Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

インビクタス/負けざる者たち

2010-09-16 | 外国映画(あ行)
★★★★ 2009年/アメリカ 監督/クリント・イーストウッド
<ブルーレイにて観賞>

「しごく真っ当な映画」

面白くないわけじゃ決してなく、大変感動的な作品なんですけれども、くそ真面目過ぎて、逆に心揺さぶる!という感触には繋がらないです。ただ、だからと言って、他人につまらないから観るのは止めろ、というものでも決してないですね。映画を観た!という満足感はしっかり味わえる作品です。

この作品には、どうしようもない矛盾とか、とんでもない悪人が出てこないんですよね。それが作品全体の弱さに通じていると思う。イーストウッドの達観した、全てを見透かしたような演出は、「善き人が直面する逆境」というシチュエーションにおいて、絶大な効果を発揮する。本作における善き人は紛れもなくマンデラなんだけど、置かれた逆境の向こう側には、敢えて立ち入ってないんですね。もちろん、黒人と白人の対立に関してはそこはかとなく見せていますけど。「グラントリノ」で総括しちゃったので、今回はひと休みってことでしょうか。

ひと休みと言えども、エキストラ総動員のワールドカップのシーンは圧巻です。スタジアムの名前や地名は、つい先ほど行われたサッカーのワールドカップで私も覚えてしまいましたから、とてもなじみ深い。そう考えると、やはりスポーツの力は偉大です。そして、27年間も小さい独房に入っていたマンデラがスポーツ大会を通じて南アフリカの平和を広く知らしめるというアイデアに至ったこともまた感嘆すべきことなのかも知れません。

ブルーレイで観たのですが、本作は通常DVDでも十分だと思います。