「江戸の絵を読む」に摺物のことが書いてあった.お金持ちが道楽で,金にあかせず作る版画.絵師・彫師・刷師が技術を尽くして版画表現を追求する.テーマがなんであろうと,おかみの出版物取締りの対象にならない.
本に紹介されていたのは,葛飾北斎の「顕微鏡に蝶」だった.木版画なのに銅版のように細かいもの.
北斎には他にもネット上に多数の摺物があったが,ぼくが気に入ったのはこの「小烏丸の一腰」.マッシヴな黒を斜めに切る赤い曲線,カラスの目玉も効いている.
柳風亭待兼の狂歌? しののめの...あとの方は読めない.ガイジンのテキストでくずし字を勉強しようと思ったこともあったのだけれど.
Wikipedia によれば,小烏丸は奈良時代末期から平安時代中期に作られたとされる日本刀で,平家が天皇より拝領して家宝としていた.現在は宮内庁委託品として国立博物館で保管されている.
由緒ある名刀をカラスが攫っていくシーンを絵にするのは,おおっぴらには憚られたことだっただろう.
「小烏丸」という落語を桂歌丸が発掘し高座にかけたそうだ.名刀・小烏丸を抜くと まわりにカラスが集まって来るはずだったが,抜いたら雀が集まった...竹光だった ! というオチだそうだ.
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