うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

ある市役所職員からの電話依頼

2009年01月31日 07時25分02秒 | わたしの日常です。
当地ではめずらしい長雨である。思うに昨秋の頃からだから、2,3ヶ月以来になるかな。
 わたしは、ずぼらだ。人前ではまじめに几帳面を装っているが、実体はそうでもない。特に電話を苦手としている。良くないことだが。
 先日の9時過ぎと5時過ぎに、また夕方の7時半頃に携帯に連絡がはいる。見慣れない番号だがと、留守電を聞くとC市役所公園担当のT氏(副主査)であった。一年前の工事の枯れ替えの件だろうか、しかしそれなら当時の会社を通してくる筈だが。
 あれれっと思い、翌日の朝に電話をする。
 用件は、キウィフルーツの育成伸長させた苗木の在庫調べであった。植栽時点で、公園にあるパーゴラの上部に、蔓が届いていなければならない。Iさん、植物に詳しく顔の広いところで、市場性と価格を教えてくれ、とのこと。わたしにとっては簡単な話で昼前までに電話、メールで処理した。キウィフルーツは接ぎ木だから、春先に雌雄の株を一緒に植えればその年には結実が見込まれる。長さは2.0~2.5mのサイズ、単価は3,500円~4,000円+経費。一般的な品種は‘ヘイワード’になるだろう。

 それよりも、わたしのような個人に対して今まで音信もなく一年ぶりに連絡してくるとは驚きである。わたしたちは、他市在住であり入札参加申請もしていない。
 官庁工事を相手にしている業者ならばその辺のニュアンスはお分かりいただけるだろうか。民間と異なる役人の仕事の進め方、習性(!)もある。まあ、どこか、わたしの融通無礙な性格も見込んでいるのだろうが。
 とはいえ、ちょっぴり、忘れずにいてくれたことに対し業界人として自慢したい気分にもなる。たいがいの人はしゃちこばって役所に行くだろうが、これで、わたしはふらっと担当部署に気楽に顔も出せるだろう。
     
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シーフォートスクエアを巡る--天王洲アイル⑤

2009年01月30日 05時44分40秒 | 天王州アイル Project
 
 ≪シーフォートスクエア(SFS・Sea Fort Square・緑の砦≫の正面。
 構成ビル名: “シティグループセンター” “センタービルディング” 
    “JTBビル” “シーフォートタワー(第一ホテル東京シーフォート)”
    “天王洲銀河劇場”

 SFSは、こちら向きに屏風を立てかけたように3棟の高層商業・事務所ビルが並び、ひとつのホテル・マンションの高層建築物と、低層のシアタター“天王洲銀河劇場(・旧アートスフィア)”がある。東京モノレール“天王洲アイル駅”と直結。


 京浜運河側のボードウォーク(遊歩道)をたどる。当時、アメリカ東海岸N・Yのマンハッタン島の景観として、ウォーターフロントと流行語のようにもてはやされていた。対岸に‘品川クリスタルヨットクラブ’があり、東京湾内を豪華遊覧船クルーザーが運行されている。
 実は天王洲アイルでここが一番風の強いところ。運河べりに降りるウッドデッキの階段があり、見通しの良い場所で格好のデートスポットになる。運河でも京浜運河と天王洲運河がつながるこの付近が一番水深が浅く干潟になる、引き潮のときは餌をもとめて水鳥が集まってくるエリアだ。
 しかし、植物にとっては最悪の場所だ、ドンドンH8.0mのホルトノキが枯れ下がり無残なことになりつつある。左右のホルトノキで意匠的に一対で配植した。
   

 “第一ホテル東京シーフォート”の一階、レストラン‘グラン・カフェ’前の緑地、当初、レッドロビンの大刈り込み、中低木、多様な多年生草花があったが、今はすっきりしている。これは結実中のオリーブ、拡大してみると、品種は‘ミッション’かな。
   

 センターコートのマウンド状芝生地内花壇です。維持管理業務の中のひとつで、草花を早春花・春花・初夏花・夏花・秋花と入れ替えたときのもの。画像は良くないですが、リング状のサークル花壇になります。これは、誰のセンスかな。
           

《建築概要》
工事名: BCT-UBEプロジェクト
建築主: 三菱商事㈱ ㈱第一ホテルエンタープライズ ㈱第一ホテル 宇部興産開発㈱ 
開発敷地面積:22,129.38㎡ 建築面積:12,937.45㎡  延床面積:148,476.40㎡
工 期: 平成元年9月→平成4年5月
  オープン: 平成4年7月20日 アートスフィアこけら落とし:平成4年10月5日
総合元請:三菱商事㈱
設計期間: 基本設計・昭和63年8月→昭和63年12月
      実施設計・平成元年1月→平成元年8月
建築設計・監理 :㈱アールアイエー(建築・設備) 構造:鹿島建設㈱(構造) 
照明設計: ミンツデザイン
施 工: 鹿島建設㈱・大成建設㈱・大林組JV
     A棟 : シティコープセンター-- 内装-ザ・デザインスタジオ ・S造 地下2階,地上22階建て
B棟 : センタービルディング-- ・ S造 地下1階,地上23階建て
C棟 : UBEビル-- 内装-鹿島建設㈱ ・S造 地下1階,地上20階建て
D棟 : シーフォートタワー--/(第一ホテル東京シーフォート: 内装-松田平
田,T.S.A,ガルボデザイン ・S造,RC造 地下2階,地上29階建て
     E棟 : アートスフィア-- ・S造,RC造 地下1階,地上 6階建て
当社(第一造園土木㈱):植栽設計・施工/当社不動産仲介 
         
○植栽計画○
 《コンセプト》
耐潮性にもとづく植物の種類の選別地は日本各地に及んでおり, その結果, 正直なところ植物の意匠的な組み合わせに苦心した。解決策として銀白葉. 赤葉などのカラーリーフ, 一般的な緑葉. 紅葉に変化する樹木の四季変化を考えて配置した。 通常の内陸部の植栽計画に比べこの開かれた海浜地区は色彩的に膨張感のあるバタくさい印象を与えることになる。樹種面は運河沿いにスダジイ.アキニレを列植にしており, 中木では思いきって常緑性のオリーブ. 主に大刈り込み用のセイヨウベニカナメモチ(レッドロビン). フェイジョア. ホルトノキを大量に採用した。しかし運河べりの一部では生育が芳しくない。
 敷地の外周線に沿いにかなりの数のパーゴラ.ゲートトラスの工作物があり意匠の面から立面緑化がもとめられた。植え込むつる植物の配植方法については,わたし自身過去に多少の経験を積んできたつもりである。ここの場合支持体への付着. 巻きつき状況を考慮し, 誘引支持材を工夫した。配植方法は常緑.落葉時の樹姿の四季変化を鑑賞できるものとし,つるの伸長性(速度・樹形) などの特性を加えて選び, 樹種は植し, 箇所ごとに組み合わせまとめて植えたものである。
・・施工後のひとこと・・
* 高木の材料は概して不揃いであるが,なかでもスダジイはメンテナンスによる樹形の仕立て直しに時間を要するものとおもわれる。
 * 北側運河沿いの樹木のなかでは特にアキニレが風下方向に傾斜した風衝樹形になっている。ニシキギなどは強風の被害で葉っぱの損傷により, 期待していた紅葉どころではない。
 * 当時の手軽な景観材料として, 各種混ぜた" ワイルドフラワー "は結果的にオオキンケイギク. シャスターデージーの 2種が残り, 特にシャスターデージーは種子の発芽率が高く旺盛な繁殖力を見せつけている。
 * メキシコマンネングサの採用は大成功と言っていい。現在ではセダムの一種としてもてはやされているが, 植え付け. 繁殖方法. 繁殖力に見られる特性は良く, デザイン的な面でも四季を通じてのライトグリーンの葉色は緑地構成のために非常に重宝なものである。
* 通常, 埋立て地の地盤安定に利用されるコモンバーミューダグラス(オニシバ)の生育は, この場所では無難な選択と考えられたが,どうしても伸長がおもわしくない。結果的に全面を高麗芝に貼り替えた。
 《工事概要》
植栽工程; 平成 年 月~平成4年 5月           
受注工事金額: 12,500万
協力業者: 宇部緑地㈱ ㈱成田造園土木 
材料業者: ㈲秋元重次農園     
敷地面積: 11,734.45㎡
施工範囲:植栽工 客土工 樹冠散水設備工(一部) 地表ドリップ散水設備工(一部)
緑地面積:自己敷地; 1,789.8㎡(芝生地:137.2㎡)
    地区公園1号;約2,607.0㎡[緑地 1,348.8㎡(芝生地 849.9㎡)]

・維持管理期間 当社(第一造園土木㈱):平成4年6月~平成14年5月

  現在の状況はどうなっているか、下のサイトをクリックしてみてください。
     天王洲アイル

◆◆建築設計、コンサルタント、ランドスケープデザインの事務所の方々へ◆◆◆

 ほかに、天王洲アイル開発計画に関する建築設計図書・その後の経過等の資料など、お問い合わせに際しては下段のコメント(0)をクリックするか、こちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
        
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マンションの緑を守るには、

2009年01月29日 06時28分55秒 | マンションの植物管理
もうすぐ2月、やがて節分、それに立春だ。 
 先日、ニュータウンにお住まいの埼玉県所沢市内の方から問い合わせが入った。出来て25年ほど経った樹木・樹林が、管理組合の方針では、今、コスト削減のために伐採予定になっている。せっかく緑が綺麗に茂っているのでなんとか、デザイン、機能的に残す方向で調査していただけないか、というもの。地域的にはあの、マスコミで知名度が上がった “トトロの森”の近くであるらしい。
 このブログを見ている方はご存じのとおり、わたしは緑にかかわって(かかずらわって、かな?)30年ぐらいになる。最近の実例では、千葉県浦安市内の750戸の分譲マンションに関係していた。
 そのデザイン・プランニング、施工、グリーンメンテナンスの裏表など、実態、いや実情は想像できる。仕事ではあるが、わたしには、持ってこいの業務、大賛成である。
(それに、以前は無償ボランティアで管理組合の理事長を務めていた経験もあり、その背景と考え方も予想できないわけではない)
 この件について、もろもろの事情が許されれば、その後の経過をUPしていきたい。
 同じ問題でお困りの方がいましたら、どうぞ、遠慮なくご相談ください。詳しい内容、ご予算の目安はこちらです。

 お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
          
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ある人の死と、苦い追憶

2009年01月28日 06時28分14秒 | わたしの日常です。
いまだ寒い日が続く、春遠からじ。
 先日の新聞にある人の死亡記事がのっていた。わたしにとってそのころ二十歳ぐらいだから、そのことは38年ぶりのことである。遅く来た、苦い青春の話だ。
 佐野進さん、旧日本社会党の衆議院議員だった方である。3期務めて引退、享年88歳である。
 当時は東京6区(江東区・墨田区)が選挙地盤で、あの、講演会で右翼少年に殺された社会党の委員長である、浅沼稲次郎の跡を引き継いだのだそうだ。わたしはそのころ、上京後に入った夜間の大学に幻滅し、新聞配達、土方のアルバイトで住み込み働きながら、再度、再入学を期し予備校に入り浪人生活を送っていた。
 世の中は大学紛争の騒然とした時代、学内では毎日集会と政治デモのあわただしく落ち着かない毎日であった。東北の片田舎の高校からのぽっと出のわたしである。社会の変革にと問題意識ばかり山のように抱えて、なにかしなければならないと衝迫していた。当時、わたしは‘心情三派’を自任している。しかしゲバルトなどという直接行動には疑問を感じていた。
 そこで、都内錦糸町にあった佐野進さんの衆議院議員選挙の応援に自分から手弁当で飛び込む。一週間ほど、選挙事務所に通ったものだ。
 やがて、そこで ‘反戦青年委員会’で活動中の都庁職員のI氏と知り合う。
 この間、彼からの今年の年賀状でこの3月に定年と書いてあったのだが、彼は最後に建設局支部の書記長というバリバリの組合幹部であり、いずれ来る社会主義革命を信じて今までずーっとそれを通してきたらしい。

 あのころ、生活の資を得ながら大学に通うという状態であった。それは、慢性的な金欠病の日々である。だからといって貧乏学生は恥ずかしいことではなかったが、将来は会社に入って家庭を持ってなどという人生は全く考えていなかった。
 わたしには、そういう一般的な物質欲、社会的に偉くなろうなどという野心もないのであった。
 しかし、それからが悪い。人生からドロップアウトの日々を送った。悪事はしていないから裏街道を歩んだわけではない。他人に迷惑をかけたわけではない。しかし、周囲の知人はこんなわたしをもう駄目だと思っていたらしい。肉親、兄弟、親戚の心配は遠い世界のことであった。
 その後、たまたま結婚を考え始めた29歳に、職業安定所で探して、やっと、造園という好きな今の仕事に就いた。実は、後日談でも、やり直すのも難しいともいわれたのだが・・・・。
 それから、あるべき道を全速力で追走し、仕事にのめり込む挽回の人生になった。それは模索を重ねつつ、果てしようもない自立の道でもあった。

 どうもわたしは、若い時から、自分の利益になることよりもそういうボランティア活動に一所懸命になる性格らしい。自我にこだわり挙句の果てに自分を見失う、そういう愚かさがあるらしい。
    
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天王洲運河を眺める--天王洲アイル④

2009年01月27日 02時41分57秒 | 天王州アイル Project

 曇り空の午後、この日はこの天王洲運河の対岸でテレビロケがおこなわれていた。交差している左側の奥は、目黒川が注ぐ高浜運河である。多分、浜松町あたりの屋形船がドラマの舞台として出ていたものだ。ここは、若い人向けのトレンディーなドラマのシーンによく登場する。左側のトラス橋が “天王洲ふれあい橋”でここもよくロケ現場として頻繁に使われる。
 右側は東京海洋大学(・旧東京水産大学)のキャンパス、そして遠景はJR品川港南口方面、数年前に新しく整備された高層ビル群の品川インターシティが見える。

 なお、運河を含む天王洲アイル、周辺の微気象・自然環境・魚、野鳥ほかの小動物の生息については、後ほど、『技術資料・海辺の自然環境と植物の維持管理の方向--天王洲アイル⑨』 に書き込みますのでそちらを参考にしてください。

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     天王洲アイル

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【手元の参考資料】
 ・「天王洲アイル・メモランダム 平成14年 3月28日発行 事業主へ提供」
 ・「天王洲アイル・品種名調査報告書(サクラ・ツバキ・オリーブ)平成13年 9月発行 事業主へ提供」
【出版書籍】
 ・「東京人- 東京湾ウォーターフロント特集号 緊急増刊 昭和62年10月1日発行 (財)東京都文化振興会」
 ・「新建築- 都市空間へ-RIAの計画と技法 臨時増刊 平成 8年11月発行 ㈱建報社」
 ・「都市再開発- 建築計画・設計シリーズ32 平成 8年11月10日発行 ㈱市ヶ谷出版社」

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ゆったり空間の天王洲ファーストタワー--天王洲アイル③

2009年01月25日 07時39分34秒 | 天王州アイル Project

 社会はバブル景気の頃、このビルが天王洲アイルではまず最初に建築された。
 天王洲ファーストタワー(TFT・かつての東京MIビル)の内外が機能面、景観上、一番効率よく余裕のあるスペース配分に成功している。
 このビル内には2階に北側と南側に長方形の緑地(テイカカズラの密植)があり、26階はアベリアの植栽、25階にはまとまった屋上庭園がある。屋上庭園のコンセプトは、エゴノキ株立ち・サツキツツジ・キチジョウソウを配した武蔵野の雑木林を再現することであったが、今ではこのガーデンデザインが流行らなくなっていることに気づき、思わず苦笑する。両側の貸し会議場の出席者に配慮し、スタティックな癒しのゾーンになっている。
 ここの高層階からは、快晴の時に西の方角にくっきりと富士山を望むことができる。夕景色も抜群。お知り合いの方がいたら、ご案内をお願いしてみてください。
 
 遠くに見えるのはSFSのシティグループセンタービル。その手前には都道にかかる天王洲大橋、天王洲運河、そしてその水門が背景にある。
 ここは、このビルの北側にあたるが、大きく育った桜並木(サトザクラ、関山・普賢象・駿河匂い・御車返しなど)があり、その先端には天王洲アイルのランドマーク的にこのタブノキが鎮座している。樹高11.0mである。いづれも、植栽時点には風による倒伏、傾倒対策に悩まされたもの。なんどか補修をかさねた。樹幹に傷みもあるが、なんとか、活着し自力でこの場の風景になじんでいた。

 この円弧柱状の奇妙な植栽は? このビル西側部分には、天王洲アイル全域の都市ガス地域冷暖房の集中した設備が設けられており、地階からこの2層階へ大きなパイプがむき出しで連結されている。それを緑でカバーした。
 当時は、垂直面の緑化の技術はなく誘引補助資材に苦心したが、亜鉛ドブ漬けの構造柱にステンレスのワイヤとメッシュを用いた。植物は育成した長さ3.0mのテイカカズラ、ビグノニア、スイカズラを、被覆パターン・スピード、常緑、落葉、開花期により組み合わせた。
 現在、植栽後17年は経過している勘定になる。これは、いちおう、成功例に入れても良さそうだ。
                             
《建築概要》
工事名: 東京MIビル( 緑の広場含む)
建築主: ㈱マタヨシ開発 
開発敷地面積: 7,437.63㎡  建築面積: 3,370.26㎡ 延床面積: 47,248.87㎡
工 期: 平成元年4月→平成3年 7月
建築設計: 建築設計: 佐藤工業㈱ --1棟 地下2階,地上27階建て
店舗設計: 倉俣史朗他 
(緑の広場設計スタッフ; 都市生活工房,スタヂオDUCA,R.e.i, ㈱ミンツデザイン,八木造景事務所→第一造園土木㈱)
施 工: 佐藤工業㈱  外構: 佐藤道路㈱
当社(第一造園土木㈱):植栽設計・施工 /当社不動産仲介
                                    
○植栽計画(東京MIビルのみ)○
 《コンセプト》
ここは天王洲アイルのなかで一番早く完成した建築物件であるが,このインテリジェントビルの外構 計画の場合, 一般的に見かける賃貸の事務所ビルのモデルの要素をもっていると言っていい。必ずしも広いとは言えない敷地のなかの緑地にボリュウムのある構成は中高層建物を修景的に盛り立てている。
量感のある樹姿の高木と豊かな緑葉性の灌木. 地被で立体感のある懐の深い奥行きをもつ植物景観を現出する。なお,樹種としては造園計画上オーソドックスな選び方をしている。
2階.25階.26階の緑地は全て客土厚t =150~450 の人工地盤であり渇水時の灌水用として地表ドリップチューブを布設しメンテナンスに備えている。
 現在, 地上部.25階の緑地には昆虫. 鳥類などの小動物も見られ特に夏から秋にかけ虫や蝉が鳴いたりと, 多様な生息空間を形成している。
・・施工後のひとこと・・
* 施主の植栽要望であるヤエザクラについて資料で探したところ, 耐潮性のある自生種としてヤエノオオシマザクラをリストアップしてその材料を手配した。しかし施工直前になっても, 材料が入手できず急遽, 園芸品種" 関山 "に変更した。データもなく, その後の経過を危うんでいたが通常の成長をしめしたものである。
 * 天王洲アイルのなかでもこの運河側は強風が吹く箇所であり施工直後 3回ほど支柱をやり変えた。秋の台風による被害も受けやすく, 強固な支柱が半永久的に必要と判断している。
 * 工程的に屋外の電気工事との取り合いがまずく, 作業が重複し仕上がりの緑地表面に多少の凹凸がある。
 《工事概要》
植栽工程; 平成 年 月~平成 3年 7月           
受注工事金額: ¥5,500万
協力業者: ㈱小金井園 昼間工健 
材料業者: ㈱小金井園     
敷地面積: 11,734.45㎡
施工範囲: 植栽工 客土工 地表ドリップ散水設備
緑地面積:地上部・自己敷地; 282.0㎡
  2階緑地; 75.9㎡  25階緑地(空中庭園); 321.9㎡ 26階緑地  156.0㎡  地区公園4号; 約380.0㎡(緑地78.8㎡)
(25,26階: ㈲大洋緑化.㈱サンホープ 設計施工)

・維持管理期間 当社(第一造園土木㈱):平成4年4月~平成16年 3月
 
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     天王洲アイル

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緑の広場を俯瞰してみた--天王洲アイル②

2009年01月24日 07時34分39秒 | 天王州アイル Project

 ≪緑の広場≫をスカイウォーク(天王洲アイルの空中回廊)から見る。

 入り口部分はこんもりした森で、中央部から後部にかけては自由な縦横断を予想して導線を設定しており、その幾何学的模様内に植物をはめ込む。この方形のグリッドデザインは角度を真北の方角に振っている。
 実は、ここが天王洲アイルで特に凝った仕上げで際立つ場所。
 珍しいアキニレの遅い黄葉は、この広場の主木である。配植的には地味な樹木だが、ここではアキニレの仕立物を探し出して植栽した。アキニレを選んだその主な要因として、耐潮性、市場供給度、落葉による掃除を考慮に入れて採用している。
 なお、すべての植物の支持は地中支柱である。紹介が遅れたが、大々的に樹冠散水装置を各樹木ごとに設置した。

 天王洲ファーストタワー(TFT・かつての東京MIビル)

 遠景はSFSのシティグループセンタービル


 ≪緑の広場≫のちょうど真ん中が、四角くGL-200×2で40cmほど下がっていてウッドデッキのサンクンガーデンになっている。その四隅に樹高8.0mのタブノキをシンボリックに植栽。この下は地下4階まで駐車場になるのだが、ここの緑地は全て、いわゆる、屋上緑化である。ちなみに植栽については色々構造的な制限があり、客土厚はt=1,100mmと極めて薄い。
 夏祭り、クリスマスのときはイベント会場になり盛り上がったもの。
 実はあまり一般に知られていないが、天王洲アイルはテレビドラマ、CM撮影の商業写真にと、制作・舞台設営など、その世界では人気のロケ現場として有名である。
 そこでもしかしたら、名の売れた俳優、女優に会えるかもしれない。平日の夕方、夜間、それに毎週、土日祝日の日には必ずどこかで撮影をしている。そのなかでも、 ≪緑の広場≫が一番多い。手頃な場所ということになるだろう。ロケーションとしては、次に、このTFTビル内外、すぐ横の天王洲運河の順番である。

         
○植栽計画<緑の広場( ・旧中央広場)のみ>○
 《コンセプト》
 緑の広場の地下部分に地域冷暖房設備を内蔵するステーションになっており, 植栽地である地上部は客土厚 t=1,100 の人工地盤であり緑地を形成している。その樹木の全てを地中支柱で固定, それぞれに潮洗い用の樹冠散水設備を設置する。中央部にはスリムな樹形に仕立てた落葉樹の秋楡を碁の目状に植えプラザに彩りを添
えている。広場に林立する木製の工作物パーゴラ. 出入り口のアーチには花. 葉色
の変化する季節感のある様々なつる物でおおう。  

・・施工後のひとこと・・
 * 人工地盤による緑地で施工, 高木樹木はすべて地中支柱で固定しているが,風による傾き, 倒伏が見られず安心した。
 * ここのアキニレはスマートに仕立てた樹形を探して植えた。植付け時は樹冠散水設備をフル稼働して活着させたものである。
 《工事概要》
植栽工程: 平成 年 月~平成 5年 2月           
受注工事金額: ¥2,500万
協力業者: 芝茂造園建設㈱ ㈱富沢造園 関東イリゲーションン㈱ 
材料業者: ㈱富沢造園     
敷地面積 : 約2,835.0㎡
施工範囲: 植栽工 客土工 樹冠散水設備
緑地面積: 植栽基盤→人工地盤(緑地面積); 601.3㎡

・維持管理期間 当社(第一造園土木㈱):平成 6年 1月~平成16年 3月

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天王洲アイル駅周辺をブラブラする①

2009年01月23日 06時18分24秒 | 天王州アイル Project

ある日の平日の午後、天王洲アイルをブラブラする。
 開発計画は10数年前に、大手商事会社が主導しこの地域の民間地権者の共同ですすめられた、都市再開発事業である。ここは目黒川などでできた河口の砂洲であったが、江戸時代末期は外国船防御への対策の台場が築かれた経緯がある。
 古地図のサイト、Old Map Room 七つの砲台を参照されたい。
 時代は降ってその後、開発以前はしばらくは油槽倉庫などが立ち並ぶ物流中心のエリアであった。 ちなみに、当時の社会の経済情勢を反映して、このプロジェクトはあの中曽根内閣のころ、‘民活の模範’と言われたものである。

 ここは、上方を羽田空港とJR浜松町駅を結ぶ東京モノレールの軌道が走り、右手に各棟からのブリッジ、天王洲アイル駅があり地上部の入口である。手前が ≪緑の広場≫のゲートエントランス、高速道路横羽線の下の都道の横断歩道を渡ると、≪シーフォートスクエア(緑の砦・SFS)≫メインエントランスになる。
 JR品川駅港南口からはシャトルバスが便数多く運行、また、歩くと15分以内だろうか。
 近くに、徒歩数分のりんかい線の天王洲アイル駅があり、新木場とJR山手線大崎駅を結ぶが、埼玉方面から池袋、新宿、渋谷を通る直通車両もある。アクセスは非常に良くなった。
 一見、錯綜した印象ではあるが、実際はそれほどでもない。 

 ここの都道18号線は歩道を全面的に整備して、街路樹木は既存のヤマモモからホルトノキとモリシマアカシアの混植とシャリンバイ(+ベニバナシャリンバイ)に替える。


 エントランスを構成する大きなゲートパーゴラ(I鋼トラス構造、材質:米松)に様々なつる植物を這わせている。誘引補助資材として土木トリカルネットを転用している。
 人工的な工作物と野性味あふれる旺盛な登攀性・可憐な花を付ける植物で構成する。まずは常緑、落葉性の ツタ(ヘデラ・ヘリックス、ナツヅタ)があり、春先から初夏にかけて カロライナ・ジャスミン、 モッコウバラ、 ノウゼンカズラが咲きみだれ、冬場はツルウメモドキの赤い実が彩る。
 グラウンドカバープランツとして おかめづた(ヘデラ・カナリエンシス)を美観的に植栽。


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【手元の参考資料】
 ・「天王洲アイル・メモランダム 平成14年 3月28日発行 事業主へ提供」
 ・「天王洲アイル・品種名調査報告書(サクラ・ツバキ・オリーブ)平成13年 9月発行 事業主へ提供」
【出版書籍】
 ・「東京人- 東京湾ウォーターフロント特集号 緊急増刊 昭和62年10月1日発行 (財)東京都文化振興会」
 ・「新建築- 都市空間へ-RIAの計画と技法 臨時増刊 平成 8年11月発行 ㈱建報社」
 ・「都市再開発- 建築計画・設計シリーズ32 平成 8年11月10日発行 ㈱市ヶ谷出版社」

 ほかに、天王洲アイル開発計画に関する建築設計図書・その後の経過等の資料など、お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
        
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書き込み予告です。--天王洲アイルを訪ねる。

2009年01月22日 06時46分10秒 | 天王州アイル Project

先日の午後、思い立って天王洲アイル(TENNOZ ISLE)を訪れた。このエリアを都市再開発として計画し、工事が完了しすでに十数年経った。
  所在地:東京都品川区東品川二丁目地先

 わたしは、この計画に対し当時から不動産取得の経過、開発協議会の開催のながれ、総工事金額を含めていろいろな情報を持っている。また事業者が変わったり、所有者の移転、そしてこの地域の会社人事面、リピーター・来場者層、自然景観の変遷を見てきた。しかし、ここではわたしの担当分野である“植栽計画、施工”に限り情報をオープンにしていきたい。

 わたしは天王洲アイルの核心部分の開発計画にたずさわった。以下に、箇所名を竣工順に列挙してみる。なお、各敷地内、建物の地区公園、パティオ、屋上庭園、人工地盤緑地を含んでいる。()の名称は現在のもの。
 1.東京MIビル(天王洲ファーストアワー・TFT)
 2.中央広場(緑の広場)
 3.BCT=UBEプロジェクト(シーフォートスクエア・SFS)
 4.都道18号線
 5.三菱商事天王洲ビル・MCT(スフィアタワー天王洲・STT)
 6.区道3号線
 7.品川共同ビル(JALビルディング)
 8.天王洲ふれあい橋
 
 植物は塩分に弱い性質がある。そのために事前に大井競馬場内にスペースを借りいろいろな植物を集めその経過を数年がかりで観察した。その試験植栽のデータを天王洲アイルに反映させたものだ。わたしは、そのころの“植栽計画”の当事者であり、また、10年間はここの会社で日常的に仕事にいそしんだ所だ。
 この機会に、そのころまとめた技術資料をふくめてこれから10回ぐらいの連載でご紹介していきたい。天王洲アイルはどういう場所なのか、今はどうか、を画像と文章でくりひろげていきたい。

 ここは、上方を羽田空港とJR浜松町駅を結ぶ東京モノレールの軌道が走り、右手に各棟からのブリッジ、天王洲アイル駅があり地上部の入口である。手前が ≪緑の広場≫のゲートエントランス、高速道路横羽線の下の都道の横断歩道を渡ると、≪シーフォートスクエア(緑の砦・SFS)≫メインエントランスになる。
 言わば、この付近が天王洲アイルの中枢であり正面の顔である。


≪緑の広場≫から、北西方向≪天王洲ファーストタワー(かつての東京MIビル)≫、を望む。


天王洲アイルの最南端に位置する、≪JAL本社ビル≫の地区公園。

                                
【植栽計画・植栽工事--プランの要旨.監理上の留意点】     
 この天王洲アイルの開発計画は, 日通サービス㈱グループの不動産部門の会社である東洋土地建物㈱が扱った物件である。かつての東京油槽倉庫㈱の敷地を今のSFSと緑の広場とSTTとを, 東京MIビル用地と等価交換する土地のとりまとめと仲介事業が発端で開始された。 同グループの一員であるわたしたちも加わる。設計協力として設計事務所(㈱アール・アイ・エー), およびゼネコンの設計(佐藤工業㈱) に側面から造園計画を担当することになった。施工段階にも樹木材料の調達ととも, それぞれのゼネコンの協力施工業者として名をつらねた。
 法的な開発計画の天王洲アイルの全体設計のもとで総合設計制度が適用になり,用途地域. 飛行高度制限. 土地利用計画. 公開空地. などの規制があり,外構計画のなかに新規に緑地が設けられた。公共に提供する敷地として, 新設の公園. 道路, 既存道路の街路改良計画. 人道橋があり全て自費工事扱いである。
 この開発する敷地の外周地域は東京湾につらなる運河に沿って国土交通省(旧建設省)の管轄である。岸壁は近年造られた直立護岸と, いわゆるお台場は神奈川県の真鶴石, 静岡県の伊豆石を用いて江戸時代末期の幕府の戦略的な要塞目的で築造された石積護岸になっている。これは計画的に一部復元されている。
外構計画の意匠はアメリカ東部海岸のウォーターフロントに見るバッテリーパークとボードウォークを,JALビルディングは北海道の札幌市内の『サッポロファクトリー』に着想を得ているとおもわれる。
わたしども当社のあつかった工事物件は, 各ブロックの街路計画にもタッチしており,植栽計画を中心にして設計・施工の業務を担い, その内容は次ページ以降にまとめている。総合すると, 当社の受注工事金額は当時の3億4百万円になる。
`植物' が市民生活に及ぼす影響の度合いを考慮に入れる植栽計画は, 利用者. 鑑賞者の意識部分に対するパースペクティブ的扱いにより, 日常の生活上に本来あるべき植生を重視したり本来ない植物設計になったりするものである。植物設計の特徴としては, 悪く言えばごった混ぜ, 植物材料は亜寒帯から亜熱帯性の気候帯に生育する新樹種の採用など樹種数の多さは植物園と揶揄されたところであるが, 意匠の整合性ははかったつもりである。
 また樹木の耐潮性の問題については,台風被害の現場を西日本の各地で見かけたせいで造園樹木の代表的な樹種であるケヤキとクスノキは排除している。これに関連して東京都港湾局. 学会誌などで海浜植栽の資料. データを渉猟したり,東京湾岸の植栽地の現地踏査を重ねてきた。および精力的に日本各地の自生地である山林. 栽培地である圃場の樹木材料探しをおこなう。
北海道の札幌市近郊の北広島. 早来町ではかえで類の北方系樹木, 帯広市 .上士幌町ではハマナスなどとともにコニファーのグラウンドカバー, 国有林の山にてえぞやまざくらの株立ちを集める。パーゴラに這わせるやまぶどうは岩手県北部の山林で掘らせた。材料の集荷地でもある関東地方では千葉県の富里町. 成田. 八街. 木更津の各市, 東京都内では小金井市. 調布市では一般的なやまももなど,つつじの低木, 埼玉県狭山市では仕立物のあきにれ, また静岡県の富士宮市ではすだじいを見てきめる。西日本の岡山県新見市では赤松の山林に入りそよごの自生木を二度にわたり検分し, 四国では香川県高松市鬼無でオリーブ林を見学した。九州の宮崎県川南町でたぶのきとやまももを, 鹿児島県出水市. 高尾野町でほるとのき, 熊本県の天草下島. 牛深市でモリシマアカシア,フサアカシアを圃場にて確認した。
以上を踏まえつつ, 同時に各樹木の耐潮性の有無を検証するために試験植栽をおこなってきたが,この考察の内容は後ほど詳しく触れることにする。
 圧密変化を促す地下躯体がらみの盛土材の山砂以外は, 客土計画としては緑地への埋戻し用土を植物のための全面客土とし場外からの購入土とした。客土材料の設計について, 黒土は保水性に難があるために, 関東ローム層のなかの赤土を植栽基盤材料のベースにしている。その赤土にパーライト系( 真珠岩) の人工軽量骨材を20~30% 封入して土壌の団粒化を促し理学性を改善して, 地中微生物の活動の活性化を促進している。SFSにはバーク堆肥と保水剤を前記土壌に攪拌して使用した。
 支柱計画は, 季節風. 局地風に耐えて塩分による腐食が少ない頑丈な支柱形式にする。埋設しっ放しになる地中支柱については, 美観的に目立つところ. 人の動線に支障があるところに使用している。しかし植栽場所によっては強風によりそれのみでは支持できない樹木もあり,従来の二脚鳥居組合せ支柱などの強固な支柱と併用した。
 植物に対する散水計画は, 自動散水設備を植栽計画当初から導入を提案した。手撒き散水の所要時間. メンテナンスコストを検討すると, どの位合理的なことかとおもう。潮洗い用の樹冠散水とともに植物への水やりの形態として効率的な地表ドリップ(点滴)を採用した。このシステムは当時それほど普及していなかったとおもう。いずれも散水時刻は, 来訪. 集客タイムをずらしAM02:00 ~ 06:30の時間帯にセッティングして自動的に散水量が制御されて供用に至っている。
 また, 利用者の鑑賞上の便宜を考慮して樹名板を取り付けた。
 植物設計の可否, 施工時の苦心した点については以下の点があげられる。

  ・・全体・・
 * 一部の工事場所を除き, 植栽工事は全体工程のなかではどうしても後廻しになりがちであったが, 図面による綿密な植栽位置の確定と入念な施工打合せにより, 樹木の配植構成も当初の計画の狙いどおりにいき緑地表面もほぼ満足できるものになった。
 * 外構工程のなかで他の外構工事, 特に石張り.舗装. 電気工事にからんだ客土搬入時期の取り合いは仕上げのこともからみ気を使った。
 * ホルトノキは港区役所が天王洲アイルを見にきて新樹種として区内の街路樹として採用している。
 * 結果的に, 海浜部の植栽工事としては比較的枯損した樹木が少なかったと判断している。幾分, 密に計画した植栽数量も緑地全体にその後の自然淘汰による減少は見られない。内陸部の植物よりも厳しい気象のストレスを受け樹木の枝幹部の肥大スピードが遅いものとおもわれる。
天王洲アイルの植栽計画については,建築設計事務所のもとで全体設計に加わったが,わたしは設計方針として施主ごとに建築物の植栽計画においてそれぞれ異なるイメージ. 趣向をめざした内容にして個々の性格を持たせたつもりである。そのことを, 設計者という立場で言うことが許されるとしたら,例えとして日本文学の古典である万葉集の和歌で言う作者不明の『詠(よ)み人しらず』を意味している。

 現在の状況はどうなっているか、とりあえず、下のサイトをクリックしてみてください。
     天王洲アイル

◆◆建築設計、コンサルタント、ランドスケープデザインの事務所の方々へ◆◆◆
【手元の参考資料】
 ・「天王洲アイル・メモランダム 平成14年 3月28日発行 事業主へ提供」
 ・「天王洲アイル・品種名調査報告書(サクラ・ツバキ・オリーブ)平成13年 9月発行 事業主へ提供」
【出版書籍】
 ・「東京人- 東京湾ウォーターフロント特集号 緊急増刊 昭和62年10月1日発行 (財)東京都文化振興会」
 ・「新建築- 都市空間へ-RIAの計画と技法 臨時増刊 平成 8年11月発行 ㈱建報社」
 ・「都市再開発- 建築計画・設計シリーズ32 平成 8年11月10日発行 ㈱市ヶ谷出版社」

 ほかに、天王洲アイル開発計画に関する建築設計図書・その後の経過等の資料など、お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
        
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ヒマラヤの草花?

2009年01月18日 07時41分55秒 | ガーデニング・庭づくり
快晴、冬のある昼下がりのこと。
 ここは、東京都内の海を埋め立てをした、りんかい線のある駅の近くである。周辺は住宅地帯ではなく、上部を高速道路湾岸線、産業優先の国道、ひっきりなしにクルマがゆきかう交通量の多い市街だ。都市計画法的には準工業地域になろうか。ある意味で無機質な雑踏、殺風景な光景。
 その場所、粗粒アスファルト舗装の歩道・縁石と万代塀のすきまにしぶとく生えているのだ。どこからか種子が飛んできて発芽したものらしい。とても日本的な路傍の雑草、というイメージではない。多分、ロケーションからしても、海岸沿いとか海の港湾に多く見受けられる、外国原産の帰化植物だろう。

 冬日と影に・・
  

 拡大してみると?
  
 これはなんという草花かな? 草丈25.0cm、そしてその巾50.0cmはゆうにありそうだ。原産地はどこか。実は、わたしにもわからない。
 やせ地、乾燥地、常緑性、アルカリ性、強健性、自家受粉、虫媒花、風散布型、種子繁殖など、生育環境、色々な植物の特性をあてはめてみる。砂漠の植生か高山植物か。植栽計画上は、やはりロックガーデン向きと言えるだろうか。
 なんとなく誰にも見向きもされず、ボテッとしたように量感のある草姿を見せているのだ。葉の色合いは淡くシルバーグレイ、日本語で形容すれば銀白色あるいは銀葉、さわるとほとんど毛皮ないしはビロードの触感である。どうも、派手でしっかりした花を咲かせそうだ。キク科、シソ科、ユキノシタ科か? わたしの知っている植物では、ラムズイヤーの巨大版かなと脳裏を忙しくよぎっていく。
 それに、いつだったか、ブータン、ネパールなどのヒマラヤ山脈の青いケシに興奮し調べていたときに他の野生種でこんなのがあったなあ。
 そこで、少し調べると、標高4000-5000mの高山帯には植物体内で自家温室を持ち開花受粉をおこなう ‘温室植物’、それに ‘セーター植物’というのがある。なんとも奇妙で不思議な植物形態のものである。ほとんど、ご冗談を、の世界である。

 しかし、日本のこんなところに来るまでの経路は、一体全体、どうなっているんだろう。
 若い時から、知らないことはそのままにできないわたし、ぜひぜひ、どなたかご存じの方は教えてください。
       

 正解はビロードモウズイカでした。a.chieさん、教えていただきありがとうございました。
     
コメント (2)
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金柑とパンジー

2009年01月17日 06時53分34秒 | わたしの日常です。
もうすぐ大寒、今が一番寒い。気象情報を見ると、ここ千葉では、昨年の今頃とちがって、正月からマイナスの零下の気温が続いているようだ。ピークが-6.0℃近くもあった。
 画像は色づいた金柑の植木鉢に、黒目の黄色いパンジーとビオラを簡単に寄せ植えしたもの。玄関に置いているが、寒空のなかで雰囲気が少しは明るくにぎやかになったかな。 
         
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ギボウシの参考図書、文献、Webサイト

2009年01月16日 15時50分06秒 | 展示会・資料紹介・ホスタガーデン

 ギボウシにとってはオフシーズンの季節、一月も半ばになって、[ギボウシの観察と栽培- 渡辺健二著ニュー・サイエンス社]を読む。
 今ではなかなかこの本は入手困難な本である。昨年の11月、ある園芸専門書の書店から古書として、やっと、時価¥3,500.(定価¥824.)で購入した。
 これは渡辺健二氏の愛好家としての思いが充溢し、収集、栽培経験をふりかえり判明したことを演繹的にまとめられた内容の書である。それゆえに、学問的に知的に整理し分析を加えたものとは異なっている。内容は今のわたしにとって、既知の部分が多く、やや喰い足りないが、〈ギボウシ〉フリークにとっては良い手引き書であろうか。
 なお、渡辺氏は静岡県にある御殿場農園の経営者で、ギボウシのモデル、《日本ギボウシ見本園》を日本で初めて開設し公開している。いわば、功労者である。
 
 小耳にはさんだうわさによると、日本ギボウシ協会により企画されている現在進行形の「ギボウシの品種図鑑」の本の発行計画があり、神奈川県鎌倉市内のアボック社(?)で出版を予定しているそうだ。これから先、非常に期待したいところだ。

 ところで、昨年の10月5日に、≪ギボウシの参考図書、Webサイトほか≫でギボウシの情報をまとめてみたが、このたび再度、修正しながら第二回目として公開してみたい。

 わたしの場合、品種の確定のサイト上の参考写真は以下の通り。
 Web上にてのギボウシの品種図鑑は、 <おぎはら植物園>、 <サンドニ(St.dennis)氏>、 <04浜名湖花博 擬宝珠の写真集>、既に幻になったよじろう氏の運営サイト、<Yojiro’s Collection Index>などを順番に愛用し参照させていただいている。最新品種については、<Sunsethill Ggrden>を参考にしている。
 ついで、特に、W.G.Schmid氏の <Hosta Library>については、英文読解に難渋しながらも、そのあっけないほどの明快な、科学的な研究分析、増殖、栽培法に幾分あわてている状況である。これは厖大なサイトで読みつくすのに数日間は(それ以上???)かかりそうである。

 精度の高い情報にはほど遠いが、下段にギボウシの参考図書、それにある程度オーソライズされたものとしてやや古いが文献・学術論文、最新のWebサイトを列挙してみた。
 わたしの立場はあくまでも、ランドスケープデザイン、造園設計、商業施設のディスプレイなどのインドアガーデンのコーディネーターです。そこでは、ギボウシについて、効果的なプランニングをしたらどうなるかが目的であり、そしてたまたま育てるのが小さい頃から好きで始まったものです。すべからく、好きこそものの上手なれ、わたしにとって、直接の生産・販売、商品化はその延長線上にあるものです。必ずしも自生地での原種収集、人工交配で新品種作出の山野草コレクターではありません。以後、誤解なきようよろしくお願いしたい。
 園芸家、植物好き、〈ギボウシ〉フリークの皆さん、内容に誤りとか不正確の記述がある場合は、ぜひともご指摘願いたい。どうか、追加とかも気兼ねなく意見を期待したい。公開を拒否される方も連絡ください。即時、対処します。
 


【参考図書】
 ・[ギボウシの観察と栽培- 渡辺健二著 昭和60年5月8日発行 ニュー・サイエンス社]

  ・[「趣味の山野草 1980年 No.3 新緑号 5月号 特集:ギボウシの魅力」(株)月刊さつき研究社編 昭和55年5月 同社刊 B5判 pp.106-128 (計23頁)「ギボウシ特集」(前川文夫、加茂元照、他著)]

  ・[THE HOSTA BOOK- Paul Aden著 1997年発行 Timber Press社]

 ・[The Gardener's Guide to Growing HOSTAS- by D. Grenfell (1998 英国) B5判 160頁 ハードカバー上製。 定評ある"The Gardener's Guide to Growing (GGG) " シリーズの1冊。「カラー写真版ホスタ(ギボウシ)の栽培と楽しみ方ガイド」。来歴、植物学的解説、栽培管理法、繁殖、庭園植栽法・花壇演出アイデアと実例、日・米・欧・オセアニア各地の栽培状況、主な原種・園芸種の品種解説。著者は英国人ホスタ栽培研究の権威。]
 
 ・[The Genus HOSTA- by W.G.Schmid (1999 米国)再版最新版 A4判 428頁+カラー写真40頁 表紙カバー(dust jacket)付。 内容:「米国人学者の手になるギボウシ属大事典」。 カラー写真200点以上、モノクロ写真200点以上。原種、変種、変異種、園芸種、シノニム(異名)を約3500種収録。学名、英語名はもとより日本産品種約300種については日本語名称を漢字とカナで表記。その他、植物学的検証、来歴(日本、朝鮮半島)、栽培、管理、繁殖、文献、他。ギボウシ愛好家、研究者必携の1冊。1991年初版以来、1993,1997,1999年と版を重ね、本書は最新版。]

 一般の園芸書としては次のものがある。  
  ・[斑入り植物の観察と栽培- 広瀬嘉道著 昭和61年5月20日発行 ニュー・サイエンス社]

 ・[斑入り植物集 第二巻- 広瀬嘉道著 昭和年月日発行 ヴァリエ・ナイン社]

 ・[A-Z ENCYCLOPEDIA of GARDEN PLANTS- Christopher Brickell著 1997年発行 Dorling Kindersley社]

【文献・学術論文】
 ・[“ ” - 実際園芸雑誌 菊池秋雄 1935年]

 ・[“ ” - 実際園芸雑誌 岡見義男  ?年]

 ・[増補日本植物図鑑- 牧野富太郎 1940年]

 ・[日本植物名彙- 本田正次 1957年]

 ・[日本植物誌- 大井次三郎 1961年]

 ・[原色日本植物図鑑- 北村四郎他 1964年 保育社]

 ・[“ギボウシの染色体数について”- 植物研究雑誌 前川文夫/金子賢一郎 1968年]

 ・[“ギボウシ属植物数種の細胞学的研究” - 植物学雑誌 金子賢一郎 1966年~1970年]

 ・[最新園芸大辞典- 前川文夫 1969年 誠文堂新光社]

 ・[“日本のギボウシ”-「新花卉」 前川文夫 1971年 タキイ種苗]

 ・[“日本のギボウシ地図”- 「ガーデンライフ-1972年8月号」前川文夫 誠文堂新光社]

 ・[“日本産ギボウシ属”- 植物分類地理雑誌 藤田昇 1976年]

 ・[“ ”- 植物研究雑誌第59巻 前川文夫 1984年]

 ・[園芸植物大事典(全6巻)- 塚本洋太郎総監修/藤田昇 1990年6月発行 小学館]

【Webサイト】
 ・世界最大級の品種量を持ちすべて公開中のギボウシの資料と画像サイト。英語版。
       Hosta Library

 ・NAGY版 植物図鑑
        ユリ科ギボウシ属

  ・ONLINE植物アルバム
       ユリ科ギボウシ属 


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夕焼け--吉野弘の詩

2009年01月12日 07時40分28秒 | 俳句・短歌、またはエッセイ

夕焼け

いつものことだが
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが坐った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。 
娘は坐った。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかし
又立って
席を
そのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘は坐った。
二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
可哀想に
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をキュッと噛んで
身体をこわばらせて-----。
僕は電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
何故って
やさしい心の持主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで
つらい気持で
美しい夕焼けも見ないで。 
 [吉野弘全詩集- 青土社] [吉野弘詩集- ハルキ文庫 角川春樹事務所]

 昨日につづいて2編目である。相手の気持ちを純粋に思いやる、こんなにかなしいほどの優しさはわたしには辛すぎる。若い女性の未来を思うのだ。
 吉野弘の詩は平明さが特徴的である。しかし、自分でも真似して作ろうとするとなかなかうまくいかない。気取り、けれんみ、ペダンチックには無縁、ごく日常の言葉をつかって表現している。そして、その言葉はわたしをふり返らせてくれる。
 吉野弘さんは、今、長寿を全うしつつあるようだ。これからも、よりいっそうのご健康をお祈りしたい。
 いつか、わたしの隠れた特技(!)である詩の朗読の席があったら宮沢賢治の‘風の叉三郎’の一節、‘雨ニモ負ケズ’とともに、とりあげたい内容の詩だ。
   
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祝婚歌--吉野弘の詩

2009年01月11日 07時53分50秒 | 俳句・短歌、またはエッセイ

祝婚歌

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい
 [吉野弘全詩集- 青土社] [吉野弘詩集- ハルキ文庫 角川春樹事務所]

 先日ある本を読んでいたら、政治評論家であるその著者にしては意外なことに吉野弘という詩人が紹介されていた。わたしは、戦後の詩人では山本太郎、吉本隆明が好きであったが、あらためてここに掲載する。よく若いカップルの結婚式などに、長渕剛の‘乾杯’の歌のように、詩の朗読などでこの詩が式場で披露されるらしい。
 もちろん、ここには、わたしの結婚生活30余年の感慨もはいっている。
   
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フェイジョアの果実と参考図書とWebサイト

2009年01月08日 07時15分11秒 | オリーブ・フェイジョア栽培日記

 正月休み明けの先日、あるところでフェイジョアの果実を拾った。これは、かれこれ12年前にわたしが植栽計画で入れて、育っていたもの。緑地内に樹高1.5mで3本ずつ2か所に千鳥状にレイアウトし、風倒対策を考えて八掛け支柱で植えた。現在は、切詰め剪定のせいで大きく伸びず幹が太くなっている。
 (ここで一言。植木職人が行う剪定と果樹の枝打ちは基本的に異なる。結実を促すには、むしろ主幹を立てたら整枝以外に間引きを中心にして行い枝先の刈り込みは絶対にしない。果樹は開花・結実枝優先であり、特にフェイジョアに多い車枝・徒長枝などは幹が強風により裂けやすいので残す枝を吟味して行いたい。果樹を植木剪定などと安易に行う場合が多いので要注意だ。)

 造園業界では、山採り圃場栽培にかかわらずどんな樹木でも原種・野生種が多く植木材料として扱われるのだが、指定していなければ品種不明でも構わないことになっている。
 そのフェイジョアの樹の下で、ヴィンカミノールの地被の上で誰の目にも触れず目立たず自然落下していたものを、拾得した。

 このごろのわたしは、妙に種子・果実づいている。
 帰宅後、早速、食べてみると、わたしが持っている ‘クーリッジ’より味は良さそうだ。まんまるくピンポン玉の大きさで小ぶりだが、これはジューシーな食感だ。しかもザラザラしたゼリー状感覚ではない。調べると品種は自家受粉で結実種の ‘プリティグリーン’と推定される。

 日本でのフェイジョアの栽培適地は、過去の経験からミカンの(露地)栽培地帯と重なることが知られてきた。フェイジョアの特性上、年中、強風の対策は必要であり、日本では特に冬の低温と開花期間である梅雨期の雨がネックになっている。
 フェイジョアの果実の収穫には、ほかの果樹のように一般的に他品種からの授受粉が必要である。しかしながら、あまり隔年結果(習性)にはならないように見受けられる。樹幹が大きく成長し着果しはじめると、栽培技術が適切であれば割とコンスタントに収穫量は一定以上になる。苗木の繁殖は実生でも容易だが、挿し木、接ぎ木、取り木などで育てたものがいい。その場合、栽培上、果実の結果年数が短くて済むし、果実の味などに影響するからだ。

 なお、ここではわたしだけの試作、栽培経験を整理して各資料にあたり精査して記しているが、必ずしもこの知識が完璧な正解ではありませんのであらかじめご了解ください。したがって、当然のことながら、ここでは商業目的を企図しておりません。
 また、ここでは一方的な対応になっておりますので、当ブログでのWebサイト公開を拒否される場合はご連絡をください。即時、対処いたします。

【参考図書】
 ・[新果実フェイジョア- その栽培法と料理法 フェイジョア普及会編 1985年3月 磐梯広報社]
 ・[園芸植物大事典(全6巻)- 塚本洋太郎総監修 昭和63年6月発行 小学館]

 家庭園芸書としては次のもの。
 ・[家庭果樹 -NHK趣味の園芸 新園芸相談③ 高橋栄治/大坪孝之監修 1996年2月発行 日本放送出版協会]
 ・[百科キウイ・フェジョア・ブルーベリー- 重田利夫著 1998年 1月発行 ひかりのくに㈱]
 ・[はじめての果樹62種- 富田正治/廣部誠監修 2000年10月発行 成美堂出版]

【Webサイト】
・フェイジョアガーデン
 開設者は鳥取県米子市の方。栽培の専門家、生産業者ではないが、栽培経過を経年的に追跡していて非常に誠実であり、丁寧で好感のもてる見やすいサイト。
 フェイジョアガーデン

【見学先・即売場・入手先】
 フェイジョア栽培は、安定した市場性にはなく、現在は鑑賞用であればどこの店頭でも1,2年生の苗木を入手可能である。しかし、果樹としては生産者・販売側も品種とその特性を混乱している可能性がある。また、故意にあるいは誤って実生の苗木を供給している可能性があり、現状での紹介は止したい。
 同じ理由で、ブログおよび通信販売をおこなうサイトは、内容が安直で玉石混交気味であり現状ではご紹介しにくい。

 お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
       
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