小林信彦 文春文庫(2012/03).
黒沢は1910生まれ.著者は1932生まれで,10歳くらいで初めて「姿三四郎」を見た.それ以来実時間で黒沢の全作品を追っている.
この本の良いところは,それなりの年齢差で,著者とクロサワが同時代を歩んでいるところ.
かく言う小生は1941生まれで,中学生のときに「七人の侍」を見て,以来クロサワを意識するようになった.でも,映画館で黒沢作品を見たのは「赤ひげ」が最後だった.三船が出なくなったら見なくなったわけだが,意識してのことではない.平均的映画ファンと言うところだろう.
「生きものの記録」「悪い奴ほどよく眠る」路線と,「蜘蛛巣城」「用心棒」路線の矛盾みたいなものは,自分も弱輩ながら感じていた.三船氏はがーがー言うばかりで,台詞が聞き取れなかった.「赤ひげ」はつまらなかったが,これを読んでそう言うことかと思った.桑野みゆきが出ていたなんて,すっかり忘れていた..
テレビがなかった時代,映画と映画館の生活に占める割合はすごく大きかった.映画はたいてい近所の二番館・三番館で見た.フィルムがロードショー館から盛り場,最後は場末へと回って来るのである.この本にもあるように,入場直後は立ち見で,休憩時の席の争奪戦がすごかった.ヒトの頭で,スクリーンが半分以下しか見えなくても,映画を見た気になれた.
2 本立て・3本立てでたっぷり時間をつぶすことができた.途中から見始めて,別な映画を1-2本見て,はじめの映画の最初のほうを見ると,なぜか1本目の話が矛盾なくつながり,安心して帰ることができた....と言うようなことを思い出しながら,楽しく読んだ.
解説 (芝山幹郎) はなぜかこの本の前半にしかふれていない.後半はクロサワも映画も下り坂でつらいのは確か.
黒沢は1910生まれ.著者は1932生まれで,10歳くらいで初めて「姿三四郎」を見た.それ以来実時間で黒沢の全作品を追っている.
この本の良いところは,それなりの年齢差で,著者とクロサワが同時代を歩んでいるところ.
かく言う小生は1941生まれで,中学生のときに「七人の侍」を見て,以来クロサワを意識するようになった.でも,映画館で黒沢作品を見たのは「赤ひげ」が最後だった.三船が出なくなったら見なくなったわけだが,意識してのことではない.平均的映画ファンと言うところだろう.
「生きものの記録」「悪い奴ほどよく眠る」路線と,「蜘蛛巣城」「用心棒」路線の矛盾みたいなものは,自分も弱輩ながら感じていた.三船氏はがーがー言うばかりで,台詞が聞き取れなかった.「赤ひげ」はつまらなかったが,これを読んでそう言うことかと思った.桑野みゆきが出ていたなんて,すっかり忘れていた..
テレビがなかった時代,映画と映画館の生活に占める割合はすごく大きかった.映画はたいてい近所の二番館・三番館で見た.フィルムがロードショー館から盛り場,最後は場末へと回って来るのである.この本にもあるように,入場直後は立ち見で,休憩時の席の争奪戦がすごかった.ヒトの頭で,スクリーンが半分以下しか見えなくても,映画を見た気になれた.
2 本立て・3本立てでたっぷり時間をつぶすことができた.途中から見始めて,別な映画を1-2本見て,はじめの映画の最初のほうを見ると,なぜか1本目の話が矛盾なくつながり,安心して帰ることができた....と言うようなことを思い出しながら,楽しく読んだ.
解説 (芝山幹郎) はなぜかこの本の前半にしかふれていない.後半はクロサワも映画も下り坂でつらいのは確か.