うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

追憶の十二湖・青池、旅も終わり--下北半島・白神山地を行く⑦

2008年09月01日 04時20分49秒 | 下北半島・白神山地を行く
 [下北半島・白神山地を行く]シリーズも、今回で最終回。
 わたしたちは岩崎村から国道101号線へ出て、無人の寒村がつづく単調な風景の中を日本海の磯の荒々しい海岸に沿って南下していく。近頃、人気の出てきた黄金崎不老不死温泉、千畳敷は反対側である。道路の山側は、五所川原から秋田県の能代まで通じている単線のJR五能線だ。実は、わたしはなんども来ている割にはまだ走っている車両を見たことがない。
 こちら日本海側は、夕方近くにはサンセットが自然の景勝になる。当たり前の話だが、日本列島どこでも、大体、朝日ではなく海に沈む夕日が見どころになるのだ。
 
 30数箇所ある十二湖は、まだ自然遺産指定区域の緩衝地域の中に位置する。
 いろいろある中で青池は奥の方にある300坪足らずの小さな湖、そのちょっと先に名水で知られる沸壺の池に足を伸ばす。画像はコバルトブルーの青池だが、近年、ここは観光地化されてキャンペーンポスターの公開写真に似てしまい恐縮ものだが、どうしても狙うカメラアングルは似てしまうのだ。

 今、十二湖は、交通アクセスも便利なので観光コースに組み入れられて、団体客を乗せたバスが出入りする。マイカー客も多い。
 わたしにとって、一回目の夏には、地元の人しか訪れずまだ無名の地であったが、木々の葉のライトグリーンが重なり合い爽やかな雰囲気で気分もほぐれたもの。二回目は10月も下旬の頃、紅葉も終わり落ち葉時雨の真っ最中であった。かまびすしい野鳥の群れ、赤く実った山の果実を眺め、散り敷く朽ち葉を踏みしめていく。
 北欧のようなラフな森の中の湖沼群をめぐるそぞろ歩き、しっとりした味わいがするのだ。わたしも、その当時は精気充溢した40歳代前半で、静かな気分をいつくしんだものだ。

 やがて、三々五々散らばっていた参加者の面々は、十二湖ビジターセンターに戻ってきて、昼、汲んできた名水を飲み持ってきたおにぎりにかぶりつく。
 よしよしこれで、旅行企画・添乗員・山岳ガイド・インタープリーターのわたしの役目も終わった。この次はいつになるか、ぜひとも5回目は家族で来たいものだ。
 それから、国道101号線に戻り、一路、秋田空港を目指す。途中、八郎潟を窓外に見ながら進む、次に車で寒風山に登り、道の駅では時間を調整して、後に飛行機に乗った。
 世界遺産白神山地
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あの弘西林道を踏破する--下北半島・白神山地を行く⑥

2008年08月24日 05時20分40秒 | 下北半島・白神山地を行く
 岩木山の尾根沿いを走り山中を抜けてから、弘前市内からの県道沿いにある西目屋のビジターセンターに寄る。
 わたしたちは自然遺産指定区域の緩衝地域の中を、弘西林道(白神ライン)を車でアップダウンを幾度も繰り返して 津軽峠 ⇒天狗峠 ⇒一ツ森峠と抜けていく。弘前市内から日本海側の岩崎村に通じるこの道は生活道路ではないが、トレッキング、観光目的のみでなく緊急用の道路だ。確か、11月から4月までは閉鎖しているはずである。

 2,3年前と比べて道は良くなった、未舗装の砕石道路ながら凹凸がなくなり格段に良くなった。定期的に道路の管理はなされているようだ。ゆっくりと進み、何度も車を路肩に止める。核心地域に位置する向白神岳の山なみ、遠くに鰺ヶ沢湾を望む。
 ここはほぼブナのみの純林(ブナ・イヌブナ)だが、なかにはミズナラ、イタヤカエデ、ナナカマドの高木が混じっている。紅葉の時期も良さそう。咲いている花は少なくて、今はサーモンピンクのタニウツギが目立つ。もともと、林相はシンプルらしい。
 カジカガエルのフィフィフィーという鳴き声がおびただしく、一斉に渓の方からかけ上がってくる。カエルというよりも蝉の鳴き声に近いのだ。カジカガエルはひぐらしのようで少々異なる。夕方のあの寂寥感はなく、擦過音のようで気にする人からは耳障りな音声かもしれない。
 この季節、ネマガリダケ(千島笹)採取のシーズンのようで地元の人たちの車に行き交う。車を止めて、畚(ふご)を身につけて林道から山中に出たり入ったりする。いい現金収入の手段なのだ。
 しかしわたしには、この林道沿いに設けられた‘マザーズツリー巡り’などと、あまりにも俗化されすぎてしまった、という感慨がつよい。以前の秘境っぽい風情を懐かしむ。

 やがて、山を下ってきて笹内川を左側に見る。うっそうとした森林の中を道が平坦になり、ぽつりぽつりと田畑が現れる。それで、わたしはほっとした気分に変わっていく。
 世界遺産白神山地
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くろくまの滝に辿りつく--下北半島・白神山地を行く⑤

2008年08月20日 04時35分38秒 | 下北半島・白神山地を行く
 この旅行もいよいよ最終日の三日目。

 まず、‘くろくまの滝’に旅館のご主人の先導で行く。これは全くの好意であり、ありがたいことであった。この滝は、わたしにとって二回目である。すっかりポピュラーになってしまった‘暗門の滝’よりも不便な道のりだが、わたしはこちらが好きだ。
 安全のためメンバーの後尾をわたしがつとめる。途中、倒木や岩石を配置しなおしながら急峻の山道、渓に道をつくりながら進む。一部に雪渓がある、陥没のおそれがあり危険である。この状況は、なんだか、渓流釣りの高巻きの気配だな。

 宿で、あらかじめおにぎりを昼飯用につくってもらい、各自が身につけて出発する。飲み水の心配はないが食べる店などない。むろん、携帯電話はこのエリアでは通じない。現在、赤石川林道は災害復旧工事のために不通になっており、遠回りになるが岩木山の山麓側の方からたどり西目屋に出て、弘西林道(白神ライン)をルートに白神山地を横断する予定だ。

 なお、白神山地の案内資料としては、地元の青森銀行がつくった次のサイトが、見やすくまとまっている。
 世界遺産白神山地


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いよいよ鰺ヶ沢町から入る--下北半島・白神山地を行く④

2008年08月16日 04時05分45秒 | 下北半島・白神山地を行く
 二日目の続き。
 青函トンネル記念館で昼食後、十三湖を遠巻きに見て、津軽鉄道の金木駅、近くの太宰治の生家‘斜陽館’に立ち寄る。ちょっと観光気分を味わってもらう。一緒のメンバーは文学になど縁がないと思っていたが、やけに熱心に見て回る。ちょっと驚く。太宰治の小説は若い時にかかるハシカみたいなもの。しかしわたしにとって、底が浅くナルシシズムのかたまりなのでつまらないのである。
 次に通ったのは五所川原だ。モバイルのメール通信の必要性の関係でDOCOMOの携帯ショップを探し、用事を済ませる。当初予想していたより、五所川原市内は道路幅もゆったりして大きい商業都市だ。降雪対策もあるだろうが、青森ねぷた祭りの設営、飾り付け場所なども考慮されているそうだ。

 鰺ヶ沢(あじがさわ)町に入る。ここは津軽藩の始まりの地として知られている。鰺ヶ沢は青森では八戸港に次ぐほどの大きな港町だ。海沿いの道路の傍らにはイカの丸干し風景が軒並みに続く。

 わたしは以前の記憶を思い起こし、とつおいつしながら道案内をしていく。
 実はわたしにとって、白神山地は4度目である。世界自然遺産などと騒がれる以前からのこと、ただただ、ブナの原生林にあこがれてだった。
 遠く正面に白神山地を見て、どうにか赤石川を左側に見ながら行くと今晩の宿にたどり着いた。ここのロケーションは、ちょうどその山のとば口にあたる。
 こじんまりとして簡素な、“熊の湯温泉旅館”
 この旅館は季節ごとに山菜とり・きのこ狩り(舞茸が有名)、アユ釣り、クマ狩り、山仕事、土木工事関係者などのベースキャンプ的な要素がある。
 旅館は家族で営み、ご主人は先祖代々のマタギである。わたしは気を利かしてこの日の夕食に、ここでしか養殖されていない珍しいイトウ料理を舟盛りで予約しておいた。肉質は赤身でサーモンに近い味だ。

 写真は、鉄柵の檻(おり)で旅館で飼っているツキノワグマの子熊である。

 この夜、夕食の席で、ちょっとひと騒動があった。わたし一人、到着前後からもやっている変わりやすい山の天気模様を気にしていたのだが、どうなるか。明日から山に入るということで、軽い浮わついた観光気分の参加者に注意を促したのだ。突然変ったように見えたわたしの態度に、皆さんはすっかりその夜のムードが白けたようだ。
 今回の白神山地行は、当時世間で盛り上がっていたユネスコの世界自然遺産にからんで参加者からの行ってみたいという、雑談から始まった。なんでも、ほかにも若い人などに、多々参加希望者があったようだ。ではあるが、わたしにとっては、最初から観光ではなく現地踏査の意識が強い。しょせん、旅行会社のパック旅行はあてにしていない。五感を頼りに自分の足で歩き、自分で車のハンドルを握り行くものでなくては旅ではない。
 わたしから見ると、職業・経歴も年齢も様々、山登りの経験もなく好奇心だけで加わった面々である。今後、それぞれの人生で何らかのエポックになればいい。
 今でも振り返ると後味は悪いが、実にやむを得ないことであったと思う。
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むつ湾~竜飛岬を巡る--下北半島・白神山地を行く③

2008年08月13日 06時04分51秒 | 下北半島・白神山地を行く
 二日目。
 遠回りになるが、一旦むつ市内に戻り、軍都大湊を通り陸奥(むつ)湾沿いに走り、脇野沢港からはカーフェリーに乗り蟹田港に着く。所要40分程だったかな。ここからは津軽半島を走る。下北半島に比べて自然度は低く植生は貧しい。ひなびた農漁村のなかをJR津軽、津軽海峡線に沿って、三厩方面へ進む。途中にトンネル工事の本州側の先進道杭基地跡もある。やたらに長大な羽根をつけた風力発電塔を見かける。

 目指すは、例の歌謡曲‘津軽海峡冬景色’の舞台になった場所、竜飛岬だ。画像では日本の海の三大急流の箇所。日本海と太平洋のぶつかる場所。鳴門のうず潮、関門海峡と並んでそう言われる。なるほど、展望台の双眼鏡で目を凝らして見ると深い渓谷の流れのように波打つ海流がせめぎ合っているのが見える。遠くに北海道がかすむ。
 ここは本州の最北端、吹き来る風のなかで、なんだか遠くに来たなあ、という最果て感をしみじみ感じる。
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大間崎から薬研温泉へ--下北半島・白神山地を行く②

2008年08月11日 03時24分38秒 | 下北半島・白神山地を行く
 恐山から太平洋沿いに海岸道路を北上する。目指すは大間のまぐろだ。
 それから4WDで、大間崎から少々青森湾沿いに走り、県道かもしかラインに入る。結構、秘境のようで原生林の中、おおいかぶさる樹木の枝をよけつつ、未舗装のわだちを確認しゆっくりローリングしながら進む。往きかう人も車もない。この川には森林鉄道の軌道跡がある(画像)。太古の森を分け入っていく感じだ、観光馴れしている参加者の中でも肝を冷やした者もいたらしい。クマとの遭遇、遭難事故があっても不思議ではない。

 夕暮れは迫る。事前に旅館に連絡を入れていたのだが、まさかこの道を来ると思わなかったらしく女将はやきもきしていたらしい。地元の人もあまり利用しないルートだった。
 申し遅れたが、わたしが助手席でナビゲーター役である。実は、こういうところでは車のナビ装置はあまり役に立たない。

 一日目は薬研温泉で泊まる。ここは青森県むつ市(旧大畑町)になる。
 こじんまりとした旅館だが、透明度の高い源泉かけ流しの温泉の質が上等である。ここの名物女将はシャキシャキして対応もいい。その後、わたしもつきあいが続くことになる。
 下北半島薬研温泉・薬研荘
 ちなみに、わたしのことを出せば少しはサービスしてくれるかも!?
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まずは、恐山です--下北半島・白神山地を行く①

2008年08月05日 23時18分30秒 | 下北半島・白神山地を行く
 涼しい夏を過ごすために、これから7回ほどに分けて過去の下北半島・白神山地へのオリジナル旅行の画像をシリーズで掲載していきます。
 時期は6月、関東の入梅直前、二泊三日の旅程です。顔ぶれは千葉県商工労働部が主催した、[平成15年度まちの起業家養成スクール]の同窓生、参加人員は6名。費用は一人6万円ぴったり、観光パックにはあり得ないコースだが、無理に計算してみると10万円弱はすると思う。
 往き帰りの飛行機は羽田→三沢と秋田→羽田で、その間はレンタカーで移動する。クルマは4WD-RV車、トヨタの‘ノア’。
 八戸で休憩し、昼御飯を食べる。これから、地図で言うと、下北半島のあのまさかりの柄と刃部の狭い部分を好い陽気のなかを疾走する。
 まずは、青森県下北半島の恐山です。
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