■ジレンマ / 中村由真 (FORLIFE)
昭和60年代に入ると、アイドル歌謡の世界にも確かにロック化の波が押し寄せて来ていたと思います。
それはアン・ルイスを筆頭に、歌謡ロックが堂々のヒット街道を驀進し始めた影響からだとすれば、当時の洋楽では主流であったデジタルビートのキーボードサウンドとは異なる方向性が求められていた歌謡曲保守本流の復興かもしれず、ある意味では業界主導による温故知新であったのかもしれません。
そして、もうひとつの勢力として、同時期から人気が爆発していたレベッカとかバービーボーイズ等々、女性ボーカリストが主役となったロックバンドが所謂ニューミュージックとは似て非なる、新種の歌謡ロックを披露していた事も大きいはずです。
さて、そこで本日取り出したのは、新人アイドルとして期待の星であった中村由真が昭和62(1987)年早々に発売したデビューシングルA面曲「ジレンマ」で、これが実に痛快なハードロック系アイドル歌謡になっていたんですねぇ~~~♪
それは作詞:石川あゆ子・井上輝彦&作曲:小田裕一郎が実は中村由真も出演しているテレビドラマ「スケバン刑事III(フジテレビ)」の挿入歌として提供したものでもありますから、青春アクション&ハードボイルドなムードを高めん狙えば、そ~ゆ~ロック化計画(?)は必然だったのでしょうか?
それにしてもスピード感溢れる曲展開では殊更サビからのメロディランイはサイケおやじの大いに好むところであり、決して上手いとは言い難い彼女のボーカルテクニックからは、それゆえに必死さが伝わって来るもんですから、これが歌謡ロックの本質に最接近!
さらに特筆すべきは瀬尾一三のアレンジで、バックのカラオケパートにおけるギターやベース等々の使い方はハードロックでありながら、それが決してヘヴィメタルじゃ~なくて、あえて言わせていただければ、「ライトメタル」って感じですから、やっぱりこれはアイドル歌謡がド真ん中でしょう♪♪~♪
あぁ~~、繰り返しになりますが、サビからの「泣きメロ」はニクイばかりです (^^♪
ということで、歌謡ロックもアイドル化したというよりはアイドル歌謡がロック化したと思いたいのがサイケおやじの本性&本音です。
最近のアイドルソングには全く惹きつけられるものを感じないサイケおやじですから、ますます往年の歌謡ロックに引きずられるのでした。