落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

暗黒の騎士

2008年08月13日 | movie
『ダークナイト』

マフィアと結託してバットマン(クリスチャン・ベール)抹殺を目論むジョーカー(ヒース・レジャー)。ゴッサムシティに登場した若き検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)とバットマンの元恋人で今はハービーと交際しているレイチェル(マギー・ギレンホール)をターゲットに悪行の限りを尽す快楽殺人鬼の狂気に、バットマンは自らマスクを棄てる覚悟をするのだが・・・。

えー。
おなかいっぱいっす。もう食べられません。満腹。勘弁。
とりあえず、ふだんこの手のヒーローアクションものってあんまり観ないからすっごい新鮮です。ストーリー展開はめまぐるしいしセリフ(字幕)は多いしカット数もハンパない。情報量がすごい。観てて何度も「アタシついてけてる?」なんて自問自答してしまったよ。
けど満足です。おもしろかったし、ヒース・レジャー観たかったし。ヒースの熱演には確かにビビる。マジで怖い。全編ドロドロに崩れかけた白塗りのクラウンメイクに口裂け特殊メイク。詰め物でもしてるのか顔の形も違うし、声や喋り方もまったくの別人。てゆーか今まで観た出演作でもかなりいろんな役柄を演じてるけど、基本的に悪役ってこれが初めてだったんじゃないかな?まあここまで凶悪な役もめったにないけど。だから彼自身この役・作品には相応の思い入れもあったろうし、楽しんで演じてたというのもホントだと思う。役に入り込みすぎて不眠症になったのが薬物中毒死という不幸な事故の引き金になったという噂もあるけど、それもわからなくはない。共演女優と次々に浮名を流した彼なら、そんなこともあったかもしれない。早くもオスカー候補確実なんて噂もなるほど納得の演技だと思う。
ホントに惜しい人を亡くしたんだなと、しみじみ悲しくなってしまった。

実をいうとぐりはバットマンシリーズってあんまり真面目に観たことなくて、前作『バットマン ビギンズ』もDVDで観たハズなのに内容がまったく思い出せない。大丈夫かアタシの脳味噌。
だからこれまでのバットマンと比べてどこがどーとかいうことは全然わからないんだけど、この『ダークナイト』に関していえば、人の心の中の“善”と“悪”ではどちらがほんとうに強いのかという、キリスト教社会における普遍のテーマを現代の寓話=ヒーローアクション映画のロジックを使って実にうまく表現した、すごく大人向けの社会派娯楽映画という感じがしました。
それも“善”=バットマンVS“悪”=ジョーカーなんて単純構造じゃなくって、“善”と“悪”の両面を持つハービーというひとりの人間を挟んで、ゴッサムシティの市民すべてを巻き込んで“善”と“悪”の観念の本質を戦わせている。うーん。ナイス。
ただぐり的にはハービーの豹変ぶりがちょっと・・・だったのが惜しかった。っちゅーかヒースのキレっぷりの前には誰がどーゆーキレ方してもなかなか太刀打ちできないかもねー。残念。

マイケル・ケインとかモーガン・フリーマンとか脇役の渋さに萌え。やっぱ男は60代からでしょ(終わってる?アタシ?)!前作からのつながりか一瞬だけキリアン・マーフィが出てたけど、その後も出てくんのかと思って期待したらそれっきり。ちっ。一瞬といえば陳冠希(エディソン・チャン)はホントに一瞬しか出てこんかったね・・・顔なんか0.3秒くらいしか映ってなかったよ。
しかしひさびさヒーローアクションもの観て疲れたわー。けっこー長かったし(152分)。ハリウッド映画って長いよね・・・最近・・・。

ヒース・レジャー出演作レビュー:
『アイム・ノット・ゼア』
『キャンディ』
『カサノバ』
『ブロークバック・マウンテン』
『ブラザーズ・グリム』
『ケリー・ザ・ギャング』
『サハラに舞う羽根』
『ROCK YOU!』
『チョコレート』
『パトリオット』
『恋のからさわぎ』