Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

評伝 石井桃子

2018-04-19 08:33:23 | 読書
尾崎 真理子 「ひみつの王国: 評伝 石井桃子」新潮文庫 (2018/3).
単行本は新潮社(2014/6).

内容(「BOOK」データベースより)*****
菊池寛に編集を学び、太宰治に恋され、「プーさん」を訳し、「ノンちゃん」を生み出した。石井桃子とは誰だったのか? 200時間におよぶインタビューと膨大な書簡をもとに仕事、生活、戦争秘話まで101年の稀有な生涯を描き尽くす。児童文学の巨星、初にして決定版評伝 ! *****

実家に居づらく自活を目指し,文藝春秋社で菊池寛のもとで働き,文春を離れてから「プーさん」を訳し,井伏鱒二に「ドリトル先生」を訳させる.「ノンちゃん..」が徴兵された男友達の間で回覧される.終戦と同時に開拓をはじめ肥桶をかつぐ (ほく的にはここがクライマックス).社員に村八分にされながら岩波少年文庫を立ち上げる,等々.小説「幻の朱い実」の実態が書かれ,石井が結婚しそうになったことにも触れている.石井桃子がこんな波乱万丈の生涯101年を送ったなんて,ちっとも知らなかった.

一次資料が随所に引用され,論文みたい.内容がびっちり詰まっているが,文章は読みやすい.石井への深い敬愛が感じられるが,対象が著者の手に余っている感もある.

写真も多数.おしゃれで可愛いと思うが,同時代同年代の異性からみたらどうだろう,わからない.
装丁には単行本と同様,しかし別なヘンリー・ダーガーの作品.

☆☆☆☆★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg