Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

夕顔の下で夕涼み

2022-09-08 08:58:13 | お絵かき
また,「江戸の絵を読む」のモノクロ図版のネット上のカラー版から.
木下長嘯子 (1569-1649) の和歌「夕顔の咲ける軒端の下涼み 男はててれ(=襦orふんどし)女はふたの物(=腰巻)」の可視化.

左は国宝 久隅守景「夕顔棚納涼図」屏風.墨画淡彩.初めて見たのは高校時代と思うが,小さく粗悪な印刷写真でたいした感慨はなかった.
今見ると,違和感なきにしも あらず.この一家は何を見ているのだろう.左端の柱の右にテレビを置くとしっくり来るな,と思ったりする.

夕顔と聞くと,夜咲く朝顔のイメージしかなかったが,この絵では丸い実がたくさんなっている.Wikipedia によれば,ヒルガオ科のユウガオとウリ科のユウガオは直接の親類関係はないという.この絵の夕顔はウリ科のユウガオなんだろう.カンピョウやヒョウタンはユウガオからできるらしい.
久隅守景は狩野探幽の高弟だったとかで,この絵はたぶん 1640 年代の作.

右は歌川豊広 (?-1829) の肉筆画「夕顔棚納涼図」.
豊広は安藤広重の先生だそうだ.守景が武士のための絵師 (と言い切れるかどうかは疑問) だったのに対し,豊広は町人のための絵師なんだろう.守景図の約 200 年後とあって,構図は現代的.

こちらの夕顔は明らかにヒルガオ科のユウガオ.守景の一家は農民らしいが,こちらはお猪口で一杯と町人らしい.
もっとも江戸の長屋は人口稠密で,おまけに女性の比率が低く,結婚難だったとも聞く.カップルでのんびり裸で夕涼みは,当時の町人の理想を絵に描いたものかもしれない.
この絵はニューヨーク・メトロボリタン美術館で,アメリカさんたちの目を肥やしているそうだ.

産業革命以前すなわち温暖化以前の夏は過ごしやすかったのかな ?
蚊にはどう対策したんだろう ?

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