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名古屋高裁勝訴判決から恒久法への戦いへ へそ曲がり

2008年07月13日 17時01分25秒 | Weblog
 名古屋高裁勝訴判決から恒久法への戦いへ・・・「週刊金曜日」(自衛隊イラク派兵差止訴訟弁護団の川口創事務局長に聞く)

 歴史的な4月の名古屋高裁判決が付きつけているのは 、いまやこの国は海外で戦争をしており、国民はそれに加担・協力しているという動かし難い事実だ。
 この認識なくして、日本を海外での戦争に参加させる「恒久法」を葬り去ることはできない。

★ 4月の自衛隊イラク派兵差止訴訟の名古屋高裁判決はきわめて画期的な内容でした。自民党が恒久法(国際平和協力法)提出の構えを示している現在、この判決をいかに活用するかが問われています。

* そうです。「いい判決が出た」とか、「憲法が守られた」といった反応で終わってしまう可能性を私は危惧しています。いくら、「9条を守ろう」とお題目のように唱えても、足下で9条違反の行為が進行していては意味がなく、私たちが頑張ってこの判決を使わないといけない。特にこれは恒久法を潰すための、最高の武器になり得る判決なのです。この判決からすれば、恒久法が憲法上許されないことは自明です。

★ それを説明していただく前に判決のポイントを説明願います。

* この判決をよく読むと、国民に「いい加減に目を覚ませ。いつまでも政府のウソに騙され、無関心のままでいるんだ」と厳しく警告を発しているのが分かります。たとえば、政府は自衛隊が多国籍軍の指揮下に入ってている事実すらごまかしていますが、判決は政府の詭弁を排しています。
  それ以上にウソの最たるものは、イラク派兵を「国際貢献」だとか「人道支援」などと称している点です。その第1の理由は、米国が「有志連合」と称して戦争と占領を遂行しましたが、加わったのは最大41カ国にすぎず、
  しかも脱落が相次いで現在は21カ国しかいません。これで、何で「国際貢献」なのか。単に米国に追随しているだけです。

★ 「国際」という用語に騙されやすいですね。「米国貢献」なのに。

* 第2に「人道支援」などと言いたてながら、実際にやっていることは戦争そのものです。判決では航空自衛隊が国民に情報を隠したまま、クウェートからバグダッドに向け、武装した多国籍軍兵士を輸送している事実が認定されている。しかもそれを本格化した2006年末は、米軍がバグダッドの掃討作戦という名の一般市民の虐殺と市民生活の破壊を一層大規模に強化し始めた時期と重なっており、戦争が悪化するにつれて直接的に支援・加担をし始めている。
  のみならず、原告側の証人尋問に立った明治大学の山田朗教授の証言でも明らかなように、輸送活動は戦闘の不可欠な要素です。したがって日本自ら憲法で禁止された武力行使に手を染めているに等しく、空自の活動は違憲と判断されたのです。

【殺す側に立っている日本】

★ しかも判決は、米軍の残虐性についても触れていますね、

* たとえば04年に米軍が行ったファルージャの大虐殺についても、判決は「クラスター爆弾並びに国際的に使用が禁止されている
  ナパーム弾及び、マスタードガス及び神経ガス等の化学兵器を使用して、大規模な掃討作戦が実施」「残虐兵器といわれる白リン弾も使ったとも言われる」など、あえて「残虐兵器」などの修飾語を加えながら丁寧に事実を認定しています。
  裁判所はこの裁判の最大の論点である「自衛隊の活動の違憲性」の認定にあたって、米軍が行っている非人道的な事実の認定が必要不可欠だと考えたのです。この判決に「蛇足」などありません。
  判決は、米軍が「掃討作戦の実施」の名のもとに、いかに非人道的な行為をやっているかということを、そして日本政府は「人道支援とごまかしながら、実は米軍とともにイラクの罪のない市民を殺す立場に立っていることを、丁寧に事実を認定しながら厳しく非難しています。判決には「政府の詭弁を許さない」という毅然とした態度が貫かれています。
  裁判所は政府に対し、「騙すのは止めよ」と批判するとともに、加害の立場に立っていることに無関心な国民に対しても警告を発しているのだと思います。
  さらに判決は、戦争の大義名分とされた旧フセイン政権の大量破壊兵器は現在に至るまで発見されておらず、最初から存在していなかったと国際的に理解されているとして、戦争の大義名分すらなかったと指摘している。つまりそうしたひどいかつ残虐な戦争で日本はイラクの罪もない人々を殺す側に立っているのだという事実を判決は突き付け、それを直視せず、無関心なままの国民に怒りを込めて警告を発しているのです。

★ こんな恐ろしいイラク派兵も、恒久法ができれば「特別措置」という枠が外されて国会の承認もいらず、自衛隊の派遣期限もなくなります。

* 恒久法は、現在の自民党の試案を見る限りにおいても「国際平和協力法」などと称していますが、騙されてはいけません。狙いは米国と一緒になって自衛隊が軍隊として正面から戦争をする。米軍と同じことを今度は自衛隊がするようになるのです。

★ 「国際」だとか「平和」だとか、ここでもごまかしですね。

* 恒久法では、自衛隊の活動内容として、「人道復興支援活動」「停戦監視活動」のほか、「安全確保活動」「警護活動」「船舶監視活動」などが列挙されています。 

  しかし、今回の判決は、自衛隊の輸送活動はイラク特措法上の「安全確保『支援』活動」だとした上で、その活動を違憲と判断しています。自衛隊が支援する「安全確保」「活動」は米軍の掃討作戦などをさしています。「支援」を外して直接「安全確保活動」をするということは、米軍が行っている掃討作戦を自衛隊自らが行うことを意味します。とすれば、「安全確保」「支援」すら違憲とされたのですから「安全確保活動」自体が違憲であることは明らかです。また、これは憲法が禁ずる「武力行使」そのものにほかなりません。
  しかし政府は2つの言葉をあえてごまかしながら、自衛隊の活動を一気に拡大しようとしているのです。

【米軍の戦争を自衛隊も】

★  恒久法では、武器使用基準はどうなるのでしょうか。

* 試案によれば、武器使用基準も歯止めがなくなりました。どんな 武器を持って行くのかも制限はありません。また、イラク特措法上はあった「正当防衛・緊急避難」という縛りもなくなります。武器を使用する「合理的な理由」があれば自衛隊が人を殺傷できることになります。これは自衛隊が危険と感じれば発砲できることを意味し、その結果無辜の市民市民も制限なく殺すことにつながります。
  結局、実際米軍がイラクでやっていることと同じことを、自衛隊にも出来るようにさせるということです。これを許してはなりません。

★ こうした事態に対し、判決では、「平和のうちに生存する権利」として「戦争や軍隊によって他社の生命を奪うことに加担させられない権利」をうたっています。この「権利」をぜ゛ひ行使したいですね。

* もちろんです。権利行使の場面は、米軍再編や基地被害の問題などさまざまです。こうした権利があるのだという主体的な意思を持って、政府に対しきちんと異議申し立てをすることが大事です。特に、米軍再編では日米の軍事政策も一体化し、自衛隊は世界中に戦争を仕掛ける米軍の「一部隊化」をしていきます。その文脈上にイラク派兵があり、そして恒久法と連続していきますから、わたしたちは「戦争や軍隊によって他者の生命を奪うことに加担させられない権利」が侵害されると、声を荒げる必要がある。
  そのためこの自衛隊派兵を違憲とした判決から確信を得て国民の反対世論を広げ、追い込んでいくしかありません。

    (聞き手 編集部  成澤 宗男)
コメント (3)
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