★コメントに時々もう少し多くの読者に読んでいただきたい記事が載ります。
コメント欄は最初からその記事に関心のある方しか目に触れることが少ないのが残念でもあります。
最近では政権交代にかかわって、国家戦略局が注目を浴びていますが、それについての論考が、このブログでほとんどありませんでした。
そこへ、文科系氏が「新政権への日本共産党のスタンスに関わって」九月3日の投稿に引き続きコメント欄に「事務次官会議と国家戦略局」をはじめとして国家戦略局についてのタイムリーなコメントを載せてくれましたので、管理人の判断で投稿欄に再掲したいと思います。 今後も価値ありと判断したコメント、要望のあったものについては投稿欄に再掲します。(ブログ管理人)
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★事務次官会議と国家戦略局 (文科系)
2009-09-06 13:17:34
かねて思っていたことに関わって、昨日NHK番組で触れられてより明確になったので、まとめてみたい。
事務次官会議主導政治と国家戦略局主導政治との、大きな違いについてだ。
最初に注意して欲しいことは、これ。
事務次官会議は全員一致制であって、1省でも反対があれば決まらない仕組みなのである。いかに各省既得権益を保証し合う組織であったかがよく分かる。
たとえ不合理、不経済な大きなダブリがいくつかの省内部に存在しても、けっして改善できない体制だということである。つまり、全く異なった時代に作られた制度が、なかなか変えられない組織中枢だということでもある。金も人件費も無駄ばかりということで、時代の移り目への対応は、財務省が音頭でも取るのだろうか。
さて、こんなことを考えてみて欲しい。こんな組織でこの「100年に一度の危機」、世界体制の移り目が乗り切れるものであるか。
政治で一番難しいことは、まさに組織のそれであって、こういうことだろう。「全体」を見ること、その中から「改善の勘所」をみなで押さえ、そこに焦点を合わせて皆で行動しあうこと、これだ。こんな危機にこんな事務次官会議で対していれば、数々の悪循環も放置してあることだろうし、「群盲像をなでる(失礼)」以外に何ができるかといいたいのである。
これにたいして、国家「戦略」局とは、よく名付けたものだと思う。うまく名付ければことが上手く運ぶわけではないし、悪循環しあった全体の「改善の勘所」以外の所に戦略が合わされれば、ヒトラーのようなとんでもないことが起こる心配も確かにある。
だが今は、以上のような視点を備えて、薬害エイズ問題で官僚と渡り合った菅直人氏がこの局長になったことだし、今後の「公正さ」、「全体改善の勘所」をちょっとは見ていたいものである。
国民も悪循環しあった全体の、その部分を守る運動だけではなく、この国家戦略局と同レベルの論議をしたいものである。これに反対するにせよい賛成するにせよ、「全体を見て、その勘所を」と僕も心していたいと思っている。
★「誤導された「部分要望」 (文科系)
2009-09-06 13:55:28
ガソリン暫定税廃止、道路特定財源取りやめ、高速道路無料化に各自治体首長が反対のようだ。これは残念ながら、自民党・官僚政治が意識的に作った「悪循環」の中から必然的に出てくるもの、物の分からない「群盲象をなでる」類の主張だと思う。
地方景気が特別に悪くされてきたことに対する、既得権死守の叫びとしては分かるのだが、次の一例だけで誤ったものとして崩されるという性格の物だと思う。
高速道路無料化の場合の詳細な経済的効果を、官僚が隠していたことが判明した。それもすごく大きい効果数字が出ているのである。なのに、それを隠して、値下げの場合の経済効果数値だけを出していたのである。
つまり全国の知事たちは、全く不十分な、判断を誤る数字だけで議論をしていたのである。官僚がやることはこんなことだ。僕らもそうならないように、誤導されないように心していたい。断片的知識ではなく、根本に関わる知識と正しい仮説・論理が必要なのだろうと思う。
★関連する新たなニュース (文科系)
2009-09-07 11:59:30
小さい記事ですが、毎日新聞一面にこうありました。上の①の推論がそれなりに正しかったと自負しています。
「(岡田克也幹事長が福島瑞穂氏と会談し)福島氏の入閣も非公式に打診したとみられる」
大きな内容を持つニュースと思います。マスコミの予想はこうでしたから。
民主党が、数に物をいわせて、あるいは小沢一郎氏の意向で、他党に対しては(特に社民党などには)かなり横暴を通すのではないかと、報道されていました。
数でいえば308対7。公明党のような強い選挙協力を得られたわけでもありませんでした。自民党であれば閣僚を渡す数でしょうか。①に述べたとおり「自民党と違ってかなり公正に振る舞う」兆候ということだと、僕は思います。
三つ上のコメントにも書いたとおり、インド洋給油問題でも社民党とよく話し合って、その要望を聞いているようですし。
他方自民党サイドでは圧力団体の動揺が大きく始まっており、彼らがいかに利権団体化していたかが、改めてあぶり出されていますね。医師会、農協。また、滋賀県などの県議会で「自民会派11人離脱へ」(毎日新聞本日付)などの記事も出ていました。
世の中全体が「洞ヶ峠を極めこむ」の挙に出始めたようです。どんどんそうなるのでしょう。次の参院選も、民主は慎重に行動していますから自民勝利などとうてい予想はできない情勢ですし。
60年の自民党・官僚長期政権の数々の土塁、国中に張り巡らされた、不公正な利権構造は、これからもどんどん流動していくでしょう。これはとても大きいことだと思います。
代わりにこういうものを民主党が利用するようにと、官僚が手を換え品を換えて誘い込んでいる様子が知らされていますが(それが官僚の利権保証だからでもあるからです)、民主党には自民党にはないようなかなりの抵抗力があると、僕は見ています。これも公正さということ。とにかく今までの自民党・官僚体制は長すぎて、悪くなりすぎた。ここが現政局を見る場合に肝心な一つの視点だと思いますが。
★国家戦略局と官僚(1) (文科系)
2009-09-08 16:42:43 )
この両者、早くも火花ばちばちとやり始めた。この2,3日、新聞を読むのが面白すぎて、好きなギター練習も忘れるほどだ。
この火花を散らす双方とも、「国家道具説」の諸君の目には、同じ穴の狢の争い、目くそ鼻くそを笑う類と見なされるのだろうか?
本日のニュースはこんなところだ。これからしばらく、こんなことをここに書き込んでいこう。
【 主要閣僚人事が続々と内定する中、テレビでは財務相内定がなかなか報道されず、同省幹部は『うちは主要ではないのか』とつぶやいた」
「別の幹部は、『菅さんは副総理も兼ねるので財務相は格下。財務相は要というより下請け部隊になるのでは』と嘆いた 】(8日「毎日」朝刊2面)
さて、その菅直人国家戦略局担当相が、やってきた悪名高き国交省官僚トップに早くも、キツーイ1発である。痛快この上ない!
【 菅氏は3日夕、衆院議員会館の事務所を訪れた谷口博昭事務次官ら国土交通省幹部に『霞ヶ関の新しいビジネスモデル』と題した自らのインタビュー記事を手渡した。
『霞ヶ関解体で天下り団体を減らし、税金をより有効に使う』
『(解体に伴う地方分権で)国土交通省の職員数は5分の1で済む』と書かれた記事に、ある幹部が『国会含め全体のシステムが変わらないといけませんね』と感想を漏らすと、菅氏は語気を強めて『だからそれを変えるんだ。文句があるなら「国土交通党」を作って選挙に出なさい』。約30分にわたり『官僚主導を政治主導に』とまくしたてた 】(同紙3面)
さて、菅氏の国家戦略局担当就任は、小沢氏の人事ではないと思う。これも、民主党政権に「国家道具説」を適用するような主張を、退ける話と言えよう。菅氏は、薬害エイズ患者救済という公正さの看板があるからだ。だからこそ、こういえよう。「国家道具説」支持者といえども、官僚と菅氏のこのやりとりを、同じ穴の狢の言い合いとは、言えないだろうと。
財務相発表などが遅れているのも、連立政党と協議してからということのようで、これも以下にも公正であって、小沢的ではない。
国家戦略局と官僚(2) 文科系 (文科系)
2009-09-08 17:37:30
今届いた本日の夕刊に、こんな記事が載っている。
国家戦略局の柱になるべき3党政策協議で、当面の7項目に新たな2項目が加えられたという。 これだ。次いで、不一致点と、今後のその処理方を、外に対してオープンにしているのも、好感が持てる。
【 地球温暖化対策と憲法理念の順守の2項目を新たに盛り込むことで合意した。文言調整のため午後も協議を続けるが、焦点の外交・安全保障政策では、社民党が日米地位協定改定などを盛り込むよう要求したのに対して民主党は難色を示し、8日夕にも開かれる3党幹事長会議での協議に結論を委ねた。(中略)
海上自衛隊のインド洋での給油活動、ソマリア沖の海賊対策に関しては文言調整の必要があるとして政策責任者レベルでの決着を見送った 】(1面)
なお、夕刊2面は、「もやい」の湯浅誠氏のインタビューがほとんどだが、湯浅氏はインタビューの前日に菅直人と面談しているとのことである。その上でこのような所感を述べている。
【「菅さんと政治メッセージ上のスタンスは近い」と湯浅さんは激変での混乱を懸念しつつ、期待感を強める 】
こういう大きな大きな新潮流に対して時代遅れの「国家道具説」などで対していれば、どんどん世の中から取り残され、孤立していくのではないか。
★国家戦略局と官僚(3) (文科系)
2009-09-10 13:20:13
見られるとおり僕は、国家戦略局を中心に置いてここでコメントを連載している。今後も続けるつもりだ。
最大の動機は、上記エントリー、拙稿が自分流で判断して、今の僕の政治論評の中で最も大切な物と位置づけているからである。ここが押さえられなければ、日本共産党は当面消えていくだろう。「確かな野党」を掲げて戦った東京都議選に惨敗したように。逆にここが押さえられ、「建設的な野党」が遅ればせながらぼつぼつとでも実行されていけば、生き残ると思う。生き残るだけではなく、献身的な党員たちの努力が当面の国民生活改善にもっと生かされていくのではないか。そればかりではなく、理論的改善も進まざるをえないはずなのだ。誤った「国家道具説」が脇に置かれ、「国家関係説」的な政治行動が広がっていかざるをえぬと思うのである。たとえ理論的にはなし崩しであるにせよ。
こんな理論対立が当面の激しい現実闘争にどんな意味がある?と言わないで欲しい。こんな意味がある。
人は当面の政治なり歴史的事件なりを見るとき、「客観的に事実を見て、語っている」などと語るならば、厳密に言えばみな嘘になる。自分の言動を自覚していないと言った方がよいかも知れない。
民主党の行動を見る場合を例にとって考えてみよう。「基本は大企業本位」、「軍事国家も目指している」などということだけが色眼鏡の役割をすれば、一切の民主党政策にそう対することになってしまう。細かい変化はどうでもよく、それらは何も見なくって、現実の運動、流動を高見で批判することにしかならないはずだ。つまり、とうてい事実など見ていないのである。それが客観的?
こんな態度は、最近の志位和夫委員長の見解から見てさえ?というものだろう。彼は、本日の新聞でこう述べたらしい。
【 あいさつに訪れた公明党新役員を前に『(鳩山代表が25%削減目標)を言われたことは歓迎だ』。さらに『一致点があるなら大いに今進めている方向を後押しすることも大事だ』と呼びかけ、環境問題で『民・公・共』の『部分共闘』の可能性を探るムードさえ漂わせた 】
どうだろう。民主党の25%削減が「譲歩」だとか「策略」だとか、そんなことどうでも良いではないか。同じく、「インド洋給油」は?「日米地位協定見直し」は?「事務次官会議の解散」によって官僚横断機関などなくし、各省個別で「国家戦略局・政府の文字通り事務機関とする」は?
ここの投書に、この志位発言よりも「遅れた物」が多すぎはしないか?
毎日新聞本日4面で、編集委員与良正男が良い観点を書いている。要約してみる。
まず、民主党を疑ったり、懸念を表明したり、「それ見たことか」などというのはひとまずもうやめようではないか。こんなのは急ぎすぎというものであって、今大切なことはこうだ。
国民が希望を託して1票を投じたのだから、「民主党の尻をたたくのが私たちの仕事ではなかろうか」。
【 例えば一口に官僚と言っても、幹部の話を聞けば確かにそんな(戸惑いの)話を口にするが、『今までは前例踏襲の仕事ばかりでうんざりしていた。今度は自分が考えてきた政策が実現できるかも』と政権交代に大きな期待を寄せている若い官僚たちが少なからずいることを私は知っている 】
【 政権交代に戸惑っているのはメディアかもしれぬ。だが、考えてみよう。省庁の縦割りを排し、予算の骨格や外交の基本方針を首相直属で一元化して決定するという国家戦略局が仮に上手く機能するようになったとする。その時には、私は○○省担当記者だ、政治部だ、経済部だ、社会部だなどと言っている場合ではなくなるはずだ。
これはとてもいいことだ。政治報道も変わっていくチャンスだと私は考えている】
コメント欄は最初からその記事に関心のある方しか目に触れることが少ないのが残念でもあります。
最近では政権交代にかかわって、国家戦略局が注目を浴びていますが、それについての論考が、このブログでほとんどありませんでした。
そこへ、文科系氏が「新政権への日本共産党のスタンスに関わって」九月3日の投稿に引き続きコメント欄に「事務次官会議と国家戦略局」をはじめとして国家戦略局についてのタイムリーなコメントを載せてくれましたので、管理人の判断で投稿欄に再掲したいと思います。 今後も価値ありと判断したコメント、要望のあったものについては投稿欄に再掲します。(ブログ管理人)
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★事務次官会議と国家戦略局 (文科系)
2009-09-06 13:17:34
かねて思っていたことに関わって、昨日NHK番組で触れられてより明確になったので、まとめてみたい。
事務次官会議主導政治と国家戦略局主導政治との、大きな違いについてだ。
最初に注意して欲しいことは、これ。
事務次官会議は全員一致制であって、1省でも反対があれば決まらない仕組みなのである。いかに各省既得権益を保証し合う組織であったかがよく分かる。
たとえ不合理、不経済な大きなダブリがいくつかの省内部に存在しても、けっして改善できない体制だということである。つまり、全く異なった時代に作られた制度が、なかなか変えられない組織中枢だということでもある。金も人件費も無駄ばかりということで、時代の移り目への対応は、財務省が音頭でも取るのだろうか。
さて、こんなことを考えてみて欲しい。こんな組織でこの「100年に一度の危機」、世界体制の移り目が乗り切れるものであるか。
政治で一番難しいことは、まさに組織のそれであって、こういうことだろう。「全体」を見ること、その中から「改善の勘所」をみなで押さえ、そこに焦点を合わせて皆で行動しあうこと、これだ。こんな危機にこんな事務次官会議で対していれば、数々の悪循環も放置してあることだろうし、「群盲像をなでる(失礼)」以外に何ができるかといいたいのである。
これにたいして、国家「戦略」局とは、よく名付けたものだと思う。うまく名付ければことが上手く運ぶわけではないし、悪循環しあった全体の「改善の勘所」以外の所に戦略が合わされれば、ヒトラーのようなとんでもないことが起こる心配も確かにある。
だが今は、以上のような視点を備えて、薬害エイズ問題で官僚と渡り合った菅直人氏がこの局長になったことだし、今後の「公正さ」、「全体改善の勘所」をちょっとは見ていたいものである。
国民も悪循環しあった全体の、その部分を守る運動だけではなく、この国家戦略局と同レベルの論議をしたいものである。これに反対するにせよい賛成するにせよ、「全体を見て、その勘所を」と僕も心していたいと思っている。
★「誤導された「部分要望」 (文科系)
2009-09-06 13:55:28
ガソリン暫定税廃止、道路特定財源取りやめ、高速道路無料化に各自治体首長が反対のようだ。これは残念ながら、自民党・官僚政治が意識的に作った「悪循環」の中から必然的に出てくるもの、物の分からない「群盲象をなでる」類の主張だと思う。
地方景気が特別に悪くされてきたことに対する、既得権死守の叫びとしては分かるのだが、次の一例だけで誤ったものとして崩されるという性格の物だと思う。
高速道路無料化の場合の詳細な経済的効果を、官僚が隠していたことが判明した。それもすごく大きい効果数字が出ているのである。なのに、それを隠して、値下げの場合の経済効果数値だけを出していたのである。
つまり全国の知事たちは、全く不十分な、判断を誤る数字だけで議論をしていたのである。官僚がやることはこんなことだ。僕らもそうならないように、誤導されないように心していたい。断片的知識ではなく、根本に関わる知識と正しい仮説・論理が必要なのだろうと思う。
★関連する新たなニュース (文科系)
2009-09-07 11:59:30
小さい記事ですが、毎日新聞一面にこうありました。上の①の推論がそれなりに正しかったと自負しています。
「(岡田克也幹事長が福島瑞穂氏と会談し)福島氏の入閣も非公式に打診したとみられる」
大きな内容を持つニュースと思います。マスコミの予想はこうでしたから。
民主党が、数に物をいわせて、あるいは小沢一郎氏の意向で、他党に対しては(特に社民党などには)かなり横暴を通すのではないかと、報道されていました。
数でいえば308対7。公明党のような強い選挙協力を得られたわけでもありませんでした。自民党であれば閣僚を渡す数でしょうか。①に述べたとおり「自民党と違ってかなり公正に振る舞う」兆候ということだと、僕は思います。
三つ上のコメントにも書いたとおり、インド洋給油問題でも社民党とよく話し合って、その要望を聞いているようですし。
他方自民党サイドでは圧力団体の動揺が大きく始まっており、彼らがいかに利権団体化していたかが、改めてあぶり出されていますね。医師会、農協。また、滋賀県などの県議会で「自民会派11人離脱へ」(毎日新聞本日付)などの記事も出ていました。
世の中全体が「洞ヶ峠を極めこむ」の挙に出始めたようです。どんどんそうなるのでしょう。次の参院選も、民主は慎重に行動していますから自民勝利などとうてい予想はできない情勢ですし。
60年の自民党・官僚長期政権の数々の土塁、国中に張り巡らされた、不公正な利権構造は、これからもどんどん流動していくでしょう。これはとても大きいことだと思います。
代わりにこういうものを民主党が利用するようにと、官僚が手を換え品を換えて誘い込んでいる様子が知らされていますが(それが官僚の利権保証だからでもあるからです)、民主党には自民党にはないようなかなりの抵抗力があると、僕は見ています。これも公正さということ。とにかく今までの自民党・官僚体制は長すぎて、悪くなりすぎた。ここが現政局を見る場合に肝心な一つの視点だと思いますが。
★国家戦略局と官僚(1) (文科系)
2009-09-08 16:42:43 )
この両者、早くも火花ばちばちとやり始めた。この2,3日、新聞を読むのが面白すぎて、好きなギター練習も忘れるほどだ。
この火花を散らす双方とも、「国家道具説」の諸君の目には、同じ穴の狢の争い、目くそ鼻くそを笑う類と見なされるのだろうか?
本日のニュースはこんなところだ。これからしばらく、こんなことをここに書き込んでいこう。
【 主要閣僚人事が続々と内定する中、テレビでは財務相内定がなかなか報道されず、同省幹部は『うちは主要ではないのか』とつぶやいた」
「別の幹部は、『菅さんは副総理も兼ねるので財務相は格下。財務相は要というより下請け部隊になるのでは』と嘆いた 】(8日「毎日」朝刊2面)
さて、その菅直人国家戦略局担当相が、やってきた悪名高き国交省官僚トップに早くも、キツーイ1発である。痛快この上ない!
【 菅氏は3日夕、衆院議員会館の事務所を訪れた谷口博昭事務次官ら国土交通省幹部に『霞ヶ関の新しいビジネスモデル』と題した自らのインタビュー記事を手渡した。
『霞ヶ関解体で天下り団体を減らし、税金をより有効に使う』
『(解体に伴う地方分権で)国土交通省の職員数は5分の1で済む』と書かれた記事に、ある幹部が『国会含め全体のシステムが変わらないといけませんね』と感想を漏らすと、菅氏は語気を強めて『だからそれを変えるんだ。文句があるなら「国土交通党」を作って選挙に出なさい』。約30分にわたり『官僚主導を政治主導に』とまくしたてた 】(同紙3面)
さて、菅氏の国家戦略局担当就任は、小沢氏の人事ではないと思う。これも、民主党政権に「国家道具説」を適用するような主張を、退ける話と言えよう。菅氏は、薬害エイズ患者救済という公正さの看板があるからだ。だからこそ、こういえよう。「国家道具説」支持者といえども、官僚と菅氏のこのやりとりを、同じ穴の狢の言い合いとは、言えないだろうと。
財務相発表などが遅れているのも、連立政党と協議してからということのようで、これも以下にも公正であって、小沢的ではない。
国家戦略局と官僚(2) 文科系 (文科系)
2009-09-08 17:37:30
今届いた本日の夕刊に、こんな記事が載っている。
国家戦略局の柱になるべき3党政策協議で、当面の7項目に新たな2項目が加えられたという。 これだ。次いで、不一致点と、今後のその処理方を、外に対してオープンにしているのも、好感が持てる。
【 地球温暖化対策と憲法理念の順守の2項目を新たに盛り込むことで合意した。文言調整のため午後も協議を続けるが、焦点の外交・安全保障政策では、社民党が日米地位協定改定などを盛り込むよう要求したのに対して民主党は難色を示し、8日夕にも開かれる3党幹事長会議での協議に結論を委ねた。(中略)
海上自衛隊のインド洋での給油活動、ソマリア沖の海賊対策に関しては文言調整の必要があるとして政策責任者レベルでの決着を見送った 】(1面)
なお、夕刊2面は、「もやい」の湯浅誠氏のインタビューがほとんどだが、湯浅氏はインタビューの前日に菅直人と面談しているとのことである。その上でこのような所感を述べている。
【「菅さんと政治メッセージ上のスタンスは近い」と湯浅さんは激変での混乱を懸念しつつ、期待感を強める 】
こういう大きな大きな新潮流に対して時代遅れの「国家道具説」などで対していれば、どんどん世の中から取り残され、孤立していくのではないか。
★国家戦略局と官僚(3) (文科系)
2009-09-10 13:20:13
見られるとおり僕は、国家戦略局を中心に置いてここでコメントを連載している。今後も続けるつもりだ。
最大の動機は、上記エントリー、拙稿が自分流で判断して、今の僕の政治論評の中で最も大切な物と位置づけているからである。ここが押さえられなければ、日本共産党は当面消えていくだろう。「確かな野党」を掲げて戦った東京都議選に惨敗したように。逆にここが押さえられ、「建設的な野党」が遅ればせながらぼつぼつとでも実行されていけば、生き残ると思う。生き残るだけではなく、献身的な党員たちの努力が当面の国民生活改善にもっと生かされていくのではないか。そればかりではなく、理論的改善も進まざるをえないはずなのだ。誤った「国家道具説」が脇に置かれ、「国家関係説」的な政治行動が広がっていかざるをえぬと思うのである。たとえ理論的にはなし崩しであるにせよ。
こんな理論対立が当面の激しい現実闘争にどんな意味がある?と言わないで欲しい。こんな意味がある。
人は当面の政治なり歴史的事件なりを見るとき、「客観的に事実を見て、語っている」などと語るならば、厳密に言えばみな嘘になる。自分の言動を自覚していないと言った方がよいかも知れない。
民主党の行動を見る場合を例にとって考えてみよう。「基本は大企業本位」、「軍事国家も目指している」などということだけが色眼鏡の役割をすれば、一切の民主党政策にそう対することになってしまう。細かい変化はどうでもよく、それらは何も見なくって、現実の運動、流動を高見で批判することにしかならないはずだ。つまり、とうてい事実など見ていないのである。それが客観的?
こんな態度は、最近の志位和夫委員長の見解から見てさえ?というものだろう。彼は、本日の新聞でこう述べたらしい。
【 あいさつに訪れた公明党新役員を前に『(鳩山代表が25%削減目標)を言われたことは歓迎だ』。さらに『一致点があるなら大いに今進めている方向を後押しすることも大事だ』と呼びかけ、環境問題で『民・公・共』の『部分共闘』の可能性を探るムードさえ漂わせた 】
どうだろう。民主党の25%削減が「譲歩」だとか「策略」だとか、そんなことどうでも良いではないか。同じく、「インド洋給油」は?「日米地位協定見直し」は?「事務次官会議の解散」によって官僚横断機関などなくし、各省個別で「国家戦略局・政府の文字通り事務機関とする」は?
ここの投書に、この志位発言よりも「遅れた物」が多すぎはしないか?
毎日新聞本日4面で、編集委員与良正男が良い観点を書いている。要約してみる。
まず、民主党を疑ったり、懸念を表明したり、「それ見たことか」などというのはひとまずもうやめようではないか。こんなのは急ぎすぎというものであって、今大切なことはこうだ。
国民が希望を託して1票を投じたのだから、「民主党の尻をたたくのが私たちの仕事ではなかろうか」。
【 例えば一口に官僚と言っても、幹部の話を聞けば確かにそんな(戸惑いの)話を口にするが、『今までは前例踏襲の仕事ばかりでうんざりしていた。今度は自分が考えてきた政策が実現できるかも』と政権交代に大きな期待を寄せている若い官僚たちが少なからずいることを私は知っている 】
【 政権交代に戸惑っているのはメディアかもしれぬ。だが、考えてみよう。省庁の縦割りを排し、予算の骨格や外交の基本方針を首相直属で一元化して決定するという国家戦略局が仮に上手く機能するようになったとする。その時には、私は○○省担当記者だ、政治部だ、経済部だ、社会部だなどと言っている場合ではなくなるはずだ。
これはとてもいいことだ。政治報道も変わっていくチャンスだと私は考えている】