Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

シャルロッテ

2020-06-23 09:17:55 | 読書
ダヴィド・フェンキノス, 岩坂 悦子 訳,白水社(2020/5).

Amazon の該当ページの紹介は
*****ナチに迫害された画家の秘められた愛の物語
アウシュヴィッツに送られ、26歳の若さで命を落とした天才画家の知られざる生涯。ルノドー賞、「高校生が選ぶゴンクール賞」をダブル受賞し、24の言語に翻訳されたフランスの人気作家による代表作。*****

で始まるが,スクロールしていくとあらすじが丁寧に紹介されている.

一行一文の分かち書き.詩のようでもあり戯曲のようでもある.著者は,一文,一行を書くたびに息をつく必要があったから,これ以外の書き方ができなかったと言っている.ときどきこの著者は一人称で本文に顔を出す.
昔手にした岩波文庫版のテニスン「イノック・アーデン」を思い出した.

しかしこの文体はストーリーだけを抽出している感がなきにしもあらず.花田清輝「画人伝」はありもしない絵を微に入り細に入り丁寧に描写しているのに対し,この本では実在するシャルロッテ・ザロモンの作品「人生? それとも舞台?」について,訳者あとがきがなければイメージが湧かない.
ウェブに画家・藤井建男氏による「人生? それとも...」の解説を発見した.
この大作はアムステルダムのユダヤ歴史博物館の地下に眠っているそうだ.日本での展覧会を望む.

これが岩崎さんの初めての訳書だそうだ.おめでとう!!
著者フェンキノスがジャズギターのインストラクターだったというのもおもしろい.
図書館で借用.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg