖縄県には不可能だ。しかし、国連では2008年以降、自由権規約委員会と人種差別撤廃委員会から日本政府に「琉球・沖縄の人々を先住民族と認め、その権利を保護すべきだ」という勧告が5回も出されていることを忘れてはならない。
琉球独立派が、国連人権理事会などに「琉球の自己決定権がないがしろにされた」「中国と沖縄の外交を認めよ」と訴えかねない。訴えを受けた国連も「琉球・沖縄の権利を保護せよ」と日本政府に勧告を出す危険性がある。
万が一日本政府が妥協して、沖縄が中国と独自外交を展開することになった場合、その先に何が待ち受けるのかは、語るまでもないだろう。中国の思惑通り、沖縄を日本の「一国二制度」行政区にし、中国によるコントロールを強化していくに違いない。
CSISも報告書で危惧するように、中国は尖閣関連の混乱に乗じて、あらゆる手を使って沖縄を日米から引き剥がしに動いてくるはずだ。ぜひとも、尖閣有事の図上演習には、自衛隊のみならず、外務省や公安調査庁も参加してほしい。
その際には、琉球独立につながる沖縄の政界や経済界、マスコミ、国連の各組織の動向も「要素・要因」として組み込む必要がある。それらの要因をしっかり米軍と共有して対処することこそ「中国の野望」を打ち払う最善の策ではないだろうか。
米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)が7月末に発表した「日本における中国の影響力」と題する報告書が注目されている。
自民党の二階俊博幹事長と今井尚哉(たかや)首相補佐官が、安倍晋三首相の対中政策に大きな影響を与えている「親中派」のキーマンとして名指しされている。ただ、このことはメディアで大きく報じられたが、「中国の沖縄工作」に触れた部分はあまり知られていない。
約50ページに及ぶ報告書は、2018年から2年をかけ、約40人の専門家にインタビューするなどしてまとめられた。その中では、「中国の沖縄工作」についても多くの文字数が割かれている。
日本の安全保障上の重要懸念の一つとして、沖縄の人々が日本政府や米国に対する不満を理由に「独立を宣言」する可能性を指摘している。中国の最重要ターゲットも、米軍基地の多い沖縄であり、外交や偽情報、投資を通じて、沖縄独立を後押ししているという。
さらに、日本の公安調査庁が2015年と17年の年次報告『内外情勢の回顧と展望』で、「中国の影響力により沖縄の世論を分断する可能性の問題を取り上げた」とし、その内容を紹介している。まずは『内外情勢の回顧と展望』を改めて確認してみよう。
2017年版では「在日米軍施設が集中する沖縄においては、『琉球からの全基地撤去』を掲げる『琉球独立勢力』に接近したり、『琉球帰属未定論』を提起したりするなど、中国に有利な世論形成を図るような動きも見せた」と記されている。さらに「『琉球帰属未定論』を提起し、沖縄での世論形成を図る中国」というコラムでは、次のように解説している。
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人民日報系紙「環球時報」(8月12日付け)は、「琉球の帰属は未定、琉球を沖縄と呼んではならない」と題する論文を掲載し、「米国は、琉球の施政権を日本に引き渡しただけで、琉球の帰属は未定である。我々は長期間、琉球を沖縄と呼んできたが、この呼称は、我々が琉球の主権が日本にあることを暗に認めているのに等しく、使用すべきでない」などと主張した。
既に、中国国内では、「琉球帰属未定論」に関心を持つ大学やシンクタンクが中心となって、「琉球独立」を標ぼうする我が国の団体関係者などとの学術交流を進め、関係を深めている。こうした交流の背後には、沖縄で、中国に有利な世論を形成し、日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいるものとみられ、今後の沖縄に対する中国の動向には注意を要する。
━━「内外情勢の回顧と展望(平成29年1月)」(平成28年の国外情勢)公安調査庁
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CSISの報告書は、慶応大教授の言葉を借りて、「中国は日本に影響を与えるために間接的な方法を使用している。資金調達を通じて沖縄の動きに影響を与え、沖縄の新聞に影響を与えて沖縄の独立を推進し、そこに米軍を排除するなどの隠れたルートがある」と指摘した。その上で、「中国は日本に、文化外交、二国間交流、国営メディア誘導などの温和な影響活動と、強制、情報キャンペーン、汚職、秘密の戦術などのより鋭くより悪質な活動の両方を展開している」と結論付けている。
筆者もこの報告にあるように、沖縄の琉球独立工作があらゆる面で進められていると認識している。特に、10年9月に起きた尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖での中国漁船衝突事件直後から急加速してきた。
これまで、自らを日本人と異なる琉球人という自己認識を持つ沖縄県民はほぼ皆無だった。自らを「ウチナーンチュ」(沖縄の人)という自己認識があっても、日本人という認識を持たない人もほとんどいなかった。
しかし、ここ10年間で沖縄は大きく変わってしまった。自らを日本人ではなく琉球人との「アイデンティティー」と、「沖縄は日本に植民地支配されている」という「歴史」を背景に、政治活動をする若者が多数出てきているのである。誰かに洗脳されたとしか筆者には思えないが、政治家になる若者がターゲットとして狙われたのだろう。
もし、琉球独立を公然と主張するこのような若者が、国会議員に当選すれば、沖縄の未来は危うくなる。「スパイ防止法」のない日本で長年続けられてきた「思想侵略」は、危険領域に達していると言わざるを得ない。
では、中国の標榜(ひょうぼう)する「琉球帰属未定論」は、今後どのように展開されていくのだろうか。カギとなるのが、13年5月12日の中国共産党機関紙、人民日報のウェブサイト「人民網」に掲載された論文にある。
それは「琉球問題を掘り起こし、政府の立場変更の伏線を敷く」というタイトルにも表れている。その論文には、中国は三つのステップで「琉球再議」を始動できるとし、次のように提言している。
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第1ステップ、琉球の歴史問題を追及し、琉球国の復活を支持する民間組織の設立を許可することを含め、琉球問題に関する民間の研究・議論を開放し、日本が琉球を不法占拠した歴史を世界に周知させる。政府はこの活動に参加せず、反対もしない。
第2ステップ、日本の対中姿勢を見た上で、中国政府として正式に立場を変更して琉球問題を国際的場で提起するか否かを決定する。一国の政府が重大な地政学的問題において立場を調整するのは、国際的に珍しいことではない。その必要が確かにあるのであれば、中国政府はこのカードを切るべきだ。
第3ステップ、日本が中国の台頭を破壊する急先鋒となった場合、中国は実際の力を投じて沖縄地区に「琉球国復活」勢力を育成すべきだ。20〜30年後に中国の実力が十分強大になりさえすれば、これは決して幻想ではない。日本が米国と結束して中国の将来を脅かすのなら、中国は琉球を日本から離脱させ、その現実的脅威となるべきだ。これは非常にフェアなことだ。
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さて、現在の日中関係はどのステップに位置するのだろうか。筆者はまもなく第3段階に突入すると見ている。
まず、国際社会は米国を中心に、対中包囲網を構築しつつある。日本は心もとない面もあるが、結果的に米国側に付いて、対中姿勢を強めていくことになる。
また、現在は尖閣諸島をめぐって、日中がかつてない緊張した関係にある。この二つの要素から、「琉球再議」第3段階の「日本が中国の台頭を破壊する急先鋒」に該当するため、中国が沖縄に「琉球国復活」勢力育成を実行する段階に突入することになるだろう。中国にとっては、沖縄の独立工作が思うようにいかず、準備不足の部分も多いと思うが、それでも最終段階にさしかかっていると見ている。
現在、日本の対中安全保障の課題としては、尖閣諸島周辺海域に、中国海警局の武装公船などが連日のように侵入していることが挙げられる。また、8月16日の休漁期間終了後、尖閣諸島領海に多数の中国漁船を送り込んでくる可能性も指摘されている。
海上保安庁と沖縄県警、自衛隊は、尖閣諸島で起きるさまざまな事態を想定して、対処方法を検討し、訓練を続けているとみられる。だが、これだけでは、中国による尖閣・沖縄侵略に対峙(たいじ)する「図上演習」は不十分といえる。
軍事的な側面について、自衛隊はもれなく想定できるだろうが、琉球独立工作を含む中国の外交的反応は、現時点で既に日本人の想定を超えており、推測不可能だからだ。
例えば、中国が日本政府を飛び越して、沖縄県に直接「尖閣諸島と東シナ海の共同開発」を提案し、玉城デニー知事が提案を受け入れた場合、どうなるだろうか。しかも、沖縄の新聞が世論を誘導し、沖縄経済界も共同開発を望んだら、どうなるだろうか。
常識的には、外交権は日本政府に属するため、外交権のない沖縄県には不可能だ。しかし、国連では2008年以降、自由権規約委員会と人種差別撤廃委員会から日本政府に「琉球・沖縄の人々を先住民族と認め、その権利を保護すべきだ」という勧告が5回も出されていることを忘れてはならない。
琉球独立派が、国連人権理事会などに「琉球の自己決定権がないがしろにされた」「中国と沖縄の外交を認めよ」と訴えかねない。訴えを受けた国連も「琉球・沖縄の権利を保護せよ」と日本政府に勧告を出す危険性がある。
万が一日本政府が妥協して、沖縄が中国と独自外交を展開することになった場合、その先に何が待ち受けるのかは、語るまでもないだろう。中国の思惑通り、沖縄を日本の「一国二制度」行政区にし、中国によるコントロールを強化していくに違いない。
CSISも報告書で危惧するように、中国は尖閣関連の混乱に乗じて、あらゆる手を使って沖縄を日米から引き剥がしに動いてくるはずだ。ぜひとも、尖閣有事の図上演習には、自衛隊のみならず、外務省や公安調査庁も参加してほしい。
その際には、琉球独立につながる沖縄の政界や経済界、マスコミ、国連の各組織の動向も「要素・要因」として組み込む必要がある。それらの要因をしっかり米軍と共有して対処することこそ「中国の野望」を打ち払う最善の策ではないだろうか。
CSISの報告書では、日本の公安調査庁が2015年と17年の年次報告『内外情勢の回顧と展望』で「中国の影響力により沖縄の世論を分断する可能性の問題を取り上げた」とし、その内容を紹介しているのだそうです。
2017年版での中国観は、「在日米軍施設が集中する沖縄においては、『琉球からの全基地撤去』を掲げる『琉球独立勢力』に接近したり、『琉球帰属未定論』を提起したりするなど、中国に有利な世論形成を図るような動きも見せた」と記されていると。
さらに「『琉球帰属未定論』を提起し、沖縄での世論形成を図る中国」というコラムの内容を紹介。
「環球時報」は、「琉球の帰属は未定、琉球を沖縄と呼んではならない」と題する論文を掲載し、琉球の主権が日本にあることを暗に認めているのに等しく、使用すべきでない」などと主張したことを紹介。
コラムでは、「琉球独立」を標ぼうする交流が深められているが、こうした交流の背後には、沖縄で、中国に有利な世論を形成し、日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいるものとみられ、今後の沖縄に対する中国の動向には注意を要すると指摘されていると紹介。
CSISの報告書は更に、「中国は日本に影響を与えるために間接的な方法を使用している。資金調達を通じて沖縄の動きに影響を与え、沖縄の新聞に影響を与えて沖縄の独立を推進し、そこに米軍を排除するなどの隠れたルートがある」と指摘。その上で、「中国は日本に、文化外交、二国間交流、国営メディア誘導などの温和な影響活動と、強制、情報キャンペーン、汚職、秘密の戦術などのより鋭くより悪質な活動の両方を展開している」と結論付けているのだそうです。
仲村氏もこの報告にあるように、沖縄の琉球独立工作があらゆる面で進められていると認識していると。
自らを日本人と異なる琉球人という自己認識を持つ沖縄県民はほぼ皆無だった。自らを「ウチナーンチュ」(沖縄の人)という自己認識があっても、日本人という認識を持たない人はほとんどいなかった。
しかし、ここ10年間で沖縄は大きく変わってしまった。自らを日本人ではなく琉球人との「アイデンティティー」と、「沖縄は日本に植民地支配されている」という「歴史」を背景に、政治活動をする若者が多数出てきていると仲村氏。
誰かに洗脳されたとしか思えないが、政治家になる若者がターゲットとして狙われたのだろうと。
中国の標榜する「琉球帰属未定論」は、今後どのように展開されていくのか。
カギとなるのが、13年 5月12日の中国共産党機関紙、人民日報のウェブサイト「人民網」に掲載された論文にあると。
その論文は、中国は三つのステップで「琉球再議」を始動できるとしているのだと。
第1ステップは、琉球国の復活を支持する民間組織の設立を許可することを含め、琉球問題に関する民間の研究・議論を開放し、日本が琉球を不法占拠した歴史を世界に周知させる。
第2ステップは、日本の対中姿勢を見た上で、中国政府として正式に立場を変更して琉球問題を国際的場で提起するか否かを決定する。
第3ステップは、日本が中国の台頭を破壊する急先鋒となった場合、中国は実際の力を投じて沖縄地区に「琉球国復活」勢力を育成すべきだ。日本が米国と結束して中国の将来を脅かすのなら、中国は琉球を日本から離脱させ、その現実的脅威となるべきだ。
現状は、まもなく第3段階に突入すると見ていると仲村氏。
根拠は、国際社会が米国を中心に、対中包囲網を構築しつつある情勢と、尖閣諸島をめぐって、日中がかつてない緊張した関係にあること。
この二つの要素から、「琉球再議」第3段階の、中国が沖縄に「琉球国復活」勢力育成を実行する段階に突入することになるだろうと。
8月16日の休漁期間終了後、尖閣諸島領海に多数の中国漁船を送り込んでくると中国が通達してきていた件は、一部散見されたようですが、中国側でセーブしている様子ですね。
中国側は、米軍が関与してきたら勝負は苦しい。なので、日米安保が重視する実行支配の実績造りを進めていることは諸兄がご承知の通りです。
日米もそれに対する備えを進める姿勢です。
そこで中村氏が指摘されるのは、中共の武力を使わないで侵略する「三戦戦略」。
例えば、中国が日本政府を飛び越して、沖縄県に直接「尖閣諸島と東シナ海の共同開発」を提案し、玉城デニー知事が提案を受け入れた場合。しかも、沖縄の新聞が世論を誘導し、沖縄経済界も共同開発を望んだらどうなるか。
常識的には、外交権は日本政府に属するため、外交権のない沖縄県には不可能。
しかし、中国の工作で、国連では2008年以降、自由権規約委員会と人種差別撤廃委員会から日本政府に「琉球・沖縄の人々を先住民族と認め、その権利を保護すべきだ」という勧告が5回も出されている。つまり、国際世論(国連の一部委員会)は中国に抑えられている。
CSISが報告書で危惧するように、中国は尖閣関連の混乱に乗じて、あらゆる手を使って沖縄を日米から引き剥がしに動いてくるはずだ。ぜひとも、尖閣有事の図上演習には、自衛隊のみならず、外務省や公安調査庁も参加してほしい。琉球独立につながる沖縄の政界や経済界、マスコミ、国連の各組織の動向も「要素・要因」として組み込む必要があると仲村氏。
肝心の、沖縄県民の方々が、琉球国として独立後、香港やウイグルの様になってもよいのか否か。台湾では中国人ではなく、台湾人の意識が高まっていて、米国の傘に期待しています。
何度も触れてきていますが、自民党の県幹部だった故翁長氏は知事の椅子に座りたくて、自称オール沖縄陣に転向し、在福岡中国領事館の支援を得て、仲井眞氏に競り勝って知事の椅子に座りました。
その後を引き継いでいるのが、玉城知事。
世界一危険とされる普天間飛行場をなくし、キャンプシュアブ沖に統廃合する案。長年の議論を経て、地元の普天間市民や辺野古の方々の承認も得て、仲井眞前知事時代には、わずかな距離の調整があったものの合意された基地統廃合。
中国領事館の支援で知事の椅子についた故翁長氏は、裁判闘争で負けたら従うといいながらも、何度も告訴を繰り返し、玉城氏もそれを継続しています。
本当の地元の、辺野古や普天間の方々の意見(非自称オール沖縄派)は無視され、中国の意向による、基地反対運動をつづけているとしか見えないのは、本当の地元の辺野古や普天間以外の沖縄県人ではないからなのでしょうか。
# 冒頭の画像は、尖閣近海の海警と日本漁船と巡視船 平成28年8月
この花の名前は、アメリカナデシコ
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