Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

さくらん

2009-05-28 | 日本映画(さ行)
★★★ 2007年/日本 監督/蜷川実花
「目がチカチカする」

公開前に「装苑」で衣装に関する記事を読んで興味はありましたが、あまり評判よろしくなくスルー。しかし、「赤い~」と「百万円」が面白かったタナダ・ユキ脚本と言うことでトライしてみましたが…。

絢爛豪華な遊郭の世界。「装苑」の記事によれば、本物の着物では莫大な費用がかかってしまうため、転写プリントの技術で製作しコストダウンさせ、多種多様な着物を作り出したとか。どんな柄の着物が見られるのか楽しみにしていたわけですが、なんとまあ、ギンギラギンの世界。若沖がCOOL!ともてはやされる昨今、屏風や襖に凝りたいのもわかります。しかし着物が派手なら、屏風は格子柄や幾何学模様などという組み合わせでも十分和モダンは実現できるはず。なのにド派手な牡丹の屏風の前じゃ、どんな着物も埋もれてしまう。プリント物大好きの私でさえ、だんだん目の奥が痛くなってきました。

派手ON派手というスタイルには異議を唱えません。十分それで美しく見えるスタイリングもあります。しかし、120分間やみくもにそれが続くのはどうでしょう。ド派手なシーンの後は、落ち着いたトーンを持ってくる。絵がド派手なら、物語、特にセリフ回しは落ち着ける。そうしてバランスを取らないと、見ていて疲れます。ここに椎名林檎ですからねえ。んまあ、こってりし過ぎでしょう。ストーリーもよくある話だしなあ。遊郭の女を金魚鉢の金魚になぞらえるなんざあ、そのままの発想じゃない。遊女たちを、今を生きる女たちに重ね合わさなくてどうする。それが、第一線で活躍する働きマン、蜷川実花の視点になるんじゃないの。

さて、脚本の方ですが、原作漫画があるからでしょうか。とても「赤い~」や「百万円」と同じ人が書いたとは思えませんでした。そして、エンドクレジットに「蜷川組」と出てきたのは苦笑。初監督作品で「組」もなかろうと思います。鼻息の粗さばかりが目に付く作品でした。カメラマンとしての蜷川実花は決して嫌いじゃありません。念のため。