うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

おおっ椿だ、写真5葉を掲載する。

2009年02月28日 06時53分35秒 | ガーデニング・庭づくり
今日は晴れそうだ。昨日は雨の合い間に牡丹雪が舞う。見てはいないが、わが千葉では少し畑などに積もったようだ。感覚的に、この冬における雪らしい雪で初雪に近い。
 ところで先日わたしは、都内の繁華街、西池袋にいた。直接の肉体労働で現場事務所ビル新築工事で玄関ファサードにある緑地の客土の嵩上げ、植え替えなどの作業をおこなった。昼休みにブラブラしていたら、裏手付近で、やや古い家屋の路地沿いに並んだ椿の名品を見かけたのでおもなものをここに掲載する。
 ぼってりした花びらとはなやかな気色、しんとした情景、そこだけ落ち着いた静寂感が漂う。
 どうやら、持ち主はかなりの椿の愛好家と、わたしは見た。

 :東方朔
 :太郎庵錦
 :関戸白太郎庵
 :花大臣
 :チューリップタイム
 【参考資料:日本の椿花 神園英彦/桐野秋豊/横山三郎著 淡交社】

 いちおうは、このツバキ、サクラの品種にはこの世界でも詳しいつもりであるが、まだまだ途遠しの感じだ。違っていたらごめんなさい。
       
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マンションの植栽管理とは・・・

2009年02月27日 04時58分00秒 | マンションの植物管理
もう少ししたら啓蟄、この地でも露地の凍結が見られなくなった。時に思い出したように霜柱が立つ。これからは寒の戻り、遅霜に気をつけなくてはならぬ。
 などと、これではまるで農家の人間のようだ。だが、どんな仕事に従事してようがわたしたち日本人は春夏秋冬のはっきりした農耕民族の社会に住んでいる。気候区分上、日本は北東アジアのモンスーン気候に入る。
 そんな自然の影響のもとで、わたしたちは日常の暮らしをおくっている。
 
 マンションの緑もその日本の四季に左右される。文章が硬い表現の羅列で恐縮であるが、次にそのケアの要旨を記す。

 ◇マンションの緑の維持管理について◇
 植物維持管理の理想は、人手をかけないという意味で言えばメンテナンスフリー( 無管理) である。それは自然淘汰により当初植えた植物が減ったり消滅したり, 植栽密度が小さくなり各植物が個々に樹木の幹. 枝. 葉が大きく数量などボリュウムが増えていく。その結果, それぞれの植物個体がおのずから複雑に組み合わさった生物環境が成立した緑地である。将来的には生態系が動植物の豊かな予定調和とされる植物をもとにした自然度の高い植生景観である。しかしながら,目標としてローメンテナンスの維持管理を運営していきたいものである。
 植物の生育を左右する環境圧の影響を見る場合, その物差しは人間になぞらえれば植物にとっての体感照度. 温度. 湿度を想像すれば推し量ることができる。地下の見えない部分では, 植え付け当初は新しい植栽地に植物が若い白根を地中に伸ばし水分. 肥料分を自前で吸収する。このように植物の活着とは根付くことである。外観の現象として樹木が葉を振るうなどの, 植え傷みを経過して徐々に活着していく。
 この場合はこういう厳しい気象条件と植栽基盤のなかで, 肥培. 肥育計画をたて健全な肥大成長を樹木管理の最終目標にして扱っていきたい。とりあえず, そのためには地上部はコンパクトな樹姿でも構わないとおもう。維持管理の第一目標は地下部の発根. 伸根を活発にして新根量を増やし根張りを充実させるはたらきを促し, 芯止めなどの成長管理はおこなわない。それにより緑化という視点から, 配植された植栽木の枝葉が密になりそれぞれが樹林化するように誘導していく。植物が人為的に維持管理手法によって手助けをし繁茂させるべくスピードアップの緑化をはかる。
 今までの維持管理の実例を振り返ると, 初期のケアつまり植栽直後の数年の維持管理作業の重要性をあげることができる。維持管理と言えば, しばしば無自覚に作業をおこない樹木の活力を削ぎ剪定と薬剤散布に偏ったものになりがちである。イージーな作業偏重ではなく, 樹木の実態を観察しながら効果的な計画を策定し効率よく無駄な作業, 樹木の勢いをそぐような過剰剪定と刈込み, 成長量をチェックしない肥料過多を無くしていく。それには連年的に植物の変化を観察しそれに対応する適切な作業をすることが重要である。
 そしてその年ごとの気象状況と定期的にあらかじめたてた年次計画と結果を見比べる。その効果により, 次回の植物維持管理計画の見直しをおこなう。
 厳密に言えば樹木の生理を熟知したうえで維持管理作業を着実に実行することが重要である。樹木の管理目標として樹木を丈夫にコンパクトに育成し仕立てていく。
 併せて、管理組合によるイベント. セレモニーにフィットさせていく。

[重要アイテム]
 コンサルティングの必要性 コストプランニング 作業別費用曲線 樹木調査 放任 活着優先 共用部分 専用部分 無計画 的確 過度 土木的な手法な自然再生工法 粗放管理 作業頻度 伸長生長 成長管理 肥培管理 管理目標 管理基準 管理程度 作業レベル 技術レベル イルミネーション 植物説明板/ 開花掲示板の設置

 同じ問題でお困りの方がいましたら、どうぞ、遠慮なくご相談ください。
 詳しい内容、ご予算の目安はこちらです。

 お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
          
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冬枯れのギボウシ

2009年02月24日 05時35分36秒 | ぎぼうし栽培日記
昨日は寒かった。終日、小雨降るなかで植栽工事をする。現場作業だ。泥んこになりながら客土を入れ、ツツジ・オタフクナンテンを植えていく。雨合羽は土で汚れ袖口は真っ黒。植え付けし水やり後の、作業服と手足の洗いを失敗して足もとから寒気がしてくる。まあ、簡単には風邪を引くタマではないが、ちょっとつらい。

 ところで、この画像は2月14日のぎぼうしの一光景。冬の末枯れた景色。さあ、いつ株分けをするか。技術的に大量繁殖、栽培にもめどがついた。ますます、わたしの物事に対する性格である、粘着性の傾向が出て、うんっ、うん、広く深くの域に入り込もうとしている・・・・・?


 お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
       
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自然は正直だ。

2009年02月22日 07時47分07秒 | わたしの日常です。
 藪椿は満開、もうすぐ春だ。昨日も、今日もなんだか季節の端境期みたいな天気が続く。わが地元では農作業もようやく特産物の人参などの収穫も終えて(人参は日本一の生産高だ、たぶん!)、畑にはビニールハウスの設置作業が始まっている。中の温床にはじゃがいもの植え付け、野菜類の種まきなどをおこなう。
 それにつれてわたしの住んでいる住宅地では、雀、ヒヨドリ、椋鳥、ドバトなどがかまびすしい。猛々しいハシブトカラスが上空を偵察にきて、急降下し餌をあさるが、時には愛くるしい目白や四十雀が庭先に訪ねてくる。
 自然は正直だ。
     
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蒸気機関車が走る。

2009年02月20日 05時06分48秒 | わたしの日常です。
暦の上では 〈雨水〉を過ぎた。
 たまたま、先日、JRの駅でイベントのSL-C57 に出くわした。もう既に房総は早春の観光シーズンだ。
 わたしの年代にとっては蒸気機関車という方がとおりがいい。時刻は正午近く、駅の待避線ホーム、石炭の燃える香りに、ご覧のような人だかり。
 蒸気の排出の勢い、ラッセル音と、遠雷もさぞかしと、とどろくような汽笛が遠くまで響く。ここは街なか、ビルの中心街、しばし、わたしを古き時代の遠景のなかに引き戻す。
 まずは、写真をご覧あれ。




        
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グリーンメンテナンスの費用対効果

2009年02月18日 03時56分53秒 | マンションの植物管理

 これはある方へのメール文です。メンテナンスコストについて触れておりますので参考までにここに転載いたします。
 内容はあるマンションにある25年以上にもなる緑地内の成熟した樹林の伐採計画に反対する意見です。それが、おもに管理組合の理事長の独断で進められており、その見直しの動きに対してです。住民全体の意見集約が遅きに失した感がありますが、合理的な費用算出について説明したものです。

 U様
 お世話になっております。
 今回のことは、総会日時を事前に確認の上で直接の打ち合わせ、現地確認などのアクションを起こせばよかったですね。まことに残念でした。

 一般的に造園工事業者は、樹木の維持管理をする時にはその年限りの判断で作業・工事を主体に見がちです。今までの樹木の生長については多少分かったとしても、今後の数年先の予測は苦手なものです。わたしは、特に天王洲アイルの開発計画・現場の場合がそうですが、たまたまプランを担って工事を行い、しかも10年以上のメンテナンスをしてきてよくわかりました。
 そうすると、樹木の生長は一年ごとに変わりますので、そのことを基礎に3,5,10年後のメンテナンスのスケジュールたてさえすればいいわけです。(天変地異による補修も予備項目として見込みます)
 その中に作業量を算出し費用を積算していく。同時に合計の今期の管理費、長期コストプランも落とし込んでいく。もちろん、年度ごとの作業の可否・費用の検証と見極めは必ず行わなければなりません。そこで、スタート時はもちろんですが、予算額、年度計画をたてて作業内容の取捨選択をします。簡単にいえば、費用対効果です。(もちろん、植物の知識・管理技術と適正なコスト算出と予算設定に経験知が必要ですが)
 私の経験では、この方法が一番作業効率もよく合理的なメンテナンスコストで運営できるものと思われます。

 私も緑の保全、樹木の保護について人後に落ちるものではありませんが、日頃感じていることを蛇足ながら記しました。
 なお、参考になればと思い同封した雑誌コピー記事は、私個人が理想と考えているかたちのものです。
 また、なにかございましたらご相談をお受けしたいと思います。今後ともどうぞよろしく願います。                以上

  同じ問題でお困りの方がいましたら、どうぞ、遠慮なくご相談ください。詳しい内容、ご予算の目安はこちらです。

 お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
          
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ギボウシ苗の売り方とディスプレイ

2009年02月13日 05時52分32秒 | ぎぼうし栽培日記
この写真は、先日、近所のホームセンターで見かけた二種類のギボウシの商品陳列です。
 わたしは、思わず、有り金がとぼしいなか、欲しかった品種をこのチャンスを逃さずと買い求めた。
  購入したギボウシはロイヤルスタンダードが¥399であるが、さすがにフランシスウイリアムズは¥999と高価だ。この草花も委託生産品だろうか。いづれもこういう店特有のきわどい値付けだが、時節柄葉はなくて、実は培養土の中にすっぽり含ませた宿根部分の袋詰めで並べられていたもの。
 根が生きているか、枯死しているかは生産者を信用するしかないが、わたしは、芽の数、塊根と根の量をビニール袋の上からまさぐり選んだ。というのも、春先になり芽出しが駄目であったら、わたしとしては、業者への責任追及よりも自分の見る目のなさが嫌になるのだ。

   手前右側2列目から4列まで


 もう一種類の商品の姿は7号プラ鉢ぞろい、このコーナーすべてギボウシの品種名明記した植え込み済みのもの。あれれと、ちょっと不思議だが、値段は通常の販売時期と全く同じに設定されている。これで安心して買う客がいるのだろうか。これは、今後、市場ウオッチングを心がけてみよう。

 コメント、お問い合わせに際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
       
コメント (5)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

枕元での、樹木調査の依頼電話

2009年02月12日 06時56分51秒 | わたしの日常です。
黄金の花びらの蝋梅は終わり、香しい梅が咲く、まだまだ余寒の日々だ。
 昨日の祝日はちょっと野外は雲混じりで寒そうだったので、予定のギボウシの播種作業をやめた。こんな時にはベッドに潜り込んで本を読むに限る。うつらうつらしながら気ままに寝そべって読む。小さな至福の時だ。自堕落な初老の悦楽だ。
 読みかけの本は、『虜人日記--小松慎一-ちくま学芸文庫』、だ。
 太平洋戦争(正式名称・大東亜戦争)の頃、東京農大で醸造技術を学び、台湾からフィリピンへ技術指導で陸軍省の嘱託で派遣されて、ネグロス島で終戦を迎え昭和21年12月に日本へ帰還するまでの貴重な日記だ。
 内容は人間の極限的状況のメモというもので、酸鼻な事実の集積だ。見たくない人間の真実の姿だ。こんな体験をすれば、人間性への甘い認識はがらっと変わるだろう。

 そんなこんなしていると、夕方頃、電話が鳴る。失礼な話、枕元で対応する。知っているI県の造園会社のKさんで、千葉県内の工業団地の製薬会社跡地の緑地 約6,000㎡の樹木調査を依頼したいが、その前に見積りをお願いしたいとのこと。話を聞きなんとか対応可能かと、明日、現地確認を約束する。植生調査などが必要な環境アセスメントとか、大がかりな開発行為による計画だと手間ひまがかかる。野外の調査よりも、内業である資料、作図・成果品の作成に長時間を要する。この業務は、今の時点ではクリアできそうだ。
今のところ必要条件ではないが、やはり、〈2級生物分類技能検定-主催(財)自然環境研究センター〉の資格ぐらいは取っておくべきかな。そのうちに目指そう。
 本来、外構・造園設計が本業で、なんにでも喰いつくダボハゼようだが、評価はお客様がするもの、そう思うことにしている。

 同じ案件をかかえている方、現地調査から設計に持っていく過程でお困りの方がいましたら、どうぞ、遠慮なくご相談ください。詳しい内容、ご予算の目安はこちらです。
 お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
          
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

技術資料・植物維持管理の方向と海辺周辺の自然環境--天王洲アイル⑨

2009年02月10日 05時44分05秒 | 天王州アイル Project

この天王洲アイルのシリーズは1月22日から始めて10回目になりましたが、今回でひとまず終了します。なお、ある方の要望もあり、不確定ながら現地での見学会を催す予定です。季節は、やはり、5月連休前後の青葉繁れる頃になるでしょうか。その時はここでは触れていなかった建物内部の紹介もおこないます。
 いずれ、このブログにてお知らせしますのでご参加ください。興味のある方々はご連絡をください。

この文章は過去10余年にわたって緑のメンテナンスを、造園業者任せにせず当時の社員である作業員を使い直接おこなってきたもののレポートである。それに、まわりの都市、水辺の自然景観、微環境の経年変化を言及した。オリジナルな発想のもとにおこなってきたが、関係する担当者各位にとって、植物の維持管理の業務の上で、なんらかのヒントが得られれば幸いである。

 --植物維持管理の方向について--

 わたし自身にとって植物の維持管理業務を本格的に担当したのは天王洲アイルが初めても同然であったが、それなりの努力をしてきた。しかし改めて今おもうに、植物に目の前でさわって扱えるというのもこの造園業界では意外にも稀有なことに属するとおもわれる。毎年、樹種ごとおよび単木ごとの成長量がまじかに目視で確認できる。こういうふうに自然を相手に日常的に植物管理ができるというのはそんなに多い仕事の機会とは言えないだろう。貴重な経験である。

 【維持管理業務の考え方と作業ローテーション】
 日本は一年を通じはっきり春夏秋冬の四季が明瞭であり、その季節の移ろいの中に人間のくらしがある。旧暦の太陰暦にもとづく作業設定の区分はそれと密接に結びついている。そしてこのことは植物にとり、栽培・ 育成上の目安として作業暦である農事暦がこのカレンダーを基本に作業計画が立てられていることによって証明される。これは昔からの周知の事実とされている。この着眼点は植物と自然現象と人文環境に原点を持っており見過ごせない。太陰暦は日本人独特の生活感情を自然のなかで表現しており、植物の管理・ 栽培のための作業時期、それに鑑賞時期もあらわしている。
 維持管理計画の作業時期、作業ローテーションの設定は旧暦の太陰暦にもとづき農事暦を援用している。したがって作業時期は一年を通じて、季節変化による植物の成長に準じ 第一期・ 第二期・ 第三期・ 第四期と設定される。維持管理作業の日常業務は除草・散水・緑地内清掃があり、定期的な業務は管理範囲にもとづき作業頻度・作業量の多寡に対応した剪定/ 刈込み・芝刈り・目土かけ・施肥・薬剤散布がある。
 この場合わたしたちにとって、植栽時の適地適期の可否、施工技術は問えないが、一般的に言って都市の緑地管理には植栽工事に比し竣工後の無管理が多く、しかも実施された場合維持管理作業のなかでウェイトを占める剪定内容に無雑作、無頓着なケースが少なからず見受けられる。樹種ごとに異なる剪定技術と植栽地ごとにふさわしい剪定樹形といろいろな剪定方法がある。公共工事の植栽樹木はおもに自然樹形のものが多用される。その場合、生長を止めることと、邪魔になる樹幹・枝葉の切除と、罹災した樹木のケアを剪定作業の第一目的にしている傾向がある。道路工事である街路樹の場合は交通災害を避けるため、また公園の場合はヤブ化をを防ぎ住民の快適な利用を保持するためである。言うならば、それは物理的に彼我それぞれの損傷を予防的におこなっているに過ぎない。都市の生活空間である街路と広場において、人々の交わり合う場所のなかで良好な植物景観を保っているのはほんのわずかである。植物の経年的な自然の遷移をサポートし、その都市の快適なオープンスペースを実現するとしたら、管理上の課題として以下の点が重要であるとおもわれる。
 ①植物の生きた知識による管理上の技術・管理作業頻度の適正・コスト。
 ②気象災害による被害樹木の復旧・軽減等の緊急作業。
  ③植物景観的にセンスのある維持管理作業を心掛ける。
 ④緑地の生物・小動物の棲み家としての生態系の環境保全を考慮に入れる。

 【発生材のリサイクル・補修と運営体制】
 以上のように、これからはいかに緑の特性を生かしたメンテナンスプランを取り込むか、試行錯誤をくりかえしながらも、新しい視点から緑の都市空間における景観の再生と成熟を目指していく必要がある。
 天王洲アイルでは処分費用の低減と発生材のリサイクルを重視した。緑地内を清掃するという従来の考えをやめて、むしろ落ち葉, 剪定枝葉を敷きつめている。それは、マルチングにより緑地土壌の乾燥防止と腐殖分の供給のためである。
 ほかに自家製の堆肥の製造をおこなった。地中にボックス状に穴を堀り剪定枝葉を積みかさね, その間に米ぬかを混ぜ散水しブルーシートで密封する。完熟するまで切り返し作業をおこない完成する。この肥料は有機性堆肥となり冬期の元肥となる。
 また、予想していなかった新たな作業としては根元部分の締結箇所である地中支柱バンド(商品名: ㈱東邦レオ‘グランドサポート') の切断をした。モリシマアカシアの株元・根鉢が締めつけによる伸根不良が原因で枯れが確認され、あわてて天王洲アイル全域をチェックしその処置をおこなうことになったものである。
 その後、天王洲アイルは当初の計画時にビル風の影響を見込みながら、その年ごとの通年の気象の変化とともに管理業務のなかで生育状況を見続けて来た訳だが、シーフォートスクエアの京浜運河に面した東北端部とJALビルディングの京浜運河と天王洲運河の合流点にある南東部の緑地は、天王洲アイルの全体のなかで最も風が強い区域であり、したがって樹木の支柱は半永久的にはずせない。ここは風の集中発生時は来訪者にとっては勿論、植物にとっても厳しい植栽地である。
会社としてここの維持管理の開始直後は各作業ごとに業者に発注していたが、施主の要請もあり、平成 5年 6月15日付けで作業形態を当社の作業員を使っての直営方法に切り替えた。施主の意向をダイレクトに伺いながら、効率の良い作業運営が可能になり結果的に好判断であった。常駐作業となり緊急時にも即応できる。作業員に対する技術教育とともにその運営体制づくりをおこなったものである。

 【都市空間における新たな緑地景観の再生と海辺周辺の自然環境】
 こういう植物を10年という長い期間にわたり、生物学的関心で樹木の移り変わりを追跡しているが、そういう経年変化の視点から色々な面白い知見が得られたとおもう。例えば、造園樹木にリストアップされている中でも植生的に雑木類に区分されるものがある。いわゆる雑木林という野性の樹木が潮風に弱く、経年的に樹勢が徐々に衰弱する現象が見受けられる。そのなかで、特に難しい樹木の病気として、やまもものこぶ(癌腫)病・さくらの根頭癌腫病があり、また新病害として学会から発表されたほるとのきの萎黄病は伝染性のファイトプラズマ(細菌の一種) によるものとされが、いずれも完全な治癒に至っていない。
 現況の植生を調査するとおびただしい草本植物の帰化した雑草の侵入がみられる。実生樹木については、風散布種として あきにれ.  いろはもみじを別にしたら、その内訳は種子の落下による重力散布種に該当するのは、ほるとのき.  つばき.  なんきんはぜなど区域内に見られる植栽樹木がほとんどである。鳥散布種の場合は、区域外の例えば かくれみの.  くすのき.  くろがねもち.  とうねずみもち. やつで.  あかめがしわ. あおぎり.  えのき.  えんじゅ.  やまぐわ他が出現している。天王洲アイルに飛来する鳥類の場合,おおむね運河対岸の東京水産大学他の樹林が小さなコロニー(集団営巣地) になっており、野鳥に対する種子供給源となり当エリアに侵入し発芽したものとおもわれる。食餌木と鳥種の相関関係については、留鳥である すずめ. ひよどりの採食行動が採餌量の豊富な状態で適しており最も個体数が多いものとおもわれる。
 一般的に言って、花粉による交配作用を含め、そういう生態系の一面である、植生的に繁殖して形成された都市の各樹林の実態を見るとは小規模で連続しておらず、街路樹や個人住宅の庭木の植栽樹木が多用されている現状ゆえに、本来の関東の雑木林を植生的に構成する種組成が見られないことになるとおもわれる。
 この高浜運河には目黒川が注ぎ込んでいるが、周辺の運河一帯は塩水と淡水が混じり合う汽水域を形成し種々の魚類が生息している。たとえば、 すずき. ぼらなどが集団で回遊しているのを見ることができる。運河内の水面は海につながる潮の干満作用に流され, 梅雨もあけるとクラゲが浮かんでくる。雨が降らない日々が続くと、魚が水上でジャンプ(ライズ) する姿が見られる。留鳥のかもがブループで棲みつき泳いだり潜水してえさを取っているのを見かける。秋の長雨が終わると、渡り鳥の ゆりかもめ. 海鳥の うみねこが群れをなし飛来する。翼を広げて飛びホバリング(停空飛翔)をくりかえすすがたが見られる。天王洲アイルで一年を通じ, よく観察される場所は京浜運河と天王洲運河の合流地点であり、潮の満ち干によってあらわれる干潟には水棲のえさが見つけやすいことによる。
まわりの運河と緑地が相関して、ここには様々な鳥類の生息がみられる。多く見かける鳥類の個体数は、すずめ. ひよどり. どばとの順である。水鳥は、ほしばじろ. かるがもが多い。営巣行為をする鳥は現在のところ、 はしぶとからすのみ確認されている。

 【天王洲アイルの街と集客効果の状況】
 この天王洲アイルの上空は、羽田空港への進入、着陸コースにあたり晴天時には飛行機の飛ぶのが望見される。また運河は、見物客で人出が増える花火大会、夕闇に運河を行き交う納涼船、と解放感溢れる臨海の都市の空間になっており、夏場の風物詩となりつつある。一方、商業施設での代表的な夏祭りをはじめとする各イベント・セールのスケジュール、芸能・芸術鑑賞の場としての劇場・アートスフィア(新・天王洲劇場)の催し物がある。
計画段階では、ここの外部空間は公開空地として不特定多数の来訪者が見込まれており、その利用者にとって導線としての園路、休憩・散策のための機能をもった空間が期待されている。現在、テレビドラマ・CMの商業写真等のマスメディアの撮影のロケ、または愛好グループの写生会の場面を提供したり、水辺の景観・植物の開花を撮影目的としたカメラ持参の植物愛好家が見受けられる。
 天王洲アイルのアクセスは近年便利さを増し、平日は近所の幼稚園児、精薄者の野外学習に手頃なロケーションとして利用する目的を持った人達で占められており、週末、休日は若いカップル, モノレール沿線に住む家族連れなどがリピーターとして利用している。                  以上
    〈天王洲アイル・メモランダム--植物維持管理p21-p24所収 H14/3/28〉
 
 現在の状況はどうなっているか、下のサイトをクリックしてみてください。
     天王洲アイル

◆◆建築設計、コンサルタント、ランドスケープデザインの事務所の方々へ◆◆◆
【手元の参考資料】
 ・「天王洲アイル・メモランダム 平成14年 3月28日発行 事業主へ提供」
 ・「天王洲アイル・品種名調査報告書(サクラ・ツバキ・オリーブ)平成13年 9月発行 事業主へ提供」
【出版書籍】
 ・「東京人- 東京湾ウォーターフロント特集号 緊急増刊 昭和62年10月1日発行 (財)東京都文化振興会」
 ・「新建築- 都市空間へ-RIAの計画と技法 臨時増刊 平成 8年11月発行 ㈱建報社」
 ・「都市再開発- 建築計画・設計シリーズ32 平成 8年11月10日発行 ㈱市ヶ谷出版社」

 ほかに、天王洲アイル開発計画に関する建築設計図書・その後の経過等の資料など、お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
        
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

技術資料・試験植栽計画--天王洲アイル⑧

2009年02月08日 05時22分43秒 | 天王州アイル Project

 ここでは、天王洲アイル植栽計画を立てるに際して事前におこなった、20数年前の耐潮性樹木に関する試験植栽計画研究のあらましをUPします。むろん、このこと自体民間では珍しいことである。
 なお、現代はWeb面でコピーアンドペーストの簡単な世の中、この文章の転載を希望される方はできる限りご連絡ください。
 現在では色々な実験・栽培経験、植栽施工履歴データなどで海浜地区の気象の解明がなされてそれに適した樹木、好ましい配植プランが分かってきている。
 天王洲アイルには、休日ごとに植物愛好家がカメラを持って散策するリピーターもいる。そのなかでも、なんどかこの業界の植栽計画担当者が訪れているようだ。この天王洲アイル植栽計画が多少なりとも業界で認知され、その後の東京湾沿いの海浜開発計画に活かされているものと思う。

  試験植栽計画 ──耐潮性樹木の調査, 研究──

 【 背景 】
 耐潮性樹種の選択範囲の可能性を探る目的で試験植栽の必要性を感じて、 ㈱アール・アイ・エーのS氏と手を尽くして東京湾周辺に試験地の場所を探した。最初の候補地はセイタカアワダチソウの繁茂する江東区東雲の某ゼネコンの管理する遊休地に、二番手の候補に大井競馬場があった。その敷地内の一角は競走馬のトレーニング用に設けられたもので最近山砂で埋め立てたばかりであり、植栽基盤として好条件のロケーションである。境栽垣の植栽工事を無償でおこなうとの条件で数年間その一部を借りることになった。

    1. 試験植栽の概要
   ・予算
         ¥ 5,000,000
   ・期間
         平成元年 9月 → 平成 4年 9月
   ・所有者
         東京都競馬㈱
   ・協力業者
         芝茂造園建設㈱/ ㈱富沢造園
   ・場所
         大井競馬場内運河沿い緑地 ---- 東京都品川区勝島 2丁                        目地先
   ・方位
         試験地は東京モノレール軌道に隣接した敷地である。位置的に
         東方向へ平和島運河に交差している京浜運河があり、その方
         角に都立大井埠頭中央海浜公園が対面し、それを飛び越えると
         東京湾に直面する。
   ・面積
          1,212.27 ㎡
   ・樹種
     * 数量-- 59種  483+α本
        * 高木
           特殊樹  1種  1本 ワシントンヤシ
           常緑樹  8〃  17〃 アラカシ クスノキ タブノキ ホルトノキ
                  トウネズミモチ マテバシイ モリシマアカシア フサアカシア
           落葉樹  12〃  29〃 エノキ ケヤキ ネムノキ メタセコイア
                 モミジバフウ ナンキンハゼ ハナミズキ アキニレ イチョウ
                 エンジュ オオシマザクラ トゲナシニセアカシア
        * 中、低木
           常緑樹  13種 260本  イヌツゲ イヌマキ イチイ キンモクセイ
                 サザンカ ヒイラギ マサキ ヤブツバキ アベリア クチナシ
                 ツツジ類 ヒペリカム ボックスウッド
           落葉樹  11〃 170〃 ムクゲ エニシダ キソケイ
                 タニウツギ ドウダンツツジ ヒュウガミズキ ボケ
                 ユキヤナギ レンギョウ ヤマハギ ヤマブキ
        * 地被、蔓物
               8種   株  コトネアスター ツルシキミ アガパンサス
                 マツバギク タマリュウ ヘデラ類 シバザクラ コウライシバ
        * 推奨木
               6種  6株  アセビ カラタチ キャラボク ナワシログミ
                 ハマナス フヨウ                                     
   ・配植方法
      * ホームベース(野球の) 形の植栽地  [40,000×20,000] + [(40,000+15,000)×16,500×1/2]
      * 縦横5.0mピッチ 客土量--東京都建設局仕様 防潮ネット( 一部)
        cf. 蒸散抑制剤 化成肥料  ケイ酸肥料
        * 組合せ
        土壌改良剤 無施用・バーク堆肥・バーミキュライト+パーライト・ピートモス+保水剤 → 5パターン
        支柱形式  → 4パターン
   ・気象観測機材
      * 百葉箱
       * 長期巻自記温湿度計
        * 風向風速計
        * 最高最低温度計

   ・生育状況調査項目
      * 気象状況   →
      * 樹木形状計測 →樹木計測
      * 枯損状況 →生育状況

    2. 試験植栽の目的
 わたしは造園設計を業務としてウォーターフロントのあるプロジェクト(品川区内)に関係してきた。植物にとって難しい海浜植栽の可能性についての調査、研究をおこなった。従来の計画では厳しい環境圧(気象害)に対し防風、飛砂防止の目的を持った機能植栽が多くなされている。その多くの植栽計画はしばしば単調で古典的なデザインに見受けられる。
 この調査、研究ではプロジェクトの性格上、つまり快適な海浜の都市景観を創出する目的でプラザ~プロムナードに修景的な意匠を強調し、なおかつ機能植栽の面を併せもつ自然風の植栽計画がもとめられた。

    3. 海浜植栽の現況
 東京湾周辺の植栽環境を現地に踏査してみた。東京都港湾局. 建設局関連では、湾岸道路沿い、13号地.各埠頭公園、海上公園、臨海水族園にスポーツ施設、 そして民間では浦安の東京ディズニーランドおよび近接した各ホテル群などである。その結果言えることはすべて埋立て地の用途にかなうようにするため、その地上部の構造物、施設を保護する目的の機能植栽であるということである。樹種構成の内容はトウネズミモチ・マテバシイ・ヤマモモ・シイノキなどの早期緑化の目的をもつ樹種であり、密閉植栽用樹種である。このことを配植計画の視点で見ると、求められている『緑』は無機的に機能的にあるものであり必ずしも人々を楽しませ寛がせるものではない、と指摘できる。一方、東京ディズニーランドの計画はこの限りではなく、敷地外周部分に防風的な「土塁」を築いておりそれが効を奏し、樹林状に植物を配したアミューズメントゾーンでは、多種多様な樹種構成による配植と単木等を整形剪定技術で仕上げたトピアリー、刈込み等で植栽目標の修景性を得ている。
                              
    4. 試験植栽と植栽計画
 試験地は当プロジェクトに酷似した海岸線より2 ㎞、京浜運河に面した埋め立て地内に1,212.00㎡の区画地に設けており、時間の経過は平成元年9月から3年にわたろうとしている。
 樹種の選択には高木から地被、草花までの成木59種を選んだ。開始植付け時期に堪水等の問題が発生し不充分な面もあるが、これからの天王洲アイル植栽計画の上では参考になり得たとおもわれる。
 樹種面では、落葉性高中木として、サルスベリ・ネムノキ・アカバナエゴノキ・ムクゲの花木、常緑性樹木はホルトノキ・モリシマアカシア・オリーブ・フェイジョアなどの暖地性の厚葉物がこの東京地区で順調な生育をしている。蔓物の場合はどんな樹種でもだいたい良好であるが、初期成長と吸着誘引を考慮すると人為的に栽培した育成伸長品よりポット苗にすべきであり、その方が風の影響を逃れることができる。低木、地被は乾燥害に留意が必要である。またこれは試験の最中に気づいたことだが、耐潮性樹木とは道路沿いの路傍植栽樹木と類似していることがわかった。
 高木の配植は計画地内に街路樹のパターンにてアキニレ・シイノキ・ホルトノキを80本ほど,地中支柱にて施工している。
 潮害は基本的に風が仲介して起きるものであり、海には海風という局地風があり海浜地域に無風状態のケースはあり得ない。それに加えて季節風の影響を一年を通じてを考えた場合、冬期の北風による乾燥害・寒害、3月~5月の南東風による樹木の幼芽の生長阻害、9月以降の台風による物理障害などが主たるものであり、それに樹木の生理が関係してくる。
 過去の事例では海浜地域の土壌の場合は、痩悪土が多く見られ保水性・保肥力が劣りしばしば水収支のバランスをくずして枯死に至らしめる例が多い。
 わたしはこの調査、研究にあたり数種類の資料を参照したが、結果としておおむねそのデータを首肯するものである。このプロジェクトは天王洲アイルを訪れる人々を楽しませるデザインコンセプトを持った植栽計画ということでスタートした。既に工事は完了し、その後の植栽管理業務として樹冠散水、補植作業を継続的に行っている。                        以上 
 現在の状況はどうなっているか、下のサイトをクリックしてみてください。
     天王洲アイル

◆◆建築設計、コンサルタント、ランドスケープデザインの事務所の方々へ◆◆◆
【手元の参考資料】
 ・「天王洲アイル・メモランダム 平成14年 3月28日発行 事業主へ提供」
 ・「天王洲アイル・品種名調査報告書(サクラ・ツバキ・オリーブ)平成13年 9月発行 事業主へ提供」
【出版書籍】
 ・「東京人- 東京湾ウォーターフロント特集号 緊急増刊 昭和62年10月1日発行 (財)東京都文化振興会」
 ・「新建築- 都市空間へ-RIAの計画と技法 臨時増刊 平成 8年11月発行 ㈱建報社」
 ・「都市再開発- 建築計画・設計シリーズ32 平成 8年11月10日発行 ㈱市ヶ谷出版社」

 ほかに、天王洲アイル開発計画に関する建築設計図書・その後の経過等の資料など、お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
        
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

手間を省く水やり--マンション管理

2009年02月07日 06時49分48秒 | マンションの植物管理
 
 雑草処理につづいて、多い作業は水やりだ。日本の気候の場合は、特に夏場、梅雨明け直後から1カ月以上は亜熱帯性気候が続く。ここでは、人の手間を省く作業の勘どころについて、その場合の注意点をあげていきます。

 ◇水やりの必要性◇
 一般的に植物に与える灌水の必要量は、 その地域の年間を通じての平均降水量を補う量とされているが、造成により盛られた緑地では地表・ 地中からの蒸発量の割合が多いとかんがえられ、新しい植栽土壌では保水量もあまり期待できない。
地表に注ぐ水のゆくえについて、 灌水であれ自然の降雨であれ1/3 は空気中に蒸発, 1/3 は土にとどまる、1/3 は土中を流出するとされている。
 ちなみに関東地方の年間降雨量は約 1,600mmである。その内訳は、 梅雨期約 250mm、九月の長雨( 秋雨) の時期は約 300mmである。その間の日本の夏には数mm程度であり干害のおそれがある亜熱帯性の気候である。冬期は寒さよりも乾燥気味である。植え付けてから 1~ 2年間は無降雨であれば冬でも水やりが必要である。
 自然の降雨では梅雨時の降り方のようにシャワー性・ミスト(霧雨)状が理想とされるが、人力でおこなう場合は、灌水方法は少しずつ何回もやるよりもその間隔をあけておこない、灌水時にはたっぷりおこなう。そうすれば灌水使用水量を合理的に効率よく利用できる。
 植栽地への人力の灌水は、 えてして植物自体の伸根を薄弱にし( 浅根化) 土壌緊縛力のない自然現象・ 天候等に弱い植物に育つケースが多い。耐性を持った植物は自力で健全な成長をする。

 ◇水不足の判断基準◇
 水が不足したことを見分けるポイントについて言えば、草花などの草本類はしなだれたりしてわかりやすい。一方、木本類の場合は、樹木の樹幹である若木、 小枝の順に付着する葉が異常な落葉もしくは火事にあったかのような褐色に変化する。急激にあおくちぢこまったりする。または秋になり紅葉したかのような現象をしめす。樹姿は梢端枯れの状態を呈する。これはいずれも植物の水収支ストレスによる生理上の結果である。判断に格好な樹木として一例をあげれば、ドウダンツツジ、ヤマモミジなどの葉の薄いものがある。

 ◇水やりの回数◇
 日照量が多い、フラットな箇所、風通しの良い地域の場合, 常時風が吹いているために通常の緑地よりも空中湿度の低い乾燥した生育環境に植物がさらされている。それゆえに水分の要求度が高いと判断できる。自然の降雨量を補う灌水の作業頻度として、おおよそ経験的に以下のように設定できるとおもわれる。

 ・7月中旬から 8月までの渇水期間 
    ~散水頻度:無降雨時 最低 1週間に 1回
 ・1月上旬から 2月の立春までの期間
    ~ 〃  〃 10日から 2週間に 1回

 ◇大面積の水やり◇
 大きなエリアには自動散水設備の点滴散水チューブの布設が望ましい。その場合は毎分 4mm程度を標準にして分刻みで時間を設定する。そして、水道使用料金を算出する。ただし、電気代と水道代は使えば使うほど割高になる従量制になっているのでこまめな節水量管理が必要であり、天候に注意して間断間隔(日数・時間 )を調整したい。
 なお、公共水道の水道代はそれぞれの自治体により異なります。
 
 同じ問題でお困りの方がいましたら、どうぞ、遠慮なくご相談ください。
 詳しい内容、ご予算の目安はこちらです。

 お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
          
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マンションのやっかいな草取り

2009年02月05日 10時45分48秒 | マンションの植物管理
まだ寒い日々がつづく。
 今回は、植物のメンテナンスで最大のやっかい事で、その作業量がもっとも多い草取りについて書き込みます。いかに手間ひまを少なく、コストを安くするかという合理的な方法です。

 ◇草取りのタイミング◇
 大雑把に見れば、1年のうちで、 3月の中旬. 春分の頃から雑草が芽生え始めて、 大体秋にかかった10月頃にその旺盛な生育が止まる。したがってその作業の頻度は、最低限、 雑草の除草の回数は 6月上旬の入梅直前に1 回、 梅雨の後半頃から 7月上旬から 8月の立秋の頃できれば旧盆までに終わらせたい。あとは 9月の長雨後に伸びた箇所の雑草を処理すればよい。
 
 ◇雑草の生育に応じた草取り◇
 マンションの場合、大きな緑地を敷地周辺に設けていることがあり、おうおうにして雑草の種類は耕地雑草のほかに、 よそから逸出してきたこぼれ種によって侵入した雑草が多く見受けられることがある。この雑草を手抜き作業のする場合は, 降雨直後に引き抜く方が労力的に楽で効率が良い。雑草を根絶やしにするには除草剤を散布するか、市販されている防草シートの布設しかないのが現状である。

  ◇効率的な除草◇
 緊急的な雑草の除草作業の場合は、 大型雑草のみを手抜きするか, 花穂や果実のみを削ぎとる、つるものは根元のみを切るなどの方法も一時的には効果があるだろう。この選択的な作業は雑草の繁殖を抑える効率のよい方法である。見映えを気にする場合は通常の作業をおこなうしかない。

 ◇除草・草刈りと刈り敷き◇
 緑地への雑草の刈り敷きは、一般ごみ扱いになる場外処分量の軽減と、作業の省力化、地表からの乾燥防止には良いので検討すべき作業である。これは農業の世界ではマルチングと呼ばれる作業です。その時期としては、八重桜の咲き始めから5月の連休期間と梅雨明けの7月中旬から8月いっぱいをおすすめしたい。

 ◇重点箇所を選ぶ◇
 緑地ごとに美観上の視点、または雑草の生長量・種類に応じて作業の優先順序をつけて、あらかじめ集中的に作業が必要な重点箇所を選ぶことも大切だ。

 同じ問題でお困りの方がいましたら、どうぞ、遠慮なくご相談ください。
詳しい内容、ご予算の目安はこちらです。

 お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
          
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

JALビルの周り--天王洲アイル⑦

2009年02月05日 06時14分54秒 | 天王州アイル Project
時々
 天王洲アイルのしんがりは ≪JAL本社ビルディング(JALビル)≫である。右奥が高速道路横羽線に東京モノレール軌道、ビル左側に接続しているのがスカイウォーク(空中回廊)である。なお、前面の都道18号線の地下部分にりんかい線の ≪天王洲アイル駅≫がある。

 ここは天王洲アイルの南端部、地区公園も兼ねた広場、JALの鶴丸マークを形象化したステンレスとピアノ線を編み込み先鋭的なデザイン工作物である。リング状に樹高8.0~10.0mのエゾヤマザクラ11本を植栽した。施工時掘削すると数か所に地下水(海水)が浸み出し、正直なところ活着に往生したものだが、今は本来の生命力で復活している模様でうれしい。



 この植栽計画では、JALの国際航路便のある世界の国々・都市を代表するもの、あるいは原産地となる樹木を植栽プランに取り入れた。

 これは、ジャカランダとライチです。
      
  
《建築概要》
工事名: 品川共同ビル
建築主: 菱光倉庫㈱.グローバルビルディング㈱ 
敷地面積: 11,734.45㎡
工 期: 平成 5年10月19日→平成 8年 6月30日
建築設計: ㈱アールアイエー
施工:  鹿島建設㈱他JV22社 外構: 鹿島道路㈱
当社(第一造園土木㈱):植栽設計・施工

○植栽計画○
 《コンセプト》
 平面的な建築計画では敷地の中に紡錘状の建築物を流線形に配置し, 外構計画として飛行機の機体をかたどった意匠になる遊歩道, モニュメントが配置され緑地スペースが決められた。天王洲アイルのなかでこのビルは単独に一棟のみ南端部に位置しているが, 海浜に沿った, 植栽地の条件として気象上, 風の影響を受けやすいものと判断した。植物の生育面の考え方として京浜運河側は亜高山地帯と捉えて樹種を決め, また後背の運河に対し緩衝林を設けるなどの目的, 緑地の配植方法は樹林を階層的に構成させており低木. 地被類は密植を旨とした。緑地に使われる樹木はJAL( 日本航空) が世界中に乗り入れている定期航路先の国々をシンボルまたは原産地とするもので組み合わせている。のちほど, 施主の意向で日本の各県の県木も加えた。
 植栽計画のコンセプトとしてメインは, 小動物のための食餌木を含みかつて日本の田園の日常風景を構成していた樹種. 小果樹を多用している。それによって結果的に樹林に野鳥を呼び込むことになり, 工事完了後, 財日本野鳥の会の指導で棲み家である巣箱の取り付けをおこなう。
・・施工後のひとこと・・
 * コンクリート護岸をはさみ京浜運河に接している緑地は1mほど掘ると水が滲みでる場所である。地区公園 9号付近の大径木のえぞやまざくら 2箇所に湧水があり, 植え穴の下部に現場の緊急な判断でバラストC-40を投入し, 塩ビ管を地表まで数個立ち上げて客土を通常の仕様で上部に埋め戻した。根系部に対し, 塩水の毛管現象による接触. 浸透害と土壌内の呼吸不足を防ぐためである。
 * ギンネムは成長は速やかであるが, 耐風性がなく枝折れ被害になりやすく, ポプラと似た特性をしめす。
 * 小果樹の結果状況は各年ごとに豊凶差が見られるが,ほぼ予想したとおりと言える。
 * ヴィンカ. ミノールは開花時期は菫っぽくカーペット状で良いが, 被覆性に難点があり,大面積には利用しにくいだろう。ヴィンカ. マジョールよりも弱い性質である。
《工事概要》
植栽工程; 平成 年 月~平成 8年 6月           
受注工事金額: 7,700万
協力業者: 王子緑化㈱ ㈱湘南グリーンサービス ㈱イリテック
材料業者: 王子緑化㈱    
敷地面積: 11,734.45㎡
施工範囲: 植栽工 客土工 樹冠散水・地表ドリップ散水設備
緑地面積: 自己敷地; 2,202.89㎡
 地区公園9号:約715.0㎡(緑地177.8㎡) 未成→地区公園8号約460.0㎡  

 現在の状況はどうなっているか、下のサイトをクリックしてみてください。
     天王洲アイル

◆◆建築設計、コンサルタント、ランドスケープデザインの事務所の方々へ◆◆◆

 ほかに、天王洲アイル開発計画に関する建築設計図書・その後の経過等の資料など、お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
        
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

昨日の動き

2009年02月04日 06時28分42秒 | わたしの日常です。
今日は立春。
 昨日は・・。
 午前中、千葉市内に出る。バタバタと用事を済ます。帰りしなにℓ=¥101.のガソリンを満タンで22.0ℓいれる。取って返して、自宅で車を洗う。2時ころ、味噌汁を温め直して、マーガリンを付けて食パン3枚の遅い昼食。和洋折衷か、今のわたしには腹が膨れればちょうどいい。少し居眠りして、3時家を出る。
 地元の市役所ロビーで関係する二人と待ち合わせ。
 3時半、いよいよH市長への面会だ、二階の市長室へうかがう。担当部署の課長、ふたり同席する。
 今日のわたしは、わたしたちの住宅地(374世帯)の調整池補修計画プロジェクトのリーダー役での面会だ。言わば、土木などの専門知識を生かした無償ボランティア活動だ。
 用件は、建設コンサルタント会社に依頼し作成してもらった平成20年5月から10月までに観測したデータに基づく調整池の擁癖変状に関する調査報告書の提出と、それにからんで今後の市当局への要請を込めた状況説明だ。緊急事態を予測しての補修工事費用については厳しい財政状況がありとりあえずは難しい、との返答に対して、わたしの方は将来的に本来市が管理すべきものでありこれは公的なインフラ整備である、その枠組みと責任について主張した。また、成果品を受領した文書をもとめたが受け入れられなかった。わたしたちのこの考えと行動は地元にとってまれなことであるようだ。
 面会は30分程度の予定が、時間が長引き4時25分までかかる。
 次に近所の知人宅に寄り、長い間貸していたままの植物図鑑の返却と、この春に予定している接ぎ木のための甘柿の継ぎ穂を数本もらう。びっくりするほど広大な彼の敷地内にはイチョウ並木(!)があり、毎年、処分に困っているほどの銀杏の収穫(2トントラック1台分)があるそうだが、それを土産としていただく。

 5時に帰宅する。近頃わたしは、肩がこる傾向にある。当然ながら用向きによって会う人によって話題は異なるが、内容と種類の違う動きはおつむが疲れる。
          
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スフィアタワー天王洲ビルに、都市空間のデザインを見る--天王洲アイル⑥

2009年02月01日 06時31分24秒 | 天王州アイル Project

 スフィアタワー天王洲ビル(・STT・Sphere Tower Tennoz)
 (残念ながら画像はありません)

 ここは狭い敷地のなかに緑地部分が多面的に設けられている。とくに、隣のビルと地下で駐車場階とつながり、このビル正面は車両出口になっている。
 その上部に左右から巨大なパイプ構造のパーゴラが架けられ、そこに山葡萄を這わせた。植栽計画では珍しい植物でしょう。
 力学的で機能を求められた設計主旨に基づいたエントランスではあるが、あまりにも無機質で無骨なイメージなので、建物の玄関らしさを演出するために接する部分は品種の異なるつつじ密植の立体的な緑地と、この蔓植物でカバーしたものだ。いつでも、工作・構造物と植物という自然を組み合わせるのにはきめ細かいデザイン処理が必要だ。
 重要なことは、竣工時点よりも、時間の経過とともに周りの情景に馴染むようにすることだ。
                             
《建築概要》
工事名: スフィアタワー天王洲(三菱商事天王洲ビル)
建築主: 三菱商事㈱ 
開発敷地面積: 6,113.00㎡  建築面積:    延床面積: 44,046.00㎡
工 期: 平成 年 月→平成4年4月
建築設計: ㈱アールアイエー  
施 工: 鹿島建設㈱・大成建設㈱・熊谷組・佐藤工業㈱・三菱建設㈱JV
当社(第一造園土木㈱):植栽設計・施工    
                                 
○植栽計画○
 《コンセプト》
ここの特徴は狭い敷地の中に多角的に重層させたみどりを外部空間に演出した点にある。正面にある建物東側の大トラスパーゴラの下部の緑地はツツジの花色ごとの寄植えにしてある。そして野趣のある太くて成木のヤマブドウをトラスの棚に端部から立ち上げて這わせ, その葉形で人工的な建築構造物の印象を和らげるとともに植物の四季変化を見せる。
 また, 後部の商業施設内のパティオの緑地には,和洋混交の植物をない混ぜにして植え込み異種空間の雰囲気をもたせている。
・・施工後のひとこと・・
 *やまぶどうについて,東京地区では温暖な気候のせいか被覆度合い(つるの伸び)は盛んであるが紅葉どころではなく, また枯れ葉になり地面に落ちると大きい葉で汚い印象を与える。果実は数年たってもまだ完全な結実が確認されていない。
 * 寒くなる時期に咲く潮風に弱いサザンカの代わりにタチカンツバキを選んだが予想どおりである。
 * おかめざさは健全な生長をしめしており特に問題はない。
 《工事概要》
工程; 平成 年 月~平成 5年 2月           
受注工事金額: ¥ 2,200万
協力業者: 芝茂造園建設㈱ ㈱富沢造園 
材料業者: ㈱富沢造園    
敷地面積: 6,113.00㎡
施工範囲: 植栽工 客土工
緑地面積: 自己敷地; 321.3㎡ (パティオ 37.9㎡)地区公園3号; 約235.0㎡ 
    (緑地 50.3㎡) 芝生地: 44.9㎡ : パティオ: ㈱パルグリーン.設計施工

・維持管理期間 当社(第一造園土木㈱):平成 5年 4月~平成16年 3月
 
 現在の状況はどうなっているか、下のサイトをクリックしてみてください。
     天王洲アイル

◆◆建築設計、コンサルタント、ランドスケープデザインの事務所の方々へ◆◆◆

 ほかに、天王洲アイル開発計画に関する建築設計図書・その後の経過等の資料など、お問い合わせ、ご質問に際して、連絡方法は下段のコメント(0)をクリックするか、少々面倒ですがこちらのH・P 有限会社グリーンワークスから入り、お問い合わせフォーム、メール等でお願いいたします。
        
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

こちらも・・・

blogram投票ボタン