■Gimmer Shelter / Grand Funk Railroad (Capitol / 東芝)
どうにも平和が遠のくばかりのイスラム圏のゴタゴタは、ついに我が国をも巻き込んでの世界的な紛争になりつつありますが、そんな時こそ平和を訴えた歌や演奏が有用と思うのがサイケおやじを含む、1960年代半ばからをリアルタイムで今日まで過ごした往年のロック少年少女でしょう。
もちろん、そんな中で流行って来た多くの楽曲には、戦争という最高にくだらないエネルギーの暴虐を阻止する力は無かったのですが、だからこそ聴き継がれてきた歌の数々は人類共通の遺産だと思いますし、肯定も否定も、正論も逆説も併せて含むところには、ロックがロックであった時代の真剣な前向きさがあったにちがいありません。
本日掲載のシングル盤A面曲「Gimmer Shelter」は説明不要、ストーンズが1969年に発売した傑作アルバム「レット・イット・ブリード」に収められ、以降のライブ演目では定番の人気曲になった反戦歌!?
特に歌詞の中で、戦争は直ぐ傍に来ている、拳銃一発でそれは始まる、しかし逆に言えば、キッスひとつで、平和が訪れるという一節があるかぎり、それは如何にもストーンズの「らしさ」が全開していましたからねぇ~♪
アマチュアバンドからプロが演じたカバーバージョンも天文学的ものになる中にあって、このグランド・ファンク・レイルロード=GFRが1971年に出したパワートリオ版は、なかなか勢いがあって、サイケおやじは今も好きです。
それはちょっぴりお経のようなベースワークを核にした、まさにどっしりとドロドロした感覚が滲み出る目論見が成功したというか、シンプルなビートを刻むドラムスや分かり易いギターの存在感共々、ストレートに訴えかけてくるボーカルも良い感じ♪♪~♪
ちなみにGFRのアルバム「ザバイバル」に収録のバージョンは6分20秒弱でしたが、このシングル盤では3分半ほどに短縮編集され、良く知られているように、その作業はGFRが同年の来日時に東芝のスタジオでGFRのメンバーとプロデューサーのテリー・ナイトが直々に行ったという逸話は当時、世界的な人気の絶頂期にあったバンドが日本を如何に重んじていたかっ!?
というような、些か穿った優越感を日本のロックファンに与えてくれたものでした。
しかし、後に冷静になってみると、だとすれば、このシングルバージョンはオリジナルマスターテープからではなく、日本のレコード会社にあったマスターコピーが使われたのかっ!?
なぁ~んていうマニアックな推測も楽しいわけですねぇ~♪
それと告白すれば、既に「ストーンズ命」の世界に入っていたサイケおやじにしても、混ぜてもらっていたバンドで「Gimmer Shelter」をやる時には、ほとんどGFRのバージョンをお手本にしていたんですよ。
つまり、それほどキャッチーなシンプルさがロックの必要十分条件を満たすほど、GFRは強い存在であったのです。
そりゃ~、確かに初来日を峠にGFRの人気は下降線を辿り、あれやこれやの再ブレイクも果たしてはいますが、やはり初期デビュー期の勢いが眩し過ぎた所為でしょうか、なんとなくGFRが安く見られるのは哀しいものあります。
閑話休題。
ということで、誰もが好きで争ってはいないはずと思うサイケおやじにすれば、こうした歌や演奏が好きだと声高には言えない気持ちがあります。
ところが同時に、そうした楽曲にはノー文句で夢中にさせられる「何か」があるのも、また事実!?
そんな罪の意識(?)よりは素直に熱くなっても許されるのが、音楽の持つ魅力のひとつなのかもしれませんねぇ……。