OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

渚の1枚

2006-08-06 16:30:41 | Weblog

昨夜から赴任地の海岸のキャンプ場で、身内や友人と過ごしています。

バーベキューでは、焼き枝豆が大ヒツト! 隣のグループへ次々に伝播するという快挙でした♪ あずき様、ありがとうございます。私は久々に良い顔が出来ましたです。

ということで、本日の1枚は――

Frank Rosolino (Capitol)

西海岸を中心に活動したフランク・ロソリーノは、明朗闊達派のトロンボーン奏者で、その演奏は常に爽快さに満ちています。

何と言うか、ノーテンキと紙一重の魅力がありますし、驚異的なテクニックから繰り出される早いフレーズは、楽しさが一杯♪ あくまでもジャズなんですが、ジャズに拘らなくても楽しんで聴ける演奏も魅力です。

その活動範囲はビックバンドの一員として、あるいは自分のリーダーセッションで、はたまたスタジオでの仕事まで含めて膨大なレコーディングが残されていますが、その芸暦で一番輝かしいのが、スタン・ケントン・オーケストラのスタアだった時期でしょう。

このアルバムはその当時、親分スタン・ケントンの肝煎りでキャピトルに吹きこまれたリーダーセッションを集めたもので、もちろん小気味良いウェストコーストジャズの真髄が聴かれます。

録音は1954年の3月と11月で、メンバーはサム・ノート(tp)、フランク・ロソリーノ(tb)、チャーリー・マリアーノ(as) というホーン隊は不動ながら、リズム隊が3月のセッションではクロード・ウィリアムソン(p)、カーティス・カウンス(b)、スタン・リーヴィー(ds)、11月のセッションではピート・ジョリー(p)、マックス・ベネット(b)、メル・ルイス(ds) という布陣になっています――

A-1 Ragamurrin (1954年11月6日録音)
 明るく快適なウェストコーストジャズの典型のようなテーマから、アドリブの先発はチャーリー・マリアーノのアルトサックスですが、これが強烈なパーカー・フレーズを織込んで素晴らしいです!
 そして続くフランク・ロソリーノは何の屈託も無い明るい吹奏♪ 隠れ名手的存在のサム・ノートがイマイチ調子を崩していますが、メル・ルイスのドラムスを要としたリズム隊の活躍で好演になっています。

A-2 Embraceable You (1954年11月6日録音)
 数多い名演が残されているスタンダードの人気曲を、フランク・ロソリーノは、通常よりは少し早めのテンポで、明るく爽やかに吹奏してくれます。チャーリー・マリアーノも、ほどよく泣いたフレーズを聴かせてくれますが、どこまでも明るさに撤した演奏なので愁いとは程遠く、そこが逆に良かったりします。

A-3 I'm Gonna Sit Right Down And Write Mysilf A Letter (1954年11月6日録音)
 これも快適としか言いようが無いアップテンポの演奏です。原曲はスローな解釈が多い哀愁系のスタンダードですが、全くフランク・ロソリーノの手にかかると、楽しいハードバップになってしまいますね。
 そう、これはハードバッブです。それはチャーリー・マリアーノのグルーヴィなアルトサックスに顕著で、当時、これだけ露骨にチャーリー・バーカーをやっていた白人も珍しいのでは?
 もちろんフランク・ロソリーノの駆け足っぽい早吹き、溌剌としたサム・ノートまでもが、とにかく素敵です♪

A-4 Freckles (1954年3月録音)
 ここではリズム隊が前3曲と変わっていますが、その所為か、ウェストコースト派の色合が強い中にも、黒っぽさが滲みでているようです。
 特にピアニストのクロード・ウィリアムソンが黒いですねっ♪ またスタン・リーヴィーも粘っこく、ベースのカーティス・カウンスは黒人ということで、文句なしです。まあ、そんなリズム隊にシビレている間に終わってしまうという短さが残念です。
 
A-5 Boo Boo Be Doop (1954年3月録音)
 これも快適過ぎるハードバップですが、サム・ノートが良いですねっ♪
 アンサンブルでも全体をリードしていますし、負けじと突っ込むフランク・ロソリーノ、チャーリー・パーカーを尊敬しまくるチャーリー・マリアーノも健闘! そしてリズム隊のグルーヴィなノリは、もう最高です。

B-1 Besame Mucho (1954年11月6日録音)
 これはもう、笑って許してもらうしか無い演奏です。哀愁を期待するとハズレます。とにかくこんな楽しい「ベサメ」も珍しいです。
 まず歯切れの良いラテンリズムに導かれて早いテンポで演奏がスタートし、手のこんだテーマでの絡みから、高速4ビートでアドリブパートをブッ飛ばすフランク・ロソリーノは、爽快の極み!
 続くサム・ノートも溌剌と淀みの無いトランペットの真髄を聴かせ、ピート・ジョリーのピアノはひたすらに楽しいのでした。

B-2 Linda (1954年11月6日録音)
 最初からオトボケの狙った楽しい演奏です。
 この和みのムードは白人ならではの洒落た感覚でしょう。特にフランク・ロソリーノは十八番の早吹きを聞かせながら、和みのフレーズも繰り出していますし、チャーリー・マリアーノのハードバッブに拘ったミスマッチが、また楽しかったりします。

B-3 Frank 'N Earnest (1954年11月6日録音)
 かなりハードなリズム隊に煽られたモダンジャズになっています。
 テーマには楽しさよりも素材としての価値が大きく、アドリブの材料としてバンド全体に引き寄せられている雰囲気ですから、チャーリー・マリアーノは大張り切りで大健闘! サム・ノートもスタン・ケントン楽団でならした名手ぶりを遺憾なく発揮しています。
 肝心のフランク・ロソリーノは、ややマンネリ気味のフレーズばかりですが、それが唯一無二の個性になっているのは、流石だと思います。
 これぞ、白人ハードバップ!

B-4 Carioca (1954年3月録音)
 アップテンポで楽しいラテンジャズです。というか、後年のアメリアッチ風なテーマ解釈が素敵ですねっ♪
 もちろんフランク・ロソリーノにとっては十八番の展開とあって、高速4ビートのアドリブ、さらにバンドアンサンプルでも大張り切り! サム・ノートも負けじとバリバリ吹きまくりです。

B-5 Yo Yo (1954年3月録音)
 これまたアップテンポの快演で、まさに何処までも走って行きたくなるような、青春の香りまでしてきます。

ということで、このアルバムには哀愁のスロー物なんてものは、ひとつもありません。唯、ひたすらに楽しく快適にブッ飛ばした演奏ばかりなので、家で聴いていると、ちょっと飽きてくるのが正直なところです。

しかし本日のように休日の海辺とか海岸線のドライブには、うってつけ♪ ウキウキワクワク、後は疲れて眠るだけ♪ そしてウタタ寝の後には冷たいビールに焼き枝豆♪ そんな夏の休日には、ぴったりの1枚でしょう。

これがアート・ペッパーあたりの演奏だと、ちょっと重いものが漂ったりして、そうもいかない雰囲気になりますから、ここでの楽しさ、ご理解願います。

コメント
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