マイケル・イネス, 福森典子 訳,論創海外ミステリ (2018/3).
同じタイトルの朽木 ゆり子による新潮選書が 2000/3 に出ている.
こちらは本格ミステリというより,大半は追いつ追われつの高級娯楽小説.そう思って読めば,とても面白い.原題は A Rrivate View で,1952 年の作品の初役.邦題は,いや 翻訳そのものが,最近のフェルメールブームをあてこんだものだろう.しかし盗まれるフェルメールの絵のタイトルは「水槽」で,あまりイメージを掻き立てない.
著者には他にも美術の世界を扱ったミステリもあるそうだ.
探偵役はロンドン警視庁警視監.その妻は彫刻家で,夫婦で抽象画家の内覧会に出かけることが事件の発端となる.夫は管理職に飽きて,よせばいいのに単身で捜査を始めて危機に陥り,妻の探偵ごっこと,大いなる偶然に助けられる.
登場人物の会話が現代美術をチクるのが面白い.犯人対警察のような緊迫した場面の会話にもイギリス的ユーモアが健在.ラストも十分ふざけている.
複数の犯人が複数の犯罪組織に属したりするところを,ぼくは買わないので,☆☆☆.
同じタイトルの朽木 ゆり子による新潮選書が 2000/3 に出ている.
こちらは本格ミステリというより,大半は追いつ追われつの高級娯楽小説.そう思って読めば,とても面白い.原題は A Rrivate View で,1952 年の作品の初役.邦題は,いや 翻訳そのものが,最近のフェルメールブームをあてこんだものだろう.しかし盗まれるフェルメールの絵のタイトルは「水槽」で,あまりイメージを掻き立てない.
著者には他にも美術の世界を扱ったミステリもあるそうだ.
探偵役はロンドン警視庁警視監.その妻は彫刻家で,夫婦で抽象画家の内覧会に出かけることが事件の発端となる.夫は管理職に飽きて,よせばいいのに単身で捜査を始めて危機に陥り,妻の探偵ごっこと,大いなる偶然に助けられる.
登場人物の会話が現代美術をチクるのが面白い.犯人対警察のような緊迫した場面の会話にもイギリス的ユーモアが健在.ラストも十分ふざけている.
複数の犯人が複数の犯罪組織に属したりするところを,ぼくは買わないので,☆☆☆.