Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

絵本猿飛佐助

2007-11-03 09:06:41 | 読書
林芙美子「絵本猿飛佐助」大衆文学館講談社 文庫コレクション(2004)

古本屋で,100円と思ったら,林芙美子は広島では人気なので(尾道には銅像もある)200円.でもなぜ,あの芙美子さんが猿飛佐助なの...と思って購入.

カバーにいっぱい文字が書いてある.
信州の山奥で仙人・戸沢白雲斎から独得の武芸を伝授された少年猿飛佐助は、真田幸村に乞われ沼田城に入った。時は戦国、佐助の奇策は徳川や北条の城攻めを次々に封じる。だが、自然児にとって武士の世界はなじみにくかった。放浪の旅に出た彼は、人の野心、怨恨、情愛をしたたかに思い知らされる……。「立川文庫」最大のヒーローを、著者自身の体験と重ね合わせて、人間として捉えなおした異色の長編
だそうだ.

解説によれば,芙美子さんは学校に行けなかったので木賃宿で立川文庫などを読んでいたらしい.
この猿飛佐助は奇想天外荒唐無稽とはいかないが,けっこう楽しめた.現代小説とちがって,考証が大変だったと思う.佐助は「武士の世界になじめない自然児」という性格付けだが,白井喬二の「富士に立つ影」などの無邪気な主人公たちほど徹底していない.妖婦も登場して,童貞の佐助とこれから「浮雲」みたいにどろどろするかと思ったら,残念ながら作者病気で中断し,その翌年作者は死んでしまう.

絵本というものの,絵 (江崎孝坪) は少ししかなかった.
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