Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

なぜ猫は鏡を見ないか?

2013-03-01 08:43:17 | 新音律
伊東 乾「なぜ猫は鏡を見ないか?―音楽と心の進化誌」 NHKブックス (2013/01).

著者は東大物理学科卒の作曲家・指揮者.あらわには書かれていないが,「理論 → 実験」という,ぼくたちにはおなじみの手法を現代音楽で実践しておられるようだ.理論と言っても,物理も生物も生理学も含んでいる.
じつは著者の名前を意識したのは初めて.
クラシックの現代音楽家 (いかにも矛盾した言い方 !) がいま何をしているかを,ジャズ側ではほとんど気にしていないが (逆は真ではないようだ),ネットで調べたら,ジョン・ケージの没年は 1992年,マイルスは 1991年 だった.

この本のタイトルは,正確に言えば「なぜ猫は鏡に写った像を自分と認識しないか」である.良いタイトルとは思えないが,このタイトルだから書店で手に取ったのも事実.ちなみに,本書では鏡の像の反射ではなく,音の反射がひとつのテーマになっている.

この本自体は,出版社からの「仕事の全体像がわかる主著を !」という要請に従って書かれたとのことで,記述は今までの仕事の流れに沿っている.バーンスタイン,リゲティ,ブーレーズ,シュトックハウゼン等に,著者がいかに認められ,可愛がられたかという記述をイヤミと感じるのはヒガミだろうか.

ぱらぱらマンガを導入に,動物の可聴周波数を論じた項が面白かった.
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