『この自由な世界で』
突然のリストラに遭ったシングルマザーのアンジー(カーストン・ウェアリング)は、ルームメイトのローズ(ジュリエット・エリス)とふたりで職業斡旋所を開設。主に外国人労働者を相手に日雇いの仕事を斡旋して大儲けするのだが・・・。
『ファーストフード・ネイション』でも描かれた外国人労働者問題をロンドンを舞台に描いたケン・ローチの新作。
非常にハードな映画でした。ハイ。観ててけっこーキツかったす。しかしそれにしてもこんなハードな映画がよくつくれたもんです。さすが巨匠。巨匠じゃなきゃこんなの商業映画で成立しませんよ。それくらいハードです。
ヒロイン・アンジーは巨乳のブロンド美女とはいえもう33歳で貯金はなし、カードローンに追われてて両親に預けっぱなしの息子とはいつまで経ってもいっしょに暮せそうもない。つまりガケップチ。それもいつ転落してもおかしくないくらい超ギリギリ待ったナシのガケップチ。
いろんな人が彼女にいう。もっと安定した生活を築きなさい、あなたはおかあさんでしょう、こんな大仕事あなたの手に負えるわけがないと。でも彼女は耳を貸さない。なぜならそれが彼女の性格だから。無計画、無鉄砲、むこうみず。それでいて自分は要領良くてアタマも良いと勝手に思いこんでいる。いちばん周りが迷惑するタイプの女である。
けどぐり、この人嫌いじゃないです。ぐりも彼女に似たところあるから。だから周りの人が彼女に何か忠告するたび、自分が忠告されてるみたいで耳が痛かった。相手のいってることがいちいち全部正しいことはわかってる。ただ彼女はそもそも誰かに何かいわれてその通りにすることができない性格なのだ。説教なんてされればされるほど、痛い目にあえばあうほど、間違った方向に突き進みたくなってしまう人なのだ。
こういう人が職業斡旋所なんか開いちゃったらそりゃたまりません。巻き込まれるのが家族や友人だけじゃなくて不特定多数の大人数になっちゃうし、その大人数にはまたそれぞれ家庭があったりする。まったく困ったもんです。困ったくらいで済みゃあいいけど、仕事が仕事だけにタダじゃ済まない。だんだんオソロシーことになって来て、ヒロインからは味方がひとりふたりと去って行く。
彼女のいちばんイタイとこは、おそらく、自分以外のどんな人間も決してリスペクトできないという、病的な傲慢さなのだろう。おそらく本人はそのことにまったく気づいていない。だからどんなに他人を踏みつけにしても結局平気でいられるし、やり返されても次の瞬間にはケロリとしていられる。自分が悪いなんて露ほども反省しないから。する必要がない。いつも自分は正しくて、いけないのは全部他人。都合の悪いことは全部周りのせい。
しかし彼女のような身勝手さは現代人なら誰にでも多かれ少なかれ備わっている。そのことを自覚していられるか否かに人間性の価値がかかっているともいえるだろう。
とくにこの数年で日本国内でもうなぎのぼりに増加した外国人労働者(とゆーのは日本独特の表現だそーで、本来“移民”と呼ぶべきらしい)の問題はまだ表面化していないけど、いずれ欧米諸国のように深刻な意識改革を求められるようになることだけはわかっている。
その日はおそらくそう遠くない。もしかしたら来週あたり来るかもしれない。
もしかしたらね。
突然のリストラに遭ったシングルマザーのアンジー(カーストン・ウェアリング)は、ルームメイトのローズ(ジュリエット・エリス)とふたりで職業斡旋所を開設。主に外国人労働者を相手に日雇いの仕事を斡旋して大儲けするのだが・・・。
『ファーストフード・ネイション』でも描かれた外国人労働者問題をロンドンを舞台に描いたケン・ローチの新作。
非常にハードな映画でした。ハイ。観ててけっこーキツかったす。しかしそれにしてもこんなハードな映画がよくつくれたもんです。さすが巨匠。巨匠じゃなきゃこんなの商業映画で成立しませんよ。それくらいハードです。
ヒロイン・アンジーは巨乳のブロンド美女とはいえもう33歳で貯金はなし、カードローンに追われてて両親に預けっぱなしの息子とはいつまで経ってもいっしょに暮せそうもない。つまりガケップチ。それもいつ転落してもおかしくないくらい超ギリギリ待ったナシのガケップチ。
いろんな人が彼女にいう。もっと安定した生活を築きなさい、あなたはおかあさんでしょう、こんな大仕事あなたの手に負えるわけがないと。でも彼女は耳を貸さない。なぜならそれが彼女の性格だから。無計画、無鉄砲、むこうみず。それでいて自分は要領良くてアタマも良いと勝手に思いこんでいる。いちばん周りが迷惑するタイプの女である。
けどぐり、この人嫌いじゃないです。ぐりも彼女に似たところあるから。だから周りの人が彼女に何か忠告するたび、自分が忠告されてるみたいで耳が痛かった。相手のいってることがいちいち全部正しいことはわかってる。ただ彼女はそもそも誰かに何かいわれてその通りにすることができない性格なのだ。説教なんてされればされるほど、痛い目にあえばあうほど、間違った方向に突き進みたくなってしまう人なのだ。
こういう人が職業斡旋所なんか開いちゃったらそりゃたまりません。巻き込まれるのが家族や友人だけじゃなくて不特定多数の大人数になっちゃうし、その大人数にはまたそれぞれ家庭があったりする。まったく困ったもんです。困ったくらいで済みゃあいいけど、仕事が仕事だけにタダじゃ済まない。だんだんオソロシーことになって来て、ヒロインからは味方がひとりふたりと去って行く。
彼女のいちばんイタイとこは、おそらく、自分以外のどんな人間も決してリスペクトできないという、病的な傲慢さなのだろう。おそらく本人はそのことにまったく気づいていない。だからどんなに他人を踏みつけにしても結局平気でいられるし、やり返されても次の瞬間にはケロリとしていられる。自分が悪いなんて露ほども反省しないから。する必要がない。いつも自分は正しくて、いけないのは全部他人。都合の悪いことは全部周りのせい。
しかし彼女のような身勝手さは現代人なら誰にでも多かれ少なかれ備わっている。そのことを自覚していられるか否かに人間性の価値がかかっているともいえるだろう。
とくにこの数年で日本国内でもうなぎのぼりに増加した外国人労働者(とゆーのは日本独特の表現だそーで、本来“移民”と呼ぶべきらしい)の問題はまだ表面化していないけど、いずれ欧米諸国のように深刻な意識改革を求められるようになることだけはわかっている。
その日はおそらくそう遠くない。もしかしたら来週あたり来るかもしれない。
もしかしたらね。