久々に最悪のゲームだった。いや善悪は相手あってのものだという意味では、磐田が良すぎたと言うべきか。
まず、こんなにボール保持率が悪いグラを見るのは久しぶり、これが第1の感想。敵ボールは奪えないわ、逆にマイボールが全く繋がらないわ。初めの10分だけ良くて、あとは前半から終わりまでこうなのだから、敵が良かったと言うしかないのである。
今の磐田は12位だけど、こんな所にいるチームじゃなくなったと思った次第だ。ただしこれは、FW前田がいての話。
前の16節の磐田対大宮戦に彼が56日ぶりで戻ったのである。念のために、その大宮戦の週間サッカーダイジェスト誌戦評をあらためて確認し直してみた。冒頭にこう書いてあるではないか。
「ひとりの存在で、これほどチームが変貌するのも珍しい。56日ぶりとなるエース前田がスタメン復帰を果たしたのだ」
前田が前線からプレスに行く。すると、それを合図のように磐田の全員が球際に厳しいプレスに走る。味方ボールをもらおうとして前田がスペースに走る。するとその前田が残してきたスペースに誰かが走り込むように次々とボールの受け手が生まれていく。まるで、そんなゲームだったように思う。対するグラは、こういう前田と張り合えるはずの玉田を体調不良で欠いていたのが決定的ではないかとも思ったしだいである。
この前田を調べてみた。00年5月デビュー戦と書いてあるから、あの全盛期磐田の組織的攻撃の継承者なのだ。Jリーグ歴代最強チームと言われたあの磐田。02年には高原がJリーグ得点王、MVPとなっている。この高原以降は日本人の得点王はいないのだから、いかに点取りの攻撃連係がしっかりと取れた優秀なチームだったかが分かる。
また、Jリーグ再開後ここまで3節の磐田の戦績をシュート数で調べてみた。強い。横浜戦11対9、鹿島戦16対9であって、前田が復帰した大宮戦は11対4なのである。玉田のいないグラが、競り負けるチームだったのだろうと思うしかなかった。
ジュビロ磐田、後半の台風の眼かもしれない。ワールドカップの代表先発FWは、こりゃ玉田と前田だぞ、こう思ったものだ。もちろんポストが必要なら、巻や矢野も必要だが。
次の18節、グラの大宮戦を、僕は瑞穂に見に行くのだ。この戦いはやってくれるだろう。首位とは勝ち点3差なのだから、まだ悲観することもない。ただ、今のグラ、球際がちょっとルーズだし、ボールを受けるための走りもたいそう減ったようなのが不安である。なぜなんだ?! FWがフォアチェックと「ボールを受ける走り」の合図となってきたチームなのだから、その原点を取り戻さないといけないのではないか。やはり、玉田が欠かせないということかな。
そして、もう一つの不安。中長距離シュートに無警戒すぎる。鹿島の小笠原といい、磐田の成岡といい、DFは長いシュートのコースをちゃんと消しているのか!!