■西銀座五番街 / 西郷輝彦 (クラウン)
西郷輝彦の訃報には正直、驚かされました……。
実は最近、あまり表舞台に出る事は少なくなっていたとはいえ、ネットで自らのチャンネルを開設し、闘病状況を語っていた姿は元気でしたし、昨年某所で見かけた西郷輝彦には、やっぱりスタアの輝きがありましたからねぇ……。
もちろん、癌という病は転移進行が激しいので……、という現実があるにせよ、現代人としては、少しばかり早い旅立ちだったという思いが強いです。
また、故人の芸歴や業績については、あらためて述べるまでもなく、青春スタアとしてのデビュー期から歌手と俳優の二足の草鞋での活躍に加えて、様々な名義・ペンネームを使い分けての創作活動も相当にあったそうで、それらは今後、きっちり整理され、纏められるべきでありましょう。
そして歌手としての活動においては、とにかく残された音源の集成と再評価は絶対に必要なところで、何故ならば、今となっては故人の印象がテレビドラマや映画演劇でのヒット作を中心に語られる事が多く、それは確かに正解ではありますが、聊か一方通行の感を免れないんじゃ~ないでしょうか。
告白すれば、サイケおやじは男性ボーカリストとしての西郷輝彦は決して侮れないと思ってから幾年月、それなりに昔っからテレビの歌番組への出演も楽しみにしておりましたし、レコードも中古ながら、ちまちまと集めており、本日掲載のシングル盤A面曲「西銀座五番街」は、かなり好きなんですよ♪♪~♪
発売されたのは昭和41(1966)年1月、ということは我が国ではエレキ~エレキ歌謡のブームが思いきっり盛り上がっていた時期でしたから、米山正夫が作詞作曲した狙いはスバリッ!
青春ビート歌謡であり、そこに附された重松岩雄のアレンジはエレキ重視のジャズロック調なんですから、真っ向勝負で歌いまくる西郷輝彦の快唱は「お約束」以上であり、高度成長を背景にしたアップテンポのグルーヴは、これが昭和の真骨頂でありましょう♪♪~♪
そ~ですよ、西郷輝彦の魅力って、常に真正面からやっていくところだと思えば、ルックスだって「正義を遂行する面構え」ですからねぇ~~。
俳優として時代劇中心に正義の味方やハードボイルドな役柄を演じても、また戦記映画で悲壮な演技を見せても、そこに説得力があるのは当然ですし、歌の世界だつて、決してネクラな楽曲は似合わないスタアでありました。
それゆえにと言えば語弊はございましょうが、昭和40年代末頃からはヒット曲が出せなくなったのとは裏腹に、テレビドラマや映画演劇での大活躍は必然の結果というところでしょうか。
だからこそ、サイケおやじとしは、あらためて「歌手としての西郷輝彦」に接していきたいと思っておりますし、それを故人への供養にしたい気持ちであります。
合掌。