Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

北斎 もう一枚の「神奈川沖浪裏」

2020-06-08 09:19:02 | お絵かき
檀乃歩也「北斎になりすました女」が,「海上の不二」に言及していた.この絵は北斎が「富嶽三十六景」に続いて出した全3巻の読み本「富嶽百景」に入っている.「...三十六景」の人気作「神奈川沖浪裏」と似ているが,構図は左右が逆.なにより,小舟がなく,かわりに鳥の群れ.

展覧会で「海上の不二」を見たのだが,今回見直すまで,波の上を飛ぶ鳥たちは波の飛沫のメタモルフォーゼと思い込んでいた.記憶のうえで勝手に絵が変わったらしい,あるいは初めて見たときにエッシャーの絵を連想したのかな.

檀さんは海上の不二を「神奈川沖...がどこか静謐な2次元の視点であるのに対し,海上の...は大波に翻弄される人間から見た3次元の視点になっている.過去の栄光や賞賛を引きずることなく,まだ見ぬ絵の表現,誰も到達したことのない荒野を目指す絵師北斎の覚悟と決意が表れている」と高く評価している.

しかしふたつ並べると海上の...はモノクロでいまいち迫力がない.これに色を付けたくなるのは人情で,下右は「北斎の波がハイスピードカメラ撮影写真とそっくり...」というウェブページから転載させていただいた.右下に彩色した人のサインがある? がよく分からない.



自分でも! というわけで左にはソフトで輪郭だけを抽出してみた.右と異なり,思い切りサイケな色使いをしたい.そのうちに...
北斎の塗り絵が流行している.錦絵を手本とせず,「海上の...」のようにもともとはモノクロの原画に色を付けた方が面白いだろう.北斎はモノクロ原画の宝庫でもあるのだ.
コメント
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