Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

猿の惑星

2012-04-19 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 1968年/アメリカ 監督/フランクリン・J.シャフナー
(DVDにて観賞)


「色あせることのないテーマ」


久しぶりにオリジナルを再鑑賞。
何度も見ているのだけど、おもしろい。
こんなに面白かったっけ?と思うほど、新鮮。

昨年、エピソード1とも言える猿の惑星の最新作が公開され、
本作と比べるにメイクの技術もCGの技術も格段に違うのですが、
それを見た上でもなお、このオリジナル版には大変引きつけられるものがあります

主人公のテイラーを演じるチャールトン・ヘストンは、
私の中ではすっかり全米ライフル協会会長のイメージが強くて、
なーんかヤなヤツって印象で、ちょっとフィルタをかけて見てしまったんだが、
この映画の中でもやっぱイヤなヤツだった。
妙に自信満々で、せっかく手をさしのべてくれた博士にも態度が尊大だし、
どこまで言っても、「こいつらサルだろ!?」って態度が変わんないワケ。
見ててすっごいイライラする。

でも、このイライラした気分って、
人間が猿にこき使われているのを見ている私自身の不快感も一つの原因なんだと思う。
人間が人間でいる、というただそれだけのことで、こんなに人としてのプライドを持っているもんなんだな
なんてことを再認識させられる。
この作品が示す舞台装置の中で、我々はおそらくひとりとして猿たちの立場に立って見ることはないだろう。
およそ物語に共感して作品を見る、ということであれば、みな不時着した宇宙飛行士に寄り添うしかないんである。
ああ、それなのにテイラーのイヤな奴具合と言ったら…。

しかし、それこそがこの作品の不朽の名作たるゆえんだろう。
テイラーは支配される側の人間達の先頭に立って革命を起こすヒーローなんかではないのだ。
テイラーに象徴される人間の成れの果てがこの世界なんである、と示されることの絶望感。
何度見ても発見のある作品。