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どうなる、米中狭間の日本 ④  文科系

2021年10月09日 09時15分35秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

1 前回の最後にこう書いた。
『核戦争はできない。中国がもつ核能力は、先制的第一次核能力ではなく、第二次的核反撃能力である。また、防衛的に相手都市破壊はできるが、相手兵力破壊はできない核である。歴史的・国際的かつ国連的にも中国領土であると認められてきた台湾だが、危惧されている台湾侵攻も、言われているようにはありえない。「6年以内には(あり得る)」などは、アメリカの一司令官が語っただけのものである』
 米中の軍事費比較をしてみても、このことが分かる。対GDPの軍事予算比率(ストックホルム研究所2020年度)は、中国は1・75%ほど、アメリカはその倍を優に超える3・74%というのだから、中国に戦争をする意思などは皆無というべきだろう。むしろ、第一回目で述べたようなアメリカの中国挑発が、近年はるかに執拗になっている。ケーガンの「世界秩序の強制」、キッシンジャーの「体制転換を強いる」という動きである。

2 アメリカは、20世紀の対ソ冷戦から、21世紀になって「テロとの戦い」、次いで今「米中争覇」を世界戦略とした。そして今、近年のアメリカの世界戦略である「予防戦争論」「先制的防衛論」なる概念が、中国の台湾政策などに適用され始めた観がある。これらの歴史を一言で表現すれば、こんな戦略がアメリカについて回ってきたのは明らかだろう。「地政学的な敵を作って軍事に世論を引き寄せて軍隊を守り抜き、その敵の周囲国に兵器を輸出する」。テロとの戦いでは、サウジ、UAEの対GDP軍事費率が世界有数になったし、対中国を巡って最近はオーストラリアへの原潜輸出問題や日本のイージスアショアー問題が起こっている。そもそも古い時代を識っている我々から観ると、米がソ連と対峙した冷戦時代より二倍も大きい軍事費を使っているというその理屈が理解できないのである。

3 先の自民党総裁選挙では、高市早苗氏が猛烈な「対中予防戦争論」を展開して、世を驚かせた。また彼女のこの論をも意識してだが、安倍元首相が「高い見識」などとネット評を書いた事も世に広く知られている。当ブログ9月24日エントリーで高市氏の議論を紹介したが、「中国が必ず攻めてくる」と言うところから始まるようなこの先制的防衛論のどこが高い見識なのか。ということで、このシリーズを終わりたい。

【『 高市早苗氏のこういう題名が付いたネット記事を読んだ。
『高市早苗氏 経済安全保障と中国の脅威を語る「やられたら報復がある。それが抑止力」山田宏氏との対談にて』
(中略) 
「日本の科研費を使って、日本で研究をした中国人が中国に帰って、極超音速兵器兵器を開発しています。極超音速兵器は日本では残念ながら迎撃できません」「ではどうすればいいかということです。もしも早めに発射の兆候がわかれば、敵基地先制無力化をします。これは安倍内閣の積み残し案件で、敵基地先制攻撃と安倍首相はおっしゃっていました。私はむしろ敵基地先制無力化と言ってます。いかに早く相手の基地を無力化するかで、これからは勝負が決まると思っています」
「だから、反対にこちらが仕掛けます。敵基地の無力化をします。このための備えもしなればいけませんが、法的にできないこともあります。サイバー攻撃で相手の基地やシステムを無力化します。これはアクティブディフェンスですが、日本では法律がありません。憲法で通信の秘密にひっかかるというのがあって、安倍内閣でもなかなか議論が進みませんでした。」 】  

 日本政治家(大集団)の対中政策の一部が、このように狂っているということだ。アメリカ永年の対日工作の産物なのだろう。今のアメリカという国は、政府機関だけではなく、それ以上に私的機関が世界各国の世論形成に猛烈に励んで来た。これも企業の対世界戦略に組み込まれているのである。ちょうど、正式な軍隊よりも私企業軍隊の方が、イラクやシリアでよほど大活躍してきたというようなことではないか。

 

(終わります)

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