■暁の空中戦 / The Royal Guardsmen (Laurie / 東芝)
昭和40年代頃までの我国では「戦争映画」というジャンルが確固たる人気を呼び、邦画はもちろん、洋画も毎年相当数の封切がありました。
ですから、それに伴って所謂サントラ盤扱いの映画主題歌も戦争物が多く、堂々と日本のヒットチャートに入る曲もあったわけですが、そんな状況の最中に発売され、ラジオを中心に流れていたのが本日ご紹介の「暁の空中戦」でした。
ところが結論から言うと、これは決して映画の主題歌なんかじゃなくて、本来の曲タイトルは「Snopy Vs. The Red Baron」という、つまりは例の元祖ゆるキャラのビーグル犬として人気のスヌーピーを主役にしたコミックソングのひとつだったんですねぇ~~~!?!
とすれば、マーチテンポの隠し味もウキウキ感を増幅させる、妙に解放的な曲メロや楽天的な節回しも全ては仕組まれたものでしょうし、第一次世界大戦当時のドイツの名戦闘機パイロットたるレッドバロン=マンフレート・アルブレヒト・フライヘア男爵との空中戦という古色蒼然も、これがヒットした1967年当時の社会情勢に対する屈折した反戦意識と理解出来ないこともありません。
しかし、それが我国特有のシングル盤ピクチャースリーヴになると、掲載したジャケ写のとおり、爆撃機(?)の編隊飛行がデザインされてしまうのですから、いやはやなんとも……。
尤も、そんな内情をサイケおやじが知ったのは、当然ながらリアルタイムでは無く、その頃はシンプルで楽しいヒットポップスとして聴いていたんですから、今更罪悪云々という話は抜きでしょう。
いや、むしろ今となっては件のレコードが欲しくて、本当に物欲の煩悩に苛まれていた当時の記憶の方が遥かに鮮明なサイケおやじです。
ちなみに演じているロイヤル・ガードメン、あるいはロイヤル・ガーズメンと書くべきなのかもしれませんが、アメリカはフロリダ出身の6人組で、メンバーはクリス・ナンリー(vo)、バリー・ウィンズロウ(vo,g)、トム・リチャーズ(g)、ピリー・テイラー(key)、ビル・バロウグ(b)、ジョン・バーデッド(ds) という顔ぶれとされています。
そして「暁の空中戦 / Snopy Vs. The Red Baron」が見事に世界中でヒットしたことから、続けて「スヌーピー物」の楽曲を乱れ撃ちの如く発売し、中にはクリスマス商品のLPもあるんですから、少なくともアメリカ国内ではウケまくったんでしょう。テレビ出演も多かったはずで、その中のひとつが我国で放映された時、サイケおやじは肝心のバンドと一緒に映っているスヌーピーの存在意義が理解出来ませんでしたねぇ~。
つまり完全に戦争映画関連の歌と思い込まされていたわけです。
第一、グループが「近衛兵」を名乗っていながら、当時の流行だったミリタリールックよりは平均的なロックバンド系の衣装だったというあたりにも、納得出来ない違和感がっ!?!?
まあ、今となっては様々な思惑が交錯した元祖産業ロックのひとつだったのかもしれませんし、それは如何にも芸能界という常識のひとつなんでしょうか?
少なくとも欧米では「スヌーピー」に頼ったキワモノという受け止め方が無いとは言えないでしょう。
あっ、そう言えば初期の岡崎友紀!
テレビで見かけた彼女って、いつも「スヌーピー」の人形を抱いていましたですねぇ~♪
ということで、このシングルは物凄いフェイクの邦題&ジャケットの決定版じゃないでしょうか?
冷静の考察すれば、「スヌーピー」の版権が取れなかったのかもしれませんが、ほとんど過大広告気味の状況も、楽曲の良さに救われたという、これはこれで今や名盤=迷盤!?