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どうなる、米中狭間の日本 ③  文科系

2021年10月06日 05時47分04秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 このシリーズ第一回目では、アメリカ最近の対中戦略論の数々を紹介した。
 第2回目では、2018年10月の安倍訪中1000名代表団の「成果」を巡って起こった日本政府内「論争」を観た。結ばれた「日中友好今後の三原則」の内容を外務省が薄めようと画策したことも明らかにしている。この外務省の振る舞いにはいつものように背後でアメリカが糸を引いていることも明らかなのだ。

 今回は、「米中狭間の日本」の現状と今後に関わって、この10月3日朝日新聞「Globe」に絶好の記事が載っているので、これを紹介して弱冠の補強コメントを付けるという内容になる。

  題名『ニクソン外交が生んだ「巨大な竜」中国とともに生きる道はあるのか』というこの談話者を紹介しておこう。チャス・フリーマン。ハーバード大院を出て、国務省の中国政策担当から、ニクソンに仕え、ブッシュ(父)政権でサウジアラビア大使、クリントン政権の国防次官補などを歴任し、現在は「米ブラウン大ワトソン研究所の上級研究員」とあった。1971年のニクソン訪中に同行して以来の中国政策専門家なのだ。なお、この年に、中国の国連代表権が中華民国(台湾政府)から中華人民共和国(大陸政府)に移った。つまり、台湾政府が国連から追放された。よって、国連の合意としては、今でも「二つ合わせて一つの中国」なのである。
 以下この談話を抜粋する。

『半世紀前の(ニクソンの補佐官キッシンジャーの)極秘訪中に始まる米国の「対中関与政策」は、中国封じ込めの終結や、中国の国際社会への正式復帰の始まりを意味します。中国はその後、日本をはじめとする国々との国交回復も果たし、いまや経済大国です。中国にどれだけの利益があったかは明白です。
 一方でニクソンがキッシンジャーを北京に派遣した狙いは、中国を味方に付けて、「東西冷戦」の敵国である旧ソビエト連邦を封じ込めることでした。ところが現在、旧ソ連はすでに消滅し、米国が軍事的に対立するのは、むしろ中国です。米国側には半世紀前のできごとを祝う理由があまりないのです。』
『バイデン政権は同盟国や友好国との協議も重視しつつ、より洗練された形で、トランプ政権とほぼ同じ対中政策をとっている。米国のエリート層の間で、中国に厳しく敵対的に接するべきだという政治的な合意があるからでしょう。』
『中国は現在、世界で流通する製品の30%以上を生産しています。米国は16%です。我々が中国と長期的な紛争に入り、消耗戦になったら、優位に立つのは中国でしょう。』
『米中が建設的な関係を築くには20年はかかります。そのころまでに、中国は米国との競争ではるか前を走ってるでしょう。そうなったとき、米国は「我々は中国になる必要はない」という教訓を得てほしい。私たちは自分自身を再発見し、自国の競争力を向上させるため、より多くのことをする必要があると気づいてほしい。かつて日本は中国の急成長に驚き、やがて「中国とともに生きるしかない」と認識しました。米国も日本のように、中国に適応していってほしいと願っています』

 

 なお、この記事を理解するため必要な予備知識の数々を挙げておこう。この記事中にはない史実に属することなどである。
・対中国強行政策でアメリカはすでにいくつも失敗している。2015年の中国株暴落工作は中国100兆円ほどの投入によって失敗したし、2019年に中国を「為替操作国」認定に持ち込もうとした米工作は、IMFの離反で失敗した。これらの失敗以降、元は国際通貨としてどんどん広がっていて、元の空売りなど「通貨攻撃」ももはや不可能である。

・トランプ以来の保護貿易主義強行は世界で対米不信を招いてきたが、バイデンの「バイアメリカン法」提出など現在なお強化されつつあって、さらに世界の信用を失っている。例えば、連邦政府調達物品の100%近くがもう米製品になっているが、米製品とはまもなく「自国部材75%以上の製品しか認めない」というような法律である。川崎重工のニューヨーク地下鉄、日立のワシントン地下鉄など、各何百両という商談は、今後はありえなくなるということだ。   

・核戦争はできない。中国がもつ核能力は、先制的第一次核能力ではなく、第二次的核反撃能力である。また、防衛的に相手都市破壊はできるが、相手兵力破壊はできない核である。自国領土であると国際的に認められてきた台湾だが、危惧されている台湾侵攻も、言われているようにはありえない。「6年以内には(あり得る)」などは、アメリカの一司令官が語っただけのものである。

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