OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

今に繋がるテルスター

2012-02-07 14:19:56 | Rock

Telstar / The Tornados (London / キング)

最近の音楽流通事情はすっかりネットが主流となり、しかも以前はブートネタだった音源までもがミュージシャン側の主導により、「アーカイヴ」なぁ~んていう大義名分で堂々とDL販売されるんですから、いやはやなんとも……。

しかし、もちろんサイケおやじにしても、例えばストーンズならば「ブリュッセル」や「ハンプトン」はがっちりゲット! ズブズブに楽しんでいるのですから、それらを嘆いているわけでありません。

で、そうした通信手段の発達に伴う音楽的進歩に関しては、やはり1962年に打ち上げられた通信衛星「テルスター」の成功が最初かもしませんねぇ。

なにしろ当時は小学生だったサイケおやじにしても、担任教師の些か興奮気味の解説による未来予測の中に、何れはテレビやラジオで世界中の音楽が一瞬にして入手出来る云々という部分も含めて、それはかなり記憶しているほどなんですが、なるほど、今日の音楽ネット流通が予言されていたのかっ!?

という感慨も深いわけです。

そして、これも当然と言えばミもフタもありませんが、所謂便乗商法として登場し、見事に大ヒットしたのが、トルナドースというイギリスのバンドが演じた本日ご紹介のエレキインスト曲「Telstar」で、そのイントロのミステリアスな混濁が解放されていくメインのメロディの気持良さは、これぞっ! 宇宙時代のSFロックという狙いが達成されているようです。

しかし告白すれば、サイケおやじが「Telstar」に親しんだのはベンチャーズによるカパーバージョンであって、そちらは前述した「混濁」の部分をスッキリとしたオルガンサウンドによって表現しているところが、別の意味で実に爽快な仕上がりでした。

ですから、実はそれによってトルナドースのオリジナルバージョンがど~しても聴きたくなり、後追いの中古盤としてゲットしたのが掲載のブツというわけですし、基本的な構成は同じながら、ベンチャーズのバージョンよりは相当に作り込まれた全体のサウンドは、後のサイケデリックロックにさえ繋がる魅力を感じましたですねぇ~♪

う~ん、これはっ!?!

そこで自分なりに調べてみると、浮かび上がってきたのが、この楽曲の作者であり、オリジナルバージョンをプロデュースしたジョー・ミークという偉人の存在です。

ご存じのとおり、ジョー・ミークは音楽業界に入る前は軍隊でレーダー係として勤務していたとか、少年時代からラジオや各種電気関係の機械に興味を抱いていたとか、さらにはロンドンの音楽スタジオで録音エンジニアとして働いた後、自ら小さなレコード会社を設立した時にも、メロディや歌詞が優先される楽曲よりは、それに付随する効果音も含む「サウンドの面白さ」を追求したかったと言われるほど、なんとかと紙一重の結果論的天才を発揮していたようです。

とすれば、このトルナドースの「Telstar」に顕著な、どんなキーボード(?)で弾かれたのか? 真相不明とも思える導入部のサウンドや異次元の密度を感じさせる全体の構成、それとは正反対の澄んだギターの音色といった、なかなか斬新な印象は用意周到な成功例なのでしょう。

ちなみに肝心のトルナドースはアラン・キャディ(g)、ジョージ・ベラミー(g)、ロジャー・ラ・ヴァーン(key)、ハインツ・バート(b)、クレム・カッティーニ(ds) という5人組なんですが、しかしこのスタジオレコーディングされた「Telstar」が果たして、このメンツで演じられたのかは些かの疑問符が付くように思います。

つまり、それほど凝った「造り」ゆえに、以降のトルナドースはメンバーの離散集合を経て落ち目になっていった歴史も否定出来ませんし、反対にプロデューサーのジョー・ミークは既に故人ながらも世界中で信奉者を増やしつつ、今日ではポップスの巨匠としての評価も決定的!?

そのあたりについては、様々に出回っている音源集で確認も可能ですし、個人的にも嗜好性はジャストミートしている事を踏まえ、もしもPCで音楽を楽しむ事が主流となった現代にジョー・ミークが存命ならば、どのように素敵なサウンドを提供してくれるのか?

そんな妄想と願望が捨てきれないのでした。

コメント
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