■Tracy / The Cuff Links (Decca / 日本ビクター)
さて、なんとか好評の「実態の無いバンド」特集(?)の一環として、本日はカフ・リンクスが1969年に出した「Tracy」をご紹介致しますが、もちろん楽しさ満点のバブルバムロックですから、欧米では忽ちの大ヒットになって、我国でも翌年にはラジオから流れまくったウキウキポップスの超名曲♪♪~♪
とにかくイントロのお気楽なコーラスパートから、一気に虜の楽しさですよっ!
そこで結論から言えば、掲載した日本盤シングルのジャケ写に登場している7人組がカフ・リンクスであり、メンバーはジョーイ・コード(vo)、デイヴ・ラヴェンダー(g)、リッチ・ディミノ(g,key)、アンディ・デンノ(b)、ダニー・ヴァレンタイン(ds)、ボブ・ギル(tp)、パット・リッツォ(sax) という顔ぶれなんですが、既に述べたとおり、この「Tracy」を実際に演じているのは彼等ではありません。
その正体は、「Tracy」を書いたソングライターコンビのポール・ヴァンスとリー・ポクリスがスタジオセンションミュージャンの助っ人を得て作り出したもので、リードボーカルはロン・ダンテ!
そうです、当時のヒットパレード界にあっては、「Sugar Sugar」の他にもヒット曲を連発した架空のバンドたるアーチーズのメインボーカリスト(!?)として活躍する等々、なかなかポップスど真ん中の業績を残した人気者なんですが、何故かそれなりに出していた自己名義のレコードは泣かず飛ばず……。
と書けば、なにかロン・ダンテには裏方に徹する宿業があったのかもしれず、有名なところでは、バニー・マニロウの影武者をやっていた事もあったとか!? つまり件のスタアのレコーディングではプロデュースや仮歌がロン・ダンテの仕事だったと言われています。
そして追々に調べてみると、ロン・ダンテは自己名義でLPは3枚ほど、またシングルも20枚以上出しながら、ひとつもヒットしていないんですから、これ如何に!? 少なくともサイケおやじが実際に聴いてみた幾枚かのレコードにしても、充分に売れる要素のあるものばかりなんですよっ!
あぁ、こういう歌手こそ、たとえマニア向けであろうとも、集大成的な音源集が出されるべきでしょうねぇ~。
本日は、そんな願いも込めて、これを綴ったというわけです。