■木枯らしの二人 / 伊藤咲子 (東芝)
瞬時、年末の巷にはクリスマスやお正月、冬物衣料や暖房器具、さらには心身共に温まりそうな美味しい食べ物が並んでいますが、もちろん昭和歌謡曲にだって季節商品(?)はあったということで、伊藤咲子の「木枯らしの二人」はいかがでしょう。
発売されたのは昭和49(1974)年の12月でしたから、このジャケ写に登場している彼女のファッションもまた、冬の装いであります。
しかも作編曲を担当した三木たかしの狙いは、モロに往年の北欧エレキサウンドを隠し味にしたロシア民謡系の昭和メロディが全開で、如何にものマンドリンの使用や幾分大袈裟なオーケストラアンレンジがアップテンポの曲調にはジャストミート♪♪~♪
また、乙女の叶わぬ恋心を綴った阿久悠の歌詞が、これまた伊藤咲子にはデビュー以来の命題的世界でしたから、彼女の歌いっぷりも実にイキイキとノリが良く、素晴らしいと思います。
ただし、この楽曲は完成度が高いがゆえに、非常に歌うのが難しく、それは実際、イントロから歌い出しの頭の部分で、ほとんどの素人はヘタレを演じる事が多いのは当然でしょう。
ですから、説明不要とは思いますが、もしもオールタイムでアイドル対象の歌唱力ランキングなんてものがあれば、絶対に上位にランクされるはずの伊藤咲子ならではの個性と実力が、ここで呆れるほど堪能出来るはずです。
あぁ~、聴くほどに彼女は本当に歌が上手いと思いますねぇ~~♪
確か、この「木枯らしの二人」はデビューから3作目のシングル曲だったはずなんですが、もう既にベテランの味わいさえ滲んでいるのですから、凄い! としか言えません。
ご存じのとおり、以降の伊藤咲子は素敵な歌をどっさり出しつつも、何時しか芸能界の第一線からフェードアウト……。様々な紆余曲折はここで書くつもりもありませんが、やはり残してくれた音源の全ては、どれを聞いても、昭和歌謡曲ファンの琴線に触れるものばかりです。
ということで、何故か最近、伊藤咲子を聴くことが多いサイケおやじです。
願わくば集大成的なボックスセットが出ないかなぁ~~、とさえ希求しているのですが、とりあえず地道に蒐集したアナログ盤は末代までの家宝♪♪~♪
まあ、それを家族が受け入れてくれるかは別としても、個人的には偏愛以上の存在として、伊藤咲子の歌の世界は大好きなのでした。