Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

エディット・ピアフ 愛の賛歌

2012-04-02 | 外国映画(あ行)
★★★★☆ 2007年/フランス/チェコ/イギリス 監督/オリヴィエ・ダアン
(NHK-BSにて鑑賞)


「激しく生きるしかない」

マリオン・コティヤールがアカデミー賞主演女優賞を獲った話題作なのですが、
アカデミー賞ではここのところ、実在の人物の物真似演技が主演賞を獲るという事態が続いているので
ちょっと見るのをためらっていたんです。
でも、とても良かった。

何がいいって、撮影です。
カメラマンが日本人の永田鉄男ですが、この作品でセザール賞撮影賞を受賞しているんですよね。
ピアフの幼少期の売春宿でのシーンや、晩年期のベッドに横たわるシーンなど、
薄暗い中での撮影が本当に美しい。
陰影の付け方がうまいんですよね。そして、柔らかな光。
私は本作を昼間にテレビ画面で見てしまって、ちょっと後悔。
まだNHK-BSだっただけに、クリアな映像だったと思いますが、
真っ暗な映画館で見たらこの陰影はもっと美しかったんだろうな。

フランス映画ではエリック・ロメールを筆頭に暗いシーンを美しく撮るのが実にうまいんだけど、
しかもこの美しい映像を日本人が撮ってるんだと思うと嬉しい。
「大停電の夜に」もすごく良かったしね。

マリオン・コティヤールも大熱演ですね。
物真似とか言ってごめんなさいと素直に謝ります。

ピアフって、性格のいい女とはとても言えなくて、どうしてそうなるの!?
ってくらい破滅的な方向へ自らを導いてしまうんだけど、私は憎めないです、この人。
同性からしたら好き嫌いの別れるタイプっかも知れませんが。
やっぱり、ピアフの歌がいいし。ズタボロになった体から絞り出すように歌い上げる「水に流して」。
背筋がゾクゾクして、涙が出てくる。
ピアフって人は神様がどんなに傷ついても歌を歌うようにこの世に送り出したんだろうなと思ってしまった。