OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

スリー・ディグリーズは昭和歌謡曲?

2012-02-22 15:33:38 | Soul

荒野のならず者 / Three Degrees (PIR / CBSソニー)

日本の芸能界に多大な影響を及ぼした洋楽スタアとしては、まずベンチャーズが筆頭格でしょうが、1970年代にブレイクした黒人女性ボーカルグループのスリー・ディグリーズが巻き起こした大旋風も決して小さくは無かったと思います。

なにしろ結論から言えば、我国の歌謡曲&歌謡ポップスが急速にシティソウル化したきっかけが、彼女達の登場にあった事は過言ではありません。

その端緒が昭和49(1974)年春から爆発的に流行った「荒野のならず者 / Dirty Ol Man」であり、当然ながら同時期に世界中でメガヒットした事は言うまでもないでしょう。

それほど「荒野のならず者 / Dirty Ol Man」はキャッチーでイカシたソウルミュージックであり、しかも演じているスリー・ディグリーズはルックスもセクシーな実力派として、強烈な存在感を発揮したのです。

ちなみにスリー・ディグリーズは決してポッと出の新人グループではなく、メンバーの出入りも含めた、それなりに長いキャリアを経ての人気獲得とあって、所謂「場慣れした」余裕もさることながら、やはり楽曲の親しみ易さが最大のポイントであり、それがスバリ!

1970年代に一世を風靡したフィラデルフィアサウンド=フィリーソウルのひとつの成果でした。

まあ、このあたりは、前年に我国でも大ヒットしたオージェイズの「裏切者のテーマ / Back Stabbers」が地均し的役割を担った事も無視できませんし、ケニー・ギャンブル&レオン・ハフの裏方とは思えない存在感の強さも特筆するべきだと思います。

しかし、繰り返しになりますが、スリー・ディグリーズという本場のソウルを歌ってみせる女性グループとしての魅力♪♪~♪

それがまた、絶対に侮れないんですよねぇ~~♪

既に述べたように、当時のグループは1965年の正式デビュー以来、数回のメンバーチェンジがあり、この「荒野のならず者 / Dirty Ol Man」を大ヒットさせた頃はフェイエット・ピンクニー、シーラ・ファーガソン、バレリー・ホリディという顔ぶれになっていたわけですが、如何にもニューソウルな衣装の着こなしやステージアクションのカッコ良さは、時には乳首やアンダーヘア(!?)がスケスケのショットを含めたスチール写真だけでもビンビンに伝わってくるほどの衝撃度だったんですよっ!

もちろん人気沸騰時の来日ステージのチケットは予約だけで発売前からソールドアウト状態という伝説すら残されているほどです。

しかも彼女達はそうした人気に溺れる事なく、日本語バージョンのオリジナル楽曲も幾つか、きっちりサービス満点に吹き込んでくれましたから、それらは何れご紹介するとして、そこに我国の職業作家やスタジオミュージシャンが参画していた事も大きな意味がありました。

つまり、例えば筒美京平は既に洋楽テイストを歌謡曲に盛り込む事が得意技でありましたから、流行のフィリーソウルからも当時は大きな「頂き物」を司っていました。

そしてそれがスリー・ディグリーズの大ブレイクによって、何か免罪符の如き許容範囲の広がりとなり、特に女性アイドル歌手&グループが歌謡ソウルに踏み込む道を流行の先端として確立させた点は、今や歴史だと思います。

また同様の仕事を残してくれた作家も夥しく、極言すれば昭和50年代前半までの歌謡界はフィリーソウル抜きには語れないほど!?

それほどスリー・ディグリーズの登場と活躍は強い印象と影響力を残したはずなんですが、どういうわけか現在、何かそこに触れるのはタブーという雰囲気があるのは何故???

現実的にはスリー・ディグリーズがテレビCMにも登場し、来日する度にコンサートが満員だった1970年代後半こそが、彼女達の全盛期だったろうと思います。そして1980年代はイギリスを中心に欧州各地で新たなファンを開拓したというか、当時はちょっと日本では忘れられた存在だった頃の人気に現地で接したサイケおやじは、驚愕と懐かしさにウルっときた思い出があることを、この機会に記しておきます。

ということで、もしも「荒野のならず者 / Dirty Ol Man」が出なかったら、我国歌謡曲の歴史も変わっていたかもしれないと思うのは、サイケおやじの独断と偏見かもしれませんが、当たらずも遠からじ? というのが本音であります。

今となってはスリー・ディグリーズのレコードなんて、珍しくもない!

そういう観点からしか評価(?)されない彼女達ではありますが、本当は手を合わせるファンだって、絶対に今も大勢存在しているはずです。

不肖サイケおやじも、実はそのひとりであることを本日は告白させて下さいませ。

コメント (2)
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