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「ブレトンウッズ2」の新世界秩序 ①               田中宇の国際ニュース解説より

2008年10月20日 12時00分20秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
ブラウン政権のイギリスが、金融危機への国際的な対策を打つ際の主導権を、失敗ばかりしているブッシュ政権のアメリカから奪取しようとする動きが始まっている。10月15日、英による画策が、ひとつの形として浮上した。英が主導するEUが、世界に向かって「国際金融体制を安定させるための、第2のブレトンウッズ会議を早急に開こう」と呼びかけたのである。

 この会議は、G7(米英独仏伊日加)+BRIC(露中印伯)+その他の主要国(南アフリカ、サウジアラビア、メキシコなど)が、早ければ11月中に、おそらく米ニューヨークに集まって、金融機関に対する国際的な規制強化などについて話し合い、IMFと世界銀行という、1944年の「ブレトンウッズ会議」によって作られた国際金融機関の体制見直しや、潰れかけている国際貿易交渉であるWTOのドーハラウンドの再交渉体制などを決めようとするものだ。すでにアメリカ、ロシア、日本などが、EUの提唱する「第2ブレトンウッズ」の会議を、拡大G8会議として開くことに同意したと報じられている。

 報じられていることだけで判断すると、この拡大G8会議は、国際的な銀行規制という、今の金融危機の解決策としては必要だが、かなり専門的な問題のみを扱う会議であり、先日開かれたG7金融会議の屋上屋を重ねるだけの、大したことない会議に見える。第2次大戦後の世界経済体制の根幹となるドル本位制などを決めた1944年のブレトンウッズ会議と比べると、とてもスケールが小さいように見える。

 しかし、周辺の関係者の発言をつき合わせつつ「ひょっとしてドルや米国債は、すでに非常に危険な状態にあるのではないか」と思える国際金融の現状と合わせて考えると、米国の経済覇権を決定したブレトンウッズ会議と同程度に重要な会議、おそらく米経済覇権の崩壊後の世界体制について決めようとする会議が、これから開かれるのではないかと思えてくる。

▼ブレトンウッズ2の前提に見えるドル破綻

 重要な点の一つは、ロシアが、英主導の第2ブレトンウッズ会議の開催に賛成していることである。今のロシアと英国は、仮想敵どうしである。露は、対露包囲網を作りたがる米英中心の世界体制が崩壊し、露中などBRIC諸国が、アジアやアフリカ、中南米などの発展途上国を率いて、世界を安定させるという非米同盟的な展開を望んでいる。金融破綻して自滅しかけている米英を、露が助けることは、露が敵視する米英中心体制を延命させてしまう。露政府は、ほくそ笑みながら米英の自滅を眺めているのを好むはずだ。

 しかし英が、IMFや国連を改革し、露の満足するような非米的な新世界秩序を作ることに同意するのなら、話は別だ。今回、英が主導するEUのブレトンウッズ2構想は、G7とBRICが対等の立場で参加する形になっている。EU議長の仏サルコジ大統領は、今後の国際金融体制を作る際には、先進国以外の諸国の利害も尊重せねばならないと表明している。露としては、他のBRICや途上国を率いて、英が率いる先進諸国と対等に論争し、その上で新たな世界体制が作られるなら、英米中心体制を壊せると考え、ブレトンウッズ2会議の開催に同意したのだろう。

 ロシアはここ数年「上海協力機構」を通じて中国との戦略的な関係を強化し、今春には中国の他、インドとブラジルも呼んで、初めてのBRICサミットも開いている。ロシアは、イランやベネズエラなど、反米主義を掲げて地域的な台頭を目指している中規模諸国との関係も密接にしている。今のロシアは、非米・反米的な発展途上国をとりまとめられる国際ネットワークを持っている。

 このことは同時に、既存の米英中心体制は金融危機の結果、もはや維持できなくなっていると、英政府が自覚していることを意味している。英は、米英中心体制が維持できる限り、ロシアや反米的な途上国群を入れた、国際政治体制の今後を決める国際会議など開きたくない。金融危機によってどんどん立場が悪くなる米英は、ロシアや反米諸国に譲歩せねばならないからだ。

 しかし、もはやドルや米国債の崩壊が不可避な状態だと英が判断しているのなら、戦略は変わってくる。英の国家戦略は、世界に対して黒幕的に影響力を行使し続けることである。自滅主義の米とともに破綻していくつもりはない。ドルや米国債など、米覇権の崩壊が不可避であるなら、いつまでも米英中心主義にこだわるより、次の世界体制である多極型の世界体制作りに創設期から参加して、次の体制の「胴元」に転身した方が得策だ。

 英国は、第一次世界大戦まで覇権国だったが、その戦略は、欧州の他のライバル的な大国どうしを競わせて漁夫の利を得る「均衡戦略(バランス・オブ・パワー)」であり、露骨な軍事対決を好まず、諜報や謀略によってライバルの力を削ぐことを好む、隠然とした黒幕的な覇権戦略だった。今後、BRICや主要途上国の力が強くなって世界が多極化しても、BRIC4カ国内部の喧嘩を誘発して漁夫の利を得るなど、英国の黒幕的な均衡戦略は十分に成り立ちうる(敵対的な相手が増えて大変だが)。

▼多極化に協力して黒幕維持

 金融危機は、先進諸国がG7会議を開いて対策を講じても緩和されず、米英における銀行間融資市場は凍結状態が続き、米欧日の中央銀行が無制限のドル供給を行うことで、何とか回っている状態だ。米政府の7000億ドルの救済策も効かず、G7の国際協調の救済策も効かないまま、金融システムの危機が続いている。

 今のところ、ドルの諸通貨に対する為替は、それほど下落していない。むしろ米国債は、社債や株式のリスク高騰を嫌気する人々の購入によって値が上がっている。しかし、すでに米政府の金融界への公金投入の総枠は、7千億ドルの米政府救済策の7倍にあたる5兆ドルに急拡大している。

 救済策が効かないまま金融危機が深化しきそうな中で、米政府の財政赤字の急拡大は必至で、いずれ米国債は買い手が足りなくなり、下落(長期金利の高騰)する。英政府が、ロシアやBRICを招く形でブレトンウッズ2を開くことを提唱したことは、英がドルと米国債の破綻を予期し、米覇権の終焉を覚悟したことを意味すると、私には思える。

 前回の記事で、世界銀行のゼーリック総裁が「G7はもはや機能しうる組織ではない」と宣言したことは、英が露などBRICを誘って新世界秩序のためのブレトンウッズ2会議を開こうとしていることと関係している。世界銀行では今後、これまで米国人に限定されていた総裁職を、他の国籍者にも開放する方向で検討しており、この検討会の中心人物は、英政府の代表(ダグラス・アレキサンダー英開発相)である。

 ロシアのメドベージェフ大統領は、IMF・世銀やWTOを改革するのではなく、それらに替わる別の組織を作ることを提唱している。IMF・世銀、WTOなどは、いずれも米英中心体制の一翼である。英米中心・先進国優先の体制が、組織の骨の髄まで染みわたっており、かなり改革しても、英米が途上国を支配する構造は壊せない。だからロシアは、IMF・世銀、WTOを放棄して、別の組織を作ることを望んでいる。

 だが、ロシアやBRIC、途上国群には、自分たちだけで国際機関を作るノウハウが 少ない。結局のところ、ベルサイユ体制以来の90年間の現代世界の国際政治の諸機関は、すべて英国の系列の人々が画策して作ったものである。途上国にとって、謀略的な英を除外した国際機関の創設は、理想的であるが、現実的でない。

 ロシアは今のところ、IMF・世銀など既存組織の改革だけでは不透明で不十分だ、と言っている。しかし、すでに英は、世界銀行の総裁選びの体制を、途上国好みのものに改革することを率先してやっている。「これなら、英に任せても良いか」と、途上国やBRIC諸国に思わせ、ロシアの反対を緩和させるのが、英の戦略だろう。英は、そうやって新世界秩序の中枢に食い込むことで、世界の黒幕としての機能を保持し、米国は破綻しても、英国はなぜか破綻しない(破綻しても軽度ですむ)という展開を目指しているのだろう     (ネット虫)
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何故三菱は火中の栗を拾うのか?     ネット虫

2008年10月20日 11時47分27秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
▼三菱モルガン株購入の政治劇  (田中宇の国際ニュース解説より)

 今回の英主導の米英中心体制蘇生策には、日本もいろいろと協力している。その一つは、おそらく日本政府の要請に基づき、三菱UFJグループが、潰れそうな米投資銀行であるモルガンスタンレーに90億ドルの金をつぎ込んで救済したことである。三菱は10月13日、一株あたり25ドルを払ってモルガンの株の21%を買ったが、モルガン株の先週の最安値は7ドルまで下がっていた(13日の株価は15ドル)。来週まで待てば、モルガン株はまた下がるかもしれないのに、三菱は、安値の4倍近い価格を、平然と、しかも予定より1日前倒しして13日に払い込んだ。

 三菱は、購入するモルガン株の優先株と普通株の割合を変えたりして、自行が負うリスクの軽減を試みた観があるが、一株あたりの価格は明らかに高すぎる。三菱の経営陣は間抜けではないだろうから、政治的な裏があるはずだ。日本政府が頼むとしたら、その相手が国内最大手の三菱になるのは自然だ。対米従属を持続したい日本政府は、金融崩壊で米国の覇権が失われ、日米安保体制が失われるのが怖いはずだ。リーマンに続いてモルガンも潰れたら、CDSなどデリバティブも絡んで、米金融界全体に巨額の損失が上乗せされて金融崩壊に近づき、米覇権の喪失の懸念が増す。モルガン崩壊を防ぐため、日本政府は三菱に金を出させたのだろう。

 三菱が一株7ドルで90億ドル分買うと、モルガン株の6割以上が買えて、モルガンは三菱のものになる。しかしモルガン側は、資金はほしいが主導権は日本人に渡したくなかった。その一方で日本政府は、自滅的ポールソンがモルガンを潰し、米覇権を崩壊させていくのを傍観したくなかった。そこで、割高な値段で三菱がモルガン株を買うという茶番劇になったのだろう。

 今後、金融危機が深化していくと、近いうちにモルガンは再び危機的状態に陥る。三菱が入れた金ではモルガンは救いきれない。ひょっとすると、いずれモルガンは潰れ、三菱は巨額の損失を被る。米政府は銀行への資本注入策を始めれば、モルガンはその対象となり、救済されるかもしれないが、その場合、米政府が注入する資本金によってモルガンの一株あたりの利益が落ち、三菱の利得は減る。米政府は、三菱がその手の損しないよう配慮すると確約したが、そもそも歴史的役割をすでに終えた投資銀行を米政府が救済するのかどうかも不透明だ。三菱のモルガン株購入は、非常にリスクの高い賭けになっており、その分、日本政府は三菱に恩義を負ったことになる。

 このほか、日本政府は先週末のG7会議に際し、日本の外貨準備を金融危機の解消のための(対米?)救済金の一部として使いたいと申し出たりして、対米従属維持のため、日本人の税金や預金を米国救済のために浪費しようとする姿勢を強めた。しかし、米政府は日本の申し出を断った。その断り方が、また隠れ多極主義的で興味深い。日本政府高官がワシントンのG7会議に赴き「日本の金で米を救いたい」と申し出たとたん、米政府は、日本に相談せずに北朝鮮をテロ支援国家リストから解除する挙に出た。日本側は、日本に相談なしに挙行されたと、怒りの表明をした。米政府の奇行のおかげで、日本政府が国民の金を米金融危機のどぶに投げ込んで浪費する事態は回避された。

 米政府は、中国に米国債を買い増ししてもらう必要が急拡大する中で、7年間凍結してきた台湾への兵器売却を突然に決め、中国政府を不必要に激怒させるなど、日本に対してやったのと同種の自滅的な行動を、中国に対してもやっている。

▼深化する経済危機

 そんなドタバタが続く中、金融危機の被害は着実に拡大している。欧州では、金融危機の影響で、エストニア、ラトビア、リトアニア、ウクライナ、ハンガリー、ルーマニアといった東欧諸国が、住宅バブル崩壊、金利上昇、通貨下落、インフレ激化、貸し渋り、不況突入などの経済危機に瀕している。トルコやカザフスタン、パキスタン、アルゼンチンなども危ない。国債のCDS(債券保険)相場は、パキスタンの国債が債務不履行になる確率が90%であることを示している。パキスタンの財政破綻は、タリバンなど反米イスラム過激派の拡大に拍車をかけ、NATOの敗北につながる。(関連記事その1、その2)

 米国内では、カリフォルニア州やフロリダ州などの地方政府が、財政破綻に瀕している。米では失業率が上がっているが、全米の10州で、来年にかけて失業保険基金が破綻すると予測されている。GMやフォードの倒産の危機が拡大しており、GMが破綻すると1兆ドルの債務が不履行となり、CDSを通じた損失拡大がまた金融界に波及する。(関連記事その1、その2、その3)

 米経済は不況の色彩を強め、米連銀が10月末までに再利下げする可能性は84%に上がっている。利下げするほど、ドルが持つ魅力は減り、潜在的なドルの信用不安が拡大する。米経済の現状を見ると、株価の上昇は全く現実離れした(おそらく政治的な操作の結果の)事態だと感じられる。

 世界銀行のロバート・ゼーリック総裁は、G7金融会議が開かれる3日前の10月6日「G7は、もはや機能しうる組織ではない。先進国だけで集まってもダメだ。中国、ロシア、インド、ブラジル(BRIC)、南アフリカ、サウジアラビアを入れた新組織で議論しないと意味がない」と、G7の存在意義そのものを否定する発言をしている。ゼーリックは世銀総裁になる前、ブッシュ政権で国務副長官として、中国を「責任ある大国」にするための覇権押しつけ戦略を展開した人で、これはブッシュ政権の多極化戦略の一環だった。

 世界銀行は、歴代総裁が全員、米国人であるが、今回、BRICなど途上国側からの突き上げを受け、次から世銀総裁選では国籍に関係なく立候補を受けることが決まった(この改革には英も深く関与しているので、英の謀略によって中途半端に終わるかもしれない)。英国はG7を使って英主導で金融危機の対策を展開したいが、米の側ではそれを阻止するかのように、ゼーリックがG7の無効を宣言し、BRICの台頭を容認し、多極的な新世界秩序を作ろうとしている。

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中国と日本と、どちらの食品があぶない? 落石

2008年10月20日 09時33分47秒 | Weblog
日本では中国の食品の安全性に危機感があふれています。
毒入りのギョウーザ、メラミンの入った粉ミルクで多くの被害が出たことなど、
心配は当然です。

しかしニッポンの食品は安全なのか?
ちょっと古いですが、こんなデータがあります。
アメリカが2006年から7年にかけての1年間、
輸入を拒否した食品件数のリストです。
件数は量が多ければ、大きくなりますから、割合にした順位です。

1番はドミニカ。
2番がインド。
3位デンマーク。そして4位が日本。
5位ベトナム。
6位が中国です。

日本の拒否された食品は魚介類が多く、
理由は製造環境が整備されていない、というものです。

これは南山大学の経済の先生の話。
データの出所は、週刊現代(ニューヨーク・タイムス)だそうです。
BSEなどの報道は大量に流されましたが、
こんなニュースはなかったようです。

日本の食品会社が東南アジアに進出。
日本の安全基準にしたがって作った食品は、
EUやアメリカへは輸出できないそうです。
基準が厳しいのです。
地元の企業は、厳格に審査したものをEUとアメリカへ輸出、
それ以外を日本に輸出しているというのが実態だとか。

この記事は日経新聞のもの。
経営者や社員は既知の事実なんですね。
しかし消費者の読む新聞には、あまり載っていないようです。
私も読んだ記憶がありません。

本当なら、報道の公平さが問われる話ですね。
日本の基準など報道しても、視聴率が取れないのかも知れませんが・・・

その先生の別のお話し。
食料の自給率は低いほど安全というもの。
え??ですよね。
NHKは食料自給率を高める報道しかしないので、
専門家もそういう学説の人しか使わないそうです。
安心していいんでしょうかね?





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大正生まれの歌   中野寂音

2008年10月20日 09時08分15秒 | Weblog
                       
大正生まれの昭和育ちと自己紹介する私は、
昭和生まれてとは少し違うそんな気持ちが心の中にあるようだ。
昭和十八年徴兵年齢が十九歳に引き下げられ、大正十五年生まれまでが
徴兵検査を受けた。これが日本陸軍最後の兵隊であった。
 私達が受けた教育はすべて大正時代そのままであった。
学校も職場に入って仕事も、そして人生の先輩達も揃って、
大正デモクラシーを身につけていた。
大正の時代が私にどんな影響があったのか、
いままであまり感じることはなかった。

 二〇〇四年三月朝日新聞「ポリテカにっぽん」で、
論説委員早野透さんが、山中貞則代議士の死を悼んで
「山中氏の死と大正生まれの歌」が紹介された。
自分で歌ったことはなかったが、どこかで聞いた歌だと思った。
自分が大正生まれであることを強く感じた。

 その後調べるとSPレコードが二枚発売され、
西村晃の歌をテレビで聴いたことがあった。
インターネツトの時代で、原作者も大正十四年生まれと知り、
ネットでこのレコードも聴くことができた。
 一番二番に続いて自分で作る大正の生まれの歌。
女性編も、昭和生まれの歌も作られている。
自分の大正生まれの歌に挑戦してみた。

 大正生まれの歌(小林朗作詞)

一番 大正生まれの俺たちは/明治の親父に育てられ/
忠君愛国そのままに/お国のために働いて/
みんなのために死んでいきゃ/日本男子の本懐と/
覚悟は決めていた/なあお前

 二番 大正生まれの青春は/すべて戦争(いくさ)のただなかで/
戦いごとの先兵は/みな大正の俺たちだ/終戦迎えたその時は/
西に東に駆けまわり/苦しかったぞ/なあお前
 
 大正生まれの歌(自作)

大正生まれのこの俺は/徴兵検査は満十九/第一乙に合格して/
その年師走の一日に/伊勢斉宮に入営した。
大正生まれのこの俺は/兵隊暮らしは地震、空襲、空腹で/
栄養失調三月入室/一期の検閲入室中/三月部隊は中国出征だ。  

大正生まれのこの俺は/釜山から南京まで/貨車に詰められ十日間/
着いたところは南京の通信隊/行進中に気絶して入室した。
大正生まれのこの俺は/入室中に幹候合格/中隊でたったひとりの幹候で/
毎日下士官室で勉強する/七月教育隊の石家荘へ出発する。

大正生まれのこの俺は/北京行きの汽車のなか/
マラリヤ発熱一等へもぐり込む/北京に着いたら熱下がり/
無事に部隊に到着した。
大正生まれのこの俺は/着いたその日に三度目入室/
八月十五日は病院で検診中/戦争は終わったらしいと知らされる/
家を出てから一年でやっと我が家にたどりつく。/なあお前

     
    
 
(今回で、中野寂音さんのエッセイを終ります。読んでくださった方、ありがとうございます。
また快く掲載を承諾して下さった中野さんに改めて感謝です。 
なにもお礼できませんが、ありがとうございました。 落石) 

            
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