Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

植草甚一コラージュ日記 ① 東京 1976

2024-10-02 08:34:07 | 読書

平凡社 (2003/10).
2012 年に平凡社ライブラリー入りしているが,ぼくは単行本を古書で購入した.これは①で.②は「ニューヨーク 1974」だが,①だけで十分だ.

1976 年に刊行が始まった晶文社「植草甚一スラップブック」の「月報」として配布された日記をまとめたもの.手書きだがもちろん原本から清書されている.最初のうちは文字ぱかりだが,途中からコラージュが入る.ただしコラージュと日記の内容は相関がない.後者は,誰と会った,原稿を何枚書いた,古本を何冊いくらで どこで買った というようなこと.

日記の時点の著者は 68 歳.この年 16 トンは 35 歳ですでに東京を離れていたが,土地鑑がある文章が楽しい.「柏水堂でコーヒー (すこしマズクなった) とケーキ (こっちは同じ) (日付け2/4)」には笑ってしまった.この神保町の洋菓子店のことは 16 トンの父も話していたが,2015 年に閉店したとのこと.

あけすけな記述もある.「梅公が紙っきれに三井銀行のバランスを書いて持ってきた.397万380 となっている.富士銀行のほうは (途中省略) 198万2892 (省略) これだけだとニューヨーク行きはまだ安心できないなあ (5/21)」. 梅公は奥さんである.

ジャズコンサートはたいてい1行足らずで片付けられている.意味不明なこともある.
 ミルト・ジャクソン : 第2部の終わりのほうでニューヨークで聴いたときの端正なジャクソンになったので,来ただけの甲斐があった (3/5).注によればレイ・ブラウンとの双頭クインテットだった.
 マコイ・タイナー : かなりイージーな編成ぶりだし,ぼくは気に入らない (6/11).
 フィル・ウッズよし,ズート・シムズもよし (5/20).
 ジャッキー・マクリーン : マクリーン一人だけがいい.昔すきだった彼の音がまだちゃんと残っているのが,ぼくには気に入った (3/29).なお注によればこのときはケニー・ドリュー・トリオが付き合っていたようだ.
 ミンガスのコンサートは前半のほうがいい (7/20).その前日 7/19 のミンガスをかこんだパーティでは「ミンガスがサントリー・オールドでゴキゲンになベラベラしゃべったのは意外だった」.
 ギル・エバンスは例外で 10 行以上を費やしている (5/24).

便利なような不便なような索引付き.


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