OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

連敗中

2006-08-07 20:12:28 | Weblog

ヤフー・オークションで3連敗中です。悔しい……。

しかも、内2回が同じ人に負けているんですねぇ……。

普通の感覚では欲しがらないブツのはずなんですが、世界は広いというか、同好の士に出会えた喜びもあるんですが、それにしても最初っから法外な入札をされては、太刀打ち出来んです……。

ということで、本日の1枚は――

The Dealers (Status)

「Mal Waldron with John Coltrane」と副題がありますが、特にグループということでは無く、ジャズでは定番のスタジオ・ジャムセッション物です。ちなみに発売した「Status」は、プレスティッジの傍系レーベル「NewJazz」の下で廉価・発掘作品を出していたところで、レコード会社あるいはレーベルという存在ではなく、プレスティッジ社内の一部門という扱いでしょうか。

このアルバムもそうした発掘音源というか、残り物を集めた様な感じですが、何せ製作されたのがモダンジャズ全盛期でしたから、侮れません。流石プレスティッジ! 縁のスタアが勢揃いです♪

収録されたセッションはA、B面にきちん分かれており、まずA面の録音は1957年4月19日、メンバーはビル・ハードマン(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ジョン・コルトレーン(ts)、マル・ウォルドロン(p)、ジュリアン・ユエール(b)、アート・テイラー(ds) という、つまり既に発売されていたマル・ウォルドロンのリーダー盤「マル2」のセッションからの発掘になっています――

A-1 Blue Calypso
 タイトルどおりに楽しいラテンジャズで、作曲はネクラのイメージがあるマル・ウォルドロンと知って仰天、聴いて楽しい演奏です。
 まずアート・テイラーのリムショットのラテンビートに乗ってマル・ウォルドロンが楽しくシンプルなテーマ~ソロを披露してペースを設定、続けてジョン・コルトレーンが暴れるところから快適な4ビートとラテンビートの交錯となりますが、これがなかなかハードバップしていて、素敵です♪
 続くビル・ハードマンも、特徴的な詰り気味の音色で快調に飛ばしていますし、ジャッキー・マクリーンは最初から激情の泣きじゃくりですから、たまりません♪
 そして再び登場するマル・ウォルドロンは、執拗に同じフレーズを繰り返すという十八番も入れて、当に情念のイタコ弾きですから、アート・テイラーは激怒のオカズと大車輪ドラムソロで鬱憤を晴らすのでした。
 う~ん、とても残り物とは思えないハードパップの隠れ名演だと思います。

A-2 Falling In Love With Love
 モダンジャズでは人気のスタンダード曲が、こちらの期待どおりに快適に演奏されます。
 テーマをリードするのは、この曲が得意のビル・ハードマンですから、そのまま突入する先発のアドリブは、俺に任せろという楽しいフレーズを連発しています。 そして続くジャッキー・マクリーンも独自の「泣き」を入れたハードバップの真髄に迫っていますし、ジョン・コルトレーンは危なっかしいところを逆手に取った未完成のシーツ・オブ・サウンドで、烈しく咆哮するのです。
 あぁ、このホーン陣の奮闘だけで大満足の演奏ですが、さらに素晴らしいのがアート・テイラーのシンバルとパワーに満ちた煽りで、これにはマル・ウォルドロンも張り切る他は無く、例の訥弁スタイルから不思議な歌心を披露してくれるのですから、数多い同曲のモダンジャズ・バージョンとしては屈指の演奏になっていると思うのですが……。

さてB面は完全なジャムセッションで、これも既に発売されていた「ホイーリン&ディーリン」というアルバムの別テイクを集めたものです。録音は1957年9月20日、メンバーはフランク・ウェス(ts,fl)、ジョン・コルトレーン(ts)、ポール・クインシェット(ts)、マル・ウォルドロン(p)、ダグ・ワトキンス(b)、アート・テイラー(ds) という、新旧入り乱れの面白さがあります――

B-1 Dealin' (take-1)
 スローでグルーヴィな変態ブルースで、3管の響きが如何にもジャズっぽいところです。
 アドリブの先発はマル・ウォルドロンがネクラな心情吐露に終始しますが、所謂モールス信号弾きも聴かせてくれます。
 続いて出るフルートは、もちろんフランク・ウェスのお家芸! この人はカウント・ベイシー楽団のスタアとしての活躍の他に、こういうモダンジャズどっぷりのセッションでも多くの至芸を披露しており、これもそのひとつです。
 そして次はベテランのポール・クインシェットが登場♪ この人はレスター・ヤング(ts) の影響下にある、まあプレモダン派のひとりですが、なかなか良い味出しまくりですねっ♪ ブレスティッジにはジョン・コルトレーンと一騎打ちを演じたアルバムも残しています。
 で、お目当てのジョン・コルトレーンはダークな音色で落ち着いた中にも激情を迸らせる瞬間が、本当に熱いです。ウリのシーツ・オブ・サウンドも完成まで、あと一歩の呻きが痛切です。
 演奏はこの後、フランク・ウェスがテナーサックスに持ち替えて、小型コールマン・ホーキンスを演じ、再びマル・ウォルドロンがネクラを演じてテーマに結びつけています。

B-2 Wheelin' (take-1)
 如何にもハードバップという屈折したテーマから、アップテンポでジョン・コルトレーンが飛び出した瞬間、周囲はジャズそのものになる痛快さが魅力です。
 そして次にポール・クインシェット、さらにフランク・ウェスのテナーサックスが続き、この3者が短いコーラスでソロ交換を行うという、所謂テナーバトルの三竦みが展開されます。もちろん各々が超個性派ですから、リスナーは今、誰が吹いているか簡単に分かるので安心感があります。
 で、個人的にはジョン・コルトレーンに思い入れが強いのですが、その他の2人も引き立て役どころか、逆に目立つ瞬間があるのは、リアルタイムでの立場を鑑みれば当然ですねっ♪
 さらにここではマル・ウォルドロンが素晴らしいアドリブを聴かせてくれるのが、意想外の嬉しさ! 単音弾きの繰り返しからモールス信号、おまけにセロニアス・モンクも真っ青という不協和音の乱れ打ち! こうした積極性が出るのも、アート・テイラー&ダク・ワトキンスというハードバップ真打コンピの熱演の所為でしょうねっ♪ なかなか強烈な演奏だと思います。

ということで、残り物には福がある、というよりも、これがモダンジャズ全盛期の底力なんでしょう。

ハードバッブの隠れ名盤と断言させて下さい。

コメント
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