■Baby It's You / Smith (Dunhill / 東芝)
サイケおやじの音楽鑑賞のひとつの法則として、好きな楽曲中心主義があります。
と書けば、何時もどおりに大袈裟言い回しなんですが、つまりは自分好みの歌とかメロディの曲をやってくれれば、そのレコードを買ってしまうという性癖にすぎません。
で、その代表事例としては「sunny」とか「What's Going On」等々があるんですが、本日の「Baby It's You」もバート・バカラックの代表作にして、ビートルズのバージョンに接して以降、これは人生を供にする運命の出会い♪♪~♪
う~ん、またまた大袈裟な書き方になっちまいましたが、しかし実際、これが大好きという気持に偽りはありません。
ですから、掲載したシングル盤もそれゆえに買ったものであり、スミスという平凡極まりないグループ名のバンドに拘っての行為という事では、決して無いのです。
ところが、このスミスのバージョンから発散される濃厚なスワンプロック風味は、これまたサイケおやじの趣味嗜好にジャストミートの名演名唱! 特にジャケ写では柔らかな微笑み美女という佇まいの女性ボーカルが、熱くて粘っこいフィーリングを全開させる節回しが最高なんですねぇ~♪
そしてバンドとしての纏まりもグッと凝縮性が高く、メンバーはリッチ・クライバーン(g)、ラリー・モス(key)、ジェリー・カーター(b)、メバート・エバンス(ds) という顔ぶれに説得力満点のシャウト唱法がウリのボーカリストがゲイル・マコーミック♪♪~♪
率直に言って、明らかに彼女が看板だった事は、この「Baby It's You」を聴けは納得されるはずですし、実際、1969年秋~冬にかけての全米大ヒットになった後、ゲイル・マコーミックがソロ歌手としての活動をスタートさせ、バンドはそれでもアルバム2枚ほどの音源を残しながら、フェードアウトしています。
ただし、ゲイル・マコーミックは独立後に出したレコードを聴くかぎり、スミス時代の熱唱スタイルとは一味違った方向性を示し、なんとなくカントリーやジャズ風味も滲む、普通のポップス歌手に近くなったのは個人的に残念至極……。
それゆえにスミスの「Baby It's You」が殊更愛おしいというわけです。
最後になりましたが、実はリアルタイムの我国では決してそれがヒットしたという事ではありません。むしろ空振りだったのが本当のところでしょう。
しかし一度でもゲイル・マコーミックが在籍していた頃のスミスにシビれてしまえば、それは何時までも心に残るはずで、それほど決めつけてしまうサイケおやじの心情を慮っていただければ、幸いでございます。
最後になりましたが、もちろん「本日のスミス」は、「最近のスミス」とは別のバンドなので、念の為! それでも気になる皆様には、絶対に「本日」の方をオススメする次第です。