Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

おれの眼を撃った男は死んだ

2020-06-14 09:02:23 | 読書
シャネル・ベンツ, 高山 真由美 訳,東京創元社(2020/5).

Amazon HP に載った CM *****
彼らは幸せで、怯えていて、救われない。人間の本質を暴き、一瞬の美しさを描く珠玉の10編。
O・ヘンリー賞受賞作収録の傑作短編集!
「とてつもないデビュー作だ。冒頭の一編はあなたの息の根を止める」〈サンフランシスコ・クロニクル〉

南北戦争で両親を亡くした少女は兄の手で自分を虐待するおじ一家から助け出されたが、さらに残酷な外の世界を知る(「よくある西部の物語」)。ある少年は、服役中の父親と暴力をふるう義父の間でもがいている(「ジェイムズ三世」)。19歳の女は難民キャンプで襲撃を受け、誘拐されて消えた(「外交官の娘」)。暴力に満ちたさまざまな時代と場所で、血まみれで生きる人々の一瞬の美しさを切り取る。 *****

どの短編も凝っていて,フィクションの状況を呑み込むのに時間がかかる.どの結末も ネガティヴ.よく考えると リドル・ストーリー 的と思われるものもある.訳者は再読・三読を勧めるが,それにも エネルギーがいる.
アメリカ黒人男性死抗議デモの根源にせまる部分がありそう.著者はカリブ海東部のアンティグア・バーブーにルーツを持つのだそうだ.Wikipedia によれば アンティグア・バーブーのほとんどの住民が砂糖プランテーションで働いていた アフリカ系奴隷の子孫である.

本のタイトルは The Man Who Shot Out My Eye Is Dead だが,その タイトル の短編はない.ただし「死を悼む人々」の中にこのセリフがある.
「蜻蛉」にはスネーク・ドクターとルビがふってあるが,snake doctor はアメリカ南部・中南部の方言で蜻蛉のことだそうだ.
ぼく的ベストはどこか近未来的で,この本の中の異色である「認識」.

図書館で借用.文庫化されたら買ってときどき読み返そうかな.
日本の近頃の小説にはこのところ手が出ない..
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