色々参考にしている所に、アメリカのジョセフ・ナイ教授の面白い分析があったので。
著書『国際紛争』をベースに。
所謂『介入』に対する、リアリスト(現実主義者)、コスモポリタン(世界市民主義者)、国家中心主義者からの評価。
①リアリスト
リアリストにとって介入は、秩序が保てるなら介入は正当化される。リアリストにはバランスオブパワーこそが秩序と平和の根幹だから。
教授は東西冷戦を例にあげる。
「冷戦時代における勢力図がその例。アメリカは1965年に西半球においてこれ以上共産勢力が増えないように、ドミニカに、そして1980年代に中央アメリカに介入した。ソ連も東欧で共産勢力を維持する為に介入した。ソ連が宣言したブレジネフドクトリンによれば、自らの勢力圏の中で社会主義を維持する為にソ連は介入する権利があると」
②コスモポリタン
コスモポリタンの根本は正義であって国際制度の根幹になるものは「個人」の集合からなる「世界社会」になる。
だから、介入が個人の正義と人権を守り促進するのであれば、介入は正当化される。
「冷戦の最中には、自由主義的なコスモポリタンにとって、フィリピンのマルコス政権や南アフリカのアパルトヘイト政権等の右翼政権に対する介入は正当なものとされ、保守的なコスモポリタンにとっては、ニカラグアのサンディスタ政権やアンゴラやモザンビークの共産政権に対する介入は、これらの政権が民主権利を侵害しているのだから、介入は正当なものとされた」
③国家中心主義者
国家中心主義者にとっては、国民と国家の自律性こそが根本であり、彼らにとっての国際社会は、国際法に伴う諸国家からなる社会である。
その中で最も重視されるのが「他国に対する不介入」なので、介入が正当化されることは殆どない。彼らにとって戦争とは、国家の領土、国としての一体性を守る為にもしくは外部からの侵略に対して、自らの主権を守る時のみ正当化される。
しかしながら、現実の世界とは複雑で外部からの侵略そのものが曖昧に定義されることが多い。
まあ、こんな話があった。そして、人道的介入に関して、慶應大の駒村圭吾教授が以前『ジュリスト』でこんな話をしていた。
人道的介入が合法かということについて、自衛の場合を除き、武力行使は包括的に禁止されている為、合法な人道的介入があるとしたらそれは、国連憲章7章に規定された安保理による強制措置として行われる場合に限られる。
そして、そのような合法性の体系に分類されうる人道的介入は殆ど存在せず
「今や人道的介入は国際慣習法化している」
という構成を採りでもしない限り違法である。にも関わらず、同時に何らかの水準でこれを正当化し、違法の評価を乗り越えようとする試みが精力的になされてきたのも「人道的介入」の特徴であり、ユーゴ紛争に対するNATOの介入に対して下されたコソヴォ独立国際委員会報告書による評価
「違法であるが、正当である」
が、ひとつの標準的な法的評価として有名である。
著書『国際紛争』をベースに。
所謂『介入』に対する、リアリスト(現実主義者)、コスモポリタン(世界市民主義者)、国家中心主義者からの評価。
①リアリスト
リアリストにとって介入は、秩序が保てるなら介入は正当化される。リアリストにはバランスオブパワーこそが秩序と平和の根幹だから。
教授は東西冷戦を例にあげる。
「冷戦時代における勢力図がその例。アメリカは1965年に西半球においてこれ以上共産勢力が増えないように、ドミニカに、そして1980年代に中央アメリカに介入した。ソ連も東欧で共産勢力を維持する為に介入した。ソ連が宣言したブレジネフドクトリンによれば、自らの勢力圏の中で社会主義を維持する為にソ連は介入する権利があると」
②コスモポリタン
コスモポリタンの根本は正義であって国際制度の根幹になるものは「個人」の集合からなる「世界社会」になる。
だから、介入が個人の正義と人権を守り促進するのであれば、介入は正当化される。
「冷戦の最中には、自由主義的なコスモポリタンにとって、フィリピンのマルコス政権や南アフリカのアパルトヘイト政権等の右翼政権に対する介入は正当なものとされ、保守的なコスモポリタンにとっては、ニカラグアのサンディスタ政権やアンゴラやモザンビークの共産政権に対する介入は、これらの政権が民主権利を侵害しているのだから、介入は正当なものとされた」
③国家中心主義者
国家中心主義者にとっては、国民と国家の自律性こそが根本であり、彼らにとっての国際社会は、国際法に伴う諸国家からなる社会である。
その中で最も重視されるのが「他国に対する不介入」なので、介入が正当化されることは殆どない。彼らにとって戦争とは、国家の領土、国としての一体性を守る為にもしくは外部からの侵略に対して、自らの主権を守る時のみ正当化される。
しかしながら、現実の世界とは複雑で外部からの侵略そのものが曖昧に定義されることが多い。
まあ、こんな話があった。そして、人道的介入に関して、慶應大の駒村圭吾教授が以前『ジュリスト』でこんな話をしていた。
人道的介入が合法かということについて、自衛の場合を除き、武力行使は包括的に禁止されている為、合法な人道的介入があるとしたらそれは、国連憲章7章に規定された安保理による強制措置として行われる場合に限られる。
そして、そのような合法性の体系に分類されうる人道的介入は殆ど存在せず
「今や人道的介入は国際慣習法化している」
という構成を採りでもしない限り違法である。にも関わらず、同時に何らかの水準でこれを正当化し、違法の評価を乗り越えようとする試みが精力的になされてきたのも「人道的介入」の特徴であり、ユーゴ紛争に対するNATOの介入に対して下されたコソヴォ独立国際委員会報告書による評価
「違法であるが、正当である」
が、ひとつの標準的な法的評価として有名である。