■AJA VS THE SCAM / Steely Dan (Leftfield Media = CD)
★Disc One
01 Teenie's Blues
02 Black Cow
03 Aja
04 Deacon Blues
05 Peg
06 Home at Last
07 I Got the News
08 Josie
09 Donalods Remarks
10 Kid Charlemagne
11 The Caves of Altamira
12 Don't Take Me Alive
13 Sign in Stranger
★Disc Two
01 The Fez
02 Green Earrings
03 Haitian Divorce
04 Everything You Did
05 The Royal Scam
06 Hey Nineteen
07 Band Introduction
/ Love Is Like an Itching in My Heart
08 Black Friday
09 The Boston Rag
10 Dirty Water
11 My Old School
12 Last Tango in Paris
13 Pretzel Logic
久々に血沸き肉踊らされたブツに出会ったと申しましょうか、本当は昨年ゲットしたまんま、未開封で放置していたCDを今頃になって聴いたというのが真相でして、それが本日ご紹介するスティーリー・ダンのライブ盤です。
で、その内容はドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーのコンビが正体というリアルなスティーリー・ダンがサポートメンバーを集めての巡業ステージから、2009年7月22日のライブ音源を収録しているんですが、これがなんとっ!
スティーリー・ダンが1970年代の全盛期に出した畢生の名作アルバム「幻想の摩天楼 / The Royal Scam」と「彩 / Aja」を完全再現すると喧伝した「Rent Party Tour」のステージであり、しかもFM放送からのソースを元ネタにしているので、なかなか分離の良いステレオミックスと素直な音質で歌と演奏が楽しめるんですねぇ~~~ (^^♪
そして演目は上記したとおり、Disc One の2曲目「Black Cow」から「Josie」までの7曲が前述のアルバム「彩 /Aja」から、そして同10曲目「Kid Charlemagne」から、Disc Two の「The Royal Scam」までの9曲が「幻想の摩天楼 / The Royal Scam」から、件のLPの収録曲順どおりに再現演奏されているわけですが、当然ながら、完全コピーではありません。
なにしろ、ここに参集したメンバーは既に述べたとおり、ドナルド・フェイゲン(key,vo) とウォルター・ベッカー(g,vo) 以下、ジョン・ヘリントン(g)、ジム・ビアード(key)、フレディ・ワシントン(b)、キース・カーロック(ds)、キャロライン・レオンハート-エスコファリー(vo)、キャサリンラッセル(vo)、タワサ・アジ(vo)、マービン・スタン(tp)、ジム・ピュー(tb)、ウォルト・ワイスコフ(ts)、ロジャー・ローゼンバーグ(bs) という実力派の面々ではありますが、前述した「幻想の摩天楼」と「彩」のセッションで決定的なキメを演じていたラリー・カールトン(g)、ジェイ・グレイドン(g)、チャック・レイニー(b)、バーナード・パーディ(ds)、スティーブ・ガッド(ds)、トム・スコット(ts,as)、ウェイン・ショーター(ts) 等々の天才的個性派プレイヤー達とは、そもそも「格」が違うわけですから、それで当たり前なんですが、だからこその一期一会と申しましょうか、なかなか纏まり良く、オリジナルのツボを外さない演奏には好感が持てます。
また、逆に言えば、それゆえにドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーが共作していた楽曲の「ひねくれた」キャッチーさが浮彫りになっていて、なかなか面白く聴けるんじゃ~ないでしょうか。
冒頭に述べたとおり、不肖サイケおやじは我知らず夢中にさせられましたですよ (^^♪
ちなみにド頭に入っている「Teenie's Blues」は、いきなり始まる正統派4ビートのモダンジャズ演奏で、あれぇ~~!? 間違えたCDを鳴らしてしまったのかっ!?
なぁ~んて思ってしまったんですが、これはこれで、彼等の立派な演奏であり、元ネタはジャズ界の有力アレンジャーにしてサックス奏者でもあったオリバー・ネルソンがオリジナルとクレジットされています。
そして、その意味からも終盤の「Hey Nineteen」から始まるヒットメドレー(?)は実に面白く、スティーリー・ダンのファンにとっては耳に馴染んだ演目ではありますが、会場がボストンだった事からの内輪受けっぽい替歌やジョーク入りのMCも聞かれますし、やっている本人達も楽しそうな雰囲気はニクイばかり (^^;
ですから、このパートではメンバー紹介で演じられる「Love Is Like an Itching in My Heart」がモータウン、確かシュープリームスのヒット曲だったり、1960年代のガレージロックのトップランナーとして、今も人気が高いスタンデルズのカバー「Dirty Water」あたりのノリの良さが、大団円に向かって熱く盛り上がっていくんですねぇ~~ (^^♪
ちなみにギターに関しては真ん中あたりに定位しているのがジョン・ヘリントン、ちょいと右寄りで澄んだ音色のフレーズを弾いているのがウォルター・ベッカーと思われますが、いかがなものでしょう。
おぉ~~、それにしても「My Old School」の楽しさも格別だぁ~~♪♪~♪
やっぱり、スティーリー・ダンって、なんだかんだ言っても、やっぱりロックバンドなんだなぁ~~♪
―― っていう思いを強くさせられましたです (^^♪
そして、尚更に憎たらしいのがガトー・バルビエリのインストヒットにしてエロいメロディが耳に心地良い「Last Tango in Paris」の場末感溢れるカバー演奏で、これがステージギグのラストテーマっていう扱いだったんでしょうねぇ~~、この巡業ツアーでは (^^♪
とすれば、オーラスの「Pretzel Logic」はアンコールだったんでしょうか、聊か予定調和っぽい気にもさせられますが、このクールな熱気はスティーリー・ダンならではのスタイルでしょうし、実はここでは驚きのプレゼントとして、スペンサー・デイビス・グループ~トラフィック等々で活躍したスティーヴ・ウィンウッドの参加がクレジットされているんですが、すると左チャンネルの暑苦しいギター、もしくはネチッコイ雰囲気のオルガン、そしてソウルフルなボーカルが、そ~なんでしょうかねぇ~~?
残念ながらというか、このトラックは演奏が終わると直ぐにフェードアウトしてしまうので、最終確認は出来ておりませんが、それはそれとして、ハナからケツまで、なかなか楽しめる演奏がビッシリと詰まっている優良盤と思います。
ということで、久々にスティーリン・ダン中毒が再発の予感です。
特に近年は、往年のブートでは定番だった、1970年代前半のライブバンド時代の音源や再始動して以降の様々なソースが堂々と出回っているという嬉しい状況ですし、ご紹介した2枚組CDにしても、ハーフオフィシャル扱いみたいですから、たまりません (^^♪
告白すれば、数年前から、スティーリー・ダン関連のネタは相当数ゲットしておりましたが、例によって、持っているだけで安心してしまうというバチアタリ…… (^^;
これを契機に心を入れ替え、1970年代からの公式・非公式音源を再鑑賞し、精進を重ねる所存でございます <(_ _)>