■海岸通りの喫茶店 / 岡崎友紀 (東芝)
音楽好きにとって、自分の好きなアーティストのスタイルと同系の楽曲が気になるのは自然の流れだと思います。
例えばビートルズが好きならば、必然的にバッドフィンガーやチューリップ、パイロット等々は言うに及ばず、それらしき音作りや歌を演じているシンガー&グループは星の数ほど存在していますから、全く尽きない楽しみでしょう。
さて、そういう点からすれば、本日ご紹介する岡崎友紀の楽曲はシングルB面扱いですが、なんと疑似ユーミンなんですねぇ~♪
実は告白すると、私はユーミン好きが高じて、それらしきものまで集めた過去があるんですが、この「海岸通りの喫茶店」は、てっきりユーミンが岡崎友紀に書き下ろした楽曲だと思い込んだほどです。
しかし実際は作詞:阿久悠、作編曲:三木たかし!?!
ご存じのように岡崎友紀はユーミンから提供をされた「グッドラック・アンド・グッドバイ」と「ハートをたべて」のカップリングシングルを昭和51(1976)年に出していますし、他にユーミンがアルバム「コバルトアワー」で発表した「何もきかないで」もカパーしていますが、このシングル盤の発売は昭和49(1974)年11月です。
ちなみに当時のユーミンはと言えば、ちょうど同年10月にアルバム「ミスリム」とシングル「12月の雨」を発売し、いよいよブレイク寸前という時期でしたから、これは恐ろしい偶然なんでしょうか……。
とにかく岡崎友紀の「海岸通りの喫茶店」を聴けば、これはユーミンだよなぁ、と私は思わざるをえませんでした。
とはいえ、書き遅れましたが、私が「海岸通りの喫茶店」に気がついたのは決してリアルタイムではなく、昭和51(1976)年になってのことですし、アレンジそのものは歌謡フォーク味が強く、当時のユーミンがやっていたキャラメル・ママ~ティンパンアレイ風の演奏にはなっていません。
しかしイントロ前の波のSEからスローテンポで柔らかなサウンドメイキング、歌詞の雰囲気とメロディ展開は、絶対にユーミン味が強く、それゆえに中古で件のシングルをゲットしてソングライターのクレジットを確認した時の驚きは、まさに絶句でした。
例えばユーミンがブレイクした後に、プロの作家がこれを作ったのならば、それは職業としての実力の証だと納得も出来るのですが、このあたりの謎は解けるのでしょうか。
ちなみにユーミンは公式デビュー前からソングライターとして村井邦彦の傘下にあり、その指導を受けていましたし、自ら楽曲を作る場合のプロ意識は相当に高いことは、皆様がご存じのとおりです。それゆえに当時第一線の職業作家を研究していたことは推察に易いでしょう。
ユーミンが昭和48(1973)年に最初のアルバム「ひうこき雲」を出した頃、歌謡曲っぽいと言われていたのも意味深です。
ちなみにA面は、まあ、それなりということでふれませんが、このシングル盤はB面に絶対の価値があるんじゃないかと、私は思うばかりです。