☆アジアを考えるうえで重要と思われる本や興味深い本をメール友が 紹介してくれました。読書の秋よかったらどうぞ。
★中国建国60周年なので、最近読んだ中国関係の本を取り上げてみます。
①田久保忠衛『米中、二超大国時代の日本の生き筋』海竜社
中国を分析するには、中国だけを見てても、日中だけを見てもダメです。真にグ
ローバルな分析が求められます。この本は、G2時代が既に到来した(!)と言う問題意識に立っています。その問題意識は面白いのですが、中身は、やや竜頭蛇尾の感があります。
②韓鋼著、辻康吾編訳『中国共産党史の論争点』岩波書店
③中島嶺雄、石平『「日中対決」がなぜ必要か』PHP研究所
中国本土で、中国共産党史の見直しが進んでいます。この動きを紹介したのが前著です。私も、自分の共産党史像を再点検しなければ、と痛感しています。
日本の研究者の立場から、中島嶺雄は、「中国革命は必然だった。しかし、新社会の建設は失敗だった」と明確に言い切ります。一時期、毛沢東万歳だった私としては、にわかにイエスと言えないで悩んでいます。
④麻生晴一郎『反日、暴動、バブル』光文社新書
私は、色んな中国分析の中で、民主主義と人権を求めて闘う中国民衆の姿が描かれていないのは問題だ、と強調してきました。その意味で、前に紹介した『毛沢東は生きている』は画期的な本でした。そして遂に、日本のジャーナリストで、中国現地を歩いて「闘う」民衆の実像に迫ろうという本が出版されました。日本のジャーナリストも捨てたものではない、と嬉しくなりました。
私は2005年の反日デモの評価などで意見を異にしますが、そんなことは小さなことです。必読本として購読をお勧めします。
⑤宋暁軍、王小東、黄紀蘇、宋強、劉仰著『不機嫌な中国 中国が世界を思いどお
りに動かす日』徳間書店
遂に、こんな本が中国国内から出てきました。「中国は軍事力を背景に商売をせ
よ」「中国が世界の指導者になる」「金融危機は必ず戦争を招く。中国は軍事力を増大せよ」「チベット問題に文句があるなら奪いにくればいい」などの文句が、この本にはあふれています。極め付きは、以下の文句でしょう。
「13年前、われわれは中国のことは中国が決めると宣言した。現在、われわれは世界のことは中国が決めると宣言する。」
たしかに、この本は、中国の公式見解ではありません。おそらく、現在時点では、中国国内の多数意見でもないでしょう。しかし、この本が反響をよぶ基盤が中国国内にあることも確かです。また中国共産党の見解と一部分は確実に重なっています。
「それ見たことか」という意見が日本国内に広まることを恐れます。
それにしても、中国問題に沈黙を守り続ける日本の平和運動と左翼知識人は、中国の覇権確立・世界制覇を助けた共犯者であると、歴史に名を刻まれても良いと考えているのでしょうか。
情報提供:河内謙策氏
★中国建国60周年なので、最近読んだ中国関係の本を取り上げてみます。
①田久保忠衛『米中、二超大国時代の日本の生き筋』海竜社
中国を分析するには、中国だけを見てても、日中だけを見てもダメです。真にグ
ローバルな分析が求められます。この本は、G2時代が既に到来した(!)と言う問題意識に立っています。その問題意識は面白いのですが、中身は、やや竜頭蛇尾の感があります。
②韓鋼著、辻康吾編訳『中国共産党史の論争点』岩波書店
③中島嶺雄、石平『「日中対決」がなぜ必要か』PHP研究所
中国本土で、中国共産党史の見直しが進んでいます。この動きを紹介したのが前著です。私も、自分の共産党史像を再点検しなければ、と痛感しています。
日本の研究者の立場から、中島嶺雄は、「中国革命は必然だった。しかし、新社会の建設は失敗だった」と明確に言い切ります。一時期、毛沢東万歳だった私としては、にわかにイエスと言えないで悩んでいます。
④麻生晴一郎『反日、暴動、バブル』光文社新書
私は、色んな中国分析の中で、民主主義と人権を求めて闘う中国民衆の姿が描かれていないのは問題だ、と強調してきました。その意味で、前に紹介した『毛沢東は生きている』は画期的な本でした。そして遂に、日本のジャーナリストで、中国現地を歩いて「闘う」民衆の実像に迫ろうという本が出版されました。日本のジャーナリストも捨てたものではない、と嬉しくなりました。
私は2005年の反日デモの評価などで意見を異にしますが、そんなことは小さなことです。必読本として購読をお勧めします。
⑤宋暁軍、王小東、黄紀蘇、宋強、劉仰著『不機嫌な中国 中国が世界を思いどお
りに動かす日』徳間書店
遂に、こんな本が中国国内から出てきました。「中国は軍事力を背景に商売をせ
よ」「中国が世界の指導者になる」「金融危機は必ず戦争を招く。中国は軍事力を増大せよ」「チベット問題に文句があるなら奪いにくればいい」などの文句が、この本にはあふれています。極め付きは、以下の文句でしょう。
「13年前、われわれは中国のことは中国が決めると宣言した。現在、われわれは世界のことは中国が決めると宣言する。」
たしかに、この本は、中国の公式見解ではありません。おそらく、現在時点では、中国国内の多数意見でもないでしょう。しかし、この本が反響をよぶ基盤が中国国内にあることも確かです。また中国共産党の見解と一部分は確実に重なっています。
「それ見たことか」という意見が日本国内に広まることを恐れます。
それにしても、中国問題に沈黙を守り続ける日本の平和運動と左翼知識人は、中国の覇権確立・世界制覇を助けた共犯者であると、歴史に名を刻まれても良いと考えているのでしょうか。
情報提供:河内謙策氏