Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

GOEMON

2009-05-23 | 日本映画(か行)
★★★★ 2009年/日本 監督/紀里谷和明
<梅田ブルクにて鑑賞>

「クライマックスは3つもいらない」

イケメン揃いに引かれて鑑賞。

私は戦国歴史物が嫌いなので、逆にこのジャンルでとことん遊んでしまえって姿勢は好きです。映像は「300」あたりに近いんじゃないでしょうか。(見てないけど。笑)冒頭、五右衛門がぴょんぴょんと屋根を飛び跳ねるシーンがゲーム画像みたいで先行き不安になるんだけど、ヨーロッパから、中国、エジプトまで、各種文化入れ乱れてのトンデモ世界観は見ていて楽しいです。よくもまあ、これだけ無茶苦茶しよるな、と。

結局最終的には、この「紀里谷ワールド」を受け入れる気分があるかどうかにかかってるんでしょうね。そもそもの心構えというか。私は映画は監督のものだと思っていて、その監督自身が自分の世界観をこれでもかと創り上げることには大賛成。むしろ、それが偏執的だったり、やり過ぎだったりくらいの方が面白がれるタチなので、これはその逸脱ぶりも含めてやりたい放題にやった感が出てて良かったな。

そして、物語の方。独自の解釈と言えども信長暗殺の裏に秀吉ありってのは、割とよく聞く説でしょ。なので、その程度のひねりかと落胆しかけたけど、才蔵との友情話からは、俄然盛り返すのね。自由を追い求めた結果、正義のために行動した結果が、いろんな人間を巻き込み、戦争を生んでしまう。そして、その落とし前は自分でつけるしかないという一つの悲劇になってます。前作「CASSEHRN」の評価をきちんと受けて、今回は奥行きのある物語にしようとしたんでしょう。

おいしい役どころは、何と言っても才蔵を演じる、大沢たかお。あのクライマックスは、しびれました。主役の江口洋介を完全に食っちゃいましたよ。あの大盛り上がりから、15分くらいで映画を締めてくれれば、ホント気持ちよく終われたんだけどなあ。今作も引っ張りすぎ。これが一番の惜しいところじゃないでしょうか。

それにしても、広末涼子は本作でも常に「でへでへっ」と泣き笑い。どの演技も同じに見えるんだけど。そして、なにゆえ紀里谷監督はこれだけの資金を集められるのかが最大のミステリーだ。