九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

「監獄都市」バクダッドを行く。・・・・・「イラクの子どもを救う会」のブログから

2008年10月25日 11時55分50秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
★風の仲間から「イラクの子どもを救う会」の存在を教えてもらい、さらにその会のブログを見るようになって暫らくになります。
 最近のブログは命がけで入ることの出来たバクダッドやその周辺の戦災の子どもたちの施設からの生々しい報告を載せています。

 ブログの主は西谷文和氏です。http://www.nowiraq.com/blog/cat5/

☆略歴=1960年京都市生まれ。大阪市立大学経済学部卒業。吹田市役所勤務を経て、現在フリージャーナリスト。イラクの子どもを救う会代表。うめかもネットワーク(梅田貨物駅の吹田移転反対運動)事務局長。吹田市民新聞主筆。「うずみ火新聞」共同代表。2006年度平和協同ジャーナリスト基金大賞受賞。

 これから、彼のイラクでの現地報告を紹介して、みなさんに「平和」について考えていただく一助になればと思います。 
                        (ネット虫)

**************************
「監獄都市」バクダッドを行く。
     2008年10月14日 06:35 nishitani

茶色い大地を飛行機が滑り降りてゆく。私たちを乗せた飛行機は「普通に」着陸した。3年前の05年11月29日、バグダッド空港へは、上空からの「きりもみ着陸」だった。あの頃は武装勢力のロケット弾攻撃があるので、飛行機は上空から旋回して着陸していたのだ。今は治安が改善されたのだろう、「普通に」着陸したので、安堵とともに少し拍子抜けする。

入国審査のカウンターにはインド系労働者の群れ。民間軍事会社に雇われた戦争の「後方支援部隊」なのかイラク復興費で雇われた「建設労働者」なのか、おそらくそのどちらかだ。

3年前はこの場所で「日本人の入国は認められない」「なぜだ?」「お前たちの政府からの命令だ」とやり取りして、結局入国が認められずアンマンまで強制送還されたのだが、今回はすんなり通過。これで念願のバグダッドの地を踏むことができる。

空港を出るとPUK(クルド愛国者同盟)のメンバーが待っている。3人の兵士が護衛につく。空港を出てバグダッド市内へと向かう。いきなり異常な数の戦車と兵士がお出迎え。イラク国防軍のチェックポイントが何重にも連なる。車内から隠し撮りするが、「ここでは撮影するな!」と兵士の一喝。
「悪い悪い」と謝りつつ、この光景を撮らないと何のためにバグダッドまで来たのかわからない。兵士の注意をかいくぐって、何とか外の風景をカメラに収める。
空を見上げれば飛行船。

「あれは何だ?」と聞くと、「米軍の監視だ」。あまりにもテロが多発するので、米軍は「住民監視飛行船」を飛ばしているのだ。知らなかった。
空港を出るまでに10箇所以上のチャックポイント。そのたびに、緊張しつつビデオカメラを隠す。
空港を出て一般国道を走る。03年の空爆で破壊された「サダムタワー」が見えてくる。懐かしい。4年前はあのタワーの下で通行人にインタビューできたのだが。

バグダッドの街は、様相が一変していた。一言で言えば「コンクリートに囲まれた監獄都市」である。メーンストリートの両サイドは、高さ2メートルほどの壁で覆われている。
シルクロードの中心、2千年の歴史を持つ都が「壁の街」に変えられてしまったのが悲しい。人々は壁の前を黙々と通行する。戦車が通っても、ヘリが上空を旋回しても、パトカーがサイレンを鳴らして通過していっても、ただ黙々と歩いている。この異常事態に慣れてしまって、ただ黙々と生活を続けているその姿は、まるで修行僧のようだ。

バグダッドの交通信号はいまだに点灯していない。電力不足が一番の原因。それと信号を点灯させても、異常事態が発生するので、守る人が少なく、あまり意味がないからだとも言える。
よって信号のない交差点では渋滞するし、チャックポイントでまた渋滞。たまに米軍が通行するときは、周囲数百メートルにわたって交通規制するから、またまた渋滞。人々はあきらめきっているのか、ただ黙々と、渋滞が緩和するまで待っている。4年前よりメーンストリートの通行人が多いのは、「車で行くより歩いたほうが早い」からでもある。

私を乗せたランドクルーザーは、護衛の兵士たちが強引に道を空けさせて通行するので、渋滞の車を尻目におよそ一時間でPUKバグダッド本部。PUKバグダッド本部もまた、テロリストの襲撃を恐れてコンクリートの壁で囲われている。ランドクルーザーが本部に進入。ここで初めて兵士たちが笑顔に。「ようこそバグダッドへ、アハラン・ワ・サハランン」。
こうして08年10月11日午後12時半、何とか無事にバグダッドの街にたどり着いたのだった。
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一寸の虫にも五分の魂・・・譲れないこともある地位協定     まもる

2008年10月25日 00時51分35秒 | Weblog
米軍のイラク駐留の法的根拠をめぐって米国は今窮地に立たされている。

 現在の米軍のイラク駐留の根拠になっているのは今年末までとしている国連安保理決議である。そして米国は来年(2009年)以降の根拠を、国連安保理決議の再議決や延長ではなく、イラクとの米軍駐留地位協定へ切り替えようと、はやくからイラクと交渉を重ねてきた。
その地位協定交渉で米国がイラクの反対にあって難渋している。

 イラク国民はこれを認めようとはしない。
 バクダッドでは連日大掛かりな反米デモが起きるほどに至っている。
 マリキ傀儡政権もさすがに米国に譲歩できないでいる。
 米国も手を焼いている。

★この記事は最新の天木ブログの一節であるが、日米地位協定の推移や最近発見された外交公文書での日本の対米従属の実態を考える時、敗戦国・駐留された国として日本とイラク国民との違いを思い知らされた次第である。
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金融崩壊、あきれた内幕  文科系

2008年10月24日 19時00分49秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
本日の毎日新聞夕刊に、アメリカ前連邦準備制度理事会(FRB)議長・グリーンスパンのあきれた談話が紹介されている。06年1月まで18年間、アメリカの日本銀行総裁に等しい地位にあった彼が、今にして「こういう過ちを犯した」と告白したのである。その内容が、「まったくあきれた話」という他はないのだ。米下院公聴会の質疑応答の報道。

議員質問「FRBはサブプライム絡みの融資過熱を止める権限を持ちながら行使しなかったのではないか」
グリーンスパン「金融機関に自社の利益を追求させることが、結果的に株主保護につながると考えていた。今振り返れば過ちだった」
こんなこと、今振り返らなくても当然分かっているはずの話だろう。チューリップバブルにせよ、ほんの少し前の日本の住宅バブル弾けにせよ、過去に無数の例があるのだから。住宅値上げが永久に続くことを前提にしなければ、サブプライム・ローンや、証券会社によるサブプライムローン証券化などできる話ではないはずだ。ネズミ講を、小さな破綻のうちに止めなければ何百倍の破綻になって返って来るというのと同じような話なのだと思うのだけれど。

議員質問「デリバティブの一種『クレジット・デフォルト・スワップ』の取引を規制しなかったことについて」
グリーンスパン「一部、間違いがあった」
これも分かり切った話だったのではないか。デリバティブはどこかで躓けば連鎖焦げ付きが起こり、その焦げ付きに対する保険金給付額は実態経済の何十倍にも上ると。またしかも、それらが一斉に請求されることになるはずだから、支払い不能に陥るはずだとも。こんなことも、学者ならばほとんどすべてが指摘してきたことだったはずだ。このスワップの取引残高は本年6月末現在で実に、約5300兆円!に上ると記されていた。

なんのことはない。「毒を食らわば皿まで。行く所まで行くしかない。俺ら、最後には逮捕されるなー」という、まるでネズミ講運営者そのもののようなやりかたに思えたのは僕だけだろうか。ドル流通調整の「マエストロ(巨匠)」と仰ぎ見られた人物の、これが、反省なのだそうだ。呆れてものが言えない。

もっとも、日本の政官界も同じような事をやってきたと思う。選挙目当てには、歳出を使いたいだけ使って、高所得者への税はとことんまけてやり、足らなくなると一般ピープル対象に消費税値上げや国民負担増、と。挙げ句の果てが、1000兆円近い公的借金累積の山。
与党が出す消費税値上げ案の審議は、予算決算だけでなく金額が多い特別部門の貸借対照表を全て出させてからでなくてはならないと思う。例えば、問題の社会保険・医療費・薬代などや年金だけでなく、介護保険も、道路特定財源なども。初めて本格的に始まったこれらの国会質疑の断片からでさえ、その支出内訳には魔物が潜んでいるとしか、国民には思えなかったのであるから。
「各省庁の、野党への資料提出は与党の許可を経てから」
こんなことを与党が官僚に指示したのは、やましいことが無数にあるからだろう。

とにかく、何を置いても、自民党を引きずりおろそう。
そこからしか、何も始まらない。
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健保のない子供たち chiba_ukyo

2008年10月23日 22時31分00秒 | Weblog
本日、あるテレビを観ていて愕然としました。
日本には健康保険に入っていない子供たちが全国で2万人以上、東京都だけでも1万人以上いるようですね。
その大半はリストラなどで収入が激減し、食べるのに精一杯で、健康保険などに払う余裕等なく、仕方なく1年以上滞納し健保をとられてしまうケースほとんどのようです。
子供が40度の熱を出し、病院に連れて行ったところ、実費の1万円要求されたが、3千円しかなく市役所で事情を話して健康保険書の発行を頼んだところ「滞納額を全額はらはなければ駄目です」と言われたそうです。
滞納額と子供の命とどっちが大事なのでしょうか?

この国は本当におかしくなってきている。
映画「シッコ」のような現実が日本にももうすぐ目の前に迫ってきているのではないでしょうか。
少子化が問題視されているこの国の状態で子供たちを大事にしない政策など一日もはやく止めるべきです。

★風仲間のちば・うきょうサンからのメールです。私もこのNHKの番組に考えさせられました。   (ネット虫)
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「かつての天敵」小沢一郎、亀井静香が共に写る民主党ポスター

2008年10月23日 18時17分52秒 | Weblog
★風仲間さとうしゅういちさんがJANJANに面白い記事を載せていましたので紹介します。  2008/10/23    (ネット虫)
**************************

 国民新党が広島2区、3区、4区、5区、7区の民主党候補を推薦決定したお礼の形で、民主党が亀井静香・国民新党代表代行の選挙区である6区に張り出したポスターは、小沢一郎、亀井静香という「かつての天敵」同士が「力を合わせて政権交代」をキャッチフレーズに共に写る、歴史的なものとなりました。

10月20日、国民新党は、広島2区、3区、4区、5区、7区の民主党候補を推薦決定しました。それとほぼ同時に民主党は、お礼の形で、亀井静香・国民新党代表代行の選挙区である6区(三原市、尾道市、因島市、府中市、三次市、庄原市、御調郡、世羅郡、神石郡、甲奴郡、双三郡、比婆郡)に、小沢一郎、亀井静香という「かつての天敵」同士が共に写る、歴史的なポスターを張り出しました。

 キャッチフレーズは「力を合わせて政権交代」です。ポスターには、かつては、この選挙区で自由党、そして民主党から亀井さんと議席を争った参院議員の佐藤こうじさん(お父さんの守良さんから小沢さんの側近)も写っています。

 つい5年前であれば、この3人が同じポスターに写るなど、「天地がひっくり返っても考えられない」ことでした。というのも亀井さんは、小沢さんや民主党に対してかなり警戒感を持っておられたからです。むしろ、お互い「天敵」だったというべきかもしれません。

 亀井さんは皆さんもご存知のとおり、2005年に離党するまでは、自民党の大物でした。運輸大臣在任中は(思惑はあったのかもしれませんが)客室乗務員への非正規雇用導入に反対しています。積極財政を持論とする一方、中海干拓をはじめとする無駄な大型公共事業の中止にも積極的でした。

 一方の小沢さんは、1990年代初めには自民党の実質的な最高権力者でしたが、1993年に離党し、政界再編を仕掛けました。この時亀井さんは、小沢さんの強引な政治手法に反対して、社会党の親しい議員と連携して自社さ連立政権で対抗しています。さらに亀井さんは小選挙区制にも反対でしたから、小沢さんとこの点でもぶつかりました。

 さらに、かつての(特にに小沢さんが合流する前の旧)民主党は、鳩山由紀夫さんが「小泉さんと改革を競い合う」という叫んでしまうほど、経済政策は亀井さんよりは「ネオコン(小泉)」寄りでした。労働組合員のなかでも「民主党よりは亀井さんのほうがよい」という声が結構ありました。

 ところが、小沢さんが民主党代表になった2006年春以降、広島6区の情勢は急変します。

 まず前年のいわゆる「911総選挙」(亀井、佐藤、ホリエモンの三つ巴)で比例復活も果たせず落選した佐藤さんを、2007年参院選で、小沢さんが亀井さんとともに選挙区候補に仕立て、亀井さんから小選挙区でのライバルを取り除きました。

 さらに民主党は経済政策も、菅さんや鳩山さんの時代のようなネオコンないしネオリベラル寄りのものから、地方の庶民に優しいものに切り替えました。

 それでも当時はまだ、国民新党を支持する層には「民主党も経済政策上はネオコンでは?」という警戒感があったのです。一方で、わたしの知り合いの民主党を支持するような若者や女性の間には、政治的リベラリズムの立場から「国民新党は古臭いのでは?」という疑念もあり、わたしが「亀井さんは案外人権派で、今の国民新党の経済政策は、女性にも優しい」などと説明してはじめて納得していただけたのを覚えています。

 そして現在、「政権交代で地方・庶民にやさしい政治へ転換しよう」という点で、幹部同士も、またわたしや知人のような支持者レベルでも、両党にはある程度合意連帯感が生まれていると言えると思います。

 この「政権交代ポスター」に写る2人が、ひょっとしたら総選挙後には総理と副総理になることもあるかもしれないと思い、早速カメラに収めました。
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ノーベル平和賞候補デヴィッド・レイ・グリフィン博士 9・11の真相を語る

2008年10月23日 00時05分03秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
ノーベル平和賞にノミネートされたデヴィッド・ レイ・グリフィン博士が9・11の公式説の矛盾を明らかにするため に講演します。
11月2日、昭和区の吹上ホールです。興味のある方は是非。 (ネット虫)

*********************************
10月27日から秋田、神戸、大阪、名古屋、東京でデヴィッド・
レイ・グリフィン博士は911の公式説の矛盾を明らかにするため
に講演します。彼はたけしの番組にも出演し、重要な証言をされま
した(ブログを下にスクロールすると右側にたけしの番組を張り付
けてあります。博士の発言を含む番組の一部がみられます)。
http://kikuchiyumi.blogspot.com/

今年のノーベル賞は日本人が何人も受賞し、明るい話題でしたね。

ノーベル平和賞については日本人が獲らなかったのであまり話題になりませんでしたが、、
来日中のデヴィッド・レイ・グリフィン博士が911事件真相究明活動とともに、
ノーベル平和賞にノミネートされていました。
 これは、ヨーロッパでは、911事件の事実が公式報道とは異なり、アメリカ政府が何らかの形で関与していることが公に認識されているという証拠だと思います。

僕はそもそも賞というものにあまり意味を感じないし、ノーベル賞自体もいろいろに言われているようですが、911事件の真相究明活動が
少なくとも国際的に認められた賞にノミネートされたということは、
そこにはかなりの証拠が挙がっており、単なる面白半分の陰謀説として片付けて済むことではないと認識した方がいいということではないでしょうか。

たしかに、にわかには信じがたいことでしょう。
また、誰かが自白したわけではないので断定はできません。
実際、僕もDVDを見たり、本を読んだりするまではいくらなんでもそこまではしないだろう、あるいは、できれば嘘であってほしいと考えていました。
しかし、証拠を目の当たりにすれば認めないわけにはいきません。

現在、911事件真相究明活動を中心になってされている方の多くが、
過去にアメリカに住んでいたり、少なくとも以前はアメリカが大好きだった人たちで、身を切られるような思いで真相を広めようとされているのです。

この社会はそれほど病んでいるのです。
口実を作って戦争をしなければ成り立たないのが今の経済社会なのです。
お金のためなら人の命など何とも思わない人がたくさんいるのです。

ぜひ、この機会に各地の911事件真相究明イベントに参加し、
事実を知ってください。一緒に考えてみてください。

きくちゆみさんのブログ
http://kikuchiyumi.blogspot.com/
(画面右の黄色いチラシをクリックしてください。
各地のイベント詳細は下にスクロールしてください。)

名古屋は、以下のご案内もご覧ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★1)講演会・イベントご案内

 ●「9・11事件の真相は?」
  『9・11事件は謀略か』著者デヴィッド・レイ・グリフィン
博士が語る

  2008年11月2日(日)(愛知県名古屋市)
  14:00~18:00(13:30
開場)
  (DVD上映1時間、講演3時間)

  吹上ホール(7F メインホール)
  http://www.u-net.city.nagoya.jp/fukiage/index.html

  講師:デヴィッド・レイ・グリフィン博士 きくちゆみ氏

  料金:一般 前売り1,800円 当日2,000円
     学生 前売り1,500円 当日1,800円
     (小学生以下無料)※託児あり(要予約)

※長島龍人は実行委員長です。

  お申し込み・お問い合わせは(※スタッフも募集しています)
  tanemakitai@yahoo.co.jpまたはryujin@mwa.biglobe.ne.jp
  FAX:052-934-1445

  【郵便振込みによるチケットのお申し込み】
  通信欄に「11/2参加費」と、チケットの枚数をご記入く
ださい。
  ご入金確認後、チケットをお送りします。
  口座番号:00830-0-118118 口座名:虹の天使種まき隊

  (ご案内チラシ)
  http://www.katch.ne.jp/~y-kuro/911tirasi.htm

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田中宇氏「国家独占資本主義」理解の誤りについて  文科系

2008年10月22日 15時08分16秒 | Weblog
田中宇氏の最新の配信ニュースは以下のような書き出しになっている。が、これはマルクス主義の国家独占資本主義をとてつもなく誤解させるし、今の時代に全く合わない重要点もあるので、以下に指摘しておきたい。これをみても分かるのだが、彼は理論家とは言えないということである。

【 最近ヘラルド・トリビューン紙のサイトに、ドイツ人は金融危機に対して冷静に対応していると分析する記事が出た。その中で目を引いたのが、ベルリン在住の筆者の知人で、かつて東ドイツの共産党員だった80歳代の女性が、昨今の米国の金融危機について語った、以下のくだりである。
「(米金融危機は)驚くようなことではないわ。独占資本主義から、国家独占資本主義に移行する際、大きな危機が発生するのは当然よ。これは、あなたたちのシステム(資本主義)の、最後の段階なの。(東独の)共産主義政権時代には、このことは、子供たちが学校で教わる(基礎的な)ことだったわ」 大企業が経済の主力である「独占資本主義」は、不可避的に、金融恐慌や大不況、戦争といった危機をもたらし、危機への対策として政府が全面的に介入し、経済は国家独占資本主義に転換するが、この転換は延命にすぎず、本質的には、資本主義は死滅に向かい、大衆への収奪が強まり、最後には社会主義革命が起こるというのが、マルクス経済学の理論である。1980年代まで、旧東独など、多くの社会主義国の学校では、この資本主義の発展プロセスを教えていた。 
 (中略)この10年あまり、米経済は金融で大発展したが、ブッシュ政権の重過失的な数々の失策の末、自滅的な金融財政の崩壊が今まさに起こり、金融の独占資本主義は終わり、米英の金融機関は国有化され、中国やアラブ産油国、ロシアなどの「政府投資基金」や「国営石油会社」といった「国家独占資本主義」の象徴的な存在が幅を利かせている。 】

マルクス主義をちょっとかじった者ならば、以下のことは周知の知識である。①マルクス主義の国家独占資本主義段階を説いたのはレーニンであって、「帝国主義論」(1917年)などが該当する著作であろう。田中氏は、国家独占資本主義を語りながら、レーニンについては一言も言及していないから、マルクスの概念のように誤解させる。②こうして、国家独占資本主義、帝国主義は、好むと好まざるとにかかわらずマルクス・レーニン主義の概念なのだが、こういう概念化が世界に登場したのはもう1世紀も前のことである。③よって、この概念で今の世界を分析できるというように語るのは、おかしいと思う。

次に、では、この概念が今の世界に最も合わない点はどこなのか。このことに言及しないで眼前の金融大崩落にこの概念を関わらせようというのは、単に類推の域を出ないような発想、文章というしかなく、誤解のもとである。

レーニンの帝国主義論の世界をはみ出した、新しい、本質的な質というものが現在の世界には事実存在する。ちょうど、マルクスの時代の自由競争資本主義ではレーニン時代の帝国主義諸国家の諸行動が十分には説明できなかったのと同じである。
レーニンは、帝国主義の諸行動を「国家独占資本による、資本主義経済内部での最大限の『計画化』」と述べたが、今やもっと大きな『資本主義内部での最大限の計画化』が存在するのではないか。例えば、世界銀行やIMF(国際通貨基金)をWTO(世界貿易機関)がなかったら、アメリカ流グローバリズム、ドルの世界支配がこんなに速やかかつ大々的に世界に広がることはなかったろう。つまり、レーニンの時代とは異なった、もっと大々的な「資本主義内部での『世界』経済の世界的計画化」が存在しているのである。そして世界金融崩落に際して、まさに今やこういう段階の『計画化』的な世界経済沈静化が、世界各国協調して必死に図られている真っ最中である。世界主要諸国家の公的資金を一斉に注入しあってこの危機を乗り越えようとしているというのは、そういうことであろうと思う。

こうして、現代世界の「資本主義内部での経済の最大限の計画化」を分析しようとするときに、国家独占資本の視点だけでは余りにも原始的に過ぎると思う。たとえ類推程度の随筆的文章であったとしても、誤解を与えることはなはだしいのではないか。
また、こういう世界経済の現段階を目の前にして、解説抜きにこんな表現を引用することも、はなはだしい誤りであって、誤解を招くものと思う。
「これ(国家独占資本主義)は、あなたたちのシステム(資本主義)の、最後の段階なの」
国家独占資本はもう存在しないか、そんなのは小国家の大資本程度のものであろう。いま問題になっているのはむしろ「世界独占資本」と言うべきではないか。そうでなければ、メリルやリーマンになんで世界が震えおののく必要があるのか。
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鈴木邦男をぶっ飛ばせのブログから   落石

2008年10月22日 10時18分52秒 | Weblog
鈴木邦男をぶっ飛ばせ、を覗いたら、
こんなことが書かれたいました。
忘れさろうとしていた事件ですが・・・

  

大事なことはこうだ。日本で無罪になった人間を、アメリカが逮捕し、
本国に移送し、裁判にかけようとした。
アメリカは日本の裁判を無視している。日本という国家も無視している。
これも〈拉致〉事件だ。
それに対し、日本政府は抗議もしない。
北朝鮮の拉致に対しては、「強固とした態度で」「戦争も辞さずに…」
と言う人も、今回の事件については口を閉ざす。

ロス事件の「再来」としてマスコミは書き立てるだけだ。
又、〈拉致〉したロス市警は、ズサンな管理で、三浦氏を死なせた。
ロス市警の責任だ。その意味では「ロス市警に殺された」という声も正しい。
 
いや、アメリカや日本政府、マスコミの責任だけでない。
私自身の責任でもある、と思った。私の愚かさの為に、又もや、
有能な人間を殺してしまった。

「又もや」と言ったのは、我が同志・見沢知廉氏も
ムザムザ死なせてしまったからだ。そして今回は三浦氏だ。
2人とも精神力の強い人だった。
私のように、フラフラとした、精神力の弱い人間から見たら、
とても信じられないほど強い人だった。
甘かったのだ。

何としても、サイパンにいる時に面会に行けばよかった。
会って、励ますべきだった。もっともっと支援活動をすべきだった。

 数カ月前、横浜中華街で、「三浦和義さんを支援する集会」が開かれた。
その時は、弁護士、左翼、労働組合、右翼と、実に多くの
、多種多様の人々が集まった。
三浦さんは、人権、冤罪事件に関わり、その支援行動をともにしていたから、
市民運動グループや左翼の人との付き合いが多い。
しかし、同時に、右翼・民族派の人々との付き合いも深く、広い。

その中華街の支援集会の時、「サイパンに面会に行ってきた」
という人の話を聞いた。エッ、面会が出来るのか、と驚いた。
右翼の人々も行ったし、JR東労組の人も行ったという。
「じゃ、僕も行きたい」と言った。
だから、すぐ行けばよかったのだ。申し訳ない。

   

支援する会があったんだ!と初めて知りました。
こうした事実は、もっと報道されてしかるべきでは?

知らないことは犯罪、と言われましたが・・・

公平で事実を報道するメデイアにしないと。
少なくともブログで、こうしたことを知ったのは
良いことだとは思いますが・・・









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資本主義の伴侶    落石

2008年10月22日 10時03分49秒 | Weblog
フランスの議会で、社会党の議員がサルコジ大統領の
金融危機に対して、公的資金を投入する政策を
「社会党的」と、皮肉っていました。

新自由主義の旗振り、アメリカのブッシュさんも、
「社会主義的」な政策をとらざるをえなくなっています。

文科系さんの指摘するとおり、誰も反省した様子もない。

でも、この事実は、資本主義は自分だけではやっていけないことを
自ら証明してしまったことに。

資本主義は社会主義的な「舵取り」が必要不可欠なんでしょう。
資本主義という「夫」には、社会主義という「妻」が必要なんですね。

きっと。

   のち、のち

  そして 




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九条を守るために街に出よう。      まもる

2008年10月21日 22時39分17秒 | Weblog
「選挙に行って政治変えよう JR千葉駅前で市民団体がアピール」
               2008年10月19日 東京新聞の記事より

 「必ず選挙に行きましょう」。市民団体「平和への大結集・千葉」(共同代表・広瀬理夫弁護士ら)が十八日、JR千葉駅前で近く実施される見込みの総選挙に向けて投票を呼び掛けるアピール行動を行った。
 平和憲法を守ることを目的に、党派を超えて集まった市民団体で、行動にはメンバー約二十人が参加。「選挙に行って、政治や生活を変えよう」などと訴え、通行人に投票を呼び掛けるチラシを配った。
 広瀬さんは「平和憲法を守る意味でも政治的無関心は大敵。一人一人の投票で政権交代の実現など政治を動かせることを実感し、関心を高めてもらえれば」と話していた。

★九条の会活動は、党派を超えて集まった市民活動だから「政治的」なコミットはすべきでないという主張がある。
 しかし、私のメールには全国から、上記の新聞記事の様に多くの無党派市民運動団体が選挙を直前にして街に飛び出し、市民に「平和憲法を守る意味でも政治的無関心は大敵。一人一人の投票で政権交代の実現など政治を動かせることを実感し、関心を高めてもらう」よう活動しているという報告が集まってくる。
 九条の会はけっして書斎のサロンでってはならない。
 街へ出て9条を守る政治家が誰かを伝えよう!!!
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中日、阪神を下す    落石

2008年10月21日 16時03分17秒 | Weblog
中日がみごとに阪神に2勝。
巨人との決戦にのぞむこととなりました。

ペネントレースで、後半、息切れしたとはいえ、
大きく負け越している阪神に勝つのは大変。
それが勝ってしまった。
とくに第3戦は、投手交代が明暗を分けた。
先に動いたほうが負け、と言われている通りになってしまった。
代打も明暗、勝利の神様が最後の最後で、中日に味方。

阪神の岡田監督。残念無念。
細かな選手起用を見ていると、落合監督が一枚上かな?

選手の近未来の可能性を、どう見抜くのか?
そこに選手起用の明暗の分かれ道があるように感じました。
オスム監督と、岡田監督(サッカー)の違いに
同じようなものを感じています。

落合監督の凄さは、失敗から学ぶ能力かな?
来年はウッズなど主力選手を、どう使うのか?
どんな対策を見せるのか?興味津々。

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「ブレトンウッズ2」の新世界秩序 ②     田中宇の国際ニュース解説より

2008年10月21日 09時01分21秒 | Weblog
▼英仏の主導権争い  

 米覇権の崩壊を見越した新世界秩序作りを提唱したのは、英政府が最初ではない。9月末から10月上旬にかけて、ロシアとEUとの間で、米が展開した単独覇権主義を再現させないための多極的な新世界秩序作りについての話が進んでいた。「第2ブレトンウッズ会議」を最初に提唱したのは、仏サルコジ大統領で、9月26日に仏ツーロンでの講演の中に盛り込まれていた。

 10月8日に仏エビアンで開かれた世界政策会議では、露メドベージェフ大統領が、武力行使による国際問題解決の禁止や、単独覇権主義の提唱禁止など、米覇権を否定するような方針を「多極的な世界」にふさわしい新世界秩序として提唱し、サルコジもこの提案を支持した。

 国際安保政策をめぐるそんな議論が進展している最中に、EUではドイツ、イタリアなどの金融機関が、米英の銀行間融資市場の凍結のあおりを受けて破綻に瀕した。実際には、欧州の金融危機は、独仏伊においては、米英に比べて深刻ではなかったが、仏伊などはこの危機の深刻さを演出し、同時に全EU的な金融対策の案を仏サルコジがEUに提案し、これを実現することで、金融面での新世界秩序を作っていく足がかりにすることを目指した。この時、英政府は猛反対し、サルコジ案を潰してしまった。英は、自国が主導しない多極型の新世界秩序には反対だった

 しかし英は、その1週間後、ワシントンでのG7会議に向けて、唐突に態度を転換し、サルコジ案と似たような趣旨の、全EU的な国際金融救済案をEU内で提案し、同時に英ブラウンは、第2ブレトンウッズ会議を開くべきだと言い出した。

 英はその後、主導権をとろうと動き回り、ブラウン首相は10月15日には、ブラジルや中国などの政府トップに電話をかけまくった。仏サルコジは同日、英が主導権を奪おうとしていることに対抗し、独自の国際金融救済案をEUに提案し、英仏が主導権の奪い合いをしていると報じられた。サルコジは、新ブレトンウッズ体制という言葉を使ったのは自分が先だという趣旨の発言をしたりした。仏は、英が急に方向転換して主導権を奪いに来た意味を理解した上で、英のどん欲な覇権欲を嫌って意地悪している観がある。

▼基軸通貨の多極化・ブロック化

 第2ブレトンウッズ会議が開かれるかどうか、まだ確定的ではない。だが今後、時間がたつほど、米の金融破綻がドル破綻へと拡大する可能性が増し、ブレトンウッズ2会議の開催が後になるほど、状況は傍観者のロシアなどBRICや途上国側にとって有利になる。米国債の債務不履行とドル破綻という究極の事態が起きれば、その後の国際通貨体制を決めねばならないので、ブレトンウッズ2会議の開催は必須になる。

 イタリアのトレモンティ経済相は、事態を先取りする発言を放っている。彼は「現在、世界の基軸通貨(the currency of Bretton Woods)はドルだが、今後(の基軸通貨体制)は、他の(複数通貨による)組み合わせになるかもしれない。為替をめぐる議論が、再開されることになる」と述べている。これは、1944年以来のドル単独の基軸通貨体制が、ユーロや人民元、円などを含む複数基軸通貨の新体制に移行することを前提にした議論が、今後の国際会議で行われるとの示唆である。トレモンティは10月16日にも、同趣旨の発言を繰り返した。

 IMFはすでに2006年春、米経済の双子の赤字の拡大などを危険視して、ドル一極の基軸通貨体制の持続は困難なので、ユーロや人民元、円、ペルシャ湾岸諸国(GCC)の通貨などの、他の有力通貨を加えた通貨の多極化が必要だと表明している。だが当時は、まだ米経済が安泰で、日本も中国もサウジアラビアもEUも、自国通貨を国際通貨にすることのリスクの方を懸念し、IMFの提案を無視した。

 今年7月、米金融危機が深化する中、欧米の金融当局者が相次いで、通貨の多極化が必要だ(中国やアラブ産油国は、通貨をドルから自立させよ)と改めて表明したが、中国やサウジは、これも無視した。「覇権のババ抜き」現象が、根強く起きている。しかし、米国債とドルの破綻が現実のものになれば、中国やサウジは(そしてたぶん日本も)、覇権を背負いたくない、対米従属を続けたいといって逃げ続けることは難しくなる。

▼英国とNY資本家の休戦交渉会

 1944年7月のブレトンウッズ会議は、1941年の米の第二次大戦への参戦時の米英間の約束を果たすため、それまで世界の覇権を握っていた英が、戦後の覇権を米に委譲する意味で開かれた。ソ連など共産圏諸国を除く連合国諸国が参加し、米ドルのみを戦後の国際基軸通貨とし、他のあらゆる通貨の為替をドルとの固定相場とし、ドルは金と1オンス35ドルで固定した。同時に、ドル基軸の国際通貨体制を守るための国際機関として、IMFと世界銀行を作った。

 ブレトンウッズは、ニューヨークから約500キロ北上したニューハンプシャー州の山の中で、そこの高級リゾートホテルで会議が開かれた。最重要の参加者群は、各国の代表団ではなく、ニューヨークの資本家たちだった。NY資本家は、米の国家戦略を事実上策定するCFR(外交問題評議会)などを作って、第一次大戦以来、覇権を英から米に移転させることを画策し、その成果が、ブレトンウッズで決まったドル本位体制だった。

 今回、ドルの崩壊が近いと思われる金融危機の最中に「ブレトンウッズ」という名前を出して、しかも開催地の最有力候補としてニューヨークが挙がりつつ、国際会議が提案されているということは、会議の本質的なテーマが、報じられているような「国際金融規制」ではなく、基軸通貨体制の変更、つまり世界の覇権体制の変更を決めることであると感じられる。ドル破綻が間近い中、第二次大戦末期のような、黒幕覇権(旧覇権国)の英国と、多極化を希求するNY資本家との利害調整(休戦交渉)のための国際会議が、ブレトンウッズ2として提案されている観がある。

 そもそも、金融危機からの離脱のための国際金融規制がテーマであるのなら、金融危機に直面していないBRICや途上国群の参加や同意は、特に必須ではないはずだ。「ブレトンウッズ」などという、通貨覇権体制を意味する言葉を使う必要もない。

 ブレトンウッズ2会議の開催を提案する記事をルモンド紙に書いた仏の2人の専門家は、EUがこの会議を提唱する理由は、EUが世界の中で最もまとまりのある地域ブロックなので、会議を引率できる唯一の地域ブロックだからだと書いている。この主張が意味するところは、ブレトンウッズ2会議で決定される今後の世界体制は、世界を地域ブロックごとにわけ、各ブロックごとに基軸通貨を設け、それが固定相場制で相互につながることを含みうる多極型であると思われる。

 10月17日、英テレグラフ紙に「ブレトンウッズの再来は不要だ」とする論考が載ったが、そこでも「各通貨ブロックごとの協調を強化することは必要だが、固定相場制の復活は全く良いものではない」という論調になっている。

 ドイツのシュピーゲル誌も最近、これからの世界体制を構成するのは「国家間の関係」(international)や「文明間の関係」(inter-civilizational)ではなく「帝国間の関係」(inter-imperial)であり、世界で最も有力な三つの帝国である、アメリカとEUと中国が「G3」を作って世界を動かしていくのが良いとする、大胆な記事を載せている。ドイツ人が「帝国」という言葉を使うと目を引くが、これは「地域ブロックごとの覇権国」と同じ意味である。

 世界を地域ブロックごとのまとまりとして考えていく新体制が決定した場合、日本は中国を中心とする東アジアブロックに入ることになる。日本が望むなら「中国を中心とする」ではなく「日中を中心とする」という、日中対等の状態に変えてもらえるかもしれないが、このあたりのことは、まだ全く不透明だ。麻生首相は10月16日、拡大G8会議は、できれば開催されずにすんだ方が良いと述べた。日本が対米従属をやめざるを得なくなる世界の多極化を決めるブレトンウッズ2会議など、やらない方がいいという意味だろう。

▼金本位制に戻る?

 1944年に決まったブレトンウッズ体制は、金本位制だった(71年のニクソン・ショックの金ドル交換停止で崩壊した)。欧州中央銀行のトリシェ総裁は「規律を取り戻すため、最初のブレトンウッズに戻るべきだ」と主張している。ここで気になるのは、トリシェは「金本位制に戻るべきだ」と言っているのか、もしくは「固定相場制の為替体制に戻るべきだ」と言っているのかどうか、というこだ。

 世の中でよく言われていることは、金本位制は、金という鉱物の産出量に左右されるので、現代の微妙な通貨政策を行うにはふさわしくないということだ。また昨年までは「債券化やデリバティブといった金融の素晴らしい新技術は、金本位制の呪縛からドルを解放したからこそ現実化できた」とも言われていた。しかし今、債券化やデリバティブは「素晴らしいもの」から「忌まわしいもの」に変質している。

 ここで一気に、金融界に規律を取り戻すのなら、金本位制に戻るという選択肢も、なきにしもあらず、という感じもする。そこまでいかなくても、今後、国際通貨制度を固定相場制に復活する動きがあっても不思議ではない。今後の国際通貨制度の青写真としてどのようなものが用意されつつあるのか、近いうちに見えてくると期待される。

                       (ネット虫)


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「ブレトンウッズ2」の新世界秩序 ②     田中宇の国際ニュース解説より

2008年10月21日 09時01分17秒 | Weblog
▼英仏の主導権争い  

 米覇権の崩壊を見越した新世界秩序作りを提唱したのは、英政府が最初ではない。9月末から10月上旬にかけて、ロシアとEUとの間で、米が展開した単独覇権主義を再現させないための多極的な新世界秩序作りについての話が進んでいた。「第2ブレトンウッズ会議」を最初に提唱したのは、仏サルコジ大統領で、9月26日に仏ツーロンでの講演の中に盛り込まれていた。

 10月8日に仏エビアンで開かれた世界政策会議では、露メドベージェフ大統領が、武力行使による国際問題解決の禁止や、単独覇権主義の提唱禁止など、米覇権を否定するような方針を「多極的な世界」にふさわしい新世界秩序として提唱し、サルコジもこの提案を支持した。

 国際安保政策をめぐるそんな議論が進展している最中に、EUではドイツ、イタリアなどの金融機関が、米英の銀行間融資市場の凍結のあおりを受けて破綻に瀕した。実際には、欧州の金融危機は、独仏伊においては、米英に比べて深刻ではなかったが、仏伊などはこの危機の深刻さを演出し、同時に全EU的な金融対策の案を仏サルコジがEUに提案し、これを実現することで、金融面での新世界秩序を作っていく足がかりにすることを目指した。この時、英政府は猛反対し、サルコジ案を潰してしまった。英は、自国が主導しない多極型の新世界秩序には反対だった

 しかし英は、その1週間後、ワシントンでのG7会議に向けて、唐突に態度を転換し、サルコジ案と似たような趣旨の、全EU的な国際金融救済案をEU内で提案し、同時に英ブラウンは、第2ブレトンウッズ会議を開くべきだと言い出した。

 英はその後、主導権をとろうと動き回り、ブラウン首相は10月15日には、ブラジルや中国などの政府トップに電話をかけまくった。仏サルコジは同日、英が主導権を奪おうとしていることに対抗し、独自の国際金融救済案をEUに提案し、英仏が主導権の奪い合いをしていると報じられた。サルコジは、新ブレトンウッズ体制という言葉を使ったのは自分が先だという趣旨の発言をしたりした。仏は、英が急に方向転換して主導権を奪いに来た意味を理解した上で、英のどん欲な覇権欲を嫌って意地悪している観がある。

▼基軸通貨の多極化・ブロック化

 第2ブレトンウッズ会議が開かれるかどうか、まだ確定的ではない。だが今後、時間がたつほど、米の金融破綻がドル破綻へと拡大する可能性が増し、ブレトンウッズ2会議の開催が後になるほど、状況は傍観者のロシアなどBRICや途上国側にとって有利になる。米国債の債務不履行とドル破綻という究極の事態が起きれば、その後の国際通貨体制を決めねばならないので、ブレトンウッズ2会議の開催は必須になる。

 イタリアのトレモンティ経済相は、事態を先取りする発言を放っている。彼は「現在、世界の基軸通貨(the currency of Bretton Woods)はドルだが、今後(の基軸通貨体制)は、他の(複数通貨による)組み合わせになるかもしれない。為替をめぐる議論が、再開されることになる」と述べている。これは、1944年以来のドル単独の基軸通貨体制が、ユーロや人民元、円などを含む複数基軸通貨の新体制に移行することを前提にした議論が、今後の国際会議で行われるとの示唆である。トレモンティは10月16日にも、同趣旨の発言を繰り返した。

 IMFはすでに2006年春、米経済の双子の赤字の拡大などを危険視して、ドル一極の基軸通貨体制の持続は困難なので、ユーロや人民元、円、ペルシャ湾岸諸国(GCC)の通貨などの、他の有力通貨を加えた通貨の多極化が必要だと表明している。だが当時は、まだ米経済が安泰で、日本も中国もサウジアラビアもEUも、自国通貨を国際通貨にすることのリスクの方を懸念し、IMFの提案を無視した。

 今年7月、米金融危機が深化する中、欧米の金融当局者が相次いで、通貨の多極化が必要だ(中国やアラブ産油国は、通貨をドルから自立させよ)と改めて表明したが、中国やサウジは、これも無視した。「覇権のババ抜き」現象が、根強く起きている。しかし、米国債とドルの破綻が現実のものになれば、中国やサウジは(そしてたぶん日本も)、覇権を背負いたくない、対米従属を続けたいといって逃げ続けることは難しくなる。

▼英国とNY資本家の休戦交渉会

 1944年7月のブレトンウッズ会議は、1941年の米の第二次大戦への参戦時の米英間の約束を果たすため、それまで世界の覇権を握っていた英が、戦後の覇権を米に委譲する意味で開かれた。ソ連など共産圏諸国を除く連合国諸国が参加し、米ドルのみを戦後の国際基軸通貨とし、他のあらゆる通貨の為替をドルとの固定相場とし、ドルは金と1オンス35ドルで固定した。同時に、ドル基軸の国際通貨体制を守るための国際機関として、IMFと世界銀行を作った。

 ブレトンウッズは、ニューヨークから約500キロ北上したニューハンプシャー州の山の中で、そこの高級リゾートホテルで会議が開かれた。最重要の参加者群は、各国の代表団ではなく、ニューヨークの資本家たちだった。NY資本家は、米の国家戦略を事実上策定するCFR(外交問題評議会)などを作って、第一次大戦以来、覇権を英から米に移転させることを画策し、その成果が、ブレトンウッズで決まったドル本位体制だった。

 今回、ドルの崩壊が近いと思われる金融危機の最中に「ブレトンウッズ」という名前を出して、しかも開催地の最有力候補としてニューヨークが挙がりつつ、国際会議が提案されているということは、会議の本質的なテーマが、報じられているような「国際金融規制」ではなく、基軸通貨体制の変更、つまり世界の覇権体制の変更を決めることであると感じられる。ドル破綻が間近い中、第二次大戦末期のような、黒幕覇権(旧覇権国)の英国と、多極化を希求するNY資本家との利害調整(休戦交渉)のための国際会議が、ブレトンウッズ2として提案されている観がある。

 そもそも、金融危機からの離脱のための国際金融規制がテーマであるのなら、金融危機に直面していないBRICや途上国群の参加や同意は、特に必須ではないはずだ。「ブレトンウッズ」などという、通貨覇権体制を意味する言葉を使う必要もない。

 ブレトンウッズ2会議の開催を提案する記事をルモンド紙に書いた仏の2人の専門家は、EUがこの会議を提唱する理由は、EUが世界の中で最もまとまりのある地域ブロックなので、会議を引率できる唯一の地域ブロックだからだと書いている。この主張が意味するところは、ブレトンウッズ2会議で決定される今後の世界体制は、世界を地域ブロックごとにわけ、各ブロックごとに基軸通貨を設け、それが固定相場制で相互につながることを含みうる多極型であると思われる。

 10月17日、英テレグラフ紙に「ブレトンウッズの再来は不要だ」とする論考が載ったが、そこでも「各通貨ブロックごとの協調を強化することは必要だが、固定相場制の復活は全く良いものではない」という論調になっている。

 ドイツのシュピーゲル誌も最近、これからの世界体制を構成するのは「国家間の関係」(international)や「文明間の関係」(inter-civilizational)ではなく「帝国間の関係」(inter-imperial)であり、世界で最も有力な三つの帝国である、アメリカとEUと中国が「G3」を作って世界を動かしていくのが良いとする、大胆な記事を載せている。ドイツ人が「帝国」という言葉を使うと目を引くが、これは「地域ブロックごとの覇権国」と同じ意味である。

 世界を地域ブロックごとのまとまりとして考えていく新体制が決定した場合、日本は中国を中心とする東アジアブロックに入ることになる。日本が望むなら「中国を中心とする」ではなく「日中を中心とする」という、日中対等の状態に変えてもらえるかもしれないが、このあたりのことは、まだ全く不透明だ。麻生首相は10月16日、拡大G8会議は、できれば開催されずにすんだ方が良いと述べた。日本が対米従属をやめざるを得なくなる世界の多極化を決めるブレトンウッズ2会議など、やらない方がいいという意味だろう。

▼金本位制に戻る?

 1944年に決まったブレトンウッズ体制は、金本位制だった(71年のニクソン・ショックの金ドル交換停止で崩壊した)。欧州中央銀行のトリシェ総裁は「規律を取り戻すため、最初のブレトンウッズに戻るべきだ」と主張している。ここで気になるのは、トリシェは「金本位制に戻るべきだ」と言っているのか、もしくは「固定相場制の為替体制に戻るべきだ」と言っているのかどうか、というこだ。

 世の中でよく言われていることは、金本位制は、金という鉱物の産出量に左右されるので、現代の微妙な通貨政策を行うにはふさわしくないということだ。また昨年までは「債券化やデリバティブといった金融の素晴らしい新技術は、金本位制の呪縛からドルを解放したからこそ現実化できた」とも言われていた。しかし今、債券化やデリバティブは「素晴らしいもの」から「忌まわしいもの」に変質している。

 ここで一気に、金融界に規律を取り戻すのなら、金本位制に戻るという選択肢も、なきにしもあらず、という感じもする。そこまでいかなくても、今後、国際通貨制度を固定相場制に復活する動きがあっても不思議ではない。今後の国際通貨制度の青写真としてどのようなものが用意されつつあるのか、近いうちに見えてくると期待される。

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「ブレトンウッズ2」の新世界秩序 ①               田中宇の国際ニュース解説より

2008年10月20日 12時00分20秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
ブラウン政権のイギリスが、金融危機への国際的な対策を打つ際の主導権を、失敗ばかりしているブッシュ政権のアメリカから奪取しようとする動きが始まっている。10月15日、英による画策が、ひとつの形として浮上した。英が主導するEUが、世界に向かって「国際金融体制を安定させるための、第2のブレトンウッズ会議を早急に開こう」と呼びかけたのである。

 この会議は、G7(米英独仏伊日加)+BRIC(露中印伯)+その他の主要国(南アフリカ、サウジアラビア、メキシコなど)が、早ければ11月中に、おそらく米ニューヨークに集まって、金融機関に対する国際的な規制強化などについて話し合い、IMFと世界銀行という、1944年の「ブレトンウッズ会議」によって作られた国際金融機関の体制見直しや、潰れかけている国際貿易交渉であるWTOのドーハラウンドの再交渉体制などを決めようとするものだ。すでにアメリカ、ロシア、日本などが、EUの提唱する「第2ブレトンウッズ」の会議を、拡大G8会議として開くことに同意したと報じられている。

 報じられていることだけで判断すると、この拡大G8会議は、国際的な銀行規制という、今の金融危機の解決策としては必要だが、かなり専門的な問題のみを扱う会議であり、先日開かれたG7金融会議の屋上屋を重ねるだけの、大したことない会議に見える。第2次大戦後の世界経済体制の根幹となるドル本位制などを決めた1944年のブレトンウッズ会議と比べると、とてもスケールが小さいように見える。

 しかし、周辺の関係者の発言をつき合わせつつ「ひょっとしてドルや米国債は、すでに非常に危険な状態にあるのではないか」と思える国際金融の現状と合わせて考えると、米国の経済覇権を決定したブレトンウッズ会議と同程度に重要な会議、おそらく米経済覇権の崩壊後の世界体制について決めようとする会議が、これから開かれるのではないかと思えてくる。

▼ブレトンウッズ2の前提に見えるドル破綻

 重要な点の一つは、ロシアが、英主導の第2ブレトンウッズ会議の開催に賛成していることである。今のロシアと英国は、仮想敵どうしである。露は、対露包囲網を作りたがる米英中心の世界体制が崩壊し、露中などBRIC諸国が、アジアやアフリカ、中南米などの発展途上国を率いて、世界を安定させるという非米同盟的な展開を望んでいる。金融破綻して自滅しかけている米英を、露が助けることは、露が敵視する米英中心体制を延命させてしまう。露政府は、ほくそ笑みながら米英の自滅を眺めているのを好むはずだ。

 しかし英が、IMFや国連を改革し、露の満足するような非米的な新世界秩序を作ることに同意するのなら、話は別だ。今回、英が主導するEUのブレトンウッズ2構想は、G7とBRICが対等の立場で参加する形になっている。EU議長の仏サルコジ大統領は、今後の国際金融体制を作る際には、先進国以外の諸国の利害も尊重せねばならないと表明している。露としては、他のBRICや途上国を率いて、英が率いる先進諸国と対等に論争し、その上で新たな世界体制が作られるなら、英米中心体制を壊せると考え、ブレトンウッズ2会議の開催に同意したのだろう。

 ロシアはここ数年「上海協力機構」を通じて中国との戦略的な関係を強化し、今春には中国の他、インドとブラジルも呼んで、初めてのBRICサミットも開いている。ロシアは、イランやベネズエラなど、反米主義を掲げて地域的な台頭を目指している中規模諸国との関係も密接にしている。今のロシアは、非米・反米的な発展途上国をとりまとめられる国際ネットワークを持っている。

 このことは同時に、既存の米英中心体制は金融危機の結果、もはや維持できなくなっていると、英政府が自覚していることを意味している。英は、米英中心体制が維持できる限り、ロシアや反米的な途上国群を入れた、国際政治体制の今後を決める国際会議など開きたくない。金融危機によってどんどん立場が悪くなる米英は、ロシアや反米諸国に譲歩せねばならないからだ。

 しかし、もはやドルや米国債の崩壊が不可避な状態だと英が判断しているのなら、戦略は変わってくる。英の国家戦略は、世界に対して黒幕的に影響力を行使し続けることである。自滅主義の米とともに破綻していくつもりはない。ドルや米国債など、米覇権の崩壊が不可避であるなら、いつまでも米英中心主義にこだわるより、次の世界体制である多極型の世界体制作りに創設期から参加して、次の体制の「胴元」に転身した方が得策だ。

 英国は、第一次世界大戦まで覇権国だったが、その戦略は、欧州の他のライバル的な大国どうしを競わせて漁夫の利を得る「均衡戦略(バランス・オブ・パワー)」であり、露骨な軍事対決を好まず、諜報や謀略によってライバルの力を削ぐことを好む、隠然とした黒幕的な覇権戦略だった。今後、BRICや主要途上国の力が強くなって世界が多極化しても、BRIC4カ国内部の喧嘩を誘発して漁夫の利を得るなど、英国の黒幕的な均衡戦略は十分に成り立ちうる(敵対的な相手が増えて大変だが)。

▼多極化に協力して黒幕維持

 金融危機は、先進諸国がG7会議を開いて対策を講じても緩和されず、米英における銀行間融資市場は凍結状態が続き、米欧日の中央銀行が無制限のドル供給を行うことで、何とか回っている状態だ。米政府の7000億ドルの救済策も効かず、G7の国際協調の救済策も効かないまま、金融システムの危機が続いている。

 今のところ、ドルの諸通貨に対する為替は、それほど下落していない。むしろ米国債は、社債や株式のリスク高騰を嫌気する人々の購入によって値が上がっている。しかし、すでに米政府の金融界への公金投入の総枠は、7千億ドルの米政府救済策の7倍にあたる5兆ドルに急拡大している。

 救済策が効かないまま金融危機が深化しきそうな中で、米政府の財政赤字の急拡大は必至で、いずれ米国債は買い手が足りなくなり、下落(長期金利の高騰)する。英政府が、ロシアやBRICを招く形でブレトンウッズ2を開くことを提唱したことは、英がドルと米国債の破綻を予期し、米覇権の終焉を覚悟したことを意味すると、私には思える。

 前回の記事で、世界銀行のゼーリック総裁が「G7はもはや機能しうる組織ではない」と宣言したことは、英が露などBRICを誘って新世界秩序のためのブレトンウッズ2会議を開こうとしていることと関係している。世界銀行では今後、これまで米国人に限定されていた総裁職を、他の国籍者にも開放する方向で検討しており、この検討会の中心人物は、英政府の代表(ダグラス・アレキサンダー英開発相)である。

 ロシアのメドベージェフ大統領は、IMF・世銀やWTOを改革するのではなく、それらに替わる別の組織を作ることを提唱している。IMF・世銀、WTOなどは、いずれも米英中心体制の一翼である。英米中心・先進国優先の体制が、組織の骨の髄まで染みわたっており、かなり改革しても、英米が途上国を支配する構造は壊せない。だからロシアは、IMF・世銀、WTOを放棄して、別の組織を作ることを望んでいる。

 だが、ロシアやBRIC、途上国群には、自分たちだけで国際機関を作るノウハウが 少ない。結局のところ、ベルサイユ体制以来の90年間の現代世界の国際政治の諸機関は、すべて英国の系列の人々が画策して作ったものである。途上国にとって、謀略的な英を除外した国際機関の創設は、理想的であるが、現実的でない。

 ロシアは今のところ、IMF・世銀など既存組織の改革だけでは不透明で不十分だ、と言っている。しかし、すでに英は、世界銀行の総裁選びの体制を、途上国好みのものに改革することを率先してやっている。「これなら、英に任せても良いか」と、途上国やBRIC諸国に思わせ、ロシアの反対を緩和させるのが、英の戦略だろう。英は、そうやって新世界秩序の中枢に食い込むことで、世界の黒幕としての機能を保持し、米国は破綻しても、英国はなぜか破綻しない(破綻しても軽度ですむ)という展開を目指しているのだろう     (ネット虫)
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何故三菱は火中の栗を拾うのか?     ネット虫

2008年10月20日 11時47分27秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
▼三菱モルガン株購入の政治劇  (田中宇の国際ニュース解説より)

 今回の英主導の米英中心体制蘇生策には、日本もいろいろと協力している。その一つは、おそらく日本政府の要請に基づき、三菱UFJグループが、潰れそうな米投資銀行であるモルガンスタンレーに90億ドルの金をつぎ込んで救済したことである。三菱は10月13日、一株あたり25ドルを払ってモルガンの株の21%を買ったが、モルガン株の先週の最安値は7ドルまで下がっていた(13日の株価は15ドル)。来週まで待てば、モルガン株はまた下がるかもしれないのに、三菱は、安値の4倍近い価格を、平然と、しかも予定より1日前倒しして13日に払い込んだ。

 三菱は、購入するモルガン株の優先株と普通株の割合を変えたりして、自行が負うリスクの軽減を試みた観があるが、一株あたりの価格は明らかに高すぎる。三菱の経営陣は間抜けではないだろうから、政治的な裏があるはずだ。日本政府が頼むとしたら、その相手が国内最大手の三菱になるのは自然だ。対米従属を持続したい日本政府は、金融崩壊で米国の覇権が失われ、日米安保体制が失われるのが怖いはずだ。リーマンに続いてモルガンも潰れたら、CDSなどデリバティブも絡んで、米金融界全体に巨額の損失が上乗せされて金融崩壊に近づき、米覇権の喪失の懸念が増す。モルガン崩壊を防ぐため、日本政府は三菱に金を出させたのだろう。

 三菱が一株7ドルで90億ドル分買うと、モルガン株の6割以上が買えて、モルガンは三菱のものになる。しかしモルガン側は、資金はほしいが主導権は日本人に渡したくなかった。その一方で日本政府は、自滅的ポールソンがモルガンを潰し、米覇権を崩壊させていくのを傍観したくなかった。そこで、割高な値段で三菱がモルガン株を買うという茶番劇になったのだろう。

 今後、金融危機が深化していくと、近いうちにモルガンは再び危機的状態に陥る。三菱が入れた金ではモルガンは救いきれない。ひょっとすると、いずれモルガンは潰れ、三菱は巨額の損失を被る。米政府は銀行への資本注入策を始めれば、モルガンはその対象となり、救済されるかもしれないが、その場合、米政府が注入する資本金によってモルガンの一株あたりの利益が落ち、三菱の利得は減る。米政府は、三菱がその手の損しないよう配慮すると確約したが、そもそも歴史的役割をすでに終えた投資銀行を米政府が救済するのかどうかも不透明だ。三菱のモルガン株購入は、非常にリスクの高い賭けになっており、その分、日本政府は三菱に恩義を負ったことになる。

 このほか、日本政府は先週末のG7会議に際し、日本の外貨準備を金融危機の解消のための(対米?)救済金の一部として使いたいと申し出たりして、対米従属維持のため、日本人の税金や預金を米国救済のために浪費しようとする姿勢を強めた。しかし、米政府は日本の申し出を断った。その断り方が、また隠れ多極主義的で興味深い。日本政府高官がワシントンのG7会議に赴き「日本の金で米を救いたい」と申し出たとたん、米政府は、日本に相談せずに北朝鮮をテロ支援国家リストから解除する挙に出た。日本側は、日本に相談なしに挙行されたと、怒りの表明をした。米政府の奇行のおかげで、日本政府が国民の金を米金融危機のどぶに投げ込んで浪費する事態は回避された。

 米政府は、中国に米国債を買い増ししてもらう必要が急拡大する中で、7年間凍結してきた台湾への兵器売却を突然に決め、中国政府を不必要に激怒させるなど、日本に対してやったのと同種の自滅的な行動を、中国に対してもやっている。

▼深化する経済危機

 そんなドタバタが続く中、金融危機の被害は着実に拡大している。欧州では、金融危機の影響で、エストニア、ラトビア、リトアニア、ウクライナ、ハンガリー、ルーマニアといった東欧諸国が、住宅バブル崩壊、金利上昇、通貨下落、インフレ激化、貸し渋り、不況突入などの経済危機に瀕している。トルコやカザフスタン、パキスタン、アルゼンチンなども危ない。国債のCDS(債券保険)相場は、パキスタンの国債が債務不履行になる確率が90%であることを示している。パキスタンの財政破綻は、タリバンなど反米イスラム過激派の拡大に拍車をかけ、NATOの敗北につながる。(関連記事その1、その2)

 米国内では、カリフォルニア州やフロリダ州などの地方政府が、財政破綻に瀕している。米では失業率が上がっているが、全米の10州で、来年にかけて失業保険基金が破綻すると予測されている。GMやフォードの倒産の危機が拡大しており、GMが破綻すると1兆ドルの債務が不履行となり、CDSを通じた損失拡大がまた金融界に波及する。(関連記事その1、その2、その3)

 米経済は不況の色彩を強め、米連銀が10月末までに再利下げする可能性は84%に上がっている。利下げするほど、ドルが持つ魅力は減り、潜在的なドルの信用不安が拡大する。米経済の現状を見ると、株価の上昇は全く現実離れした(おそらく政治的な操作の結果の)事態だと感じられる。

 世界銀行のロバート・ゼーリック総裁は、G7金融会議が開かれる3日前の10月6日「G7は、もはや機能しうる組織ではない。先進国だけで集まってもダメだ。中国、ロシア、インド、ブラジル(BRIC)、南アフリカ、サウジアラビアを入れた新組織で議論しないと意味がない」と、G7の存在意義そのものを否定する発言をしている。ゼーリックは世銀総裁になる前、ブッシュ政権で国務副長官として、中国を「責任ある大国」にするための覇権押しつけ戦略を展開した人で、これはブッシュ政権の多極化戦略の一環だった。

 世界銀行は、歴代総裁が全員、米国人であるが、今回、BRICなど途上国側からの突き上げを受け、次から世銀総裁選では国籍に関係なく立候補を受けることが決まった(この改革には英も深く関与しているので、英の謀略によって中途半端に終わるかもしれない)。英国はG7を使って英主導で金融危機の対策を展開したいが、米の側ではそれを阻止するかのように、ゼーリックがG7の無効を宣言し、BRICの台頭を容認し、多極的な新世界秩序を作ろうとしている。

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