はじめに
グランパスと鹿島が、アジアチャンピオンズリーグのトーナメント初戦で完敗した。いずれも、韓国勢に。ガンバ大阪も敗れたから、あとベスト8に残っているのはセレッソ大阪だけで、ここの活躍に期待するしかない。それにしてもセレッソ大阪は良くやっている。香川、家長という2枚看板を放出してこれだけやれているのは、監督初め首脳陣が有能である証拠だと思う。ケネディとトゥーリオの二枚看板がいなくなったら、そんなグランパスでは到底こうはいかないだろう。だからセレッソは、凄いのだ。
ともあれ、ここ2年、韓国勢がアジアチャンピオンチームになっていることでもあるし、そろそろ日本チームは深刻に反省しなければならない。何が悪いのか。なにが「見透かされている」のか。
Jリーグの弱点
韓国勢相手にだけではなく、近年の日本チームが外国に負ける場合は例外なくこういう要素が絡んでいたと思う。「当り負けているゲームでは、走り負けるようになっていく」と。よって、韓国勢の作戦などは、明確にここに焦点を合わせてくる。
①初めに、体当たり作戦あり。1対1を強く当り、体で競り合って球際で勝とうとするのである。すると、ボールへの出足で負けることにもなるから、1対1の局面でボールが納り難くなってくる。
②これに対して、負けないように頑張って競り合うゲームをするならば、体力を消耗する後半に不利になっていくことになる。
③こういう傾向に関わって、Jリーグ・ゲームが、世界水準から見たら当りが相当に甘いという傾向があると思う。アジアとJリーグカップと、1シーズンに両方でカップを取るチームがいないことも、明確なその証拠ではないか。
以上の点について、僕は06ドイツ・ワールドカップのオーストラリア戦をたびたび思い出すことにしている。相手監督であったフース・ヒディングが指示した「体当たり作戦」によって、ジャパンがオーストラリアに粉砕されたゲームだった。ヒデと俊輔が特に集中的に攻撃された。日本では特に強いヒデはともかく、日本でも強いとは言えない俊輔は、後半になるとびびり始めていたはずである。ゲーム後の監督談話でジーコが述べたこんな言葉も、強く僕の印象に残っている。
「こんなに疲れ切った選手たちを見たのは初めてのことで、全く驚いている」
このゲームなどは、韓国勢によって徹底的に分析されたに違いないのである。名将フース・ヒディングは、02日韓ワールドカップまで韓国の代表監督であって、この国をベスト4に押し上げた大恩人なのでもあるし。
代表レベルでは前進
さて、代表レベルの今の日本は、韓国にも世界にも当り負けなくなった。これこそ岡田監督の最大の功績なのだが、南アワールドカップ直前の韓国戦、イングランド戦が負けたとは言えこのことを示していた。この2ゲームで代表が見せた「当り強さ」については、このブログにもエントリーを書いてきた通りである。それぞれ、去年の5月27日と6月2日に掲載してある。だからその集大成が南アでのグループリーグ勝ち残りだったのだと、今にして思う。南ア大会後のアジアカップ対韓国戦勝利も、その延長と見ることができる。アレは日韓戦史に残る名勝負だった。その後、内田、長友、香川、岡崎などの世界での活躍は、岡田監督のこの指導を抜いて語ることはできまい。なんせ以前のドイツが日本選手をこう見ていたというのは、有名な話なのである。
「日本選手? そいつ、闘えるのか?」
数年前のヨーロッパの目では、日本選手とはまず、そういう存在だったのである。あの中田英寿以外は全て。
結論
よって結論。日本選手はすべからく、中田英寿、長友佑都を見習って体を鍛えよ!2人の信念はこうだった。
中田「敵と当たって倒れていたり、痛がって寝ているなんて、サッカー選手の恥だよね。おれは意地でもすぐに起きる。南米の選手なんか、痛がれば痛がるほど余計に当たってくるんだよ。格闘技やっててフィジカルで負けてちゃ、お話にならないでしょ」
長友「何よりも体幹を鍛えてきました。これは僕の誇りですね。そして走力にも自信があります。インテルのマイコンを目標にして、世界でも誰にも走り負けない積もりでいきます」
グラの弱点
さて、こんな点から見ると、グラは欠点だらけではないか。あれだけ怪我人が出ては、指導部のフィジカル思想に問題があると言われても仕方ないはずだ。相手監督が中田英寿でもあったら、こんな作戦で来るだろう。
「あれだけ怪我人が出ていて、あれだけ痛がっているんだから、どんどん当たっていけ。そうすれば後半勝負で勝てる。きっとフィジカルに問題があるチームだ」
そしてさらに一言、僕がグラを相手にした監督ならこう付け加える。
「このチーム、ケネディとセンターバックが弱点だ。ここにどんどん、ぶつかっていけ。ケネディ経由の攻め方に偏っているのだし、センターバック専門はたた4人で、頼りになるのは3人だけ。だからなのだろうが、この3人もケネディも病み上がりだ」
こう言われるようなチームであれば、国内とアジアと両方のカップなんて、とても無理だろう。グランパスはだから、韓国にいつも勝つようにならねば、世界には通用しない。その鍵はとにかく、フィジカルだ。ちょっと前に会心の勝利を収めたFCソウル戦(当ブログ、4月20日拙稿参照)! あーいうゲームが常時できるようになれば! ケネディとトゥーリオに頼りすぎは、とにかくダメなのであって、すぐに脱するべし!
注 なお、以前のエントリーの出し方はこうです。
右欄外の最下段のほうに古い年月の欄があります。ここをスクロールして例えば「10年5月」をクリックします。すると、右欄外最上段のほうのカレンダーがその年月に変わっているはずですから、カレンダーの中の5月27日をクリックしてください。その日のエントリーすべてに、この画面が変わるはずです。そこから該当の拙稿を選んで頂けば宜しい。