遊爺雑記帳

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習近平の大失点、COP26欠席でリーダーシップが米国の手に?

2021-11-07 01:33:55 | 中国 全般
 英国・グラスゴーで10月31日から11月12日までCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催されています。
 ところが、昨年(2020年)まで、世界の気候変動問題のリーダーシップをとると息巻いていた中国の習近平国家主席が欠席し、存在感が、急速にしぼんでいると指摘しておられるのは、元産経新聞で中国駐在をしておられた福島香織さん。
 どうやら、バイデンの米国が、復権してきたようです。
 
習近平の大失点、COP26欠席でリーダーシップが米国の手に? 不穏な国内「引きこもり」を続ける習近平 | JBpress (ジェイビープレス) 2021.11.4(木) 福島 香織 :ジャーナリスト

 英国・グラスゴーで10月31日からCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)が開催されている(11月12日まで)。その席上で世界の気候変動問題のリーダーシップをとると昨年(2020年)まで息巻いていた中国の習近平国家主席の存在感が、急速にしぼんでいる

 米バイデン大統領はじめ、世界の首脳たちが一堂に会している一方で、
習近平は依然として国内に引きこもっているCOP26へのオンライン参加を予定していたものの会議主催者側はオンライン参加を認めず、結局、11月1日に書面での挨拶と提言を受け付けてもらっただけだった。習近平は書面で提言を行ったが、事実上ほとんど無視された格好だ。

 11月2日に北京で行われた外交部の定例会見の席で、習近平のビデオ参加がなぜできなかったのかという質問に対して、汪文斌報道官は「主催者側がビデオ方式での参加機会を提供しなかった」と不満をにじませて答えていた。

 香港英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によれば、英国政府のスポークスマンは「英国は、実際に会議に参加してもらうことを望んでいる。だからオンラインでの参加を各国首脳には認めず、事前に録画した談話、あるいは書面の文書を受け付ける形にした」と会議運営の方針を説明していた。習近平は書面で「3つの提言」を行ったが、多極的共通認識の維持、実務行動の集中、エコ転換を加速させる、といった代わり映えのない内容で、COP26における存在感は実に薄かった。

国際舞台での巻き返しを図る米国
 
このCOP26で存在感を発揮したのはバイデン大統領だ。

 
バイデンは、米国とその他の高エネルギー消費の先進国に、気候変動の大きな責任があると認め今後10年の間に地球温暖化を抑制するためにとる行動こそが後の世代の苦痛を防ぐものであり、決定的な意義がある、と訴えた。前大統領トランプのとったパリ協定脱退の決断および、米国その他の富裕国家が気候変動問題にネガティブな影響を与えたことについて事実上の謝罪をした。

 また「
地球はすでに目に見えて危機に直面している。・・・洪水、天気の不安定化、干ばつと森林火災、これらはグローバル経済を新たに立て直すための機会と見るべきだ」と訴え、「私たちは、森林破壊などこれまでのすべての問題に責任があり貧困国家よりも圧倒的に重い義務を負っている。こうした貧困国家の温暖化ガスの排出量は非常に少ないが、地球温暖化はますます進んでおり、貧困国家の方が重い代償を支払わされていると述べて途上国を擁護した。途上国が圧倒的多数の参加国である国連機関において米国の存在感を再び高めようという発言だろう。バイデンは、毎年30億ドルを貧困国家と地域の気候変動によってもたらされた自然破壊への対応に投じる計画も発表した。

 今回の国連気候変動サミットは、2015年の「パリ協定」達成に向けた具体策を議論する重要な機会とされている。バイデンが大統領になった後、米国は再度この協定に加盟。
バイデンとしては、先週のローマでのG20に続きこのCOP26で、トランプ時代のアメリカファースト主義から軌道修正して、世界のリーダーとしての米国の存在感を強くアピールする狙いがあったようだ

 本来、
このCOP26でバイデンは習近平と会談するつもりであったらしい

 
だが習近平はグラスゴーに来なかったバイデンとの対面対決をあえて避けたというふうにも受け取られている。武漢でコロナ感染がアウトブレイクして以来、習近平は実に21カ月もの間、中国国内から一歩も出ていない。コロナ以前、習近平は年間平均14カ国に訪問し、その訪問ペースは米国大統領をしのぐ勢いだった。あれほど外遊していた習近平がなぜここまで「引きこもり」に徹しているのか

 COP26を欠席した大国の国家首脳は、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領らである。エルドアンは国内の安全問題を理由に出席する予定をキャンセルしたが、
習近平とプーチンの欠席理由は明確には説明されていない

 
バイデンは習近平の欠席について「中国にとっても、はっきり言って大きな過ちだ」「(中国やロシアは)気候変動の会議においてグローバルな影響力を失った」と述べた

「一帯一路」に対抗する動きも
 
実際、習近平が欠席したことで、一種の欠席裁判風に中国批判が起きていた

 例えば中国は2030年のカーボンピークアウト、2060年のカーボンニュートラルの実現の方針を繰り返し宣言しているが、
「温暖化ガス削減努力についての新たな提言が何もない」という辛らつな指摘があった。

 また11月2日にCOP26の席上で、
バイデンと欧州委員会委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエンが、途上国向けのインフラ支援構想「B3W」(Build Back Better World)の促進活動を行ったこれは、中国の「一帯一路」戦略に対するネガティブキャンペーンにもなっていた

 B3Wは、中国が一帯一路を通じて中華秩序圏を作ろうとする戦略に対抗するものとして6月のG7サミットで打ち出された。2035年までに、途上国に協力して40兆ドル相当のインフラ建設工事を進める、という。

 
中国の一帯一路は、「債務の罠」という形で途上国を支配する中国式植民地主義ではないかという批判を受けている。その上、実のところ途上国の化石燃料発電所建設プロジェクトの支援に集中しており、中国が掲げる温暖化ガス削減目標とは裏腹に、途上国の温暖化ガス増につながるものではないかという疑いもかけられていた

 
これを受けて、中国では10月に青島で開催された一帯一路エネルギー相会議でエコエネルギー・一帯一路政策を再度打ち出して、化石燃料発電所ではなく風力や太陽光発電基地、原子力発電所を重視する計画への練り直しを進めるとしているだが、習近平はCOP26を欠席しているのだから、十分に周知する機会を自ら放棄したといえる。

 
COP26の席上では、バイデンが「我々は(一帯一路の)債務の罠や腐敗に変わるポジティブな代替案を提供したい。・・・透明性が極めて重要だ。我々は、途上国の要請に応える協力を通じて、遠くから号令を発するのではなく、最も必要とされている人に最大の影響力を与えることができる」「各国が切迫して求めているインフラ建設を、シャベルが土に入った瞬間から気候変動問題を考慮して進め、エコ経済成長を始動させる」「世界の人々の生活を改変するために団結し、同時に表明したい。今も民主主義が最も良い成果を得る方式である、と」などと語り、中国の一帯一路戦略への疑念をさらに深め、一帯一路を通じた中国の「特色ある社会主義」的価値観の浸透を防ぐことの意義を唱えていた

 中国の一帯一路の弊害に関しては米ウィリアム・アンド・メアリー大学のエイドデータ研究所が、今年9月29日に出したリポートで次のように指摘している。「中国が毎年850億ドルを海外の途上国開発に投じているのに対し、米国の対外開発支援投資は370億ドルにとどまっている。・・・中国は165カ国の1万3427のプロジェクト(8430億ドル相当)に参与しており、うち42カ国の対中債務がGDPの10%を超える」

 こうした過剰債務に加えて、チャイナマネーに毒された途上国政府の腐敗への懸念、さらに新型コロナ感染拡大などの影響、さらには中国国内経済の悪化の影響などによって、一帯一路関連の一部プロジェクトが棚上げになったり取り消されたりしている。さらに最近、中国人労務者の人権問題や、環境破壊を懸念する地元住民の抵抗運動の問題などが指摘され、一帯一路のイメージは地に落ちている。

 このタイミングで米国らG7先進国がB3Wを提言し、さらに環境保護基準や投融資ルールの透明性、国際規則などの条件を設けて、一帯一路にとって代わろうとしているわけだ。

習近平の「ひきこもり」は危険な兆候?
 
本当ならば習近平がG20、そしてCOP26に自ら乗り込んで、こうした米国の動きと直接対決し、どちらが世界のリーダーの資格があるか、参加国に問うこともできただろう。ではなぜ、習近平はローマにもグラスゴーにも赴かなかったのか

 
一般的に言われているのは、中国では新型コロナ予防の観点から外国からの帰国者に対し厳しい隔離措置を実施しており、たとえ習近平とてそれを免れ得ず、11月8日から始まる中央委員会総会(六中全会)の出席に差しさわりがある、という理由だ。

 習近平が本当に権力を掌握できているなら、そのぐらい特例措置という形でどうにでもなりそうなものだが、
本当にコロナ隔離問題が理由ならば、習近平の権力集中は意外に順調ではない、ということなのかもしれない

 
もう一つ考えられる理由は、実は習近平は外国首脳との対面外交に自信がない、というもの。これまでの戦狼外交により、中国はこうした国際舞台で西側国家から集中砲火を浴びるくらい嫌われている。習近平には、そうした攻撃を受け止めて反撃するだけの外交交渉能力がないのではないか、ということだ。

 
あるいは、過去に習近平を支えてきた外交ブレーンたち、たとえば経済外交ならば劉鶴、対米外交なら楊潔篪らとの信頼関係があまりうまくいっていない、という見方もある。習近平が、こういう厳しい場面で、安心して振付を任せられる外交専門家がいない可能性も考えられる

 実際のところ、
今の習近平に国際問題や国際関係に心を砕く余裕はないかもしれない。自らの政策がもたらした結果とはいえ、不動産バブル崩壊によって金融危機が発生する恐れが常にあるGDP成長率は失速し、石炭不足による電力供給不足や異様な野菜・食品物価高騰、新型コロナ感染の再発を抑え込むために断続的に行われる小規模なロックダウンに対する庶民の不満も高まっている。こうした国内問題をうまくコントロールできないと、来年秋の党大会でさらに長期独裁体制を確立しようという習近平の野望も頓挫しかねない

 
習近平のCOP26の欠席は、気候変動問題でのリーダーシップを取ろうという中国の野心、一帯一路を通じた中国秩序圏の拡大という野望を阻むという意味では、米国など西側社会にとっては一見よかったかもしれないだが、習近平の本心をうかがい、各国との緊張関係の緩和や妥協点を探る機会が失われたともいえる

 
習近平が来年秋に長期独裁体制を確立するために、国内問題、とくに人民の不安や不満をコントロールしようとすれば、結局、敵を外の世界に作り、国内のナショナリズムを刺激するのが手っ取り早いからだ。むしろ、習近平の「引きこもり」は中国がより危険な底知れぬ国になってきたように思えて不気味である。

 米バイデン大統領はじめ、世界の首脳たちが一堂に会している一方で、習近平は依然として国内に引きこもっている。COP26へのオンライン参加を予定していたものの会議主催者側はオンライン参加を認めず、結局、11月1日に書面での挨拶と提言を受け付けてもらっただけだった。習近平は書面で提言を行ったが、事実上ほとんど無視された格好だと福島さん。
 このCOP26で存在感を発揮したのはバイデン大統領だと福島さん。

 バイデンは、米国とその他の高エネルギー消費の先進国に、気候変動の大きな責任があると認め、今後10年の間に地球温暖化を抑制するためにとる行動こそが後の世代の苦痛を防ぐものであり、決定的な意義があると訴え、前大統領トランプのとったパリ協定脱退の決断および、米国その他の富裕国家が気候変動問題にネガティブな影響を与えたことについて事実上の謝罪をしたのだそうです。
 バイデンとしては、先週のローマでのG20に続きこのCOP26で、トランプ時代のアメリカファースト主義から軌道修正して、世界のリーダーとしての米国の存在感を強くアピールする狙いがあったようだと福島さん。

 このCOP26でバイデンは習近平と会談するつもりであったらしい。
 だが習近平はグラスゴーに来なかった。バイデンとの対面対決をあえて避けたというふうにも受け取られている。武漢でコロナ感染がアウトブレイクして以来、習近平は実に21カ月もの間、中国国内から一歩も出ていない。

 習近平がなぜここまで「引きこもり」に徹しているのか。
 習近平が欠席したことで、一種の欠席裁判風に中国批判が起きていたと福島さん。
 バイデンは習近平の欠席について「中国にとっても、はっきり言って大きな過ちだ」「(中国やロシアは)気候変動の会議においてグローバルな影響力を失った」と述べたのだそうです。

 バイデンと欧州委員会委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエンが、途上国向けのインフラ支援構想「B3W」(Build Back Better World)の促進活動を行った。これは、中国の「一帯一路」戦略に対するネガティブキャンペーンにもなっていたと。

 中国の一帯一路は、「債務の罠」という形で途上国を支配する中国式植民地主義ではないかという批判を受けている。
 中国が掲げる温暖化ガス削減目標とは裏腹に、途上国の温暖化ガス増につながるものではないかという疑いもかけられていたのだそうです。
 COP26の席上ではバイデンが、一帯一路を通じた中国の「特色ある社会主義」的価値観の浸透を防ぐことの意義を唱えたとも。

 習近平のひきこもりの理由は何か。
 本当ならば習近平がG20、そしてCOP26に自ら乗り込んで、こうした米国の動きと直接対決し、どちらが世界のリーダーの資格があるか、参加国に問うこともできたと福島さん。
 一般的に言われているのは、中国では新型コロナ予防の観点から外国からの帰国者に対し厳しい隔離措置を実施しており、たとえ習近平とてそれを免れ得ず、11月8日から始まる中央委員会総会(六中全会)の出席に差しさわりがある、という理由。
 本当にコロナ隔離問題が理由ならば、習近平の権力集中は意外に順調ではない、ということなのかもしれないと福島さん。
 もう一つ考えられる理由は、実は習近平は外国首脳との対面外交に自信がない、というものだと。

 実際のところ、今の習近平に国際問題や国際関係に心を砕く余裕はないかもしれないと。
 不動産バブル崩壊によって金融危機が発生する恐れが常にある。GDP成長率は失速し、石炭不足による電力供給不足や異様な野菜・食品物価高騰、新型コロナ感染の再発を抑え込むために断続的に行われる小規模なロックダウンに対する庶民の不満も高まっている。
 来年秋の党大会でさらに長期独裁体制を確立しようという習近平の野望には、こうした国内問題をうまくコントロールしておくことが必須。

 習近平のCOP26の欠席は、気候変動問題でのリーダーシップを取ろうという中国の野心、一帯一路を通じた中国秩序圏の拡大という野望を阻むという意味では、米国など西側社会にとっては一見よかったかもしれない。
 だが、習近平の本心をうかがい、各国との緊張関係の緩和や妥協点を探る機会が失われたともいえると福島さん。

 習近平が来年秋に長期独裁体制を確立するために、国内問題、とくに人民の不安や不満をコントロールしようとすれば、結局、敵を外の世界に作り、国内のナショナリズムを刺激するのが手っ取り早い。
 江沢民が支持率を獲得するために、日本バッシングをした前例は諸兄がぞ存知の通りです。

 岸田総理、林外務大臣の親中派政権となる日本。大丈夫でしょうか?



 # 冒頭の画像は、グラスゴーでの記者会見を終えた米バイデン大統領(2021年11月2日)




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